きんぴらごぼう:固いごぼうが、つやのある小さな副菜になるまで
ごぼうの土っぽい香りと歯ごたえ、醤油と砂糖の甘辛いバランス、赤唐辛子のほのかな辛み。鍋の汁気がほぼなくなった瞬間が仕上がりの合図です。
ごぼうは固くて繊維が多く、土の匂いがします。それを5cmの細切りにしてごま油で炒めると、まるで別のものになります。ご飯のそばに置く、つやのある甘辛い細切りの小鉢です。きんぴらごぼう(金平牛蒡)はその変身そのもので、日本の家庭料理の副菜です。
ここで紹介するのは、農林水産省が「うちの郷土料理」で公開している東京都のきんぴらです。近藤惠津子さんの『食材選びからわかるおうちごはん』が出どころのレシピで、使う野菜はごぼうとにんじんだけ、分量は2人分です。鍋の中の順番がはっきりしています。ごま油と赤唐辛子を入れてから強火にし、先にごぼう、続いてにんじんを炒め、あらかじめ混ぜた調味液を一度に加えて、汁気がほぼなくなったら火を止めます。
下の分量と手順は、農林水産省の東京都版レシピに沿っています。世界ごはん紀行では、このレシピをまだ台所で試作していません。水にさらす時間、炒める時間、温度は示されていないため、手順では「何分待つか」ではなく「鍋の中で何を見るか」を書いています。
きんぴらは、ひとつのレシピというより調理の型でもあります。れんこんなど歯ごたえのある野菜も「きんぴら風」に仕立てますし、干しイカや豚肉を加える人、市販のたれを使う人もいます。そうしたバリエーションは後半の節にまとめ、ごぼうとにんじんだけの東京版が見えなくならないようにしています。同じ食卓の料理はぜひ日本のページもご覧ください。
なぜ「きんぴら」と呼ぶのか:江戸時代からの東京の副菜
農林水産省は、きんぴらを東京都全域に伝わる伝統料理として掲載しています。 江戸時代後半から庶民の日常の副菜だったと説明し、今も毎日の食事のほか、おせち、お祝い、弔事などの場面に登場するとしています。同じページには、東京と縁の深い品種、滝野川ごぼうの歴史にも触れた記述があります。
名前は、初期の人形浄瑠璃である金平浄瑠璃の強い英雄、坂田金平に由来すると言われています。農林水産省はこれを伝承の説明として紹介しており、証明された史実ではなく伝わっている説明として読むのが適切です。また、昭和後半までは、ごぼうとにんじんの組み合わせが定番だったとも述べています。その後、「きんぴら」の名前は、れんこんなど歯ごたえのある根菜の甘辛い炒め物にも広がりました。
どの台所でも同じ作り方というわけではありません。農林水産省は、レシピは地域や家庭によって違うとはっきり書いています。東京以外については、日本家政学会誌に載った全国のごぼう料理の研究の抄録が、きんぴらごぼうは関東北部で人気があると述べています。抄録に書かれているのはそこまでなので、ここでも全国の話には広げません。
この料理の魅力は3つに絞れます。ごぼうの香りと歯ごたえ、醤油と砂糖の甘辛い味わい、そして赤唐辛子のおだやかな辛みです。辻調理師専門学校の紹介ページには、細く切ると食感を保ちながら味が入りやすくなること、そしてごぼう、うど、にんじんなど、ひとつの野菜だけでもきんぴらが作れることが書かれています。
道具
- 包丁とまな板
- ごぼうをさらす水を入れるボウルと、水を切るざる
- 調味液Aを混ぜる小さなボウル
- フライパンまたは浅鍋
- 炒めるためのヘラまたは調理用の菜箸
- 盛り付け用の箸と、小さな盛り付け用の器
選び方と代用
ごぼう。 風味を残すため皮は残し、土をこすり落とします。5cmの細切りを均一にそろえて切れる太さのものを選んでください。
ごぼうとにんじんは同じ長さに。 どちらも5cmのせん切りにします。長さがそろうと、鍋の中でも器の中でも2つの野菜がまとまります。
醤油。 醤油を使います。食卓にアレルギーのある方がいる場合は、ボトルのラベルで小麦と大豆の表示を確認してください。ごま油と白ごまも使います。
赤唐辛子。 乾燥赤唐辛子を半分、種を除いて使います。辛さを抑えたいときは量を減らします。まったく入れないのは、このレシピに対する各自の調整です。
