串に刺した牛肉を炭火で焼くブラジルのシュラスコ。岩塩をまぶした豪快な炭火焼き
🔪下準備30分
🔥調理60分
🍽️分量4
🌍料理ブラジル料理
中南米・カリブレシピ

シュラスコの作り方|ブラジル炭火焼肉の再現

57分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 肉を室温に戻す
STEP 11 / 8

肉を室温に戻す

所要時間30分

包丁やコンロは使いません。冷蔵庫から肉を出し、ラップをゆるくかけて室温に30分おきます。冷たいまま調理すると表面と中心の温度差が大きくなり、中が冷たい「コールドセンター」になります。夏場や室温が高い日は30分を上限にし、肉の中心が氷のように冷たくなくなる程度で止めてください。

手順2: 肉のカットと串刺し
STEP 22 / 8

肉のカットと串刺し

所要時間10分

コンロは使いません。イチボ肉は脂身の層を残したまま、繊維に沿って厚さ3〜4cmに切ります。スライスした肉はCの字に曲げて金属串に刺し、脂身が外側に向くようにします。ハラミは1枚のまま、ソーセージは2本ずつ串に刺してください。肉の厚みがそろうと、仕上がりの差が出にくくなります。

手順3: 岩塩をまぶす
STEP 33 / 8

岩塩をまぶす

所要時間5分

コンロは使いません。調理の直前に、肉の全面へ粗塩をたっぷりまぶします。塩は肉の重量の1〜1.5%を基準にしつつ、粒が大きい粗塩なら表面にやや多めについていても大丈夫です。仕上げた後に余分な塩を叩き落とすからです。Terra Gaucha Brazilian Steakhouseの解説でも、ガウショの伝統では仕上がった2本の串を打ち合わせて塩を落とす作法が紹介されています。

手順4: 炭を起こす
STEP 44 / 8

炭を起こす

所要時間20〜30分

炭火グリルに炭を入れ、着火剤で火をつけます。炭が白い灰をかぶり、表面がオレンジ色に光る250〜300度C前後の状態になるまで待ちます。手を炭の上10cmにかざして「1、2、3」と数え、熱くて手を引っ込めるくらいが強火の合図です。炭は片側に寄せ、強火ゾーンと弱火ゾーンを作ってください。

手順5: ソーセージを先に焼く
STEP 55 / 8

ソーセージを先に焼く

所要時間15分

火加減は中火、炭から10〜15cm離した位置で焼きます。ソーセージは転がしながら全面に焼き色をつけ、皮が張って脂がにじむまで15分ほど加熱してください。生ソーセージを使う場合は中心温度71度Cを目安にします。前菜として先に出すと、肉を待つ時間も食卓が途切れません。

手順6: イチボ肉を焼く
STEP 66 / 8

イチボ肉を焼く

所要時間16〜20分

火加減は強火、炭から10〜12cm離した位置に串を置きます。蓋は閉めません。脂身側を上にして8〜10分焼き、ひっくり返してさらに8〜10分焼きます。表面に香ばしい焦げ目ができ、脂が落ちて小さく煙が立つ状態が合図です。焦げが強く出る時は弱火ゾーンへ30秒ほど逃がし、火が落ち着いてから戻します。

手順7: 外側をスライスして提供(繰り返し焼き)
STEP 77 / 8

外側をスライスして提供(繰り返し焼き)

所要時間5分

火から外して1分休ませ、焼き色のついた外側の層を1〜2cm幅に薄くスライスして皿に盛ります。これが「ホジージオ」スタイルの核心です。中心が半生で赤い肉汁が多く出る場合は、残りの肉を強火ゾーンへ戻して4〜5分焼き直します。切る、戻す、また切るを3〜4回繰り返すと、食卓に常に熱い肉を出せます。

手順8: ハラミを焼く
STEP 88 / 8

ハラミを焼く

所要時間12〜16分

火加減は強火、炭から10〜12cm離した位置で片面6〜8分ずつ焼きます。ハラミはイチボより薄いので、表面に焼き色がつき、押した時に弾力が戻る状態になったら火から外します。繊維に対して垂直に1cm幅でスライスすると、噛み切りやすくなります。

シュラスコ店ではピンク色を残したミディアムレアからミディアムが好まれます。家庭で安全側に寄せるなら、牛肉のステーキやローストは中心温度63度Cに達してから3分休ませる方法を基準にします。ひき肉や生ソーセージは中心71度C。子ども、高齢者、妊娠中の人、免疫が弱い人が食べる時は、指の弾力だけで判断せず温度計を使ってください。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
4品目

