串に刺した牛肉を炭火で焼くブラジルのシュラスコ。岩塩をまぶした豪快な炭火焼き
🔪下準備30分
🔥調理60分
🍽️分量4
🌍料理ブラジル料理
南米レシピ

シュラスコの作り方|ブラジル炭火焼肉を日本の食材で本格再現

53分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 肉を室温に戻す(30分前)
STEP 11 / 8

肉を室温に戻す(30分前)

冷蔵庫から肉を出して室温に30分おく。冷たいまま焼くと、表面だけ焦げて中が冷たい「コールドセンター」になります。ブラジルのシュハスカリアでは、焼く1時間前に肉を冷蔵庫から出すのが標準です。目安: 火加減は中火を目安、香りが立つ、または表面に焼き色がつくまで。

手順2: 肉のカットと串刺し
STEP 22 / 8

肉のカットと串刺し

イチボ肉は脂身の層を残したまま、繊維に沿って厚さ3〜4cmにスライスします。スライスした肉をCの字に曲げて金属串に刺す。脂身が外側(上側)にくるようにすること。ハラミは1枚のまま串に刺します。ソーセージは2本ずつ串に刺します。目安: 約1分。

手順3: 岩塩をまぶす
STEP 33 / 8

岩塩をまぶす

焼く直前に、肉の全面にたっぷりの粗塩をまぶします。塩は肉の重量の1〜1.5%が目安ですが、シュラスコの場合は表面にもっと多めにつけて構いません。焼いた後に余分な塩を叩き落とすからです。Terra Gaucha Brazilian Steakhouseの解説によれば、ガウショの伝統では焼き上がった2本の串を打ち合わせて塩を落とす作法があります。目安: 約1分、火加減は中火を目安、香りが立つ、または表面に焼き色がつくまで。

手順4: 炭を起こす
STEP 44 / 8

炭を起こす

炭火グリルに炭を入れ、着火剤で火をつけます。炭が白い灰をかぶった状態(約250〜300度C)になるまで20〜30分待つ。手を炭の上10cmにかざして「1、2、3」と数えて熱くて手を引っ込めるくらいが適温です。炭の量は片側に寄せて「強火ゾーン」と「弱火ゾーン」を作ると温度調節がしやすくなります。目安: 香りが立つ、または表面に焼き色がつくまで。

手順5: ソーセージを先に焼く(15分)
STEP 55 / 8

ソーセージを先に焼く(15分)

ソーセージは火の通りが早いので最初に焼き始めます。中火ゾーンで15分、転がしながら全面にこんがり焼き色をつけます。皮がパリッと弾けて、中の肉汁がジュワッと出てきたら完成。前菜としてビールと一緒に楽しみます。

手順6: イチボ肉を焼く(片面8〜10分 × 2回)
STEP 66 / 8

イチボ肉を焼く(片面8〜10分 × 2回)

強火ゾーンの上方10〜12cmの位置に串を設置します。蓋は閉めないこと。 シュラスコはオープンファイア(直火の輻射熱)で焼くのが鉄則です。脂身側を上にして片面8〜10分焼き、ひっくり返してさらに8〜10分。表面に香ばしい焦げ目(クラスト)ができ、脂がジュージューと音を立てて溶け出していれば成功です。

手順7: 外側をスライスして提供(繰り返し焼き)
STEP 77 / 8

外側をスライスして提供(繰り返し焼き)

焼けた外側の層を薄くスライスして皿に盛ります。これが「ホジージオ」スタイルの核心で、焼けた部分だけを切り取って提供し、残りの生の部分を再び火に戻して焼き続けます。1つの肉塊から3〜4回にわたって切り出すことで、常に焼きたてのジューシーな肉を食べ続けられます。目安: 約1分、大きさは1〜2cmを目安、火加減は中火を目安、香りが立つ、または表面に焼き色がつくまで。

手順8: ハラミを焼く(片面6〜8分)
STEP 88 / 8

ハラミを焼く(片面6〜8分)

ハラミはイチボより薄いため、焼き時間は短めです。強火で片面6〜8分ずつ焼き、表面に焼き色がついたら完成。繊維に対して垂直にスライスすると柔らかく食べられます。目安: 大きさは1〜2cmを目安。

シュラスコの理想はミディアムレア〜ミディアムです。指で肉を押したとき、親指の付け根くらいの弾力があれば「ミディアムレア(アウ・ポント)」。ブラジル人は「ベン・パサード(ウェルダン)」を好む人は少なく、ピンク色の断面を「正しい焼き方」と考えます。不安な場合は調理用温度計で中心温度55〜60度Cを確認してください。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
4品目

