蝦子撈麵:乾煎りした小さな蝦子と、弾力のある麺
細かく乾煎りした蝦子、麺線がほぐれたところで引き上げる細い麺、麺をまとう程度の油とライトソイソース。皿に載せるのはこれだけです。
乾いたフライパン、中火、赤みがかったオレンジ色の粉大さじ3/4。ここで参考にする家庭レシピでは、蝦子(干しエビの卵)を油も水も使わずに、それだけで香りが立つまで乾煎りします。レシピの著者であるフードブログNoobCookのWiffyは、こうして粉を乾煎りすると香りとうま味が引き出されると書いています。乾煎りした蝦子はいったん脇に置いておき、細いワンタン麺を1束ゆでるあいだ待たせます。蝦子が麺と出会うのは最後の最後です。
マカオ政府観光局(MGTO)は、蝦子撈麵をマカオの郷土料理のひとつに挙げています。紹介文では、海の塩気が強い小さな蝦子と、弾力のある卵麺の組み合わせとして説明されています。ただし、このページに分量つきのレシピはありません。この記事の分量と手順は、Wiffyの1人分レシピ(著者は『Hong Kong Shrimp Roe Noodles』と題しています)に基づいています。Wiffyはこの料理がマカオで生まれ、香港でも食べられていると書いていますが、これは著者自身の説明であり、独立した歴史の裏づけではありません。そのためこのレシピは、マカオの唯一の正統な作り方ではなく、香港の家庭版として紹介します。
このレシピは世界ごはん紀行で試作していません。分量とコツは公開されている家庭レシピに従っており、数値が書かれていない点は、この記事でも数値を補っていません。
この料理は蝦子撈麵、蝦子麵、蝦籽麵などと書かれます。英語では「shrimp roe noodles」「dried shrimp roe noodles」、トッピングそのものは「dried shrimp roe powder」で探せます。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 乾いたフライパン(または平鍋)
- 小皿
- 麺をゆでる鍋
- ざる
- 盛りつけ用の皿
選び方と代用

蝦子粉は干しエビではありません。 使うのは卵のほうで、赤みがかったオレンジ色の、粉に近いごく小さな粒です。干しエビの身、魚卵、とびこは別の食材で、どれも代わりにはなりません。もうひとつ気をつけたいのが、蝦子があらかじめ麺線に練り込まれた市販の麺です。マカオのメーカーはそうした麺を独立した商品として販売しています(後述の「出会うかもしれない、ほかの作り方」を参照)。このレシピの蝦子は、ふつうの麺にあとからかけるトッピングです。
細いワンタン麺。 細いワンタン麺を使い、約50gの1束を1人分とします。ほかの麺には替えません。
ラード油かシャロットオイルか、どちらか一方。 下の手順ではラード油を使います。シャロットオイルに替える場合も、分量は同じ大さじ1です。シャロットオイルを使うならラード油の代わりに使い、両方は入れません。
ライトソイソース。 ライトソイソースを使います。日本の薄口しょうゆが同じものだとは考えず、濃口(ダークソイソース)で代えることもしません。味をみて調整してください。
探すとき。 「dried shrimp roe powder」「thin wonton noodles」で検索し、パッケージに干しエビの身や、蝦子入りの麺ではなく、蝦子(shrimp roe)と書かれているかを確認します。
蝦子はえびの卵です。えびアレルギーのある方は、この料理を作らないでください。麺のブランドや原材料はさまざまなので、麺、蝦子粉、しょうゆ、ラード油の表示で、小麦・卵・大豆や、同じ工場・設備での製造に関する注意書きを確認してください。日本で売られている包装食品については、消費者庁が食物アレルギー表示に関する情報を公開しています。
うまく作るコツ
| 見るところ | 従う目安 | 避けること |
|---|---|---|
| 蝦子の乾煎り | 中火、乾いたフライパン、香りが立ったら止める(約1分以内) | 油や水を足す。香りが立ったあとも火にかけ続ける |
| 蝦子を別にしておく | 麺をゆで始める前に小皿へ移す | 生の蝦子粉を麺のゆで水に入れる |
| 麺のゆで加減 | 麺線がほぐれたら止める | ほかのレシピや麺の袋の時間を借りる |
| 味つけ | 油大さじ1、ライトソイソース小さじ1/2、そのあと味をみる | ラード油とシャロットオイルを併用する |