メインの肉

材料 分量 代替・備考
牛イチボ肉(ブロック) 800g ランプ肉・もも肉ブロックで代用可。脂身付きを選ぶ
牛ハラミ(ブロック) 400g 牛バラ肉ブロックでも可
あらびきソーセージ 8本(約400g) シャウエッセンなどの太めのソーセージ
粗塩(岩塩) 大さじ4〜5 ヒマラヤ岩塩や粗い海塩。精製塩は不可
8品目

ヴィナグレッチ(ブラジル風サルサ)

材料 分量 代替・備考
トマト(中) 3個 完熟のものが扱いやすい。ミニトマトなら12〜15個
玉ねぎ(中) 1個 白玉ねぎが本場に近い。紫玉ねぎでも可
ピーマン(緑) 2個 パプリカ(赤・緑)各1/2個でも可
イタリアンパセリ 1束(約20g) 普通のパセリでも代用可
白ワインビネガー 大さじ4 酢(穀物酢)でも可。レモン汁は不可(風味が変わる)
オリーブオイル 大さじ3 エキストラバージンを推奨
小さじ1 味を見ながら調整
黒コショウ 少々 粗挽き
6品目

ファロファ(カリカリ粉)

材料 分量 代替・備考
パン粉(乾燥・細かめ) 100g 本場はキャッサバ粉(マニオク粉)。カルディや業務スーパーで入手可
有塩バター 大さじ3 マーガリン不可。バターの風味が鍵
ベーコン(薄切り) 3枚 5mm角のみじん切りにする
にんにく 2片 みじん切り
玉ねぎ(小) 1/4個 みじん切り
ひとつまみ ベーコンの塩分があるので控えめに
アレルギーのある方へ

この料理には牛肉・豚肉(ソーセージ・ベーコン)、小麦(パン粉・一部のソーセージ)、乳製品(バター)が含まれます。ソーセージは製品によりアレルゲンが異なるため、パッケージの表示を必ず確認してください。

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材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

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この料理の買い出し

買い出しガイド

この料理に使う食材・道具


掲載商品は、価格・在庫・レビュー傾向・入手しやすさを確認して選定しています。
ヒマラヤ岩塩 粗粒タイプ 1kg
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リサーチ日時:2026年7月2日
Weber コンパクトチャコールグリル 47cm
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リサーチ日時:2026年7月2日
キャッサバ粉(ファリーニャ・デ・マンジョッカ)500g
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リサーチ日時:2026年7月2日
Harina P.A.N. 白とうもろこし粉 1kg
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リサーチ日時:2026年7月2日
アヒ・アマリージョペースト 241g
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リサーチ日時:2026年7月2日
📊 栄養情報(1人分)
180
kcal
13.0g
タンパク質
12.0g
脂質
4.5g
炭水化物
0.8g
食物繊維
450mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。

炭の匂いと肉汁の音。それがシュラスコの始まり

ブラジル南部リオグランデ・ド・スル州の広大なパンパ(草原地帯)。16世紀にスペインの征服者が持ち込んだ牛が野生化し、数百万頭にまで増殖したこの土地で、ガウショ(牧童)たちは毎日の食事を焚き火の上で作りました。竹の串(タクアラ)に大きな肉の塊を刺し、地面に斜めに突き立てて火のそばでじっくり焼く。味付けは岩塩だけ。それがシュラスコの原型です。

現代のブラジルでは、シュラスコは週末に家族や友人が集まる「シュハスカリア」(シュラスコ専門レストラン)や自宅の裏庭で楽しむ国民的行事になっています。ガルソン(給仕人)が巨大な串を持ってテーブルを回り、客の目の前で肉を切り分ける「ホジージオ」スタイルは、ブラジル国外にも広まり、東京や大阪にも複数のシュハスカリアが出店しています。

シュラスコの魅力は、足し算ではなく削ることにあります。複雑なマリネも、甘いソースも使いません。厚い肉、粗い塩、炭の熱。守るものは少ないのに、塩を振るタイミングや火からの距離を外すと、急にただの硬い焼肉になります。

このレシピでは、日本のスーパーで手に入る牛肉を使い、ブラジル南部の焼き方を家庭向けに組み直します。フェイジョアーダと同じブラジルの食卓につながる料理ですが、家庭で大事なのは「全部を現地仕様にすること」ではありません。肉の厚み、粗塩、休ませる時間、酸味のある付け合わせ。この4点を外さない形で作ります。