メインの肉

材料 分量 代替・備考
牛イチボ肉(ブロック) 800g ランプ肉・もも肉ブロックで代用可。脂身付きを選ぶ
牛ハラミ(ブロック) 400g 牛バラ肉ブロックでも可
あらびきソーセージ 8本(約400g) シャウエッセンなどの太めのソーセージ
粗塩(岩塩) 大さじ4〜5 ヒマラヤ岩塩や粗い海塩。精製塩は不可
8品目

ヴィナグレッチ(ブラジル風サルサ)

材料 分量 代替・備考
トマト(中) 3個 完熟のものが最適。ミニトマトなら12〜15個
玉ねぎ(中) 1個 白玉ねぎが本場に近い。紫玉ねぎでも可
ピーマン(緑) 2個 パプリカ(赤・緑)各1/2個でも可
イタリアンパセリ 1束(約20g) 普通のパセリでも代用可
白ワインビネガー 大さじ4 酢(穀物酢)でも可。レモン汁は不可(風味が変わる)
オリーブオイル 大さじ3 エキストラバージンを推奨
小さじ1 味を見ながら調整
黒コショウ 少々 粗挽き
6品目

ファロファ(カリカリ粉)

材料 分量 代替・備考
パン粉(乾燥・細かめ) 100g 本場はキャッサバ粉(マニオク粉)。カルディや業務スーパーで入手可
有塩バター 大さじ3 マーガリン不可。バターの風味が鍵
ベーコン(薄切り) 3枚 5mm角のみじん切りにする
にんにく 2片 みじん切り
玉ねぎ(小) 1/4個 みじん切り
ひとつまみ ベーコンの塩分があるので控えめに
アレルギーのある方へ

この料理には牛肉・豚肉(ソーセージ・ベーコン)、小麦(パン粉・一部のソーセージ)、乳製品(バター)が含まれます。ソーセージは製品によりアレルゲンが異なるため、パッケージの表示を必ず確認してください。

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📊 栄養情報(1人分)
180
kcal
13.0g
タンパク質
12.0g
脂質
4.5g
炭水化物
0.8g
食物繊維
450mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
人数に合わせて材料表を調整する
4人分

材料(4人分)

メインの肉

材料 分量 代替・備考
牛イチボ肉(ブロック) 800 g ランプ肉・もも肉ブロックで代用可。脂身付きを選ぶ
牛ハラミ(ブロック) 400 g 牛バラ肉ブロックでも可
あらびきソーセージ 8 本(約400 g) シャウエッセンなどの太めのソーセージ
粗塩(岩塩) 大さじ4〜5 ヒマラヤ岩塩や粗い海塩。精製塩は不可

ヴィナグレッチ(ブラジル風サルサ)

材料 分量 代替・備考
トマト(中) 3 個 完熟のものが最適。ミニトマトなら12〜15 個
玉ねぎ(中) 1 個 白玉ねぎが本場に近い。紫玉ねぎでも可
ピーマン(緑) 2 個 パプリカ(赤・緑)各1/2 個でも可
イタリアンパセリ 1束(約20 g) 普通のパセリでも代用可
白ワインビネガー 大さじ4 酢(穀物酢)でも可。レモン汁は不可(風味が変わる)
オリーブオイル 大さじ3 エキストラバージンを推奨
小さじ1 味を見ながら調整
黒コショウ 少々 粗挽き

ファロファ(カリカリ粉)

材料 分量 代替・備考
パン粉(乾燥・細かめ) 100 g 本場はキャッサバ粉(マニオク粉)。カルディや業務スーパーで入手可
有塩バター 大さじ3 マーガリン不可。バターの風味が鍵
ベーコン(薄切り) 3 枚 5mm角のみじん切りにする
にんにく 2 片 みじん切り
玉ねぎ(小) 1/4 個 みじん切り
ひとつまみ ベーコンの塩分があるので控えめに
アレルギーのある方へ

この料理には牛肉・豚肉(ソーセージ・ベーコン)、小麦(パン粉・一部のソーセージ)、乳製品(バター)が含まれます。ソーセージは製品によりアレルゲンが異なるため、パッケージの表示を必ず確認してください。

炭の匂いと肉汁の音。それがシュラスコの始まり

ブラジル南部リオグランデ・ド・スル州の広大なパンパ(草原地帯)。16世紀にスペインの征服者が持ち込んだ牛が野生化し、数百万頭にまで増殖したこの土地で、ガウショ(牧童)たちは毎日の食事を焚き火の上で作りました。竹の串(タクアラ)に大きな肉の塊を刺し、地面に斜めに突き立てて火のそばでじっくり焼く。味付けは岩塩だけ。それがシュラスコの原型です。

