赤いカニの殻に、溶き卵の筋が入った甘辛いトマトのチリソースをたっぷりからめたチリクラブと、揚げたマントウ
🔪下準備1時間20分
🔥調理25分
🌍料理シンガポール料理

チリクラブの作り方|シンガポールの甘辛トマトソースと蟹

約14分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 7

カニを眠らせて、甲羅を外す

手順1: カニを眠らせて、甲羅を外す

生きたワタリガニは、ふた付きの容器に入れて冷凍庫で1時間置き、動かなくなってから下処理を始めます。流水でたわしを使って殻の汚れを落とし、腹側の三角形のふんどしを外します。甲羅と胴のすき間に親指を入れて、甲羅をはがすように外します。胴の両側にある灰色のひだ状のエラは食べられないので取り除きます。甲羅の中と胴に残る黄色いカニみそは捨てずに、小さな器に取っておきます。作業はカニ1杯につき5〜10分ほどです。

STEP 22 / 7

爪を外し、胴を4つに切り分ける

手順2: 爪を外し、胴を4つに切り分ける

はさみのついた爪の脚を根元からねじって外し、包丁の背かめん棒で殻を軽くたたいて、ひびを入れます。こうしておくと、ソースが中まで入り、食べるときも割りやすくなります。胴は重めの包丁で縦半分に切り、さらにそれぞれを横半分にして、1切れに脚が2本ずつつくよう4等分します。切り分けたら、ペーパータオルで水気を拭きます。

STEP 33 / 7

唐辛子のペーストを作る

手順3: 唐辛子のペーストを作る

フードプロセッサーかブレンダーに、薄切りの玉ねぎ、にんにく4片、種を除いた赤唐辛子6本、トマトケチャップ大さじ1、ブラチャン小さじ1を入れ、1〜2分回します。途中で一度止めて側面についたものをへらで落とし、粒が見えないなめらかなペースト状になるまで回してください。水分が少なく回りにくい場合は、水を大さじ1足します。

STEP 44 / 7

ペーストを油で炒める

手順4: ペーストを油で炒める

中華鍋にサラダ油60mlを入れて中火で熱し、ペーストを加えて木べらで混ぜながら約5分炒めます。はじめは水分でぐつぐつと煮えていますが、だんだん水分が飛んで色が濃いオレンジに変わり、ペーストのまわりに赤い油がにじみ出てきます。生の玉ねぎとにんにくの匂いが消え、甘く香ばしい香りが立ち、ペーストがぽってりとまとまれば炒め上がりです。ブラチャンの強い匂いも、ここで香ばしさに変わります。

STEP 55 / 7

カニを入れて炒め、煮汁を加えて煮る

手順5: カニを入れて炒め、煮汁を加えて煮る

切り分けたカニを殻ごと鍋に入れ、塩小さじ1/4をふって、2〜3分ほど全体にペーストをからめながら炒めます。殻の色が青みがかった灰色から赤く変わり始めたら、トマトピューレ、鶏ガラスープ、パームシュガー、酢、しょうゆを加えて煮汁が全体になじむまで混ぜ、取っておいたカニみそも加えます。ふたをして中火のまま10〜15分煮ます。殻がすっかり赤くなり、太い爪の身が白く不透明になっていれば火が通っています。

STEP 66 / 7

カニを取り出し、卵でソースを仕上げる

手順6: カニを取り出し、卵でソースを仕上げる

カニを大皿に取り出し、鍋に残ったソースを中火にかけたまま、水溶きコーンスターチを少しずつ回し入れて混ぜます。30秒ほどでとろみがついたら、溶き卵を細く垂らしながら、鍋の中をゆっくり大きく混ぜ続けます。卵がふわっと固まり、ソースの中にリボンのような筋ができれば成功です。最後にバター20gと小ねぎを加えて溶かし、味を見て足りなければ塩で調えます。

STEP 77 / 7

ソースをかけて盛り付ける

手順7: ソースをかけて盛り付ける

大皿のカニの上から、仕上げたソースをたっぷりかけます。香菜と赤唐辛子の薄切りを散らし、温めたマントウを添えて、すぐに食卓へ出します。手で殻を割って食べるので、フィンガーボウルとたっぷりのおしぼりやナプキンを用意しておきます。

カニは中まで十分に加熱してください。殻がすべて赤くなり、身が白く不透明で、透き通った部分がないことを確かめます。生きたカニを扱うときは、はさみに指をはさまれないよう、冷凍庫でしっかり動かなくなってから作業してください。

溶き卵を一度に入れると、ソースの中で大きなかたまりになってしまいます。箸を伝わせるように細く垂らし、ソースはゆっくり混ぜ続けるのがコツです。火が強すぎると卵がぽろぽろになるので、中火を保ってください。