シュラスコの呼び方について

ポルトガル語では「churrasco(シュハスコ)」と発音しますが、日本では「シュラスコ」の表記が定着しています。本記事では日本で一般的な「シュラスコ」を使用します。レストラン名の「シュハスカリア(churrascaria)」は「シュラスコを出す店」という意味です。


この料理の物語:ガウショが育てた炭火文化

シュラスコ用の串に刺された牛肉がずらりと並ぶ光景
シュハスカリアの串。1本1本が異なる部位で、順番に楽しむのが本場の流儀

パンパの牧童から国民的BBQへ

シュラスコの歴史は、南米大陸のパンパ草原と深く結びついています。16世紀、スペインの征服者がラプラタ川流域に牛と馬を持ち込みました。イエズス会の布教村(レドゥソン)が18世紀に崩壊すると、管理されていた家畜が野生化し、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル南部のパンパに散らばりました。

この広大な草原で牛を追い、馬を駆る牧童たちが「ガウショ」です。ガウショは先住民、ポルトガル人入植者、スペイン人の混血で、独自の文化を築きました。彼らの食事は極めてシンプルで、牛肉を串に刺して焚き火で焼き、マテ茶(シマハン)を回し飲みする。この焚き火の食事が「シュラスコ」の原型です。

ガウショの焼き方には特徴がありました。竹の串(タクアラ)を地面に斜めに刺し、熱源から距離をとって焼く「フォゴ・デ・シャオ(地面の火)」方式です。直火ではなく輻射熱でゆっくり焼くことで、大きな肉塊の外側はカリカリに、内側はしっとりジューシーに仕上がります。この技法は現在のシュハスカリアでもそのまま受け継がれています。

シュハスカリアの爆発的拡大

1950〜60年代、ブラジルでは幹線道路の建設ラッシュが起こり、長距離トラック輸送が発達しました。リオグランデ・ド・スル州の幹線道路沿いに、トラック運転手向けのシュラスコ専門レストラン「シュハスカリア」が次々と出現します。

1980年代にはサンパウロやリオデジャネイロにもガウショスタイルの「ホジージオ」(食べ放題形式)のシュハスカリアが広がり、1990年代末にはアメリカ、オーストラリア、ポルトガル、イギリスへと国際展開しました。現在では「Fogo de Chao」「Texas de Brazil」といったチェーンが世界中で営業しており、シュラスコはブラジルを代表する食文化として国際的な認知を獲得しています。

ガウショ文化は生きている

リオグランデ・ド・スル州では毎年9月20日に「ファハウピーリャ革命記念日」が祝われ、ガウショの伝統衣装を着た人々がパレードし、広場でシュラスコを焼きます。州都ポルト・アレグレには「ガウショ文化センター」があり、シュラスコの正しい焼き方を次世代に伝える活動が行われています。単なる料理法ではなく、南部ブラジルのアイデンティティそのものなのです。


部位選びガイド:シュラスコの主役たち

ピカーニャ・フランジーニャ・コステラなどの牛肉部位がカッティングボードに並ぶ
シュラスコは部位の食べ比べが醍醐味。それぞれの個性を知ることが第一歩

シュラスコの醍醐味は、複数の部位を食べ比べることにあります。南米料理のまとめ記事でも触れているように、南米の肉料理は部位へのこだわりが深く、シュハスカリアでは10〜15種類の肉が次々と運ばれてきます。自宅で再現するなら4〜5種類あれば十分にパーティー感が出ます。

ピカーニャ(Picanha):シュラスコの主役

ピカーニャはシュラスコの絶対的な主役です。日本では「イチボ」に相当する部位で、牛の臀部の上部にあたります。英語圏では「トップサーロインキャップ」「ランプキャップ」と呼ばれます。

ピカーニャ最大の特徴は、片面を覆う厚い脂肪の層(ファットキャップ)です。この脂を残したまま焼くことで、脂が溶けて肉全体に旨味が行き渡り、外はカリカリ、中はジューシーに仕上がります。ブラジルのBBQ文化サイトCraftbeeringによれば、脂を取り除いたピカーニャは「ピカーニャとは呼べない」とされ、ファットキャップごと焼くのが絶対のルールです。

フランジーニャ(Fraldinha):噛むほどに味が出る部位

フランジーニャは牛のバラ肉の下部にあたる部位で、日本では「カイノミ」に近い位置です。ポルトガル語で「小さなおむつ」という意味の名前は、牛の股関節付近から取れることに由来します。きめ細かなサシ(霜降り)が入り、噛むほどに旨味が広がる赤身の旨さが魅力です。ガウショの料理人はこの肉を繊維に対して垂直にスライスすることで、最大限の柔らかさを引き出します。