現代のブラジルでは、シュラスコは週末に家族や友人が集まる「シュハスカリア」(シュラスコ専門レストラン)や自宅の裏庭で楽しむ国民的行事になっています。ガルソン(給仕人)が巨大な串を持ってテーブルを回り、客の目の前で肉を切り分ける「ホジージオ」スタイルは、ブラジル国外にも広まり、東京や大阪にも複数のシュハスカリアが出店しています。

シュラスコの魅力は、その圧倒的な「引き算の美学」にあります。複雑なマリネも、秘伝のソースも使いません。良い肉と岩塩と炭火。この3つだけで、肉本来の味を最大限に引き出す。英語圏のBBQ文化では「less is more(少ないほど多い)」と表現されるこの哲学が、ブラジルでは400年前から実践されてきました。

このレシピでは、日本のスーパーで手に入る牛肉を使って、本場のシュラスコを自宅で再現します。フェイジョアーダと並ぶブラジル料理の二大巨頭を、ぜひ自宅で体験してみてください。

シュラスコの呼び方について

ポルトガル語では「churrasco(シュハスコ)」と発音しますが、日本では「シュラスコ」の表記が定着しています。本記事では日本で一般的な「シュラスコ」を使用します。レストラン名の「シュハスカリア(churrascaria)」は「シュラスコを出す店」という意味です。


この料理の物語 — ガウショが育てた400年の炭火文化

シュラスコ用の串に刺された牛肉がずらりと並ぶ光景
シュハスカリアの串。1本1本が異なる部位で、順番に楽しむのが本場の流儀

パンパの牧童から国民的BBQへ

シュラスコの歴史は、南米大陸のパンパ草原と深く結びついています。16世紀、スペインの征服者がラプラタ川流域に牛と馬を持ち込みました。イエズス会の布教村(レドゥソン)が18世紀に崩壊すると、管理されていた家畜が野生化し、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル南部のパンパに散らばりました。

この広大な草原で牛を追い、馬を駆る牧童たちが「ガウショ」です。ガウショは先住民、ポルトガル人入植者、スペイン人の混血で、独自の文化を築きました。彼らの食事は極めてシンプルで、牛肉を串に刺して焚き火で焼き、マテ茶(シマハン)を回し飲みする。この焚き火の食事が「シュラスコ」の原型です。

ガウショの焼き方には特徴がありました。竹の串(タクアラ)を地面に斜めに刺し、熱源から距離をとって焼く「フォゴ・デ・シャオ(地面の火)」方式です。直火ではなく輻射熱でゆっくり焼くことで、大きな肉塊の外側はカリカリに、内側はしっとりジューシーに仕上がります。この技法は現在のシュハスカリアでもそのまま受け継がれています。

シュハスカリアの爆発的拡大

1950〜60年代、ブラジルでは幹線道路の建設ラッシュが起こり、長距離トラック輸送が発達しました。リオグランデ・ド・スル州の幹線道路沿いに、トラック運転手向けのシュラスコ専門レストラン「シュハスカリア」が次々と出現します。

1980年代にはサンパウロやリオデジャネイロにもガウショスタイルの「ホジージオ」(食べ放題形式)のシュハスカリアが広がり、1990年代末にはアメリカ、オーストラリア、ポルトガル、イギリスへと国際展開しました。現在では「Fogo de Chao」「Texas de Brazil」といったチェーンが世界中で営業しており、シュラスコはブラジルを代表する食文化として国際的な認知を獲得しています。

ガウショ文化は生きている

リオグランデ・ド・スル州では毎年9月20日に「ファハウピーリャ革命記念日」が祝われ、ガウショの伝統衣装を着た人々がパレードし、広場でシュラスコを焼きます。州都ポルト・アレグレには「ガウショ文化センター」があり、シュラスコの正しい焼き方を次世代に伝える活動が行われています。単なる料理法ではなく、南部ブラジルのアイデンティティそのものなのです。


部位選びガイド — シュラスコの主役たち

ピカーニャ・フランジーニャ・コステラなどの牛肉部位がカッティングボードに並ぶ
シュラスコは部位の食べ比べが醍醐味。それぞれの個性を知ることが第一歩

シュラスコの醍醐味は、複数の部位を食べ比べることにあります。南米料理のまとめ記事でも触れているように、南米の肉料理は部位へのこだわりが深く、シュハスカリアでは10〜15種類の肉が次々と運ばれてきます。自宅で再現するなら4〜5種類あれば十分にパーティー感が出ます。

ピカーニャ(Picanha) — シュラスコの王様

ピカーニャはシュラスコの絶対的な主役です。日本では「イチボ」に相当する部位で、牛の臀部の上部にあたります。英語圏では「トップサーロインキャップ」「ランプキャップ」と呼ばれます。

