ボボー:器ごとに仕上げるカンボジアの朝の米粥
米粒が開き、汁が乳白色の真珠のような色になるまで煮て、お玉から流れ落ちるゆるさのうちに止めます。鍋の中はおだやかなまま。歯ざわり、香り、酸味は、あとから器ごとに足します。
早朝、白い米粥の鍋から湯気が上がっています。それぞれが器によそい、まわりの小皿に手を伸ばします。油ごと揚げにんにくをひとさじ、生のもやしをひとつかみ、刻んだ青ねぎと香菜、ライムをひと搾り、白胡椒をひとつまみ。ひと口食べると、やわらかな米の中でもやしがしゃきっと折れ、穏やかなスープがライムで急に明るくなります。
これがボボー(បបរ、Borbor とも書きます)、カンボジアの米粥です。カンボジアの旅行・暮らしの記事では、朝食の人気者であり、夜食としても食べられると紹介されています。この記事で作るのは鶏肉入りのボボー・サイ・モアン。乾いた鍋で煎ったジャスミン米を、骨付きの鶏もも肉としょうがと一緒に煮て、鶏をほぐして戻してから魚醤と塩で味を調えます。
このレシピは世界ごはん紀行編集部では試作していません。分量と手順は、公開されている一つのレシピにできるだけ忠実に従い、レシピにない時間の書き足しはしていません。
鶏入りボボーと具なしボボー:この記事で扱う範囲
ボボーには、これと決まった一つのレシピがあるわけではありません。公開されている例には、具をまったく入れないものもあれば、鶏のほかに豚や魚で作るものもあります。2014年の、ある食堂を取り上げたニュース記事(Phnom Penh Post の記事をTourism Cambodiaが再掲したもの)には、鶏または豚のだしで炊き、豚ひき肉、えび、もやし、揚げ玉ねぎ、ゆで卵、揚げた米紙を添えるボボーが出てきます。これは一軒の店のその時点の作り方で、全国共通の型ではありませんが、トッピングの幅の広さがよくわかります。
この記事で再現するのは、Cambodian Cookbook Kitchen の「Bobor Sach Moan」ただ一つで、4人分のレシピです。分量はそのまま使い、ほかのレシピの数字とは混ぜません。このレシピが決めていない点は、こちらでも決めないままにしています。
- 鶏肉は「もも肉(骨付き)1本」で、重さの記載はありません。
- もやしは「2つかみ」、香草は「1束」で、こちらも重さの記載はありません。
- 白胡椒と、卓上で足す魚醤の量は書かれていません。
- レシピページには調理時間75分と書かれていますが、手順には乾煎り約2分と弱火で約1時間とあります。数字が合わないため、この記事では合計時間を示しません。
同じレシピには、ひとつかみのもち米を足す案も任意として出ています。材料リストには入っていないので、基本のレシピからは外し、アレンジの項だけで触れます。
この記事の調べた範囲では、料理の起源、名前の由来、近隣国の米粥との関係を裏づけられる資料はありませんでした。そのため、それらについては何も述べません。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 水2.5Lと米、鶏が入る大きさの厚手の鍋
- 乾煎りとかき混ぜに使う木べらかへら
- 泡をすくうスプーンまたはお玉
- 鶏をほぐすための清潔な皿(生のときに鶏を載せた皿とは別のもの)
- 鶏の中心温度を確かめる料理用温度計
- 粥をよそうお玉、器、トッピング用の小皿
選び方と代用:米、魚醤、揚げにんにく
米は、ジャスミン米なら穏やかな香りがあり、煮ると粒が開きます。日本の短粒米でも粥にはなりますが、香りも粒のくずれ方も違うので、同じ料理ではなく食感の違うボボーになると考えてください。
魚醤は、魚醤と表示された普通のものでかまいません。特定のブランドは必要ありません。塩気も発酵の香りも製品によって差があるので、まず表の大さじ2で作り、足りなければ鍋に足さず卓上で調整します。魚醤を避けたい場合は醤油で代用できますが、塩気が変わり、発酵魚の香りもありません。同等品ではなく、別のバージョンとして考えてください。
揚げにんにくは、市販品を使えば手間が省けます。揚げ油がついているかどうかで、香りも口当たりも変わります。油がないものだと、香りも口当たりも違ってきます。
白胡椒は、黒胡椒とは香りが違います。可能なら、この料理のために白胡椒を卓上に用意してください。
薬味は器ごとに足す

ボボーの魅力は、穏やかでやさしい粥と、最後に加える鋭く、しゃきしゃきして香り高いものとの対比にあります。生のもやしはやわらかい米に対して歯ざわりを保ち、揚げにんにくは香ばしいコクをもたらし、青ねぎと香菜はさわやかさを添え、ライムは酸味で味を引き締め、白胡椒は静かな温かさを加えます。
