タッカンマリ:鍋は真ん中に、たれは一人ひとつ、麺は最後に
共有の鍋のスープは澄んだままです。辛さは別に作ったたれにあり、各自が自分のつけだれの器に加えます。最後に残ったスープで、締めの麺を煮ることができます。
食卓の真ん中に澄んだ鶏のスープの鍋が置かれ、鶏肉のあいだでじゃがいもと餅が煮えています。めいめいが鶏肉を取り上げ、野菜入りの小さなたれの器につけて食べます。鶏がなくなったら、残ったスープに麺を入れます。Korea Foundationの雑誌Koreanaと、Korea Tourism OrganizationのサイトVISITKOREAが伝えるタッカンマリの食事は、まさにこの流れです。共有の鍋、各自の好みで整えるたれ、鶏の風味が出た残りのスープで煮る麺、という組み立てです。
このページのレシピは、ある一つの家庭版に沿っています。FutureDishでDaniel Ohが公開した「Dak Hanmari - Korea's One Chicken Soup」です。丸鶏ではなく皮付きのドラムスティックともも肉を合わせて1kg使い、玉ねぎ、青ねぎ、ミリム、しょうが、粒こしょうで香りをつけたスープを作ります。たれは二種類を別々に用意します。しょうゆと酢のベースと、鍋のスープでのばしたコチュカルのたれです。分量について、Daniel Ohは「おなかをすかせた2人分」と書いていて、正式な人数の表記はありません。
世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。以下の分量と手順はDaniel Ohが公開したレシピに基づいて書いています。元のレシピに時間・温度・分量の記載がない箇所は、この記事でも作り足していません。
タッカンマリとは ― 名前、ソウル、いくつもある作り方
韓国語では 닭한마리 と書きます。KoreanaとVISITKOREAはDakhanmari、FutureDishはDak Hanmariと表記し、ハイフンを入れたDak-hanmariも見かけます。いずれも同じ系統の料理を指しています。VISITKOREAは英語で「Whole Chicken Stew」と紹介しています。
Koreanaは、タッカンマリをソウルと結びつく鶏料理として紹介しています。共有の鍋に鶏肉を入れ、じゃがいもや餅などをスープに加え、各自が調整するつけだれで食べ、最後に麺を入れる料理です。具材もたれも店や家庭ごとに違うので、ただ一つの伝統的なレシピがあるわけではありません。Koreanaは一般的な説明としてねぎやきのこなどの具にも触れていますが、このレシピではきのこなど、Daniel Ohのレシピにない材料は加えません。
Daniel Ohのページは、このレシピをChef Baek Jong-wonに由来するものとしています。これはページの書き手自身による紹介で、Chef Baekによる一次のレシピは見つからず、裏付けは取れていません。そのため、この記事ではDaniel Ohの家庭版として扱い、Chef Baekのレシピや店の原型とは呼びません。
作る前に ― このレシピで選んだこと
Daniel Ohのレシピには曖昧な点があり、二か所は記載が食い違っています。材料表と手順をすっきりさせるために、この記事での扱いを先に書いておきます。
- 鶏肉。 皮付きのドラムスティックともも肉を合計1kgと指定しています。両者の割合、本数、もも肉が骨付きか骨なしかは書かれていません。手元にある組み合わせで作り、余分な脂は取り除いてください。
- スープの水。 材料欄には6.5カップ、同じページの手順には1500mlとあります。FutureDish自身の計量のページでは1カップ=250ml(大さじ1=15ml、小さじ1=5ml)と定めていて、すると6.5カップは1625mlになり、二つの数字は合いません。この記事では材料欄の6.5カップを使います。どちらが意図された量かは確認できておらず、試作で決着をつけてもいません。日本の200mlのカップなど、小さいカップに置き換えないでください。