ピカーニャ最大の特徴は、片面を覆う厚い脂肪の層(ファットキャップ)です。この脂を残したまま焼くことで、脂が溶けて肉全体に旨味が行き渡り、外はカリカリ、中はジューシーに仕上がります。ブラジルのBBQ文化サイトCraftbeeringによれば、脂を取り除いたピカーニャは「ピカーニャとは呼べない」とされ、ファットキャップごと焼くのが絶対のルールです。

フランジーニャ(Fraldinha) — 通好みの部位

フランジーニャは牛のバラ肉の下部にあたる部位で、日本では「カイノミ」に近い位置です。ポルトガル語で「小さなおむつ」という意味の名前は、牛の股関節付近から取れることに由来します。きめ細かなサシ(霜降り)が入り、噛むほどに旨味が広がる赤身の旨さが魅力です。ガウショの料理人はこの肉を繊維に対して垂直にスライスすることで、最大限の柔らかさを引き出します。

コステラ(Costela) — 時間をかけた贅沢

コステラは牛のリブ(あばら骨付き肉)です。コロンビアのバンデハ・パイサにも牛肉のグリルが含まれるように、南米では骨付き肉を豪快に焼く文化が根づいています。骨ごと串に刺して4〜6時間かけてゆっくり焼く、シュラスコのなかで最も時間のかかる部位です。自宅では時間的に厳しいことが多いため、本記事のメインレシピでは扱いませんが、BBQグリルがあれば挑戦する価値は十分にあります。

リングイッサ(Linguica) — シュラスコの前菜

リングイッサはポルトガル発祥の豚肉ソーセージで、にんにく、パプリカ、オレガノで風味付けされています。キューバのロパ・ビエハでも使われるスモーク系の肉加工品と系統が近く、ポルトガルの食文化がカリブ海・南米全域に広がった証拠のひとつです。チョリソーよりマイルドな味わいで、シュラスコでは最初に焼いてビールのつまみにする「前菜」的な位置づけです。日本ではあらびきソーセージで代用できます。


日本のスーパーで揃える — 食材と代替品ガイド

炭火グリルの上でジュージューと焼ける肉
日本の食材でも、本場の焼き方さえ押さえれば驚くほど本格的な味になる

ピカーニャ(イチボ)は日本の一般的なスーパーでは見つけにくい部位です。精肉店や通販を使えば手に入りますが、もっと手軽に作りたい場合は以下の代替品で十分においしく仕上がります。

肉の代替ガイド

本場の部位 日本での入手先 代替品(スーパーで買える) 備考
ピカーニャ(イチボ) 精肉専門店・通販 ランプ肉ブロック / もも肉ブロック 脂身が少ないので、表面にオリーブオイルを塗ると近い仕上がりに
フランジーニャ(カイノミ) 一部のスーパー 牛バラ肉ブロック / ハラミ ハラミは脂のりが良く、最も近い食感
コステラ(リブ) 精肉専門店 牛カルビブロック(骨付き) スーパーの焼肉用カルビでも可
リングイッサ ブラジル食材店 あらびきソーセージ / シャウエッセン にんにくとパプリカを足すと風味が近づく
ピカーニャを通販で入手する方法

「イチボ ブロック」「ランプキャップ」で楽天やAmazonを検索すると、500g〜1kgのブロック肉が見つかります。オーストラリア産やアメリカ産が多く、価格は500gで1,500〜3,000円程度。脂肪の層(ファットキャップ)が付いたものを選んでください。脂が取り除かれた「トリミング済み」は避けること。シュラスコの味を決めるのはこの脂です。

岩塩の選び方

シュラスコの味付けは岩塩のみ。だからこそ塩の質が直接味に影響します。

本場ブラジルでは「サル・グロッソ(sal grosso)」と呼ばれる北東部産の粗い海塩を使います。日本で入手するなら、以下の選択肢があります。

塩の種類 特徴 おすすめ度
粒の大きい岩塩(ヒマラヤ産等) 粒が大きく、焼いた後に叩いて落とせる 最適
粗塩(あら塩) スーパーで入手しやすい。伯方の塩など 次善
精製塩(食卓塩) 粒が細かすぎて浸透しやすく、しょっぱくなりがち 非推奨

重要なのは粒の大きさです。シュラスコでは肉の表面にたっぷりの粗塩をまぶし、焼いた後に串を叩いて余分な塩を落とします。粒が大きければ表面に留まり、肉の内部に浸透しすぎないため、外は塩の旨味が効き、中はやさしい味わいになります。


