ソンビ ― 粒の残る米を、甘いバニラミルクで包む
米はひと粒ずつ形を保ってやわらかく、まわりの牛乳は甘く、ほんの少しとろみがついてバニラが香ります。米は先に水でゆで、そのあとで牛乳で仕上げます。
牛乳の鍋から湯気が上がり、中で煮えていた米が器によそわれていきます。淡い色の甘い汁のなかに、米粒がまだはっきり残っています。地域の料理本のなかで、Kadyという人が、ソンビをセネガルでの子どもの頃のおやつとして思い出しています。これはひとりの記憶であって、国全体の決まりではありません。ただ、家庭のなかでこの料理が占める場所はよく伝わってきます。米から作る、素朴で甘いおやつです。
「ソンビ(Sombi)」は、ひとつのレシピだけを指す名前ではありません。セネガル農村部のニアカール(Niakhar)の調査には、米と水と氷砂糖で作る甘い米粥として記録されています。セネガルの料理本には、牛乳と砂糖とバニラで作る版が載っています。現代のセネガル人の料理家は、ピーナッツ粉を使うSombi guerteを作っていますし、セネガルのデザートを紹介する文章にはココナツミルク版も出てきます。この記事では、料理本にある牛乳版を軸にして、ほかの型は材料表に混ぜずに別々に扱います。同じ国の料理はセネガル料理のページでも紹介しています。
このレシピは、世界ごはん紀行では試作していません。分量と時間は、参照したレシピに載っているとおりです。そのレシピには出来上がりの量も何人分かも書かれていないため、この記事でも示しません。
セネガルのソンビは、家庭ごとに姿が違う
資料から見えるソンビは、ひとつの決まった配合ではなく、甘い米料理の仲間です。 セネガル農村部ニアカールの思春期の女の子たちの食事調査では、ソンビは米、水、氷砂糖で作る甘い米粥として記録されています。同じ調査は、これを穀物や牛乳を使うほかの料理と区別しています。ただしこれは調査対象になった一つの地域の記録で、全国共通の定義を示すものではありません。
牛乳の入れ方は、資料ごとに違います。フランスの国際連帯委員会(CFSI)の乳製品に関する資料は、ソンビをriz au lait sénégalais(セネガル風ライスプディング)として紹介しています。牛乳、砂糖、バニラで作る版で、このレシピはYoussou N'Dourの2004年の料理本『Sénégal, la cuisine de ma mère』(Minerva)からの抜粋だと資料に書かれています。新聞Le Soleilが料理家Ibrahima Ndoyeを取り上げた記事には、米、塩、砂糖、コンデンスミルク、粉乳、ピーナッツ粉で作るSombi guerteが出てきます。地域の料理本『Fai(ê)tes en marmites !』のKadyの版は、米を水に浸してから牛乳で煮るクリーミーなミルクソンビです。フランス語のサイトVivre au Sénégalは、ココナツミルク、ココナツの果肉、砂糖、バニラ、塩、炊いた米、ライムを使う別のレシピを、温かいかぬるめのデザートか朝食として紹介しています。開発NGOのレシピ資料、新聞の人物記事、個人の地域料理本、入門的なウェブサイトと、資料の性格はばらばらです。
料理の起源、名前の意味、儀式や宗教行事での役割は、これらの資料からは確かめられません。 そのため、この記事ではどれも断定しません。料理本のレシピを採るのは、分量がそろい、手順の順番がはっきりして、時間も具体的に書かれているからです。
資料に見られる型の違い
| 型 | 入るもの | 出どころ |
|---|---|---|
| 水のソンビ | 米、水、氷砂糖 | ニアカール農村部の食事調査 |
| ミルクのソンビ(このレシピ) | 香りのある長粒米、牛乳、砂糖、バニラ、塩 | 2004年のセネガルの料理本のレシピ(CFSIが再掲) |
| Sombi guerte | 米、塩、砂糖、コンデンスミルク、粉乳、ピーナッツ粉 | Le Soleilが紹介した現代の料理家。分量の記載なし |
| ココナツのソンビ | ココナツミルク、ココナツの果肉、砂糖、バニラ、塩、炊いた米、ライム | Vivre au Sénégalの入門的なレシピ |
ミルクのソンビの材料

