フェトッパプ:冷たい魚としゃきっとした野菜を、ご飯と一つの器に
魚は丼にのせる直前まで冷やしておき、たれは食卓でかけ、やさしく混ぜてすぐ食べます。この料理で火を通すのはご飯だけなので、味つけと同じくらい、扱い方が大切です。
炊きたてのご飯の上に、冷やした生魚の薄切りがのっています。まわりにはレタス、きゅうり、にんじん、玉ねぎ、トマト。その上に焼いたgim(韓国の海苔)の細切り、ごま、ごま油が重なります。食卓では、しょうゆとコチュジャンで作った酸っぱくて辛いたれを魚にかけ、全体をそっと混ぜていただきます。
フェトッパプ(회덮밥)は、Maangchiが「生魚とご飯に、辛い味つけのたれを合わせ、大きな器でビビンバのように混ぜる料理」と紹介している丼です。野菜は火を通さないので、ビビンバよりも準備が簡単だとも書かれています。
この記事の材料、分量、作業の順序は、Maangchiの1つのレシピに沿っています。レシピには魚の候補が何種類か挙げられ、たれの酸味も白酢かライム汁を選べますが、写真ではマグロと白酢を選びました。これは編集部が具体例として選んだもので、著者が指定した唯一の組み合わせではありません。なお、このレシピは編集部では台所で試作していません。
買い物の前に:生魚には表示と低温と清潔な道具が要る
この節の温度、時間、注意点は、農林水産省、厚生労働省、米国食品医薬品局(FDA)が公表している情報から補ったものです。作り方の中の衛生に関する指示も、同じ情報にもとづいています。生魚の危険をゼロにすることはできません。ここに挙げる点を守ってもリスクを下げられるだけで、なくなるわけではありません。
FDAは、妊娠中の人、幼い子ども、高齢者、免疫力が低下している人は、刺身を含む生または加熱が不十分な魚介を避けるよう勧めています。食卓にこうした人がいるときは、魚にしっかり火を通した別の料理を作ってください。この丼の魚に火を通したものは、ここで紹介しているフェトッパプとは別の料理になります。
生食用として売られている魚を選びます。 「生食用」「刺身用」などの表示を探し、パッケージに書かれた保存方法と期限に従ってください。加熱用の魚や、用途がはっきりしない魚は使いません。「sashimi grade」という言い方は日本の小売表示の区分ではありません。また、この言い方も生食用の表示も、リスクがないことを約束するものではありません。
生魚に寄生するアニサキスを死滅させる条件を知っておきます。 農林水産省は、アニサキスの幼虫は−20°Cで24時間以上しっかり冷凍するか、中心温度60°Cで1分以上加熱すると死ぬとしています。厚生労働省は、事業者向けの案内で、−20°Cで24時間以上の冷凍と、70°C以上、または60°Cで1分の加熱を挙げています。消費者向けには、目で見て幼虫を確認し、取り除くよう案内しています。
この料理は加熱しないので、すでに冷凍処理された生食用の商品を選んでください。自宅の冷凍庫を使うのは、−20°Cで24時間以上にできると確かな場合だけです。厚生労働省が家庭の冷凍庫のめやすとして示すのは−15°C以下で、−20°Cを保証する温度ではありません。頼る前に、冷凍庫用の温度計で確かめてください。ふつうの酢、塩、しょうゆ、わさびではアニサキスは死にません。コチュジャンのたれも、安全のための対策として考えないでください。
冷凍には限界もあります。寄生虫には有効ですが、有害な細菌をすべて殺すわけではなく、ヒスタミンを安全にすることもありません。
買ってから丼にのせるまで、魚は冷たいままにします。
- 魚は買い物の最後に買い、帰り道も冷たく保ち、帰宅したらすぐ冷蔵庫に入れます。
- 厚生労働省が示す冷蔵庫のめやすは10°C以下です。FDAは、2日以内に使う魚介は華氏40度以下で保存するよう案内しています。
- 冷凍の魚は冷蔵庫の中で解凍します。
- 魚を常温に出しっぱなしにしてはいけません。
マグロは特に気をつけてください。マグロのような赤身の魚は、ヒスタミン食中毒の原因になることがあります。常温に置かれた魚や、鮮度が落ちているかもしれない魚は使わないでください。すでにできてしまったヒスタミンは、加熱しても分解されません。
魚と生野菜は離しておきます。 魚用と野菜用で、包丁とまな板を分けます。魚を切ったあとは、包丁とまな板を洗って熱湯をかけます。FDAも、生の魚介に触れたまな板、器具、調理台は、せっけんと熱いお湯で洗うよう勧めています。魚の汁がレタスなど生で食べるものにつかないようにし、手はこまめに洗ってください。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 魚だけに使う包丁とまな板
- 野菜用の別の包丁とまな板
- 切った魚を入れるふた付きの容器
- たれを混ぜるボウル(別の容器で冷やす場合は、ふた付きの容器も)
- 大きくて浅い器か皿
- 混ぜるためのスプーン
選び方と代用
- 魚: 1/2ポンドぶんを、バショウカジキ、マグロ、サケ、タイ類、ヒラメのうち1種類だけで用意します。5種類がどこでも同じ品質、同じ安全性で手に入るとは限りません。生食用の表示を目安に選んでください。
- gim: 日本の焼き海苔でも近い味になりますが、厚み、香り、塩気は違います。
- 青ねぎ: 日本の長ねぎや青ねぎでも代用できますが、風味と太さが変わります。
- 酢: 白酢かライム汁を使います。白酢の代わりに米酢も使えます。どちらを選んでも、酸味は風味のためで、魚が安全になるわけではありません。
- コチュジャン: コチュジャンを使います。豆板醤などを代わりに使う方法は案内していません。ペーストが変わると味も変わります。
