ねぎま ― 焼き色のついた鶏、甘くなる長ねぎ、つややかなたれ
焼き色のついた鶏もも肉、火が入って甘くなる長ねぎ、そして両方をまとめるしょうゆと砂糖のたれ。鶏にしっかり火を通してから、たれは最後に加えます。
ミシュランガイドの焼き鳥特集には、赤提灯を掲げた店先に焼ける匂いが流れ出し、箸を使わず串のまま食べられる様子が描かれています。焼き鳥は、日本でもとくに気軽な楽しみのひとつです。
このレシピは、その焼き鳥をいちばん簡単な形で家庭の台所に持ち込みます。鶏もも肉と長ねぎを交互に刺したねぎまです。フライパンでは炭火の香りは出せないので、蓋をして鶏に火を通すことと、弱火で照りを出すたれの2点に絞りました。家庭で無理なく操れるところです。
焼き鳥とねぎま、そして室蘭で別の意味になる名前
焼き鳥は鶏の串焼きで、鶏と長ねぎ(ねぎ)を交互に刺したものがねぎまです。この記事が手本にしているキッコーマンのレシピは、焼き鳥を鶏の串焼きとして紹介し、もも肉と長ねぎを組み合わせています。
ねぎまの「ま」はどこから来たのでしょうか。ミシュランガイドは、江戸時代にねぎとマグロ(まぐろ)の串が焼かれていて、のちにマグロの代わりに鶏が使われるようになっても、マグロの「ま」が名前に残った、という説明を紹介しています。確定した語源ではなく、ガイドが示す説明として受け取ってください。
焼き鳥という言葉は、地域によって指すものも変わります。北海道の公式観光サイトによると、室蘭で「やきとり」といえば豚肩肉と玉ねぎの串で、からしを添えて食べます。サイトはこの料理を、1930年代の製鉄の街の食文化と結びつけて紹介しています。これは別の郷土料理なので、豚肉と玉ねぎはこの鶏のレシピには混ぜません。
道具
- 金属の串(出典のレシピは金属串を使っています)。フライパンの蓋が閉まる短めの長さのもの
- たれ用の小鍋
- 蓋つきのフライパン
- トング
- 清潔な食品用温度計
- 生の鶏肉専用のまな板と皿
選び方と代用
- 鶏肉:串に刺しやすい骨なしのもも肉を使います。皮を付けるかどうかは出典に書かれていません。むね肉に替える根拠はこのレシピになく、脂と食感も変わるため、代用としては案内しません。
- 長ねぎ:日本の長ねぎの代わりに別の太いねぎを使うと、太さ、香り、焼き色のつき方が変わります。どの品種が同等とも言えません。
- 油:出典は好みの油でよいとしています。香りの強い油は、鶏とたれの香りを変えます。
- しょうゆ:出典はキッコーマンのしょうゆを指定しています。別のタイプに替えず、標準的なしょうゆを使ってください。
- 余計なものは入れない:塩、酒、みりん、飾りは使いません。材料表の6つをすべて使い、表の分量以外のたれは作りません。
ムラ、焦げ、色づきの悩みを直す
| 困りごと | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 火が通った串と通っていない串がある | 鶏肉の大きさがそろっていない | そのまま焼き続け、いちばん厚い一切れを温度計で確かめる。次回は同じくらいの大きさに切る |
| 表の時間を過ぎても、中心が75°Cで1分に届かない | 一切れが厚い、またはコンロの火が弱い | 弱火のまま返しながら焼き続け、もう一度確かめる。たれはまだ加えない |
| たれが焦げた | たれを入れるのが早い、または火が強い | 鶏に火が通ってからたれを加え、絡めるあいだは弱火にする |
| 外側はよく焼けている | 焼き色は中心の温度を示さない | それでも温度計で中心を確かめる |
| たれがゆるくて絡まない | 絡める時間が短い | 弱火のまま、つやが出るまで返し続ける |
たれは最後に加え、生の鶏肉には塗りません。たれの砂糖は焦げやすく、そのあいだ鶏にはまだ時間が必要だからです。2つの段階に分ければ、まず鶏にしっかり火を通し、そのあとは短い時間で照りだけつけられます。
残ったとき
出典のレシピには保存の条件がないため、保存期間は示しません。作り置きもおすすめしません。厚生労働省の家庭向けの案内に沿って、調理の前後で食品を室温に長く置かないようにします。残りは清潔な浅い容器に小分けし、早く冷ましてから冷蔵してください。温め直すときは、中心が75°C以上になるまで加熱します。残ったたれが保つとは保証できません。
試してみたいアレンジ
- 塩味:塩で味つけする焼き鳥は別のレシピです。ここで使った出典には分量がないため、分量は示しません。
- 鶏だけの串:長ねぎを抜くと、ねぎまとの食感を比べられます。同じレシピの応用で、別の出典のレシピではありません。手順4のとおり、中心の温度を確かめてください。
- 長ねぎの太さ:太さによって焼き色のつき方と必要な時間が変わります。表の分数ではなく、鶏の中心温度で判断します。
- たれを絡める回数:回数を増やすとつやは出ますが、焦げやすくなります。よく見ながら進めてください。
- 室蘭やきとり:豚肩肉と玉ねぎにからしを添える料理は、手順も味つけも違う別のレシピです。
屋台から赤提灯へ ― 焼き鳥が食卓で占める場所
フライパンでは炭火の香りは出せません。このレシピが目指すのは、焼き色のついた鶏、甘くなった長ねぎ、つややかなたれです。専門店の焼き台を真似るものではありません。
ミシュランガイドによると、焼き鳥の屋台は明治中期(1880〜90年代)に現れ、飲食店で出る端材や内臓を串に刺して焼いていました。広く人気になったのは1960年代、ブロイラーが普及してからだといいます。これはガイドの説明であり、日本全体に通じるひとつの起源として確定したものではありません。
同じ特集は、この料理に串が向いている理由も説明しています。串は手で食べやすく、焼きながらたれも塗りやすいのです。
専門店で味わう焼き鳥は、もも肉と長ねぎにとどまりません。農林水産省は、鶏の部位ごとの味の違いを楽しむ焼き鳥店や、備長炭で焼く店を紹介しています。このレシピはあくまで鶏もも肉だけで、家庭で始めるにはいちばん手を付けやすい形です。世界ごはん紀行では、日本の料理をほかにも紹介しています。
よくある質問
たれと塩はどちらがよいですか?
このレシピは、キッコーマンのたれの作り方です。同じ出典に塩味の分量はないため、ここでは示しません。
木串でもよいですか?
出典のレシピは金属串をすすめています。木串の準備については、このレシピの出典に書かれていないので、ここでは答えられません。
どのくらい時間がかかりますか?
キッコーマンは20分と掲載しており、フライパンでは蓋をして3分、蓋を外して3分焼きます。これは出典の数字で、お使いのコンロでの保証ではありません。焼き上がりは、中心が75°C以上で1分以上になっているかで判断してください。
室蘭やきとりも鶏肉ですか?
いいえ。北海道の公式観光サイトによると、室蘭やきとりは豚肩肉と玉ねぎで作り、からしを添えます。
鶏肉は先に洗ったほうがよいですか?
洗いません。農林水産省は、生の鶏肉を洗わないよう勧めています。触ったあとに手と道具を洗い、ほかの食品に触れないようにしてください。