| 材料 | 分量 | 代替・備考 |
|---|---|---|
| 香りのある長粒米(riz long parfumé) | 250 g | 先に水でゆで、そのあと牛乳で仕上げる |
| 水 | 適量 | 米をゆでるためにたっぷり。湯切りして捨てる |
| 牛乳(lait) | 1L | 米を仕上げ煮する液体 |
| グラニュー糖(sucre semoule) | 125 g | 牛乳で10分煮たあとに加える |
| バニラシュガー(sucre vanillé) | 2袋 | バニラの香り。バニラビーンズとどちらか一方だけ使う |
| バニラビーンズ(gousses de vanille) | 2本 | バニラシュガーの代わりに使う |
| 塩 | ひとつまみ | 甘さを整える |
バニラはバニラシュガーかバニラビーンズのどちらか一方だけを使います。水は米をゆでるためだけのもので、湯切りして捨てます。
選び方と代用
米。 香りのある長粒米を使います。ジャスミンライスは手に入りやすい候補で、香りや米粒の特徴が近いものですが、あくまで実用上の代用で、香りや食感は変わることがあります。ふつうの長粒米でも作れますが、香りと食感は違ってきます。
牛乳。 全乳が現実的な選択肢のひとつです。植物性ドリンク、粉乳、コンデンスミルクは、牛乳とは脂肪分、甘さ、コクが違います。牛乳を置き換えたときは、このレシピそのものではなく、自分なりのアレンジとして考えてください。
砂糖とバニラ。 グラニュー糖の代わりには、上白糖などの白砂糖が手軽です。粒の細かさや風味が少し変わります。砂糖125gはこのレシピの一部で、減らすと料理が変わります。
添えるもの。 プレーンヨーグルトやフロマージュブランは、食べるときに皿の脇に添えたり、少量を上にのせたりできます。あくまで任意で、鍋には混ぜません。
道具
- たっぷりの湯で米をゆでる鍋
- 牛乳用の厚手の片手鍋。弱い沸騰を保ちやすく、焦げつきにくくなります
- ゆでた米の湯を切る、目の細かいざる
- 米が牛乳で煮える間に、鍋底をこすりながら混ぜる木べら
- 米を洗うボウル
作り方
米を水でゆでて湯切りし、牛乳で煮て、砂糖とバニラを加えてもう一度煮る、という流れです。
米は先に水で、次に牛乳で煮ます。砂糖とバニラは、牛乳で10分煮たあとに入れます。牛乳は弱い沸騰を保ち、鍋のそばを離れないでください。
米250gをたっぷりの水に入れ、手でかき混ぜるように洗います。水の濁りが薄くなったら、ざるにあげて水を切ります。

- 米を水で30分ゆでる
たっぷりの湯を沸かして米を入れ、弱火で30分ゆでます。鍋やコンロによって違いがあるので、最後に1粒かんでみてください。中心が硬くなければ大丈夫です。まだ硬いようなら、もう少しゆでます。

- 米の湯を切る
米をざるにあけて、湯をよく切ります。米粒は崩さず、押したりつぶしたりしないでください。

- 牛乳と塩を沸かす
別の片手鍋で、牛乳1Lと塩ひとつまみを沸かします。牛乳はすぐに吹き上がって吹きこぼれるので、鍋のそばを離れずに見ていてください。沸いたらすぐに火を弱めます。

- 牛乳で米を10分煮る
湯切りした米を牛乳に加えます。

弱い沸騰を保って10分煮ます。ときどき木べらで、鍋底をこするように混ぜて、米と牛乳が張りつかないようにします。

- 砂糖とバニラを加える
砂糖125gを加え、続けてバニラシュガー2袋かバニラビーンズ2本のどちらかを入れます。バニラは一方だけにして、砂糖をさらに足すことはしません。

- さらに10分煮る
弱い沸騰を保ったまま、鍋底を混ぜながらもう10分煮ます。米粒が残り、まわりの牛乳が少しとろりとしたところで火を止めます。

- ぬるめか冷たくして食べる
ソンビを器によそって、ぬるめのまま食べます。冷たくして食べるなら、粗熱を取ってから食べるまで冷蔵庫に入れます。冷たくする場合は、浅い容器に小分けして早く冷まします。好みで、食べるときにヨーグルトかフロマージュブランを少し添えてください。

