ジャシャ・マル:鶏肉、トマト、青唐辛子をひと鍋で
材料は書かれた順に加え、鶏肉が柔らかくなって煮汁が減るまで煮ます。止めどきは、まだしっとり水気が残っているうちです。鶏肉に火が通ったかどうかは、食品用温度計で判断してください。
刻んだ玉ねぎを油で、透き通るまで柔らかくします。そこに鶏肉を入れて約5分炒め、鶏だしを注いで沸騰させます。続けてにんにく、しょうが、トマト、刻んだ青唐辛子大さじ4を加え、鶏肉が柔らかくなり煮汁が減るまで煮ます。
これがジャシャ・マルです。ブータンの公式観光ポータルは、鶏肉の煮込み料理として紹介し、ご飯に添える伝統料理の一つに挙げています。同じポータルには、ブータンの料理は材料や作り方が地域によって変わるとも書かれています。そのためこの記事では、一つのレシピだけを「本物の唯一の作り方」として扱いません。公開されている一つのレシピを最初から最後まで追い、そのレシピが決めていない部分も正直に書いていきます。
呼び名の綴りは二通りあります。観光ポータルは jasha maru、今回使うレシピは Jasha Maroo と書いています。世界ごはん紀行編集部では、このレシピ全体を台所で試作して検証してはいません。ブータンのほかの料理はブータンのページで紹介しています。
どのレシピを使うか、そして鶏肉の形について
使うのは、旅行情報サイト TripToBhutan のブータン料理のページに載っているレシピです。ページに個人の著者名はなく、特定の料理人や家庭の伝統として紹介することはできません。分量と調理の順番だけを使い、ほかのレシピの分量や手順は混ぜていません。
いちばん引っかかるのは鶏肉の形です。レシピの見出しは「Bhutanese minced chicken」(ブータンの鶏ひき肉)ですが、材料欄には「boneless chicken」(骨なし鶏肉)としかなく、挽肉にするのか、切るのか、どれくらい細かくするのかは書かれていません。この記事では骨なし鶏肉を細かく刻んで使い、工程と完成の写真も同じ形にそろえています。これは編集上の選択で、レシピの指定でも、ブータンで決まった切り方でもありません。
このレシピは、ほかにも決めていないことがあります。
- 何人分か、全体の調理時間、塩の量、唐辛子の品種は書かれていません。「カップ」がどの計量カップかも示されていません。
- 作り方のパクチーの文のあとに「Turn up the heat」(火を強める)という一行だけが残っていますが、何を指すのか分からないため、この記事では使いません。
- 同じ名前や似た名前のレシピは、あとの比較のとおり、かなり違う作り方をします。
選び方と代用
鶏肉、玉ねぎ、トマト、にんにく、しょうがは、ふだんのスーパーで手に入る材料です。専門店に行かなくても作れます。
- 青唐辛子: 品種によって辛さが違うため、大さじ4でも感じる辛さはかなり変わります。刻んだ状態で、スプーンで量ってください。辛さを抑えたいときは、あとのアレンジを参照してください。
- 鶏だし: 商品によって塩分が違います。塩を入れる量は、使うだしの塩気を確かめてから決めます。
- パクチー: 省いてもかまいません。ほかの香草を使うと、同じではなく風味が変わります。
道具
- 鍋
- 生の鶏肉用と、ほかの食材用で分けたまな板と包丁(または間で洗って使う)
- しょうがをおろす器具
- 計量スプーン
- 鶏だしを量る計量カップ
- 混ぜるスプーンかへら
- 食品用温度計
うまくいかないとき
| 見られる様子 | 意味すること | 対処 |
|---|---|---|
| 温度計が75°C未満 | 色に関係なく、鶏肉の加熱がまだ終わっていない | 加熱を続け、いちばん厚い部分をもう一度測る。75°C以上で1分間以上が必要 |
| 鶏肉がまだ柔らかくない | 目安にできる決まった煮込み時間はない | 加熱を続け、一切れ取って確かめる |
| 煮汁がまだ多い | 煮詰まりが足りない | 煮汁が減るまで加熱を続ける |
| 鍋が乾いてきた | 乾いた炒め物の方向に進んでいる | 煮汁が減るあたりをよく見て、しっとり残るうちに仕上げる |
| 塩辛い | 塩を入れる前から鶏だしが塩辛かった可能性がある | 次回は先にだしの塩気を確かめ、塩を少しずつ加える |
| 思ったより辛い | 青唐辛子は品種によって辛さが違う | 次回は青唐辛子を減らす |
辛さ・塩・香草・挽肉のアレンジ
ここからは基本の配合を変える作り方なので、できあがりは自分だけのバージョンとして楽しんでください。
- 辛さを抑える: 青唐辛子を減らします。品種によって適した減らし方が違うので、決まった量は示しません。