コステラ(Costela):時間をかける骨付き肉

コステラは牛のリブ(あばら骨付き肉)です。コロンビアのバンデハ・パイサにも牛肉のグリルが含まれるように、南米では骨付き肉を豪快に焼く文化が根づいています。骨ごと串に刺して4〜6時間かけてゆっくり焼く、シュラスコのなかで最も時間のかかる部位です。自宅では時間的に厳しいことが多いため、本記事のメインレシピでは扱いませんが、BBQグリルがあれば挑戦する価値は十分にあります。

リングイッサ(Linguica):最初に焼くソーセージ

リングイッサはポルトガル発祥の豚肉ソーセージで、にんにく、パプリカ、オレガノで風味付けされています。キューバのロパ・ビエハでも使われるスモーク系の肉加工品と系統が近く、ポルトガルの食文化がカリブ海・南米全域に広がった証拠のひとつです。チョリソーよりマイルドな味わいで、シュラスコでは最初に焼いてビールのつまみにする「前菜」的な位置づけです。日本ではあらびきソーセージで代用できます。


日本のスーパーで揃える:食材と代替品ガイド

炭火グリルの上でジュージューと焼ける肉
日本の食材でも、本場の焼き方さえ押さえれば驚くほど本格的な味になる

ピカーニャ(イチボ)は日本の一般的なスーパーでは見つけにくい部位です。精肉店や通販を使えば手に入りますが、もっと手軽に作りたい場合は以下の代替品で十分においしく仕上がります。

肉の代替ガイド

本場の部位 日本での入手先 代替品(スーパーで買える) 備考
ピカーニャ(イチボ) 精肉専門店・通販 ランプ肉ブロック / もも肉ブロック 脂身が少ないので、表面にオリーブオイルを塗ると近い仕上がりに
フランジーニャ(カイノミ) 一部のスーパー 牛バラ肉ブロック / ハラミ ハラミは脂のりが良く、最も近い食感
コステラ(リブ) 精肉専門店 牛カルビブロック(骨付き) スーパーの焼肉用カルビでも可
リングイッサ ブラジル食材店 あらびきソーセージ / シャウエッセン にんにくとパプリカを足すと風味が近づく
ピカーニャを通販で入手する方法

「イチボ ブロック」「ランプキャップ」で楽天や精肉店の通販を探すと、500g〜1kgのブロック肉が見つかります。オーストラリア産やアメリカ産が多く、価格は500gで1,500〜3,000円程度。脂肪の層(ファットキャップ)が付いたものを選んでください。脂が取り除かれた「トリミング済み」は避けること。シュラスコの味を決めるのはこの脂です。

岩塩の選び方

シュラスコの味付けは岩塩のみ。だからこそ塩の質が直接味に影響します。

本場ブラジルでは「サル・グロッソ(sal grosso)」と呼ばれる北東部産の粗い海塩を使います。日本で入手するなら、以下の選択肢があります。

塩の種類 特徴 使いやすさ
粒の大きい岩塩(ヒマラヤ産等) 粒が大きく、焼いた後に叩いて落とせる 向いている
粗塩(あら塩) スーパーで入手しやすい。伯方の塩など 次善
精製塩(食卓塩) 粒が細かすぎて浸透しやすく、しょっぱくなりがち 非推奨

重要なのは、粒の大きさです。シュラスコでは肉の表面にたっぷりの粗塩をまぶし、焼いた後に串を叩いて余分な塩を落とします。粒が大きければ表面に留まり、肉の内部に浸透しすぎないため、外は塩の旨味が効き、中はやさしい味わいになります。


付け合わせ:肉の脂を受け止める脇役

シュラスコは肉だけでも十分においしいですが、付け合わせがあると味の変化がつき、最後まで飽きずに食べ続けられます。本場のシュハスカリアでは必ずこの3つが揃っています。

ヴィナグレッチ(ブラジル風サルサ)

ヴィナグレッチ。トマト・玉ねぎ・パセリを細かく刻んだブラジルの万能サルサ
メキシコのピコ・デ・ガヨに似ているが、ライムではなくビネガーを使うのがブラジル流

ヴィナグレッチ(vinagrete)は、メキシコのモレ・ポブラーノで知られるメキシコ料理のピコ・デ・ガヨに似たブラジルの定番サルサです。ただしライム果汁は使わず、白ワインビネガーとオリーブオイルで仕上げるのが特徴です。辛味はなく、酸味と野菜の歯ごたえが脂っこい肉をさっぱりとリセットしてくれます。

