花蓮藷:ひとつのマッシュを二通りに使い、小さなさつまいもの形に戻す
さつまいもと白豆沙を合わせた、なめらかな一つの生地。皮も餡もありません。小さなさつまいも形を40本、卵を薄く2度塗って、つややかな金色の焼き面に仕上げます。
花蓮藷(花蓮薯)は、焼きいもではありません。台湾東海岸の花蓮の名を冠した小さな焼き菓子で、さつまいものマッシュを生地にして、もう一度小さなさつまいもの形に整え、卵を塗って焼いたものです。
このレシピがおもしろいのは、マッシュの使い方にあります。マッシュを二通りに使うのです。3分の2は卵と混ぜます。残りの3分の1は砂糖と一緒に濃くなるまで煮て、バターを溶かし込みます。先にフライパンで炒って水分を飛ばした無糖の白豆沙が、全体を一つの生地にまとめます。冷ましたら手で40本の棒状に成形し、卵を塗って焼き、もう一度塗って金色になるまで焼きます。
世界ごはん紀行では、このレシピを台所で試作していません。以下の分量・温度・時間は、公表されている公式レシピに沿い、そこに示された範囲の中から選んだものです。自分たちで試し焼きをした結果ではありません。
同じ島の料理は台湾のレシピもご覧ください。
このレシピの出どころと、今回選んだ条件
このレシピは、林妙娟(Lin Miao-chuan)が書いた、さつまいもの栄養と食べ方を紹介する1993年の記事に載っています。掲載は花蓮區農業改良場の広報誌『花蓮區農業專訊』(4号、22〜24ページ)です。台湾の農業部も、農業知識入口網(Agricultural Knowledge Portal)のさつまいも主題館のデザート類に、同じレシピを「花蓮藷」の名前で再掲しています。農業部のページは1993年の記事の転載なので、文面の確認にはなっても、独立した試験の裏づけにはなりません。
公表されているレシピには、幅のある条件が3つあります。この記事ではそれぞれ一点に決めました。
| 項目 | 公表レシピ | この記事 |
|---|---|---|
| 白砂糖 | 250〜350g | 250g(下限) |
| 生地に入れる脂 | バター(奶油)またはラード(豬油)50g | バター50g |
| 焼成温度 | 250〜300°C | 250°C(下限) |
これは公表された範囲の中から選んだ編集上の判断です。250°Cと300°C、砂糖250gと350gを比べて試したという意味ではありません。焼き時間はレシピのとおりで、約8分焼いて、2度目の卵を塗り、表面が金色になるまでさらに約6分です。
レシピには、オーブンの方式(通常か、ファン付きか)、天板の段、天板の大きさ、総所要時間、1本の大きさや重さ、生のさつまいもからマッシュを作る方法は書かれていません。こうした空白に、こちらで数字を作って埋めることはしていません。250°Cで使えるオーブンと天板が必要です。250°Cに届かないオーブンの場合は、別の温度に推測で置き換えて作るレシピではありません。
同じ名前の、皮で包む菓子とは別物
花蓮薯という名前は、別の菓子にも使われています。薄い生地の皮でさつまいもの餡を包んだ焼き菓子です。家庭のお菓子作りブログには、160°Cで15〜18分焼く例が記録されています。配合も形も違うので、その分量も温度もここでは借りていません。この記事の棒に皮も餡もなく、棒全体がさつまいもと豆の生地です。
道具
- 白豆沙を炒るフライパン
- マッシュを砂糖とバターで煮る小鍋
- ボウル
- ゴムべらまたは木べら
- 250°Cで使える天板
- 250°Cに設定できるオーブン
- 卵を塗るための刷毛と小さなボウル
- ミトン
選び方と代用
さつまいものマッシュ。 加熱して下ごしらえしたマッシュを1kg用意します。台湾以外で売られているさつまいも、日本の品種も含めて、材料の代用として使えます。花蓮で育つさつまいもとは同じではなく、甘さや水分は違うことがあります。
白豆沙。 食用に作られた、加熱済みで砂糖の入っていない白豆沙を選びます。日本では無糖の白あんが近いものです。ふつうの加糖の白あんにはもう砂糖が入っているため、同じ量を使うと配合が変わってしまい、同じ条件の置き換えにはなりません。生の豆や乾燥豆ではなく、調製済みのものを使ってください。
バターかラードか。 バターは50gです。ラード50gに替えても構いませんが、両者の仕上がりは比較していません。
