丸ごとの魚、蓋つきの鍋、トマトと玉ねぎの煮汁
丸ごと一尾の魚、刻んだトマトと玉ねぎ、ひまわり油、水、塩。これをバナナの葉の上で、蓋をして一緒に煮ます。ほかには何も入れません。
厚底の鍋の底に、洗ったバナナの葉を敷きます。葉の上に細かく刻んだ玉ねぎと完熟トマトをのせ、内臓を取った丸ごとのブリームを重ねます。そこへひまわり油と1 Lの水を注ぎ、塩を加えます。蓋をして10分沸かし、火を弱めてさらに20分。
これが、UN TourismがChef Bernard Zulu(通称Chef Zee)の名で掲載している「Boiled bream fish – Zambian style」の骨格です。材料は7つ、工程は5つ。香辛料も、揚げる工程も、葉で包む作業もありません。葉は鍋に敷くだけで、魚を包みません。
この記事は、掲載されているレシピの材料・分量・加熱時間を変えずに紹介します。原典に書かれていない点や、はっきりしない点は、そのように書きます。「ブリーム」はどの魚をさすのか、なぜ工程のひとつにキャベツの葉という言葉が出てくるのか、加熱時間だけで火が通ったと言えるのか。こうした疑問には、以下の各節で答えます。このレシピは世界ごはん紀行編集部では試作していません。鍋の大きさや火通りについての注意は、掲載レシピと一般的な食品安全の指針にもとづくもので、編集部が試した結果ではありません。
同じ国の料理や食文化は、ザンビアのページでも紹介しています。
掲載されているのは、材料、分量、5つの工程です。何人分か、ブリームの種類、現地語での料理名、鍋の大きさ、大さじの容量は書かれていません。編集部はこれらの空白を推測で埋めません。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 厚底で蓋のある鍋。丸ごとの魚と液体が全部入り、沸いたときに余裕のある大きさのもの
- 魚の下処理に使う、切れ味のよい包丁
- 生魚専用のまな板(野菜用とは分ける)
- 清潔なデジタルの料理用温度計
- 火が通った魚を持ち上げる、幅の広いヘラなど
レシピは厚底の鍋を指定していますが、直径は書かれていません。丸ごとの魚が平らに入り、水1 Lと油150 mlが野菜と一緒に収まり、蓋をしても液面の上に空きが残る鍋を選んでください。
選び方と代用
ブリーム(bream)は複数の魚をさす英語の通称です。掲載レシピは学名を示さず、淡水魚か海水魚かも書いていません。日本で売られている真鯛などの「タイ」と同じ魚だと考えないでください。そう言える根拠はありません。
鮮魚店でブリームという名で売られている魚があれば、どの種類か尋ねたうえで、500〜600 gの範囲の丸ごとのものを買います。見つからなければ、丸ごとのティラピアなど、骨付きの白身魚が代わりになりえます。これはシェフの指定ではなく編集部の提案です。味も食感も変わり、レシピの加熱時間がそのまま使えるとは限りません。火通りは温度で確認してください(工程6)。丸ごとではなく切り身にすると、さらに仕上がりが変わります。詳しくは「アレンジ」の節を見てください。
バナナの葉は、材料表と工程2に出てきます。食用・調理用として売られているものを選び、鍋に敷く前に洗います。レシピは葉を使う理由を説明していないので、焦げ付きを防ぐとも、特定の香りがつくとも書きません。
ひまわり油は、レシピが指定している油です。菜種油(キャノーラ油)や米油などの癖のない油で代用できますが、香りには多少の違いが出ます。
この料理には魚が入っています。出す前に魚アレルギーの有無を確認してください。玉ねぎに個別に反応する人もいます。生の魚は、買ったらすぐに冷蔵します。一般的な食品安全の指針にある2時間は、待ってよい時間ではなく上限です。生魚用の包丁やまな板は、野菜や火の通った料理に使うものと分け、加熱した魚を、生の魚をのせていた皿に戻さないでください。
うまくいかないとき
このレシピは編集部で試作していないので、以下は公開レシピと一般的な安全指針にもとづく注意であり、編集部が試した解決法ではありません。
| 状況 | 考えられる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 10分+20分の後でも最も厚い部分が63°Cに届かない | 魚が厚い、鍋が違う、火力が弱い | 蓋をして煮続け、温度計でもう一度測る |
| 魚と液体が鍋にぎりぎりしか入らない | 丸ごとの魚と水1 L、油150 mlに対して鍋が小さい | 次回は、液面の上に余裕のある、幅が広くて深い鍋を選ぶ |
| 動かすと魚が崩れる | 火が通った魚は身がもろい | 幅の広いヘラで、体全体を支えて持ち上げる |
| 切り身や別の魚を使った | レシピは丸ごとのブリーム1尾を前提にしている | 別のバージョンとして扱い、時間より温度計を頼りにする |