付け合わせ3種 — シュラスコの名脇役たち

シュラスコは肉だけでも十分においしいですが、付け合わせがあると味の変化がつき、最後まで飽きずに食べ続けられます。本場のシュハスカリアでは必ずこの3つが揃っています。

ヴィナグレッチ(ブラジル風サルサ)

ヴィナグレッチ。トマト・玉ねぎ・パセリを細かく刻んだブラジルの万能サルサ
メキシコのピコ・デ・ガヨに似ているが、ライムではなくビネガーを使うのがブラジル流

ヴィナグレッチ(vinagrete)は、メキシコのモレ・ポブラーノで知られるメキシコ料理のピコ・デ・ガヨに似たブラジルの定番サルサです。ただしライム果汁は使わず、白ワインビネガーとオリーブオイルで仕上げるのが特徴です。辛味はなく、酸味と野菜の歯ごたえが脂っこい肉をさっぱりとリセットしてくれます。

まずトマト3個を5mm角のさいの目切りにします(種は取り除かなくてよい)。玉ねぎ1個も5mm角のみじん切りにし、水に5分さらして辛味を抜きます。ピーマン2個を5mm角に切り、イタリアンパセリもみじん切りにしてください。

全てをボウルに合わせ、白ワインビネガー大さじ4、オリーブオイル大さじ3、塩小さじ1、黒コショウ少々を加えて混ぜます。冷蔵庫で30分以上なじませると味がまとまります。ポイントは玉ねぎの水さらし。これを省くと辛味が強すぎて肉の味を邪魔してしまいます。

ファロファ(カリカリ粉)

ファロファ。キャッサバ粉をバターとベーコンで炒めたカリカリの付け合わせ
このカリカリ食感がシュラスコの肉汁を吸って、たまらない旨さになる

ファロファは本来キャッサバ粉(マニオク粉)をバターで炒めたもので、ブラジル料理のほぼ全てに添えられる国民的付け合わせです。日本ではキャッサバ粉の入手が難しいため、パン粉で代用します。カルディや業務スーパーで「タピオカ粉」「マニオク粉」「ファリーニャ・デ・マンジョッカ」として販売されている場合もあるので、見つけたらぜひ本物を試してください。フェイジョアーダでもファロファは必須の付け合わせです。

フライパンでベーコン(5mm角みじん切り)を中火で4〜5分、カリカリになるまで炒めます。バター大さじ3を加え、にんにくのみじん切りと玉ねぎのみじん切りを加えて2分炒めてください。

ここにパン粉100gを一気に加え、中火で8〜10分、絶えずかき混ぜ続けます。パン粉が薄い茶色になり、フライパンを傾けてもサラサラと流れるようになれば完成。塩ひとつまみで調味します。

ファロファの火加減

ファロファは「かき混ぜ続ける」のが絶対条件です。手を止めると5秒で焦げます。薄茶色→茶色の境目で火を止めること。余熱でさらに色が進むので、やや薄めで火から下ろすのがコツです。

パンデケージョ(ブラジルのチーズパン)

本場のシュハスカリアでは必ず出てくるモチモチのチーズパンです。タピオカ粉(キャッサバ澱粉)を使うためグルテンフリーで、外はカリッ、中はもちもち。自宅で作る場合は以下の材料で約15個分です。

材料 分量 備考
タピオカ粉(白玉粉で代用可) 200g 製菓材料売り場で入手
粉チーズ(パルメザン) 50g 多めが美味しい
1個
牛乳 100ml
オリーブオイル 大さじ2
小さじ1/2

作り方: 牛乳とオリーブオイルを鍋で沸騰させ、タピオカ粉に一気に注いで練る。粗熱が取れたら卵とチーズを加えてさらに練り、ピンポン玉大に丸めて180度Cのオーブンで20〜25分焼く。表面にひびが入って薄く色づいたら完成。


自宅BBQでの再現法 — 炭火・ガス・魚焼きグリル

シュラスコの完成盛り付け。スライスした肉とヴィナグレッチ、ファロファが並ぶ
自宅でも、盛り付けを工夫すればシュハスカリアの雰囲気が出る

シュラスコは本来炭火で焼く料理ですが、自宅の環境に合わせて工夫すれば十分に再現できます。

方法1: 炭火グリル(ベスト)

庭やベランダで使えるチャコールグリル(炭火焼きグリル)があれば、最も本場に近い仕上がりになります。炭は備長炭やオガ炭がおすすめで、マングローブ炭は火力が安定しにくいため避けたほうが無難です。

コツは「火からの距離」です。シュラスコは直火ではなく、10〜15cm離した輻射熱で焼きます。グリルの網の高さを調節できるタイプか、レンガを積んで串を渡すスタイルが理想的です。