まずトマト3個を5mm角のさいの目切りにします(種は取り除かなくてよい)。玉ねぎ1個も5mm角のみじん切りにし、水に5分さらして辛味を抜きます。ピーマン2個を5mm角に切り、イタリアンパセリもみじん切りにしてください。

全てをボウルに合わせ、白ワインビネガー大さじ4、オリーブオイル大さじ3、塩小さじ1、黒コショウ少々を加えて混ぜます。冷蔵庫で30分以上なじませると味がまとまります。ポイントは玉ねぎの水さらし。これを省くと辛味が強すぎて肉の味を邪魔してしまいます。

ファロファ(カリカリ粉)

ファロファ。キャッサバ粉をバターとベーコンで炒めたカリカリの付け合わせ
このカリカリ食感がシュラスコの肉汁を吸って、たまらない旨さになる

ファロファは本来キャッサバ粉(マニオク粉)をバターで炒めたもので、ブラジル料理のほぼ全てに添えられる国民的付け合わせです。日本ではキャッサバ粉の入手が難しいため、パン粉で代用します。カルディや業務スーパーで「タピオカ粉」「マニオク粉」「ファリーニャ・デ・マンジョッカ」として販売されている場合もあるので、見つけたらパン粉版と食べ比べると違いがよく分かります。フェイジョアーダでもファロファは必須の付け合わせです。

フライパンでベーコン(5mm角みじん切り)を中火で4〜5分、カリカリになるまで炒めます。バター大さじ3を加え、にんにくのみじん切りと玉ねぎのみじん切りを加えて2分炒めてください。

ここにパン粉100gを一気に加え、中火で8〜10分、絶えずかき混ぜ続けます。パン粉が薄い茶色になり、フライパンを傾けてもサラサラと流れるようになれば完成。塩ひとつまみで調味します。

ファロファの火加減

ファロファは「かき混ぜ続ける」のが絶対条件です。手を止めると5秒で焦げます。薄茶色→茶色の境目で火を止めること。余熱でさらに色が進むので、やや薄めで火から下ろすのがコツです。

パンデケージョ(ブラジルのチーズパン)

本場のシュハスカリアでは必ず出てくるモチモチのチーズパンです。タピオカ粉(キャッサバ澱粉)を使うためグルテンフリーで、外はカリッ、中はもちもち。自宅で作る場合は以下の材料で約15個分です。

材料 分量 備考
タピオカ粉(白玉粉で代用可) 200g 製菓材料売り場で入手
粉チーズ(パルメザン) 50g 多めが美味しい
1個
牛乳 100ml
オリーブオイル 大さじ2
小さじ1/2

作り方: 牛乳とオリーブオイルを鍋で沸騰させ、タピオカ粉に一気に注いで練る。粗熱が取れたら卵とチーズを加えてさらに練り、ピンポン玉大に丸めて180度Cのオーブンで20〜25分焼く。表面にひびが入って薄く色づいたら完成。


自宅BBQでの再現法:炭火・ガス・魚焼きグリル

シュラスコの完成盛り付け。スライスした肉とヴィナグレッチ、ファロファが並ぶ
自宅でも、盛り付けを工夫すればシュハスカリアの雰囲気が出る

シュラスコは本来炭火で焼く料理ですが、自宅の環境に合わせて工夫すれば十分に再現できます。

方法1: 炭火グリル(第一候補)

庭やベランダで使えるチャコールグリル(炭火焼きグリル)があれば、最も本場に近い仕上がりになります。備長炭やオガ炭は火力が安定しやすく、マングローブ炭は温度の上下が大きいので避けたほうが無難です。

コツは「火からの距離」です。シュラスコは直火ではなく、10〜15cm離した輻射熱で焼きます。グリルの網の高さを調節できるタイプか、レンガを積んで串を渡すスタイルが理想的です。

方法2: ガスグリル・カセットコンロ(次善)

ガスグリルの場合は、片側を強火・片側を消火にした「2ゾーン」方式で焼きます。強火側で表面に焼き色をつけ、消火側に移動させて余熱でじっくり火を通す。炭火ほどのスモーキーさは出ませんが、温度管理がしやすい利点があります。

カセットコンロに焼き肉プレートを乗せて焼く方法も手軽です。ただし煙が出るので、必ず換気扇の下か屋外で行ってください。

方法3: 魚焼きグリル + オーブン(室内向け)

マンション住まいで炭火が使えない場合の裏技です。まず魚焼きグリルの強火で肉の表面に焼き色をつけ(片面3〜4分)、その後200度Cのオーブンに移して10〜15分焼きます。魚焼きグリルの高温で「メイラード反応」(焦げ目の旨味)を作り、オーブンの均一な熱で中まで火を通す二段階方式です。