IPS Cambodia は、ボボーに添えるものとして鶏肉、青ねぎ、揚げにんにく、魚醤、胡椒、ライム、唐辛子を挙げています。また、朝や夜遅くに屋台で売られ、食堂では日中を通して食べられていると説明しています。これらはあくまで例であり、すべての家庭がそうしているという意味ではありません。このレシピでは、鍋は魚醤と塩で味つけし、トッピングは各自が器で足します。酸っぱくしたい人と胡椒を効かせたい人がいても、同じ鍋で対応できます。
具と食感を変える
具や組み合わせを変えるときは、分量や手順をそれぞれ分けて考え、この鍋の作り方と混ぜないでください。
- 具なしのボボー。 具を入れない作り方もあります。鶏を抜くとだしの深みが変わるので、卓上のトッピングが味を担う割合が大きくなります。
- 豚や魚。 豚や魚を使う作り方もあります。分量や時間はここでは扱わないため、この鍋の鶏を置き換えず、別の作り方に合わせてください。
- 食堂風のトッピング。 2014年に食堂で提供されていた一例では、豚ひき肉、えび、ゆで卵、揚げた米紙が添えられます。器がより充実した、手の込んだ食事に近づきます。
- ひとつかみのもち米。 もち米を加える作り方もあります。食感が変わるため、基本の分量には含めていません。
- 市販の揚げにんにくや、ほかの米。 どちらも使えますが、上の「選び方と代用」のとおり、香りと食感が変わります。
失敗したときは:固い、焦げた、味がぼやける

ボボーの失敗の多くは、思ったより粥が固くなる、鍋底が焦げつく、味つけを一度にしすぎる、のどれかです。固くなる前に火を止めること、底からかき混ぜることが、いちばんの予防になります。
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 粥が固まりになった | 置いている間や器に運ぶ間も、米が汁を吸い続ける | ゆるいうちに火を止める。出す前に、熱湯を少しずつ加えて混ぜる。冷たい水で薄めない |
| 底が焦げた | 火が強すぎる、混ぜていない | 厚手の鍋を使い、火を弱く保ち、鍋底から定期的に混ぜる |
| 味がぼやける | 鍋の味つけを控えめにしている | 鍋全体に大量に足すのではなく、器ごとに魚醤、ライム、白胡椒、揚げにんにくを少しずつ足す |
| 鶏の中心が十分に熱くない | 厚い肉、または取り出すのが早かった | 煮立っている鍋に戻し、いちばん厚い部分が75°Cに達して1分以上保たれるまで煮る |
| 米粒がまだ形を保ち、汁が澄んでいる | 煮る時間が足りない | 弱火で、底から混ぜながら、米粒が開いて汁が乳白色になるまで煮続ける |
残りものと温め直し
鶏入りの米粥は、冷めてからの扱いに気をつけてください。残りは小さな浅い容器に分けて早く冷まし、冷蔵庫に入れます。鍋のまま長く室温に置かないでください。食べるときは、中まで熱くなるよう十分に再加熱します。固くなっているので、温めながら熱湯を少し加えてゆるめましょう。もやし、香草、ライムは粥に入れて保存せず、食べるときに新しく添えてください。
保存期間は確認できていません。
よくある質問
ボボーはどんな料理ですか?
ボボーはカンボジアの米粥です。IPS Cambodia は、朝食の人気者であり、夜食としても食べられると紹介しています。各自が器でトッピングを足すのが一般的で、具なしでも、鶏、豚、魚でも作られます。この記事では鶏肉入りのボボー・サイ・モアンを扱います。
ジャスミン米でないとだめですか?
いいえ。ただし仕上がりは変わります。ここで従ったレシピは、香りと粒の開き方のためにジャスミン米を使っています。日本の短粒米でも粥にはなりますが、香りと食感は違ってきます。
米の「1カップ」はどのくらいで、鶏の重さはどれくらいですか?
ここで従ったレシピは、どのカップの基準を使っているかも、もも肉1本の重さも書いていません。そのため、この記事では「1カップ」「もも肉1本」をそのまま書き、グラムを推測していません。もやしの「2つかみ」、香草の「1束」も同様です。
どのくらい時間がかかりますか?
レシピページには調理時間75分とありますが、手順には乾煎り約2分、弱火で約1時間とあります。合わないため、合計時間は示していません。米粒が開いて汁が乳白色になること、鶏の中心が75°Cで1分以上になることを目安にしてください。
粥が固くなりすぎました。どうすればいいですか?
ゆるい流れ方に戻るまで、熱湯を少しずつ加えて混ぜます。冷めると固くなるので、少しゆるいうちに火を止めておくと楽です。
鶏なしでも作れますか?
作れます。具なしのボボーも実在するバージョンの一つです。ここでの鶏肉版とは別の料理で、だしが軽くなるぶん、卓上のトッピングの役割が大きくなります。
残った粥はどうすればいいですか?
小さな浅い容器に分けて早く冷まし、冷蔵庫に入れます。長く室温に置かず、中まで熱くなるまで十分に再加熱し、熱湯を少し加えてゆるめてください。