2個の卵。 最初から分けておきます。1個はマッシュの3分の2に混ぜます。もう1個は小さなボウルで溶きほぐして、2回の卵塗りにこれだけを使います。3個目の卵はありません。
このレシピは卵とバター(乳)を含みます。白豆沙は、大豆から作られているとも、大豆を含まないとも決まっていません。実際に使う製品の原材料表示で、使われている豆、ほかの原材料、同じ工場で扱う原材料についての表示を確認してください。生地も焼き上がった棒も、卵を含む食品として扱い、卵を含む食品に対する一般的な加熱の心得に従い、成形のときは道具と手を清潔に保ちます。
うまくいかないとき
| 状況 | 困る理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 卵を2個とも生地に入れた | 2回の卵塗りに使う卵がなくなり、生地もレシピとは別物になる | 2個目の卵は最初から分けておき、塗るためだけに使う |
| 天板用に脂を50g余分に足した | バター50gは生地に入れる分だけ | 天板には油を薄く塗るだけにする |
| 加糖の白あんを使った | あんの砂糖が、生地にすでに入れる250gに上乗せされる | 加熱済みの無糖の白豆沙を使う |
| 棒を皮で包んだり、餡を詰めたりした | 同じ名前の、別の包む菓子になってしまう | 混ぜた一つの生地をそのまま棒に成形する |
| オーブンや天板が250°Cに対応していない | この作り方は、その温度で焼くことが前提 | 別のレシピの温度や時間に置き換えない |
| 表面が金色になった | 色だけでは、中まで加熱されたかは分からない | 卵を含む食品に対する一般的な加熱の心得に従う |
250°Cでは、オーブンも天板も網も非常に熱くなります。2回目の卵を塗るために天板を出すとき、そして焼き上がりのときも、そのつどミトンを使ってください。開けたオーブンに子どもを近づけず、棒は冷ましてから手に取ります。
試してみる価値のある変化
以下の選択肢は、上の作り方とは違う版になります。どれも世界ごはん紀行の台所では比べていません。
- バターの代わりにラード。 バターの代わりにラード(豬油)50gを使います。風味や食感が同じとは言いません。
- 砂糖を増やす。 砂糖は250〜350gの範囲で使えます。上の作り方は250gです。
- お住まいの地域のさつまいも。 手に入るさつまいもでマッシュを作るのは材料の代用で、花蓮のさつまいもの再現ではありません。
食べ方

手で持てるくらいに冷めたら、甘いおやつとしてどうぞ。この配合について、安全に保存できる期間は確認されていません。
よくある質問
花蓮藷は、ただの焼きいもですか?
いいえ。加熱したさつまいものマッシュに、無糖の白豆沙、砂糖、バター、卵を混ぜ、小さなさつまいもに似た棒状に成形して、卵を2度塗って焼きます。形はさつまいもに似せてありますが、作って成形した生地です。
なぜ250°Cなのですか?
公式のレシピには250〜300°Cという幅があり、約8分焼いて、2度目の卵を塗り、金色になるまでさらに約6分焼くとあります。この記事ではその幅の下限の250°Cを使っています。公表された範囲から選んだ値で、換算でも、自分たちで試した結果でもありません。250°Cで使えるオーブンと天板を使ってください。
花蓮薯を160°Cで焼いているのを見ました。そちらを使えませんか?
その温度は別のレシピのものです。薄い生地の皮でさつまいもの餡を包む菓子で、家庭のお菓子作りブログに160°Cで15〜18分と記録されています。配合も形もこの混ぜ生地の棒とは違うため、その温度は持ち込んでいません。
加糖の白あんを使えますか?
同じ量では使えません。このレシピは無糖のものを使い、250gの砂糖はマッシュの一部と別に煮込みます。加糖のあんを使うと、全体の甘さの配分が変わります。
白豆沙は大豆製品ですか?
そうとは限りません。「白豆沙」にはいろいろな豆が使われることがあるので、買った製品の原材料表示を確認してください。このレシピに卵とバター(乳)が入っていることは確かです。
ラードで作れますか?
作れます。公表されたレシピはラードでもバターでも、50gとしています。この記事はバターを使っていて、両者は比べていません。
焼いた棒はどのくらい日持ちしますか?
レシピに保存についての記載はなく、こちらで日持ちの目安を足すことはしていません。


