方法4: フライパン + オーブン(最も手軽)

鋳鉄のスキレットかフライパンを強火で煙が出るまで熱し、油を引かずに肉を乗せます。片面2〜3分ずつ焼いて表面に焦げ目をつけたら、そのまま200度Cのオーブンに入れて8〜12分。中心温度55〜60度Cになれば完成です。串は使わず、ステーキのように焼く形式になりますが、味は十分にシュラスコです。

どの方法でも「休ませる」のが鉄則

焼き上がった肉はすぐに切らず、アルミホイルで包んで5〜10分休ませてください。加熱で肉の中心に集まった肉汁が、休ませることで全体に再分配されます。休ませずに切ると、まな板の上に肉汁が流れ出てしまいます。


肉だけで終わらせないアレンジ

シュラスコのアレンジ例。フルーツや野菜も串に刺して焼く
肉以外の食材も串に刺して焼くと、食卓の味に逃げ場ができる

パイナップルとバナナのフルーツ串

ブラジルのシュハスカリアでは肉の合間にフルーツの串も登場します。ハイチのグリオやプエルトリコのモフォンゴのように、カリブ海・南米ではフルーツと肉の組み合わせが日常的です。パイナップルを2cm厚の輪切りにして串に刺し、表面にシナモンシュガーを振って炭火で焼きます。カラメル化した甘さと酸味が、肉の脂っこさを中和する天然のパレットクリーナーです。完熟バナナの串焼きも定番で、とろりと溶けた果肉にバニラアイスを添えれば立派なデザートになります。

ケージョ・コアリョ風の焼きチーズ

ブラジルの「ケージョ・コアリョ」は加熱しても溶けにくい特殊なチーズで、串に刺して焼くと外はカリカリ、中はもっちりします。日本ではハルーミチーズ(キプロス産の焼いても溶けないチーズ)が近い代替品です。カルディや成城石井で見つかることがあります。厚さ2cmに切って串に刺し、中火で片面3〜4分ずつ焼いてください。

フランゴ・コン・ベーコン

鶏もも肉を一口大に切り、ベーコンで巻いて串に刺します。「フランゴ・コン・ベーコン(ベーコン巻きチキン)」はシュハスカリアの人気メニューのひとつです。鶏肉に塩・にんにく・パプリカで下味をつけ、中火で20〜25分、鶏肉の中心が75度C以上になるまでじっくり焼きます。

味噌漬けに寄せる和風シュラスコ

ブラジルには日本からの移民が多く、日系ブラジル人のシュラスコには和の要素が取り入れられることがあります。牛肉を白味噌大さじ2、みりん大さじ1、にんにく1片に2時間漬け込んでから焼くと、味噌の発酵旨味と炭火の香ばしさが驚くほど合います。大根おろしとポン酢を添えれば、日本の食卓にもなじむ「和風シュラスコ」の完成です。ジャマイカのジャークチキンのスパイス漬けと似た発想で、「漬けてから焼く」手法は世界中のBBQ文化に共通しています。

野菜串で火の合間を作る

パプリカ、ズッキーニ、マッシュルーム、トウモロコシを串に刺して焼く野菜シュラスコは、肉の合間のさっぱりした皿になります。オリーブオイルと粗塩をまぶして中火で10〜15分。野菜のシュラスコには、シミチューリ(アルゼンチンのハーブソース:パセリ・にんにく・オレガノ・酢・オリーブオイルを混ぜたもの)を合わせると酸味が加わります。アルゼンチンのロクロやウルグアイのチビートなど、隣国の料理とシュラスコを組み合わせると南米の食卓として広げやすくなります。


調理のコツ:ガウショ式を家庭で外さない

塩をまぶすタイミングは「焼く直前」

塩を30分以上前にまぶすと、浸透圧で肉の水分が引き出され、表面がべちゃっとします。焼く5〜10分前に塩をつけるのが扱いやすいです。本場のシュハスカリアでは「肉を串に刺してから塩をかけ、すぐに火にかざす」流れで、塩が浸透する前に表面を焼き固めます。

脂身は焼く前に落としすぎない

日本では脂身を外したくなりますが、シュラスコでは脂身が焼き上がりを支えます。焼いている間に脂が溶け出し、肉の表面を油膜で覆って水分の蒸発を防ぎます。さらに溶けた脂が炭に落ちると煙が立ち、その煙が肉にスモーキーな風味を加えます。食べる時に脂が苦手なら、皿の上で外せば十分です。