方法2: ガスグリル・カセットコンロ(次善)

ガスグリルの場合は、片側を強火・片側を消火にした「2ゾーン」方式で焼きます。強火側で表面に焼き色をつけ、消火側に移動させて余熱でじっくり火を通す。炭火ほどのスモーキーさは出ませんが、温度管理がしやすい利点があります。

カセットコンロに焼き肉プレートを乗せて焼く方法も手軽です。ただし煙が出るので、必ず換気扇の下か屋外で行ってください。

方法3: 魚焼きグリル + オーブン(室内向け)

マンション住まいで炭火が使えない場合の裏技です。まず魚焼きグリルの強火で肉の表面に焼き色をつけ(片面3〜4分)、その後200度Cのオーブンに移して10〜15分焼きます。魚焼きグリルの高温で「メイラード反応」(焦げ目の旨味)を作り、オーブンの均一な熱で中まで火を通す二段階方式です。

方法4: フライパン + オーブン(最も手軽)

鋳鉄のスキレットかフライパンを強火で煙が出るまで熱し、油を引かずに肉を乗せます。片面2〜3分ずつ焼いて表面に焦げ目をつけたら、そのまま200度Cのオーブンに入れて8〜12分。中心温度55〜60度Cになれば完成です。串は使わず、ステーキのように焼く形式になりますが、味は十分にシュラスコです。

どの方法でも「休ませる」のが鉄則

焼き上がった肉はすぐに切らず、アルミホイルで包んで5〜10分休ませてください。加熱で肉の中心に集まった肉汁が、休ませることで全体に再分配されます。休ませずに切ると、まな板の上に肉汁が流れ出てしまいます。


アレンジ5パターン — シュラスコの可能性を広げる

シュラスコのアレンジ例。フルーツや野菜も串に刺して焼く
シュラスコのアレンジは無限大。肉以外の食材も串に刺して焼けば新しい発見がある

1. フルーツシュラスコ — パイナップルとバナナ

ブラジルのシュハスカリアでは肉の合間にフルーツの串も登場します。ハイチのグリオやプエルトリコのモフォンゴのように、カリブ海・南米ではフルーツと肉の組み合わせが日常的です。パイナップルを2cm厚の輪切りにして串に刺し、表面にシナモンシュガーを振って炭火で焼きます。カラメル化した甘さと酸味が、肉の脂っこさを中和する天然のパレットクリーナーです。完熟バナナの串焼きも定番で、とろりと溶けた果肉にバニラアイスを添えれば立派なデザートになります。

2. チーズシュラスコ — ケージョ・コアリョ

ブラジルの「ケージョ・コアリョ」は加熱しても溶けにくい特殊なチーズで、串に刺して焼くと外はカリカリ・中はもっちりの絶品に変わります。日本ではハルーミチーズ(キプロス産の焼いても溶けないチーズ)が最も近い代替品です。カルディや成城石井で入手できます。厚さ2cmにカットして串に刺し、中火で片面3〜4分ずつ焼いてください。

3. 鶏肉シュラスコ — フランゴ・コン・ベーコン

鶏もも肉を一口大に切り、ベーコンで巻いて串に刺します。「フランゴ・コン・ベーコン(ベーコン巻きチキン)」はシュハスカリアの人気メニューのひとつです。鶏肉に塩・にんにく・パプリカで下味をつけ、中火で20〜25分、鶏肉の中心が75度C以上になるまでじっくり焼きます。

4. 和風シュラスコ — 味噌漬けスタイル

ブラジルには日本からの移民が多く、日系ブラジル人のシュラスコには和の要素が取り入れられることがあります。牛肉を白味噌大さじ2、みりん大さじ1、にんにく1片に2時間漬け込んでから焼くと、味噌の発酵旨味と炭火の香ばしさが驚くほど合います。大根おろしとポン酢を添えれば、日本の食卓にもなじむ「和風シュラスコ」の完成です。ジャマイカのジャークチキンのスパイス漬けと似た発想で、「漬けてから焼く」手法は世界中のBBQ文化に共通しています。

5. 野菜シュラスコ — ベジタリアン対応

パプリカ、ズッキーニ、マッシュルーム、トウモロコシを串に刺して焼く野菜シュラスコは、肉の合間のさっぱりメニューとして欠かせません。オリーブオイルと粗塩をまぶして中火で10〜15分。野菜のシュラスコには、シミチューリ(アルゼンチンのハーブソース:パセリ・にんにく・オレガノ・酢・オリーブオイルを混ぜたもの)を合わせると絶品です。アルゼンチンのロクロやウルグアイのチビートなど、隣国の料理とシュラスコを組み合わせた「南米BBQパーティー」も楽しい企画です。