0 / 0
Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

チリクラブの材料のワタリガニ、玉ねぎ、にんにく、赤唐辛子、ケチャップ、ブラチャン、トマトピューレ、パームシュガー、卵、バター

3品目

カニ

材料 分量 代替・備考
ワタリガニ 2杯(約800g) 原文はノコギリガザミ大1杯。冷凍品でも可
サラダ油 60ml —
塩 小さじ1/4 —
5品目

唐辛子のペースト

材料 分量 代替・備考
玉ねぎ 中1個 薄切り
にんにく 4片 —
生の赤唐辛子(大きめ) 6本 種を除く
トマトケチャップ 大さじ1 —
ブラチャン(えびペースト) 小さじ1 なくても可
11品目

煮汁と仕上げ

材料 分量 代替・備考
トマトピューレ 250ml カットトマト缶1缶(400g)でも可
鶏ガラスープまたは水 250ml 魚のだしでも可
パームシュガー 大さじ2 細かく削る。きび砂糖でも可
酢 大さじ1 穀物酢
しょうゆ 大さじ1 —
コーンスターチ 小さじ1 冷水大さじ2で溶く
卵 1個 溶きほぐす
バター 20g —
小ねぎ(青い部分) 3本 5cm長さに切る
香菜、赤唐辛子の薄切り 各少々 飾り用
揚げマントウまたは蒸しマントウ 6個 フランスパンでも可
注意

この料理にはかに、えび(ブラチャン)、卵、乳(バター)、小麦・大豆(しょうゆ、マントウ)が入ります。かにとえびは、食物アレルギー表示の対象になっている食品です。甲殻類アレルギーのある人は食べられません。カニの殻の切り口は鋭いので、さばくときも食べるときもけがに気をつけてください。


0 / 0
Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

大皿に、真っ赤に染まったカニの殻が山のように積まれています。殻のすき間からあふれるのは、トマトと唐辛子のとろりとしたオレンジ色のソース。溶き卵がふわふわの筋になって浮かび、甘くて辛くて、少し酸っぱい匂いが立ちのぼります。テーブルの客は皆、手をソースだらけにして殻を割り、揚げたての丸いパンをちぎってはソースをぬぐいます。シンガポールの夜の食卓の主役、チリクラブ(Chilli crab)です。

カラン川の屋台から始まった、シンガポールの看板料理

使い込んだ中華鍋でカニと赤いチリソースを炒める調理風景

チリクラブの誕生には、一組の夫婦の物語が語り継がれています。1950年代、シンガポールに暮らしていたチェル・ヤムティエン(Cher Yam Tian)が、夫のリム・チュンギー(Lim Choon Ngee)がとってきたカニを、トマトと一緒に炒める料理を試していました。夫が「甘すぎる」と言って唐辛子を足すように勧めたことが、チリクラブの最初の一皿になった、と二人の息子が営むレストランは伝えています。

1956年、夫婦はシンガポール東部を流れるカラン川のほとりに、小さな屋台を出しました。営業許可がないまま始めたため、ときには取り締まりの係官を避けて屋台を移動させることもあったそうです。評判になった夫婦は、1960年代はじめにはアッパー・イーストコースト・ロードにレストランを開きます。今のチリクラブの形を作ったのは、その後、1960年代にレシピを工夫した料理人フイ・コクワイ(Hooi Kok Wai)だとされています。彼はレモン汁や酢、サンバル、トマトペースト、卵白を加え、とろみがあって酸味の立つソースに仕上げました。

豆知識

唐辛子そのものは、16世紀にポルトガル人がマレー半島のマラッカに持ち込んだといわれています。それまでマレーの料理では、辛みにこしょうを使っていました。チリクラブの赤い辛さの奥には、数百年にわたる交易の歴史があります。

今ではシンガポール料理の代表格として知られ、アメリカのCNNの旅行サイトが選んだ「世界のおいしい料理50」にも入りました。隣のマレーシアでも食べられていて、どちらの料理かをめぐって話題になることもあります。カニは、殻の硬いノコギリガザミ(マッドクラブ)を使うのが一般的です。食べるときは揚げたり蒸したりした小さなパン「マントウ(饅頭)」を添え、ソースをすくって最後まで楽しみます。


