牛肉、キャッサバ、ココナツ ― 重ねて作るコモロの鍋
根元まで柔らかくなったキャッサバ、先に火を通した牛肉、そして最後に加えて短く煮るだけのココナツミルクです。
最初に、牛肉を水と少しの塩で鍋に入れて煮ます。その間にキャッサバの根の皮をむき、中心にある硬い芯を取り除いて、白い身を小さく切ります。次に厚手の鍋へ、キャッサバの半量、牛肉、残りのキャッサバの順に重ねます。水を注いでふたをし、キャッサバが柔らかくなるまで待ちます。ココナツミルクを入れるのは、そのあとです。
これがコモロの牛肉とキャッサバの料理、ムホゴ・ムウィツィ・ワ・ナジ・ナ・グナマです。ここで紹介するのは、料理家のHanane Sohunさんのレシピで、UN Tourismがアフリカの食文化のページと、世界観光機関の書籍 A Tour of African Gastronomy で公表しているものです。添えられた解説では、この料理は短く「mhogo wa nazi」とも書かれ、キャッサバとココナツの組み合わせは人気のある取り合わせとして紹介されています。
材料は生キャッサバ、牛肉、ココナツミルク、塩、水だけです。単純だからこそ、食用として売られているキャッサバを選ぶことと、中まで完全に柔らかく煮ることの2点が仕上がりを左右します。キャッサバの葉を使う料理を探している方は、根ではなく葉を使う別の料理になるので、キャッサバリーフ・シチューをご覧ください。
公表されているレシピでは「Mhogo mwitsi wa nazi na gnama」と書かれ、短い形として「mhogo wa nazi」があります。それぞれの語の意味や由来はここでは扱っていないため、この記事では逐語訳をつけません。
このレシピは、世界ごはん紀行編集部では試作していません。
コモロの食卓にのぼる米、キャッサバ、ココナツミルク
島の料理というと、魚介ばかりを思い浮かべがちです。コモロ料理の一般的な案内では、魚介は広く食べられ、肉よりも手に入りやすいと説明されています。同じ案内は、米とキャッサバが主食であること、ココナツミルクがいくつものソースに使われることも挙げています。ただし、これは料理全体の概説です。この一品の起源、広がり、食べる頻度までを示すものではありません。
公表されているレシピからはっきり言えるのは、この料理に複数の作り方があることです。伝統的な形では乾燥キャッサバを使うとされ、料理家が紹介しているレシピでは生のキャッサバの根を使います。この記事は生キャッサバの版に従います。乾燥キャッサバの戻し方や安全な下処理は資料で扱われていないため、乾燥品を使う作り方は取り上げません。
公表されている方法からひとつだけ変えた点があります。元の方法には牛肉を洗う工程がありますが、ここでは牛肉をただ切って煮ます。生肉の汁が流しの周りに飛ぶのを避けるためです。材料と順序はほかに変えていません。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 重ねて煮るための、ふた付きの底の厚い鍋
- 牛肉を煮るための片手鍋
- よく切れる包丁とまな板
- キャッサバの柔らかさを確かめる竹串か細いナイフ
- 木べらかへら
選び方と代用
キャッサバにはシアン配糖体が含まれています。生では絶対に食べないでください。皮をむき、完全に火を通します。ふつうにゆでるだけでは、これらの成分は程度の差はあっても減る一方で、キャッサバの種類がわからない場合に安全な量まで確実に下げられる方法とは言えません。食用として売られている生キャッサバ、できれば甘味種を使い、販売者から下処理の指示があればそれに従ってください。出所のわからない根、苦味種、正しい扱い方を確かめられないキャッサバは使わないでください。皮や切りくずは鍋に入れないでください。
生キャッサバはどこでも売っているわけではありません。食用として売られていることがはっきりしている店で探し、ラベルを見るか、販売者にどう下処理すればよいかを聞いてください。この作り方のまま、ほかのキャッサバ加工品に置き換えることはしないでください。