繰り返し焼きで冷めた肉を出さない

自宅のBBQで失敗しやすいのは、肉を一度に全部焼いて皿に盛り、後半に冷めた肉を食べることです。シュラスコは「焼けた外側を薄く切って出し、残りを火に戻す」の繰り返し。1つの肉塊から3〜4回に分けて切り出すことで、食卓に焼きたてを出し続けられます。これがシュハスカリアの「ホジージオ」の本質です。

炭の配置は「2ゾーン」で

炭を全面に均一に敷くと、焦げそうな肉を逃がす場所がなくなります。炭を片側に寄せて「強火ゾーン」と「弱火ゾーン」を作ることで、表面の焼き色は強火で、中までの火入れは弱火でと使い分けられます。肉が燃えそうになったら弱火側に退避。この2ゾーン法はアメリカのBBQ文化でも「indirect grilling(間接焼き)」として知られる基本技法です。


この料理の背景:火を囲む役割と変化

ピカーニャのステーキ。脂身のキャップが黄金色に焼けている
ピカーニャの脂身が炭火で溶け、赤身を乾かしにくくする

「男が焼く」文化とその変化

ブラジルでは伝統的に「シュラスコは男の仕事」とされてきました。家庭でのBBQパーティーでは、夫や父親がグリルの前に立ち、妻や母親はサラダや付け合わせを準備するという役割分担が長く続いてきました。

この文化はガウショの牧畜文化に由来しています。男たちが牧場で牛を追いながら焚き火で肉を焼くのは日常業務であり、その延長線上にシュラスコがありました。ブラジルの社会学者Raul Lody氏は著書でこの現象を「fogo masculino(男の火)」と表現しています。

しかし現代では変化も見られます。女性シュハスケイラ(女性のシュラスコ職人)が増え、SNSでシュラスコのレシピを発信する女性インフルエンサーも人気を集めています。伝統を尊重しつつ、誰もがシュラスコを楽しめる時代になっています。

シュラスコとサッカーが同じ日に集まる理由

ブラジルでシュラスコが最も盛り上がるのは、サッカーの試合がある日です。特にワールドカップ期間中は、全国の家庭やバール(居酒屋)でシュラスコパーティーが開かれます。テレビの前にグリルを設置し、試合を観ながら肉を焼き、ゴールが決まるたびに歓声を上げる。シュラスコとサッカーはブラジル人にとって「週末の二大要素」であり、切り離すことができません。

日本の台所で守るもの、割り切るもの

日本でシュラスコを作ると、最初に困るのは「本場と同じ設備がない」ことです。庭に大きな炭火台を置ける家は少なく、マンションでは煙も大きな問題になります。さらにピカーニャは精肉店や通販でないと見つからないことが多く、スーパーではランプやもも肉ブロックに置き換える場面が出てきます。

だからこそ、全部を現地と同じにするより、味の骨格を守るほうが現実的です。厚い肉を薄切りにしすぎないこと、脂身を焼く前に落としすぎないこと、粗塩を直前にまぶして余分な塩を落とすこと、焼いた肉を休ませること。この4つが守れていれば、串がなくても、魚焼きグリルとオーブンの二段階でも、シュラスコらしい肉の香りに近づきます。

一方で、割り切ってよいものもあります。コステラの長時間焼きは家庭の一食には重いので、まずはイチボ風のランプ肉とハラミに絞る。炭火が使えなければ、最初に強火で焼き色をつけ、あとからオーブンで中心まで火を通す。キャッサバ粉がなければパン粉のファロファで食感を作る。現地の食卓を尊重しつつ、日本の台所で続けられる形にするほうが、次の週末にも作りやすくなります。

世界に広がるシュラスコ文化

ブラジル移民とともにシュラスコは世界中に広がりました。アメリカでは「Brazilian steakhouse(ブラジリアンステーキハウス)」として独自の進化を遂げ、ニューヨークやマイアミの高級シュハスカリアでは一人50〜100ドルのコースで15種類以上の肉が楽しめます。日本でも東京の六本木や渋谷、大阪の心斎橋にシュハスカリアが出店し、ホジージオスタイルで本場のシュラスコを体験できます。

南米料理のまとめ記事でも紹介しているように、南米の食文化は世界的な注目を集めています。アルゼンチンのエンパナーダ、ペルーのセビーチェロモ・サルタードと並んで、シュラスコは南米料理の国際的な顔として存在感を増し続けています。


あわせて作りたい料理

よくある質問

シュラスコパーティーの様子。テーブルに焼いた肉やビールが並ぶ賑やかな雰囲気
シュラスコは人が集まるほど楽しい。気軽な質問にもお答えします

ピカーニャ(イチボ)が手に入らない場合、使いやすい代替肉は?