- 粒の黒こしょう。 材料欄は6〜8粒、手順は6〜7粒です。この記事は両方の範囲に入る7粒を使います。あとで使う粉末の黒こしょう6〜7振りは、別の材料です。
- ミリム。 Daniel Ohのページは白い料理酒も代わりに挙げていますが、この記事はミリムで書いていて、料理酒は使いません。
- 任意の部分はすべて入れます。 しょうが、なつめ、アジアニラ、生カルグクスの締めは、元のレシピでいずれも任意です。この版では四つとも入れています。省く場合は後半の「選び方と代用」を見てください。
- 時間。 決まった時間があるのは、スープの最初の20分の煮込みだけです。沸くまで、じゃがいもとトック、麺は、時計ではなく鍋の様子で判断します。準備時間や全体の時間は示されていません。
途中で見つける、味の決め手
選び方と代用
次の部分は任意で、省いてもほかの手順は変わりません。
- スープのしょうが。
- 鍋のなつめ。
- つけだれの器のアジアニラ。キャベツだけでも大丈夫です。
- 麺の締め。省くなら、最後に取っておくスープも要りません。
- 辛いたれの量。各自が自分の器に数スプーンずつ加えるので、共有の鍋に手を加えず、人ごとに辛さを変えられます。
次の三つは、韓国食材店やアジア食材店での買い物が必要になることがあります。
| 材料 | このレシピでの役割 | 見つからないとき |
|---|---|---|
| 韓国唐辛子粉(コチュカル) | 辛いたれの、スープ以外の唯一の材料 | しょうゆベースだけで食べます。代わりになる唐辛子はありません |
| 韓国の餅(トック) | 鍋に加える具。じゃがいもと一緒に煮る | ひとつかみ分を、形は問わずに使います |
| 生カルグクス | 残りのスープで煮る任意の締め | 任意なので、麺の締めは省きます |
この版には、キムチ、からし、高麗人参、詰め米、追加のハーブは入れません。それらは別の料理、または別の版のものです。
つけだれのしょうゆ、餅、麺は、商品によって原材料が違う加工品です。小麦や大豆などのアレルギーがある方のために作るときは、買った商品の表示を確認してください。
道具
- 最初のスープを作る、ふた付きの大きな鍋
- おたま
- 共有の鍋にする、深さのある供用鍋(中華鍋や縁の高いフライパンでも可)
- 包丁とまな板
- しょうゆベースと辛いたれ用の小さな器
- 各自のつけだれの器または小鉢
- 麺をすすぐためのざる
つけだれの器 ― 辛さを鍋に入れない理由
二つのたれは、各自の器の中で初めて出会うように作られています。しょうゆベースはしょうゆ、砂糖、酢、水。コチュカルのたれは、鍋のスープに唐辛子粉を混ぜたものです。器には、生のキャベツ、ニラ、つぶしたにんにくが入っていて、そこに二つのたれを合わせ、鶏肉をつけて食べます。
辛いたれが共有の鍋に入らないので、スープはみんなにとって澄んで穏やかなままで、最後の麺も同じきれいなスープで煮られます。もっと辛くしたい人は自分の器にもう一さじ足し、辛くしたくない人はしょうゆベースだけで食べます。Koreanaは、このように各自が整えるつけだれを、タッカンマリの食べ方の一部として説明しています。
うまくいかないとき
| 困ったこと | 対処 |
|---|---|
| 最初の煮込みでスープが激しく沸く | 中強火から中火に下げる |
| 鍋が沸いているのに、じゃがいもがまだ硬い | 柔らかくなるまで煮続ける。決まった時間はない |
| 共有の鍋が赤くなった | 辛いたれは個別の器だけに使うもの。次回は専用の器に取っておき、器ごとに加える |
| つけだれが辛すぎる | しょうゆベースを足し、コチュカルのたれの量を減らす |
| 麺に使うスープが少ない | 鍋に水を足す。スープが少ないときだけにする |
| 麺のスープの味がぼんやりする | 塩と黒こしょうを一つまみずつ加えて味を見る |
| スープが濁る、表面に泡がある | 最初に沸いたあと、ふたをする前に、おたまでアクをすくう |