牛肉には、すねなど煮込みに向く部位を使います。牛肉を豚肉や魚に替える方法は、このレシピでは扱っていません。
ココナツアレルギーなどの食物アレルギーがある場合は、ココナツミルクの原材料表示とアレルゲン表示を確認してください。
食べ方

みんなで囲む器に、キャッサバと牛肉をココナツのソースをたっぷり添えて盛ります。ここではキャッサバが主食の役目を果たしているので、この一品だけで食事になります。好みでプレーンな米を添える手もありますが、レシピには含まれていません。
うまくいかないとき
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| キャッサバの中心がまだ硬い | 加熱時間が足りない | ふたをして煮続け、いちばん厚い小片を串で確かめる。ココナツミルクはまだ入れない |
| キャッサバが柔らかくなる前に鍋が乾きそう | 水が蒸発した | 一度にたくさん足さず、少しずつ水を足し、ふたは閉めたままにする |
| キャッサバがソースの中で崩れる | 仕上げ煮で強く混ぜすぎた | 鍋底からゆっくり混ぜるか、鍋を軽く揺する |
| 味がぼんやりする | 塩が足りない | 最後に塩を少しずつ足し、また味を見る |
| ソースが好みより濃い、または薄い | 蒸発量と、キャッサバがどれだけ柔らかくなったか | 次回は、ふたと火加減でやさしく調整する。補うためにココナツミルクやほかの材料は足さない |
アレンジと選択肢
- 乾燥キャッサバ: 伝統的な形では乾燥キャッサバを使うとされています。乾燥キャッサバを安全に下処理する方法は資料で扱われていないため、この記事では作り方を示しません。
- 牛肉の選択: 部位は原則どれでも使えます。長く煮るので、すねのような煮込み向きの部位が実用的です。
- 添える米: 必須ではなく、別に盛ります。
- 香辛料、玉ねぎ、トマト: このレシピには含まれません。加えると、この版とは別の鍋になります。
よくある質問
生キャッサバの版と乾燥キャッサバの版は何が違いますか?
公表されている解説では、伝統的な形は乾燥キャッサバを使い、料理家のHanane Sohunさんが紹介するレシピは生のキャッサバの根を使います。この記事は生の版だけに従っています。
水の量がミリリットルではなくカップなのはなぜですか?
公表されているレシピは、牛肉用3カップ、キャッサバ用2カップと書くだけで、カップの大きさを定めていません。換算を作らず、書かれたとおりの量にしています。2回とも同じ計量カップを使い、2回目の段階はキャッサバの柔らかさで判断してください。
キャッサバ1kgは、皮をむく前と後のどちらの重さですか?
公表されているレシピには書かれていません。この記事では、皮つきで買ってきた量として扱います。
塩はどれくらい入れますか?
量は示されていません。牛肉を煮るときに少々入れ、ココナツミルクを加えたあとで味を見て調えてください。
牛肉を煮た湯はどうなりますか?
作り方ではもう一度使いません。牛肉は取り出して、キャッサバと重ねます。重ねた鍋には新しい水を入れます。
キャッサバは、柔らかければ安全ですか?
そうとは限りません。オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は、キャッサバにはシアン配糖体が含まれるため、皮をむいて十分に加熱する必要があると説明しています。また、ふつうの加熱で減るのはおよそ10〜75%で、キャッサバの種類がわからない場合に安全な量まで確実に下がるとは限らないとしています。柔らかさは火が通ったことを示すだけで、どの根でも安全という意味ではありません。食用として売られているキャッサバを選び、販売者の指示に従い、苦味種や正体のわからない根で代用しないでください。
なぜ牛肉を洗わないのですか?
公表されている方法には牛肉を洗う工程があります。ここでは、生肉の汁が流しの周りに飛ぶのを避けるため、牛肉を切ってそのまま煮ます。それ以外のレシピは変えていません。
牛肉の代わりにほかの肉を使えますか?
このレシピでは扱っていないため、置き換えはここでは試していません。