ランプ肉のブロックが最も近い選択肢です。ボリビアのサルテーニャやチリのパステル・デ・チョクロでも牛肉が重要な材料ですが、部位の選び方は料理ごとに異なります。イチボ(ピカーニャ)はランプの上部に位置する部位で、風味・食感が似ています。スーパーの精肉コーナーで「ランプ」「もも肉ブロック」として売られているものを選んでください。脂身が少ない場合は、焼く前に表面にオリーブオイルを塗ると、脂身の代わりに保湿効果が得られます。アメリカのBBQコミュニティでは「トライチップ(ともさんかく)」も代替品として人気がありますが、日本のスーパーでは入手しにくい部位です。

串がなくても作れますか?

はい、串なしでもシュラスコの味は再現できます。フライパンやグリルの網の上で直接焼く「ステーキスタイル」で焼いてください。肉を厚めにカット(4〜5cm)し、粗塩をまぶして強火で表面に焦げ目をつけた後、弱火でじっくり火を通します。ただし「ホジージオ(繰り返し焼き)」の楽しさは串があると出しやすいので、100円ショップの金属串でも用意しておくと切り出しやすいです。

室内で煙を出さずにシュラスコを作る方法は?

魚焼きグリルとオーブンの二段階方式が最も煙が少ない方法です。魚焼きグリルは排煙機能があるため、フライパンよりも煙の拡散を抑えられます。表面に焼き色をつけた後はオーブンに移すので、煙の発生は最初の5〜6分だけです。換気扇を「強」に設定し、窓を少し開けて対流を作ると室内への煙の充満を防げます。

シュラスコに合うお酒は?

本場ブラジルでは「カイピリーニャ」(カシャッサというサトウキビ蒸留酒にライムと砂糖を加えたカクテル)が定番ですが、日本で入手しやすいお酒ならビールが合わせやすいです。特にピルスナータイプは脂の多い肉との相性がよく、炭酸が口の中をリフレッシュしてくれます。赤ワインならアルゼンチンのマルベックやチリのカベルネ・ソーヴィニヨンなど南米産がまとまります。ノンアルコールならガラナ(ブラジルのソーダ)やマテ茶で、食卓の雰囲気を寄せられます。ペルーのロモ・サルタードにはペルー産ワインが合うように、南米料理にはその土地のお酒を合わせると自然です。

残った肉の保存方法と再利用は?

焼いた肉は粗熱をとってからラップで包み、冷蔵庫で3日間保存できます。冷凍なら1ヶ月。再利用しやすいのは、薄切りにしてサンドイッチの具にする方法です。フランスパンに薄切り肉・ヴィナグレッチ・レタスを挟めば「シュラスコサンド」になります。刻んでチャーハンに混ぜたり、サラダのトッピングにしたりと、シュラスコの残りは翌日の食卓でも活躍します。エクアドルのエンセボジャードのように玉ねぎとビネガーで和えたサラダにもよく合います。


シュラスコと一緒に楽しむ中南米・カリブ海の料理

シュラスコをメインに据えたパーティーでは、中南米・カリブ海エリアの料理を一緒に並べると皿数に変化が出ます。以下は、味の重さが重なりにくい組み合わせです。

前菜には、ペルーのセビーチェ(魚介のマリネ)が合います。さっぱりとした酸味が、これから食べる肉への食欲を高めてくれます。アルゼンチンのエンパナーダ(ミートパイ)も手で食べられる前菜として扱いやすい料理です。

メインのシュラスコと一緒に、フェイジョアーダを大鍋で用意すれば、ブラジル料理のフルコースになります。肉を焼きながらフェイジョアーダが煮込まれている光景は、まさに本場のブラジルの週末そのものです。

サイドディッシュとして、中米グアテマラのペピアンのソースをディップに使ったり、カリブ海のトリニダードのダブルスで使うチャツネを添えたりすると、ラテンアメリカの味の多様性を一度に楽しめます。

デザートには、カリブ海で親しまれるトロピカルフルーツを使ったサラダがぴったりです。ジャマイカのアキー・アンド・ソルトフィッシュで使われるのと同じカリブ海エリアの食材です。パイナップル、マンゴー、パパイヤを角切りにしてライムを絞るだけで、肉料理の後にぴったりの爽やかなデザートになります。


主な参考リンク

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