ソウルの共有鍋 ― 歴史について資料が言えること
フードコラムニストPark Chan-ilによるKoreanaの記事「Dakhanmari: Seoul's Iconic Chicken Dish」は、この料理をソウルと結びつけています。1960年代にさかのぼると考えられているとしつつ、由来の話は推測として扱っています。確かな創業年、唯一の発祥の地、考案者は分かっておらず、この記事でもそれらを断定しません。
VISITKOREAは、東大門市場にある「Jinokhwa Halmae Wonjo Dakhanmari」という店を、1978年から営業していると紹介しています。丸鶏のスープで、餅、ねぎ、じゃがいも、麺などを好みで加えられる店です。これは一軒の店の歴史であり、長く続く食べ処の一例であって、誰がこの料理を考えたかを示すものではありません。その店のメニューが、すべての版の手本になるわけでもありません。
文化に関する資料に共通しているのは、食事の順序です。共有の鍋から鶏肉を取り、各自のたれで食べ、じゃがいもや餅などの具をスープで煮て、残りのスープで麺を食べます。Daniel Ohの家庭版もこの順序を守っています。同じ食卓の料理をもっと見たい方は、韓国のレシピもご覧ください。
サムゲタンなど、ほかの韓国の鶏料理との違い
- サムゲタンは、VISITKOREAの説明では、若鶏にもち米、にんにく、なつめ、高麗人参などを詰めて煮る料理です。一羽ごとが閉じた包みのようなものです。この版のタッカンマリは、鶏肉を切り分けて開いた共有の鍋に入れ、つけだれと任意の麺を添える料理で、何も詰めません。
- タッカルビは、鶏肉と野菜を辛いたれで炒める料理で、スープの料理ではありません。
- 安東チムタクは、鶏肉と野菜をしょうゆ味のたれで煮込む料理です。
どれも名前に「鶏」がつきますが、違いを作っているのは作り方です。共有の澄んだ鍋、詰めた鶏、炒め物、しょうゆ煮、と分かれます。
よくある質問
水は6.5カップと1500mlのどちらにしますか?
Daniel Ohの材料欄には6.5カップ、同じページの手順には1500mlとあります。FutureDishはカップを250mlと定めているので、6.5カップは1625mlとなり、二つの数値は合いません。この記事では材料欄の6.5カップを使っています。この食い違いは、書き手による訂正も試作による決着もされていないため、確定した量ではなく未解決の点として扱ってください。
丸鶏で作る料理ですか?
名前は「丸ごと一羽」の意味で説明されることが多く、VISITKOREAも「Whole Chicken Stew」と呼んでいますが、このレシピは皮付きのドラムスティックともも肉1kgを使います。それぞれ何本か、もも肉に骨があるかは書かれていません。
スープは辛いですか?
いいえ。スープ自体は辛くありません。辛さはコチュカルのたれから来ていて、そのたれは各自のつけだれの器にだけ、数スプーンずつ加えます。
麺は必ず作るのですか?
いいえ。生カルグクスの締めは任意です。作るなら、余分な粉を洗い落とし、再び沸かした残りのスープで煮て、スープが少ないときだけ水を足し、塩とこしょうで味を整えます。この手順について、レシピには煮る時間も水の量も書かれていません。
時間はどのくらいかかりますか?鶏肉の火の通りはどう分かりますか?
レシピで決まった時間があるのは、スープが沸いたあとの最初の20分の煮込みだけです。鍋が沸いていて、じゃがいもが柔らかくなっていれば、食べられる状態です。準備時間、全体の時間、加熱の温度は示されていないので、この記事でも示しません。鶏肉の加熱については、お住まいの地域の食品安全の案内に従ってください。
作り置きや、翌日の温め直しはできますか?
Daniel Ohのレシピには保存や温め直しの説明がないため、この記事でも保存期間や温め直しの手順は案内しません。














































