サンバル・バカサン|発酵魚と唐辛子と柑橘が、小さな器にひとまとめ
市販のバカサンを大さじ1で、塩気と発酵魚の深い旨み。赤唐辛子と赤シャロットで辛みと鋭さ、トマトでみずみずしさ、ジェルック・リモ(jeruk limo)で明るい柑橘の香り。仕上げに燻製カツオのほぐし身を混ぜ込みます。主菜ではなく薬味なので、少量で十分に働きます。
マナドの食卓では、焼き魚やティヌトゥアン(tinutuan、マナドで食べられるお粥)のそばに、粗くつぶした赤いサンバルの小鉢が置かれます。インドネシアの公共放送RRIは、ダブダブ・バカサンをこうした料理に添えるマナドの辛いサンバルとして紹介し、この地域の出身者にとっては故郷の味を思い出させる風味だと伝えています。
このサンバルの個性をつくるのが、北スラウェシと北マルクの発酵魚調味料、バカサン(bakasang、ベカサン bekasang とも書きます)です。この記事で扱うのは、その発酵調味料を作ることではありません。市販の完成品のバカサンを使い、赤シャロット、赤唐辛子、トマト、しょうが、塩と一緒につぶし、ジェルック・リモの果汁で香りを立て、燻製カツオを混ぜるところまでです。火は使いません。
このレシピは、世界ごはん紀行ではまだ台所での試作をしておらず、できあがりの量も測っていないため、何人分とは書きません。インドネシアのほかの料理はインドネシアのページからどうぞ。
バカサンとは何か
バカサンは、インドネシアで記録のある発酵魚の製品です。IPB大学の研究は北マルクの伝統的な製品として紹介しており、IPB大学リポジトリにある学位論文は、北スラウェシのものを小魚、または大きな魚の内臓を発酵の前に塩漬けにして作ると説明しています。作り手によって原料はカツオの内臓、魚卵、小魚などさまざまで、研究で調べた製品の香りや味わいにも幅がありました。つまり唯一の「標準的なバカサン」はなく、瓶が違えば味もかなり違う可能性があります。
bakasang と bekasang の二つの表記が使われています。名前の由来や、いつ頃から使われているかは確認できなかったため、この記事では起源の話は載せません。
米国食品医薬品局(FDA)は、マグロやサバなどの魚は扱いを誤るとヒスタミンがたまることがあり、いったんできてしまったヒスタミンは、加熱、冷凍、燻製、塩蔵、缶詰加工では取り除けないと説明しています。バカサンの発酵条件も、研究によって大きく異なります。たとえばIPB大学のある研究は塩分25%で、0、2、4、6、8日の試料を観察しましたが、これは研究の条件であって、家庭向けの方法ではありません。こうした理由から、この記事は魚の内臓を使う家庭での発酵方法を紹介しません。完成した市販品を使い、ラベルを読んで、表示された取り扱いと保存の指示に従ってください。においや見た目だけで安全かどうかを判断しないでください。
このレシピについて
分量と作り方は、コミュニティ投稿型の文化サイト Budaya Indonesia に載っているサンバル・バカサンのレシピに沿っています。そのレシピの作り方にはカバイ・ラウィット(cabai rawit、小粒の唐辛子)が出てきますが、材料欄に分量がないため、推測で足さず入れていません。できあがりの量も書かれていません。
RRIのダブダブ・バカサンの説明は、大事な点で異なります。完成したバカサンを加熱してから混ぜる、という版です。これは別の版なので、この記事は生のまま、つぶして混ぜる方法だけに従い、二つを組み合わせていません。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 魚をほぐす清潔なボウル
- すり鉢とすりこぎ(石のすり鉢が向いています)
- 混ぜるためのスプーン
- 盛り付け用の器
選び方と代用
バカサンは、完成した市販品を買い、ラベルの原材料表示と取り扱いの指示を確認してください。塩分は製品によって違い、できあがりの塩気にも響きます。見つからない場合、魚醤や市販の一般的なサンバルで風味の一部だけは代えられますが、それはサンバル・バカサンとは別のサンバルになります。