調理のコツ — 本場のガウショに学ぶプロの技

塩をまぶすタイミングは「焼く直前」

塩を30分以上前にまぶすと、浸透圧で肉の水分が引き出され、表面がべちゃっとします。焼く5〜10分前に塩をつけるのがベストです。本場のシュハスカリアでは「肉を串に刺してから塩をかけ、すぐに火にかざす」のが鉄則で、塩が浸透する前に表面を焼き固めることで、内部のジューシーさを閉じ込めます。

脂身は絶対に取り除くな

日本では脂身を嫌う傾向がありますが、シュラスコでは脂身が最大の武器です。焼いている間に脂が溶け出し、肉の表面を油膜で覆って水分の蒸発を防ぎます。さらに溶けた脂が炭に落ちると煙が立ち、その煙が肉にスモーキーな風味を加えます。焼き上がった後に脂が苦手な人は外して食べれば良いのです。

「繰り返し焼き」が本場の真髄

自宅のBBQでありがちな失敗は、肉を一度に全部焼いて皿に盛り、冷めた肉を食べることです。シュラスコの正しい食べ方は「焼けた外側を薄くスライスして提供し、残りを火に戻す」の繰り返し。1つの肉塊から3〜4回に分けて切り出すことで、常に焼きたてを食べ続けられます。これがシュハスカリアの「ホジージオ」の本質です。

炭の配置は「2ゾーン」で

炭を全面に均一に敷くのは初心者の罠です。炭を片側に寄せて「強火ゾーン」と「弱火ゾーン」を作ることで、表面の焼き色は強火で、中までの火入れは弱火でと使い分けられます。肉が燃えそうになったら弱火側に退避。この2ゾーン法はアメリカのBBQ文化でも「indirect grilling(間接焼き)」として知られる基本技法です。


この料理の背景 — 火と肉と男たちの物語

ピカーニャのステーキ。脂身のキャップが黄金色に焼けている
ピカーニャの脂身が黄金色に輝く瞬間。この脂こそがシュラスコの魂

「男が焼く」文化とその変化

ブラジルでは伝統的に「シュラスコは男の仕事」とされてきました。家庭でのBBQパーティーでは、夫や父親がグリルの前に立ち、妻や母親はサラダや付け合わせを準備するという役割分担が長く続いてきました。

この文化はガウショの牧畜文化に由来しています。男たちが牧場で牛を追いながら焚き火で肉を焼くのは日常業務であり、その延長線上にシュラスコがありました。ブラジルの社会学者Raul Lody氏は著書でこの現象を「fogo masculino(男の火)」と表現しています。

しかし現代では変化も見られます。女性シュハスケイラ(女性のシュラスコ職人)が増え、SNSでシュラスコのレシピを発信する女性インフルエンサーも人気を集めています。伝統を尊重しつつ、誰もがシュラスコを楽しめる時代になっています。

シュラスコとサッカーの切っても切れない関係

ブラジルでシュラスコが最も盛り上がるのは、サッカーの試合がある日です。特にワールドカップ期間中は、全国の家庭やバール(居酒屋)でシュラスコパーティーが開かれます。テレビの前にグリルを設置し、試合を観ながら肉を焼き、ゴールが決まるたびに歓声を上げる。シュラスコとサッカーはブラジル人にとって「週末の二大要素」であり、切り離すことができません。

世界に広がるシュラスコ文化

ブラジル移民とともにシュラスコは世界中に広がりました。アメリカでは「Brazilian steakhouse(ブラジリアンステーキハウス)」として独自の進化を遂げ、ニューヨークやマイアミの高級シュハスカリアでは一人50〜100ドルのコースで15種類以上の肉が楽しめます。日本でも東京の六本木や渋谷、大阪の心斎橋にシュハスカリアが出店し、ホジージオスタイルで本場のシュラスコを体験できます。

南米料理のまとめ記事でも紹介しているように、南米の食文化は世界的な注目を集めています。アルゼンチンのエンパナーダ、ペルーのセビーチェロモ・サルタードと並んで、シュラスコは南米料理の国際的な顔として存在感を増し続けています。


あわせて作りたい料理

よくある質問

シュラスコパーティーの様子。テーブルに焼いた肉やビールが並ぶ賑やかな雰囲気
シュラスコは人が集まるほど楽しい。気軽な質問にもお答えします

ピカーニャ(イチボ)が手に入らない場合、最もおすすめの代替肉は?