日本の台所で作るときに知っておきたいこと

日本で手に入るワタリガニ、ブラチャン、パームシュガー、トマトピューレ、赤唐辛子、揚げマントウ

この記事の配合は、オーストラリアの料理家アダム・リャウがSBS Foodで紹介しているレシピを基にしています。原文はノコギリガザミ大1杯ですが、日本では入手が限られるので、鮮魚店やスーパーで手に入りやすいワタリガニ2杯(約800g)に置き換えました。ワタリガニは殻が薄く身が甘いので、ソースがよく絡みます。冷凍のワタリガニでも作れます。冷凍品は前日から冷蔵庫でゆっくり解凍してください。

ソースの奥行きを出すのが、ブラチャン(マレー語でえびペーストのこと)です。小えびを発酵させて固めたもので、強い匂いがありますが、加熱すると香ばしい旨みに変わります。アジア食材店や通販で手に入ります。原文でも「お好みで」とされているので、なくても作れますが、入れたほうが現地らしい深い味になります。パームシュガーは、なければきび砂糖で代用できます。

コツ

生の赤唐辛子は、細長く大きいもの(タイの長い唐辛子のような種類)を選び、種を除いて使います。香りと赤い色が主役で、辛さはおだやかです。小さく辛い唐辛子だけで作ると、ペーストが辛くなりすぎます。手に入らなければ、赤パプリカ1/2個に、乾燥赤唐辛子2本を水で戻して合わせると、色と辛さの目安になります。

マントウは、冷凍の揚げマントウ(揚げ饅頭)や蒸しマントウが、中華食材店や業務用スーパーで手に入ります。揚げマントウはオーブントースターで温め、蒸しマントウは蒸し器か電子レンジで温めます。フランスパンを厚めに切って焼いたものでも、ソースはしっかりぬぐえます。


手を汚して食べるのが、いちばんおいしい

チリクラブの殻を手で割り、揚げマントウでソースをぬぐって食べる食卓
殻を手で割り、マントウでソースをぬぐいながら

チリクラブは、行儀よく食べる料理ではありません。殻を手で割り、身をすすり、指についたソースまで味わいます。カニの身を食べ終えたら、皿に残ったソースが本番です。揚げマントウをちぎって、皿の底までソースをぬぐうようにして食べてください。カリッと揚がったマントウの甘さが、ソースの辛さと酸味によく合います。

シンガポールの海鮮料理店では、チリクラブと一緒に、黒こしょうをたっぷり使ったブラックペッパークラブも定番です。家で魚介を続けるなら、魚を酸っぱ辛いソースで煮るアッサムペダスや、屋台の牡蠣オムレツ蚝煎、バナナの葉で包んで焼く魚のすり身オタオタと並べてみてください。

豆知識

チリクラブを生んだチェル・ヤムティエンの夫婦は1985年に店を手放しましたが、息子のローランド・リムが味を受け継ぎ、のちにマリン・パレードに自分のレストランを開きました。屋台の夫婦から始まった一皿は、今もシンガポールの家族経営の店に受け継がれています。

アレンジの楽しみ方

えびで作ったチリソースと、残ったソースに麺を和えた一皿

カニの代わりに、殻付きの大きなえびで作ることもできます。えびは背わたを取り、殻付きのままペーストで炒め、煮る時間を3〜5分に短くしてください。身が白くなり、くるんと丸まったら火が通っています。ソースの作り方はカニと同じです。

残ったソースは、ゆでた中華麺を和えたり、ご飯にかけたりしても楽しめます。辛さを抑えたいときは、赤唐辛子の一部を赤パプリカに替えると、色はそのままで辛さだけ控えめになります。逆に辛くしたいなら、ペーストに小さく辛い生唐辛子を2〜3本足してください。

よくある質問

冷凍のワタリガニを冷蔵庫で解凍する様子

冷凍のカニでも作れますか?

作れます。前日から冷蔵庫に移し、ゆっくり解凍してから下処理をしてください。すでにゆでてある冷凍のカニを使う場合は、煮る時間を5分ほどに短くし、温まれば十分です。長く煮ると身が硬くなります。

ブラチャンがないと味は変わりますか?

原文でもお好みの材料とされていて、なくても作れます。ただ、ブラチャンを入れると、えびの発酵した旨みでソースに深みが出ます。代わりにナンプラーを小さじ1ほど加えると、魚介の旨みを少し補えます。

作り置きはできますか?

カニの身は時間がたつと硬くなり、ソースの卵も分離しやすいので、作ったその日のうちに食べきってください。残ったソースだけなら、冷蔵庫で翌日まで保存し、鍋で沸騰するまで温め直して使えます。

マントウがない場合は?

フランスパンやバゲットを厚さ2cmほどに切り、トースターで焼いて添えると、ソースをぬぐうのにちょうどよくなります。白いご飯にソースをかけて食べるのもおすすめです。

主な参考リンク

レシピ一覧に戻る