| キャベツの葉を使うレシピを見かけた | 掲載レシピの工程3が「cabbage leaves」と書いている | 材料表と工程2に従い、バナナの葉だけにする |
残りものと衛生
加熱した魚は、調理後2時間以内に冷蔵します。周囲の温度が32°Cを超えるときは1時間以内です。これは待ってよい時間ではなく上限です。冷蔵庫は4°C以下に保ち、残りは全体が熱くなるまで再加熱してください。
掲載レシピには保存についての記載がありません。保存日数は示しませんし、再加熱の時間も書きません。生の魚と加熱した魚で器具を分ける習慣は、最後まで続けてください。
アレンジ
ここに書くのは、掲載レシピどおりに作れない人のための編集部の案です。試作していない編集部の案で、シェフのレシピではありません。
- 鮮魚店で魚の下処理を頼む。内臓を店で取ってもらえば、原典の手順の範囲内で、家での作業が減ります。
- 丸ごとのティラピアなど、骨付きの白身魚を使う。丸ごとの重さは500〜600 gの範囲に収めてください。味と食感は変わるので、火通りは温度計で判断します。
- 切り身を使う。切り身は鍋の中で崩れやすく、骨付きの丸ごとの魚で作る煮汁とは違うものになります。同じ加熱時間が使えるとは考えないでください。
- 別の油を使う。ひまわり油の代わりに菜種油や米油を使うと、香りが変わります。
- バナナの葉なしで作る。レシピは葉を指定していて、葉なしの方法は書かれていません。葉なしは原典の外で、葉が果たしているはずの役割は失われます。
スパイスや唐辛子、酸味を足す案は出しません。掲載レシピから離れてしまうためです。
ンシマと食べる:おかずとしての魚(ndiwo)

Bridgewater CollegeのMwizenge S. Tembo氏は、ザンビアの食事を、ンシマ(nsima とも書く)という固い主食を中心に組み立てるものとして説明しています。ンシマに合わせるのが、魚・肉・野菜のndiwo(おかず、relish)です。Tembo氏の説明では、新鮮な魚や肉を水で柔らかくなるまで煮て塩をし、手に入れば玉ねぎ、トマト、油を加えます。主食のンシマに、魚・肉・野菜のndiwoを合わせる、という組み立てです。
このブリームの煮魚はその説明とよく合いますが、掲載レシピ自体は付け合わせを指定していません。また、Tembo氏の文章は、東部ザンビアのトゥンブカ(Tumbuka)の食文化を含む、ザンビアの食文化についての著者自身の説明です。この料理の由来や、どこで作られるか、ザンビア全体に共通する決まりまでを示すものではありません。編集部は、別添えのプレーンなンシマを、編集部の選択として添えています。ンシマは魚の鍋の一部ではなく、ンシマの作り方もこのレシピには含みません。
掲載レシピから確実に言えることは、もっと範囲が狭いものです。シェフが示した、魚、トマト、玉ねぎ、油、水、塩を、葉の上で、蓋つきのひとつの鍋で一緒に煮る一品、ということです。現地語での料理名、歴史、地域差については信頼できる資料が見つかっていないため、書きません。
よくある質問
ブリームが見つからないときは、何を買えばよいですか?
同じ魚と言える代用品はありません。レシピがどのブリームをさしているのか特定されていないからです。まず、お住まいの地域でブリームとして売られている魚の種類を確かめてください。なければ、丸ごとのティラピアなど骨付きの白身魚が、編集部としては妥当な代わりです。味と食感は変わります。
うろこ取りやえら外しは必要ですか?
レシピには、内臓を取って洗うことしか書かれていません。買った時点でどこまで下処理されているかを確かめ、さらに処理したければ鮮魚店に頼んでください。
バナナの葉なしで作れますか?
レシピはバナナの葉を指定しており、葉なしの作り方には触れていません。葉を省くのは、試していない変更です。
何人分ですか?
掲載レシピには書かれていません。500〜600 gの魚1尾を基準の量として扱ってください。
10分沸かして20分弱火で煮れば十分ですか?
レシピが示す加熱の段階の時間ですが、中心まで火が通ることを保証するものではありません。最も厚い部分を温度計で測り、米国FDAの一般的な目安である63°Cに達しているかを確認してください。届いていなければ、煮続けます。
塩を減らしてもよいですか?
編集部は掲載の大さじ1½のままにしていて、少ない量は試していません。原典は大さじの容量も塩の種類も示していないため、減らす場合は、読者ご自身の調整になります。
作り置きできますか?
残りは、調理後2時間以内(32°Cを超える環境では1時間以内)に冷蔵し、全体が熱くなるまで再加熱してください。日数は、根拠となる資料がないため書きません。