- しょうゆ: ふだん料理に使っているしょうゆでかまいません。
- 探す場所: コチュジャン、gim、韓国のごま油は、韓国食材店、通販、一部のスーパーで見つかります。
- アレルゲン: この料理には魚とごまが入ります。しょうゆとコチュジャンには大豆や小麦が入っていることがあるので、それぞれの商品のラベルを確かめてください。
うまくいかないとき
| 状況 | 対処 |
|---|---|
| 魚を常温に置いてしまった | 生では食べないでください。マグロの場合、できてしまったヒスタミンは加熱しても分解されません |
| 魚が生食用かどうかわからない | この料理には使わないでください |
| 魚の汁がレタスなど生の野菜についた | その野菜は生で出さないでください。続きを切る前に、道具と手を洗います |
| 魚用のまな板を野菜に使ってしまった | 作業を止めて、まな板と包丁を洗い、熱湯をかけます。魚の汁がついたものは丼に使わないでください |
| 丼はできたが、まだ席に着いていない | 食べる直前まで、魚とたれは冷蔵庫に入れておきます |
| 辛すぎるのではと心配 | 赤唐辛子を2本ではなく1本にします。唐辛子は品種によって辛さが違います |
| 魚や混ぜた丼が余った | 混ぜるのは、すぐに食べきる分だけにしてください。混ぜた丼を取っておく前提では作りません。使わなかった生魚はラベルの保存方法と期限に従い、不安があれば生では食べないでください |
アレンジ
以下は、ここまでの丼に代わる案です。丼に足して混ぜるものではありません。
- 別の魚: Maangchiが挙げている、生食用の別の魚から1種類を選びます。サケ、タイ類、ヒラメ、バショウカジキはマグロの代わりになりますが、混ぜて使うことはしません。
- 酢の代わりにライム: たれに、つぶしたライムの果汁を使います。皮を洗ってから使います。
- えごまの葉やミント: Maangchiが任意の追加として触れているもので、基本の材料には入りません。
- 野菜の盛り方を変える: 季節や手に入るものに合わせて、野菜の並べ方を変えられます。これは編集部の提案で、レシピに書かれているわけではありません。
- 豆腐: Maangchiは、魚を豆腐に替えたベジタリアン版を別に紹介しています。別の手順があるため、ここでは扱いません。
- 火を通した魚: 別の料理になります。このレシピのフェトッパプとしては紹介しません。
フェトッパプとビビンバ:資料からわかること
Maangchiは、フェトッパプの食べ方をビビンバにたとえています。大きな器に全部を入れて混ぜるところが共通しています。オーストラリアのSBS Foodに載っているAdam Liawのレシピも、フェトッパプを、魚とサラダ野菜をのせた韓国のビビンバ風の丼と説明しています。ただ、材料は違います。編集部ではこれを、1人の著者によるバリエーションとして扱い、地域の型の証拠とは考えません。分量もこのレシピには混ぜていません。
使った資料からは、この料理がどこで生まれ、どう発展したのか、韓国全体でどの野菜が定番なのかはわかりません。そのため、これらについては何も述べません。韓国の料理をさらにたどりたいときは、韓国料理のガイドもご覧ください。
よくある質問
「刺身用」と書いてあれば、完全に安全ですか?
いいえ。生食用の表示は、その魚が生で食べるものとして売られているという意味で、リスクがないことの保証ではありません。表示の保存方法と期限に従い、魚を冷たく保ち、汁がほかの食べ物につかないようにし、混ぜたらすぐ食べてください。
酢やしょうゆ、コチュジャンで魚が安全になりますか?
なりません。農林水産省と厚生労働省は、酢、塩、しょうゆ、わさびではアニサキスは死なないとしています。コチュジャンを含むこのたれにも、それを期待しないでください。たれは風味のためのものです。
魚を家庭で一晩凍らせれば大丈夫ですか?
条件を確かめられない限り、安全対策とは言えません。農林水産省が示す条件は−20°Cで24時間以上で、厚生労働省が示す家庭の冷凍庫のめやすは−15°C以下です。冷凍庫用の温度計で温度を確かめるか、すでに冷凍処理された生食用の商品を買ってください。正しく凍らせても、効果が期待できるのは寄生虫に対してだけです。有害な細菌をすべて殺すことも、ヒスタミンをなくすこともできません。
どの魚を、どのくらい使いますか?
バショウカジキ、マグロ、サケ、タイ類、ヒラメのうち1種類を、生食用の表示があるもので1/2ポンド使います。写真ではマグロを使いました。マグロは、ヒスタミンにも注意が必要な魚です。
野菜の分量の「カップ」は、どのカップですか?
Maangchiのページはカップの大きさを定めていません。おそらく米国のカップですが、ほかのカップの大きさや重さには換算せず、掲載されているままの分量にしました。細切りや薄切りにした野菜のゆるやかな容量です。
ご飯は熱いほうがよいですか?
レシピは炊きたてのご飯を使うよう書いていますが、温度は示していません。炊きたてを使い、魚をのせて食べるまでのあいだ、盛り付けた丼を置いたままにしないでください。
残りは保存できますか?
保存期間は案内していません。レシピに書かれていないうえに、混ぜたらすぐ食べる料理だからです。使わなかった生魚はラベルの指示に従い、不安があれば生では食べないでください。
このレシピは試作されていますか?
編集部では試していません。この記事のために、台所で試作はしていません。材料と手順はMaangchiが公開しているレシピにもとづき、安全に関する情報は、下に挙げた公的機関の資料にもとづいています。














