長く煮込んだ赤いスープに、ほぐれた白身魚の身が、じゃがいもとにんじんの角切りのあいだに挟まっています。底にはクローブとローリエの温かい香り。そこへ最後の最後に、黒ラムをひと回しとシェリーペッパーソースを数さじ入れると、鍋の香りががらりと変わります。この最後のひと重ねこそ、バミューダ観光局がこの島のフィッシュチャウダーを紹介するときに取り上げている点です。
バミューダのフィッシュチャウダーはトマト色。仕上げはラムと、ぴりっとしたシェリー
澄んだ味の魚だし、玉ねぎ・セロリ・ピーマンで作るトマトのベース、やわらかくなるまで煮た根菜。最後に加える黒ラムとシェリーペッパーソースが、バミューダらしさを決めます。
チャウダーと聞いて白いクリームスープを思い浮かべていると、驚くかもしれません。バミューダ観光局(Bermuda Tourism Authority)は、フィッシュチャウダーを島の代表的な料理(quintessential)として紹介し、トマトを土台に、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、ピーマン、セロリを使うと説明しています。レシピは家ごとに少しずつ違うとはっきり述べたうえで、共通する看板の加え物として Outerbridge's Original Sherry Peppers と black seal rum の2つを挙げています。
「これが正解」という1つのレシピがないため、この記事では公開されている1つの配合、バミューダのラム製造元 Goslings が掲載するバミューダ・フィッシュチャウダーのレシピに沿って作ります。分量は掲載どおりです。大鍋向けのレシピで、仕上がり量も塩の量も書かれていません。
このレシピは、この記事のために台所で試作したものではありません。分量と時間は Goslings のレシピによるものです。仕上がり量、最終的に必要な鍋の大きさ、何人分になるかは確認できていないため、書いていません。以下の作り方のうち原典を超える部分(アクの除去、骨の確認、「残りの材料」をまとめて入れることなど)は、編集上の提案としてその旨を書いています。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 十分に大きな鍋2つ(魚だし用と、トマトのベースから最後の煮込みまで使う鍋)
- 目の細かい濾し器
- お玉
- まな板と包丁
- 計量スプーンと計量カップ
水だけで約4リットルあり、2つ目の鍋には、濾しただし、トマトのベース、魚、大量の野菜が最終的に入ります。6リットルの鍋で足りるとは言い切れません。始める前に、買いそろえた材料の実際の量を見て、かき混ぜたり吹きこぼれずに煮立てたりする余裕のある鍋を選んでください。全量を深型フライパンで受ける計画は立てないほうが無難です。
選び方と代用
- 魚:Goslings は、ロックフィッシュかシーバスのフィレ、またはハタの頭の2通りを挙げています。この記事の基本版は、皮と骨のないシーバスのフィレです。観光局によると、バミューダで「ロックフィッシュ」はブラックグルーパー(black grouper)を指します。ほかの土地で買える淡白な白身魚は、調理のうえでの実用的な代用であって同じ魚ではなく、だしの風味や濃さは変わります。頭を使う場合は、魚屋で下処理をしてもらえるか尋ね、骨をすべて濾し取る前提で進めてください。
- 玉ねぎ:原典はバミューダ・オニオンで、大きさも重さも書かれていません。普通の黄玉ねぎは編集上の代用で、辛みと甘みに差が出ます。
- 緑のピーマン:大型の緑のベルペッパーを2個使います。日本のピーマンのような小ぶりで薄い緑のピーマンでは量も風味も違うので、2個では同等になりません。
- セロリ:原典の数え方は「1 stalk(8 ribs)」で、1本ではなく8本の葉柄です。
- トマト:原典は28 oz缶です。缶の大きさが違う場合は、総量が約794gに近くなるように選ぶか、量を変えたことを自分で控えておきます。
- ブロス:原典どおりチキンブロスにします。魚だしなど別のものに替えるとレシピが変わります。固形ブイヨンを溶かす場合は塩分を確認してください。
- タイム:生タイムの指定です。乾燥タイムは編集上の代用にすぎず、確かめた比率はありません。少量から入れて香りで判断します。
- レモン:生のレモン汁の指定です。瓶入りは香りが違います。
- じゃがいも:品種は指定されていません。煮崩れしにくいものは角切りの形が残りやすいですが、これは編集上の選び方です。
- ラム:名前が出ているのは Goslings Black Seal Rum です。ほかのダークラムは編集上の代用で、糖蜜や熟成の香りが異なります。
- シェリーペッパーソース:バミューダを代表する調味料で、観光局が名前を挙げているのは Outerbridge's Original Sherry Peppers です。普通のホットソースとは別物で、唐辛子を漬けたシェリーや、唐辛子と酢の自家製ミックスを同等品とは呼べません。確立した代用の配合は確認できていません。手に入らないときは、どんな代わりを使っても違う仕上がりになります。
このチャウダーには魚、セロリ、乳(バター)が含まれます。市販のウスターソースやブロスには大豆、小麦などのアレルゲンが入っていることがあるので、ラベルを確認してください。
ラムは最後に入れるため、仕上がったスープにアルコールが残る可能性があります。ラムを抜いただけでアルコールのない鍋になるとは限りません。シェリー系のペッパーソースなどにもアルコールが含まれることがあるので、製品の表示を確認してください。アルコールゼロは保証できません。アルコールを完全に避けたい場合は、伝統的な仕上げとは違う味になります。