- 辛さを足す: 青唐辛子を一度に入れず、少しずつ足します。鶏肉に完全に火が通るまで、味見は待ちます。
- 塩: 最終的な塩加減は、使う鶏だしに合わせ、手順5の最後に味を見て決めます。
- パクチーなし: そのまま省けば、作り方は変わりません。
- 鶏ひき肉: 別バージョンになります。切った肉片と混ぜずに、やはり温度計で温度を確かめてください。
ジャシャ・マルとジャシャ・パー、ほかの配合
ブータンの公式観光ポータルは、ジャシャ・マルを、ご飯に添える料理の中の鶏肉の煮込みとして挙げています。この記事でご飯を別に添える形にしているのはそのためです。ご飯との組み合わせはポータルの説明によるもので、レシピ自体が指定しているわけではありません。ポータルは、この料理をどこかの地域の作り方に結びつけてはおらず、この記事も起源や歴史について何かを主張するものではありません。
名前が似ていても、配合が同じとは限りません。ブータン政府のウェブサイトに置かれた料理集には「ジャシャ・パー(Jasha Paa)」というレシピがあり、ブータン協会(Bhutan Society)のニュースレターには別の「Jasha Maroo」が載っています。ここでは比較のためだけに挙げ、材料も手順も上のレシピには借りていません。
| この記事のレシピ | ジャシャ・パー(Bhutan eCookbook) | Jasha Maroo(ブータン協会ニュースレター) | |
|---|---|---|---|
| 鶏肉 | 骨なし | 骨付き | 骨なし、皮なしのもも肉 |
| 唐辛子 | 青唐辛子 | 生の青唐辛子 | 赤唐辛子 |
| 液体 | 鶏だし | 水 | だし |
| 作り方 | 玉ねぎを柔らかくし、鶏肉を炒め、だしで沸かし、香味野菜と野菜を加えて煮詰める | 鶏肉、玉ねぎ、にんにく、塩を水で煮て、トマトを加え、水がなくなって唐辛子の皮が少し焦げるまで唐辛子を加える | 玉ねぎ、にんにく、しょうが、唐辛子、リーキを油で調理し、鶏肉とトマトを加えて、だしで蓋をして煮込む |
これらの違いだけでブータンのどの地域のものかを分けることはできないので、別々のレシピとして読むのがよいでしょう。
ブータンの料理をさらに知りたい場合は、唐辛子とチーズの料理エマ・ダツィがあります。パクシャ・パーは豚肉の料理なので、鶏肉のジャシャ・パーと取り違えないようにしてください。
よくある質問
ジャシャ・マルの鶏肉は挽肉ですか、刻んだ肉ですか?
レシピからは決められません。見出しは「minced chicken」(ひき肉)ですが、材料欄は「boneless chicken」(骨なし鶏肉)とあるだけで、切り方は指定されていません。この記事は、細かく刻んだ骨なし鶏肉を編集上の判断で選びました。これはレシピが指定した切り方でも、ブータン全体の標準の形でもありません。
これが唯一の正統なレシピですか?
いいえ。旅行情報サイトに載っている一つの公開レシピです。同じ名前や似た名前のほかのレシピは、材料も作り方も違いますし、ブータンの観光ポータルも、料理は地域によって変わると述べています。
何人分ですか?
レシピに人数の記載がないため、この記事でも示していません。
どれくらい辛いですか?
配合は刻んだ青唐辛子大さじ4ですが、レシピは品種を示しておらず、辛さは品種によって違います。唐辛子を減らすのはレシピを意図的に変える方法で、辛さが心配なときには妥当な調整です。
鶏だし1カップのカップは、どのサイズですか?
レシピは「1 cup」とだけ書いていて、どの計量カップかは示していません。そのためこの記事でも換算していません。
骨付きの鶏肉でも作れますか?
それはこのレシピから離れます。Bhutan eCookbook のジャシャ・パーは骨付き鶏肉を使いますが、配合も作り方も別のものです。骨付き肉に替えても、同じ仕上がりや同じ調理時間になるとは限りません。
鶏肉に火が通ったかどうかは、どう確かめますか?
いちばん厚い部分に食品用温度計を差し、中心が75°C以上で1分間以上になったことを確認します。これは農林水産省の案内に沿った目安です。比較として、米国農務省の食品安全検査局は、鶏肉について165°F(73.9°C)を挙げており、これも食品用温度計で測るものです。約5分炒めたことや、肉の色、この記事の写真では、安全な温度に達したことは確認できません。
残ったら、どれくらい持ちますか?
レシピには、冷まし方、保存期間、温め直しの案内がないため、この記事でも保存期間は示しません。