燻製カツオは、ほかの地域で売られている燻製のカツオやカツオ類でも作れますが、乾き具合や燻した香りの強さにかなり差があり、食感も香りも変わります。
赤シャロットは赤玉ねぎで代えられますが、水分が多く、鋭さの質も違います。赤唐辛子は大きさが一定ではないので、辛さも変わります。
小さなインドネシアの柑橘であるジェルック・リモ(jeruk limo)には独特の香りがあります。ライムや、手に入ればすだちが代わりになりますが、同じ香りにはなりません。
マナド流の食べ方

RRIは、マナドでダブダブ・バカサンを一緒に食べる料理として、焼き魚、ティヌトゥアン、とうもろこし、揚げバナナを挙げています。薬味として扱い、小皿を食卓に置いて、食べる人がそれぞれ皿に少し取ります。風味が強いので、足すほうが、取りすぎたものを戻すより簡単です。
残った分については、このサンバルの確かな保存期間が確認できていないため、日数は書きません。食べる時間に近いタイミングで作り、覆いをして衛生的に扱い、早めに食べてください。開封したバカサンは、ラベルの指示どおりに保存します。
塩気、香り、食感の調整

できあがりの目安は上の写真のとおりです。粗く、柑橘の果汁でつややかで、トマト、わけぎ、唐辛子、魚の繊維がまだ見分けられる状態です。
| 気づくこと | 考えられる理由 | 試すこと |
|---|---|---|
| しょっぱすぎる | バカサンか燻製魚の塩気が思ったより強い | 次回は塩を控えめにして、最後に味を見ながら足す。試していない調整で、上のレシピの内容ではありません |
| 発酵のにおいが強すぎる | 製品によって強さが違う | レシピを変えず、料理のそばに少量だけ添えて出す |
| ペースト状で水っぽい | つぶしすぎた | つぶす時間を短くして、粒が見えるようにする |
| 柑橘の香りが弱い、または違う | ジェルック・リモの代わりにライムなど別の柑橘を使った | 別の香りになるものとして受け入れる。代用品は同じ果実ではない |
アレンジ
- 辛さを控えめに: 赤唐辛子を減らします。辛さが穏やかになり、魚と柑橘の風味が前に出ます。試していない変更です。
- ジェルック・リモの代わりにライム: インドネシア以外では現実的な方法ですが、柑橘の香りは変わります。
- 燻製カツオなしで: より素朴なバカサンのサンバルになります。ここで使った版の範囲外です。
- 粗さを変える: つぶす時間で食感が変わります。
- 合わせる相手を変える: 焼き魚の代わりに、ティヌトゥアンやゆでとうもろこしに添えます。
よくある質問
バカサンはテラシ(terasi)と同じですか?
この記事の資料は、バカサンを北マルクと北スラウェシの発酵魚の製品として説明しており、テラシと同じものとは扱っていません。どちらか一方でもう一方をそのまま置き換えられると思わないでください。
バカサンの代わりに魚醤は使えますか?
魚醤は、塩気のある魚の旨みの一部を補えますが、味の一部しか代えられません。できあがりは別のサンバルになります。
辛さを抑えるにはどうしますか?
赤唐辛子を減らします。この版では、Budaya Indonesia の作り方に出てくるものの分量が書かれていないカバイ・ラウィットは、すでに入れていません。
バカサンは先に加熱しますか?
RRIは、完成したバカサンを加熱してから混ぜる版を紹介しています。この記事の版は、すべて生のままつぶして混ぜる Budaya Indonesia のレシピに従っています。別々の二つの版なので、手順を組み合わせず、どちらかを選んでください。
バカサンは家庭で作れますか?
この記事ではおすすめしません。発酵条件は研究によって大きく異なり、FDAは、マグロやサバなどの魚のヒスタミンは、いったんできると加熱、冷凍、燻製、塩蔵、缶詰加工では取り除けないと説明しています。完成した市販のバカサンを使い、ラベルに従ってください。
このサンバルを避けたほうがよいのはどんな人ですか?
バカサンと燻製カツオという魚を土台にしています。魚アレルギーのある方は食べないでください。市販品のラベルでほかのアレルゲンも確認してください。