生の魚とその汁は、これ以上加熱しない野菜や、ほかの食品に使うまな板・道具に触れさせないでください。厚生労働省の「家庭での食中毒予防」は、一般的な目安として、食品の中心まで75°Cで1分以上加熱することを挙げています。このレシピの長い煮込みだけで、安全な加熱や保存が保証されるわけではありません。
鍋で困ったとき
| 問題 | 考えられる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 魚が細かくほぐれた | だしで45分、そのあと約2時間煮ている | この配合ではそうなるものです。身の形を残したいときは、アレンジの項の短時間加熱版を見てください。これは別のレシピです |
| 鍋がいっぱいで混ぜにくい、吹きこぼれる | 最終的な鍋が、だし、トマトのベース、魚、野菜の量に対して小さい | もっと大きな鍋に移します。始める前に全材料の量を確認してください |
| 鍋底に焦げつく | 長い煮込みの火が強い、または混ぜていない | 火を弱め、ときどき底から混ぜる |
| セロリとピーマンより先に玉ねぎが濃い色になった | 手順2の火が強い | 火を弱める。目指すのは黄金色で、茶色ではない |
| スープの中に骨が出てきた | フィレに骨が残っていた、または頭の骨を濾していない | 手順5で魚を戻す前に丁寧に確認する |
| 塩辛い | ブロス、ケチャップ、ウスターソース、ペッパーソースの塩分 | 塩を入れる前に味見する。次回はブロスや固形ブイヨンの塩分を確認する |
残りの保存と温め直し
大鍋1回分なので、残ることがあります。厚生労働省の「家庭での食中毒予防」に沿うと、残りは小分けにして浅い容器で素早く冷まし、温め直すときは目安として75°C以上まで十分に加熱します。このチャウダーが何日もつかは確立されていないため、保存期間は書きません。
アレンジ(基本の配合とは別もの)
どれもレシピの内容が変わります。何が変わるかを分かったうえで、基本版に混ぜずに試してください。
- 別の白身魚:原典が挙げるロックフィッシュかシーバスの範囲でも、魚の種類でだしと身ほぐれの食感が変わります。
- フィレのかわりに頭:原典の代案は、フィレ 2 lbのかわりにハタの頭 5 lb(約2.27kg)です。両方を合わせることはしません。頭は丁寧に濾して骨を取る必要があります。
- シェリーペッパーソースを卓上だけにする:鍋に入れず各自で加える方式は、最後に鍋へ入れる標準の配合を変えるものです。
- ラム抜き:アルコールを避ける人向けですが、この料理の2つの看板の風味の1つがなくなります。ペッパーソースにアルコールが含まれていれば、それでもアルコールのない一杯とは言えません。
- じゃがいもの食感:原典に品種も角切りの大きさも書かれていません。品種と大きさで、スープのとろみの出方が変わります。
- 魚を形のまま残す:魚の加熱を短くして身を残すのは編集上の組み立てで、この配合ではありません。この配合は、魚をだしに煮出して風味を作ります。
バミューダのチャウダー:同じ名前、たくさんの鍋
バミューダ観光局は、バミューダの食べ物にカリブ、イギリス、西アフリカ、ネイティブ・アメリカン、ポルトガルの影響が反映されていると説明しています。これは島の料理の大まかな概観で、このチャウダーの個々の材料をその中のどれか1つに結びつけるものではありません。料理の起源、考案者、年代は、ここで使った資料では確立されていません。
どの資料も一致して示しているのは、配合の幅です。観光局は、どのレシピも違うと述べています。The Bermudian Magazine も、作り手それぞれに自分の版があると書いています。同誌は、1991年4月にも掲載された Yeaton Outerbridge のレシピを載せています。その版の材料は、白身魚、じゃがいも、にんじん、セロリ、トマト、ケチャップ、コンソメ、ウスターソース、ラム、シェリーペッパーソースで、魚とスパイスを30〜45分煮る、炒めた野菜にトマトとコンソメを加えて30分煮る、合わせて2時間煮る、という似たリズムです。ただし分量は違うので、比べる資料として役立つものの、上の Goslings の配合に混ぜるものではありません。
よくある質問
バミューダ・フィッシュチャウダーは白いクリームスープですか?
いいえ。バミューダ観光局が紹介している型はトマトベースで、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、ピーマン、セロリを使い、シェリーペッパーソースと黒ラムで仕上げます。
魚は何を使えばいいですか?
Goslings のレシピは、ロックフィッシュかシーバスのフィレ、代案としてハタの頭を挙げています。バミューダでロックフィッシュはブラックグルーパーを指します。近所で買える淡白な白身魚は調理には使えますが同じ魚ではなく、だしの味は多少変わります。
シェリーペッパーソースが手に入らないときは?
同等と確認できた代用はありません。普通のホットソースとは同じではなく、唐辛子を漬けたシェリーも同一とはみなされません。何で代えても、バミューダの仕上がりとは違うものになります。
何人分ですか?
原典に書かれておらず、このレシピは試作していないので、人数は示せません。大鍋1回分のレシピです。
残りの保存と温め直しは?
小分けにして浅い容器で素早く冷まし、温め直すときは目安として75°C以上まで十分に加熱します。このチャウダーの保存期間は確立されていません。
