ランプ肉のブロックが最も近い選択肢です。ボリビアのサルテーニャやチリのパステル・デ・チョクロでも牛肉が重要な材料ですが、部位の選び方は料理ごとに異なります。イチボ(ピカーニャ)はランプの上部に位置する部位で、風味・食感が似ています。スーパーの精肉コーナーで「ランプ」「もも肉ブロック」として売られているものを選んでください。脂身が少ない場合は、焼く前に表面にオリーブオイルを塗ると、脂身の代わりに保湿効果が得られます。アメリカのBBQコミュニティでは「トライチップ(ともさんかく)」も代替品として人気がありますが、日本のスーパーでは入手しにくい部位です。

串がなくても作れますか?

はい、串なしでもシュラスコの味は再現できます。フライパンやグリルの網の上で直接焼く「ステーキスタイル」で焼いてください。肉を厚めにカット(4〜5cm)し、粗塩をまぶして強火で表面に焦げ目をつけた後、弱火でじっくり火を通します。ただし「ホジージオ(繰り返し焼き)」の醍醐味は串があってこそなので、100円ショップの金属串でも十分ですので用意することをおすすめします。

室内で煙を出さずにシュラスコを作る方法は?

魚焼きグリルとオーブンの二段階方式が最も煙が少ない方法です。魚焼きグリルは排煙機能があるため、フライパンよりも煙の拡散を抑えられます。表面に焼き色をつけた後はオーブンに移すので、煙の発生は最初の5〜6分だけです。換気扇を「強」に設定し、窓を少し開けて対流を作ると室内への煙の充満を防げます。

シュラスコに合うお酒は?

本場ブラジルでは「カイピリーニャ」(カシャッサというサトウキビ蒸留酒にライムと砂糖を加えたカクテル)が定番ですが、日本で入手しやすいお酒なら以下がおすすめです。ビール(特にピルスナータイプ)は脂の多い肉との相性が抜群で、炭酸が口の中をリフレッシュしてくれます。赤ワインならアルゼンチンのマルベックやチリのカベルネ・ソーヴィニヨンなど南米産がベストマッチ。ノンアルコールならガラナ(ブラジルのソーダ)やマテ茶が本場の雰囲気を楽しめます。ペルーのロモ・サルタードにはペルー産ワインが合うように、南米料理にはその土地のお酒を合わせるのが一番です。

残った肉の保存方法と再利用は?

焼いた肉は粗熱をとってからラップで包み、冷蔵庫で3日間保存できます。冷凍なら1ヶ月。再利用のおすすめは、薄切りにしてサンドイッチの具にする方法です。フランスパンに薄切り肉・ヴィナグレッチ・レタスを挟めば「シュラスコサンド」になります。刻んでチャーハンに混ぜたり、サラダのトッピングにしたりと、シュラスコの残りは翌日の食卓でも活躍します。エクアドルのエンセボジャードのように玉ねぎとビネガーで和えたサラダに加えるのもおすすめです。


シュラスコと一緒に楽しむ中南米・カリブ海の料理

シュラスコをメインに据えたパーティーでは、中南米・カリブ海エリアの料理を一緒に並べると食卓が華やかになります。以下の組み合わせが特におすすめです。

前菜には、ペルーのセビーチェ(魚介のマリネ)が最適です。さっぱりとした酸味が、これから食べる肉への食欲を高めてくれます。アルゼンチンのエンパナーダ(ミートパイ)も手で食べられる前菜として優秀です。

メインのシュラスコと一緒に、フェイジョアーダを大鍋で用意すれば、ブラジル料理のフルコースになります。肉を焼きながらフェイジョアーダが煮込まれている光景は、まさに本場のブラジルの週末そのものです。

サイドディッシュとして、中米グアテマラのペピアンのソースをディップに使ったり、カリブ海のトリニダードのダブルスで使うチャツネを添えたりすると、ラテンアメリカの味の多様性を一度に楽しめます。

デザートには、カリブ海で親しまれるトロピカルフルーツを使ったサラダがぴったりです。ジャマイカのアキー・アンド・ソルトフィッシュで使われるのと同じカリブ海エリアの食材です。パイナップル、マンゴー、パパイヤを角切りにしてライムを絞るだけで、肉料理の後にぴったりの爽やかなデザートになります。


参考文献

百科事典・総合情報:

レシピ・調理法:

食文化研究:

出典・引用について

この記事は、世界ごはん紀行編集部が各国の料理資料、現地レシピ、食材事情をもとに、日本の家庭で再現しやすい形に整理したものです。

出典
世界ごはん紀行シュラスコの作り方|ブラジル炭火焼肉を日本の食材で本格再現
URL
https://sekaigohan.com/recipes/south-america/brazil/churrasco
著者・編集
世界ごはん紀行編集部
更新日
2026年4月11日
主な参考リンク
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