| 仕上げ | ふりかけてすぐ出し、食べる前に混ぜる | 皿を置いたまま食べずにおく |
蝦子の乾煎りには、色の目標も温度計で測る温度も示されていないため、合図は香りだけです。麺についても、水の量、ゆで始めの水温、ゆで時間の分数は書かれていません。細いワンタン麺は商品によって違うので、頼れるのは見て分かる目安、つまり束がほぐれて麺線が離れることだけです。
マカオの麺づくりと、この家庭版の位置づけ
MGTOは、蝦子撈麵をマカオの郷土料理のひとつとして紹介し、海の塩気が強い小さな蝦子が弾力のある卵麺によく合う、と説明しています。これは観光向けの短い紹介であって、レシピではありません。作り方がひとつに決まっているとも述べていません。
ほかのマカオの資料を並べると、いくつもの形が見えてきます。『Flavours of Macao』が紹介する店の一杯は、竹竿で手練りした卵麺に焼きたての蝦子をのせ、乾燥ヒラメのだしで食べるものです。別の記事では、1995年創業でマカオのレストランや住民に麺を供給しているCheong Keiの経営者が、麺を作る段階で蝦子と魚のだしを麺に吸わせるので、スープベースに味を足す必要がない、と説明しています。前者は店の出し方、後者は作り手が自社商品について語ったものです。どちらも、マカオ全体の標準として示されているわけではありません。
マカオ経済科学技術発展局(DSEDT)が掲載している行政の店舗紹介は、麺店Wong Chi Kei1軒の歩みをたどっています。それによると創業者は1940年代に広州で竹で押して作る麺の製法を学び、1946年に東莞で麺店を開き、1959年11月に店をマカオへ移しました。マカオでは細い麺と蝦子入りのスープで知られるようになり、おすすめの品には蝦子を混ぜた麺も挙げられています。これらの年はこの1軒の店の歴史であり、蝦子撈麵の起源の年ではありません。
2025年には、マカオ文化局が無形文化遺産リストへの新規追加項目を発表し、その中に竹昇麺の製作技芸(竹昇面制作技艺)が入りました。認められたのは麺づくりの技芸であって、蝦子撈麵という料理ではありません。また、この登録は、すべての蝦子撈麵が竹昇麺で作られていることを意味しません。
こうした背景に比べると、この記事のレシピはずっと小さく簡素です。別々に買った蝦子粉と細いワンタン麺を、最後に合わせるだけです。Wiffyは、この麺はそのまま食べても、別に用意した簡単な野菜の副菜やワンタンスープと一緒に食べてもよいと書いていますが、そうした添え物はこの一皿には含まれません。これはあくまで香港の家庭版のひとつで、マカオの店でこの料理がどう作られているかを示すものではありません。
よくある質問
蝦子は干しエビと同じですか?
違います。使うのは卵のほうで、ごく細かい粒か粉の状態で売られています。干しエビの身は別の商品で、このレシピには使いません。
魚卵やとびこで代用できますか?
参考にした資料に、その代用を裏づけるものはなく、このレシピにも含まれません。魚卵やとびこは、乾燥蝦子とは別の食材です。
蝦子を練り込んだ麺でも同じ作り方でいいですか?
それらは別の商品です。マカオのメーカーは、蝦子とだしを麺線に練り込んだ麺や、蝦子を塗った束をスープと合わせて食べる商品を売っていて、それぞれ独自の食べ方が示されています。このレシピは、蝦子粉を上からかける、ふつうの細いワンタン麺のために書かれています。
麺は何分ゆでますか?
Wiffyのレシピに分数はなく、麺線がほぐれるまでゆでる、とだけあります。ほかのレシピや商品は別の麺について独自の時間を示していますが(広東式の卵麺を使うEllen L.のレシピや、Han Vanの包装麺)、ここには持ち込んでいません。Wiffyのレシピカードには準備5分、調理5分と書かれ、ブログでは15分レシピに分類されていますが、合計時間の記載はなく、この記事でも合計は計算していません。
えびアレルギーや、小麦・卵を避けたい場合は?
えびアレルギーのある方は、この料理を作らないでください。レシピは麺の原材料やブランドを指定していないため、買った材料すべてについて、実際のパッケージの表示とメーカーの注意書きを確認してください。
作り置きや、残りの保存はできますか?
レシピには「すぐに出す」とあるだけで、保存や再加熱の説明はないため、この記事でも案内しません。乾燥した蝦子そのものについては、Ellen L.が湿気を避けるよう勧めていますが、保存期間は示していません。