焦げついた、吹きこぼれた、まだ硬い ― 鍋の中のトラブル対処
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 牛乳が鍋底に張りついたり焦げたりする | 火が強すぎる、混ぜ方が足りない | 牛乳が沸いたら弱い沸騰を保ち、木べらで鍋底をこまめに混ぜます。焦げついたときは、焦げた層を残りにこすり込まないでください |
| 牛乳が吹きこぼれる | 強火のまま目を離した | 牛乳が上がってくる間は鍋のそばにいて、沸いたらすぐに火を弱めます |
| 米の中心がまだ硬い | 米の種類、鍋、コンロの違い | 30分は目安です。水でゆでた後に1粒かんでみて、中心がまだ硬ければ、湯切りの前にもう少しゆでます |
| 甘すぎる | このレシピでは砂糖125gが決まった量 | プレーンヨーグルトかフロマージュブランを脇に添えます。砂糖を減らすと料理が変わるので、自分なりのアレンジとして考えてください |
| 牛乳アレルギーや乳糖不耐症がある | 牛乳をもとにしたレシピ | このままでは向きません。植物性ミルクや乳糖ゼロの牛乳での仕上がりは試していませんし、同じレシピにもなりません |
残りの扱いと温め直し
炊いた米と牛乳の料理を、室温に長く置かないでください。残りは浅い容器に小分けして早く冷まし、すぐに冷蔵して、早めに食べます。温め直すときは、鍋底まで混ぜながら全体をしっかり加熱します。
食べ方のいろいろと、ほかのソンビ
最初の4つは、この牛乳のレシピをそのままに、食卓への出し方だけを変えるものです。最後のひとつは、同じ仲間の別の料理で、このレシピの中での置き換えではありません。
- ぬるめで。 作ってすぐ、鍋の温かさが残っているうちに食べます。
- 冷たくして。 浅い容器で早く冷まし、冷蔵してから出します。
- ヨーグルトを添えて。 プレーンヨーグルトを脇に、または上に少量のせます。鍋には混ぜません。
- フロマージュブランを添えて。 ヨーグルトの代わりにフロマージュブランを使います。どちらか一方で十分です。
- ほかの型も知る。 ニアカールの水と氷砂糖の粥、ピーナッツ粉を使うIbrahima NdoyeのSombi guerte、ココナツ版は、それぞれ材料も作り方も違います。このレシピの簡単なアレンジとしてではなく、別の料理として向き合うのがよいでしょう。
ほかの甘い穀物料理とは別もの
ココナツ版ソンビを紹介したVivre au Sénégalの記事は、ソンビをセネガルのデザートや、チアクリ(thiakry)のようなミレットの料理と並べて扱っています。覚えておきたい違いは穀物です。チアクリはミレットの料理で、ソンビは米で作ります。
よくある質問
ソンビとは何ですか?
セネガルの甘い米料理で、形は資料によって違います。ニアカールの農村調査には米、水、氷砂糖で作る版が記録されていて、セネガルの料理本には、この記事で使う牛乳、砂糖、バニラの版が載っています。これらの資料の中で、ひとつに決まった定義はありません。
ソンビにココナツミルクは使いますか?
使うレシピもあります。Vivre au Sénégalは、ココナツミルク、ココナツの果肉、バニラ、ライム、炊いた米を使う版を紹介しています。ただし、この記事のレシピに使うのは牛乳です。ココナツ版は材料も手順も違うので、代用ではなく別の型として扱います。
温かいほうがよいですか、冷たいほうがよいですか?
料理本のレシピは、ぬるめか冷たくして食べると書いています(tiède ou froid)。冷たくして食べるなら、浅い容器で早く冷まして、冷蔵庫に入れておいてください。
何人分ですか?
このレシピには出来上がりの量も何人分かも書かれておらず、この記事のレシピも試作していないため、人数は示しません。
バニラシュガーの代わりにバニラビーンズを使うには?
レシピには、バニラシュガー2袋の代わりにバニラビーンズ2本を使うという選択肢があり、砂糖と一緒に加えます。さやの扱い方、たとえば種をしごき出すのか、さやごと煮るのかは書かれていません。バニラはどちらか一方だけにしてください。
残りはどう保存しますか?
浅い容器に小分けして早く冷まし、すぐに冷蔵して、早めに食べます。温め直すときは、鍋底まで混ぜながらしっかり加熱します。具体的な日数は示されていません。