うまくいかないときの直し方
| 気づくこと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 鍋に汁がたまったまま | 火を止めるのが早かった | 汁気がほぼなくなるまで混ぜながら炒り煮にしてから火を止める |
| 味が薄い、水っぽい | 調味液Aの50mlの代わりに、またはそれに加えてさらし水が入った | ごぼうの水をよく切り、炒り煮にはあらかじめ混ぜた調味液Aだけを使う |
| ごぼうの土っぽい香りが弱い | 皮を厚くむいてしまった | 次回は皮をむかず、土をこすり落とす |
| 細切りが、くたっとしたものと固いものに分かれる | ごぼうとにんじんの切り方の大きさが違った | どちらも同じくらいの太さで5cmのせん切りにする |
| 辛すぎる | 唐辛子の種が残っていた、または丸ごと入れた | 種を除き、次回は1/2本より少なくする |
| 調味料を別々に振り入れてしまった | 醤油、砂糖、酒を一つずつ入れた | 水とあらかじめ混ぜておき、調味液Aを一度に加える |
基本のレシピを変えないアレンジ
東京版は上の作り方のままです。以下はそれぞれ別の方向のアレンジで、別の料理として扱ってください。
切り方を変える。 ごぼうはせん切りのほか、薄いささがきにもできます。切り方によって火の通り方と噛みごたえが変わるので、時計ではなく鍋の中を見て判断してください。分量は同じです。
辛みをおだやかにする、ごまなしにする。 唐辛子を半分より減らすと、やさしい味のきんぴらになります。ごまの仕上げは「適宜」なので、省くこともできます。
ごぼうだけのきんぴら。 きんぴらは、ひとつの野菜だけでも作れます。にんじんを抜くのは東京版のレシピを自分で編集することで、別の伝統的な配合ではないため、別のアレンジとして考えてください。
さきイカ入りのきんぴら。 さきイカ入りのきんぴらは4人分で、ごぼう200g、にんじん100g、さきイカ40g、唐辛子1/2本、酒40cc、濃口醤油40cc、砂糖20gを使います。この作り方では、炒めた後に野菜と調味料を分け、汁だけを煮詰めてから全体を合わせ直します。分量も手順も別のレシピなので、東京版に混ぜず、ひと通りそのまま作ってください。
豚肉と市販のたれ。 豚バラ肉と市販のすき焼きのたれ、水で作るきんぴらもあります。汁気がなくなるまで炒め、仕上げにごま油を加えます。豚肉を抜くと、ごぼうとにんじんだけの仕上がりになります。市販品を使った現代の時短版で、東京のレシピとは別物です。
食卓で
きんぴらは副菜です。日常の食事で、ご飯やほかのおかずの横に置く小さな器に入れます。小鉢にそのまま盛り、白ごまを散らして、ごぼうの歯ごたえと甘辛いつやに任せましょう。毎日の食事のほか、おせち、お祝い、弔事にも登場します。
きんぴらの保存期間、冷やし方、温め直しの方法は示しません。味を濃くすると日持ちしやすくなりますが、常温に置いてよい理由にも、何日もつという目安にもなりません。ふだんの食品衛生の習慣に沿って扱い、保存してください。醤油のラベルで小麦と大豆の表示を確認し、ごま油と白ごまを使うことにも注意してください。
よくある質問
ごぼうは皮をむく必要がありますか?
いいえ。農林水産省の東京都のレシピは、皮に風味があるので、厚くむかずにこすって土を落とすと説明しています。
ごぼうはどのくらい水にさらしますか?
レシピは切ったごぼうを水にさらすよう指示していますが、時間、水の量、酢の有無は示していません。ここでも時間の目安は示しません。にんじんと調味液を準備する間にさらし、水を切れば十分で、それ以上長く置く必要はありません。
なぜごぼうをにんじんより先に入れるのですか?
農林水産省のレシピがその順番だからです。油と唐辛子を入れ、強火でごぼうを炒め、それからにんじんを加えてさらに炒めます。順番どおりに進めると、レシピに書かれたとおりの鍋の状態になります。
仕上がりはどうやって見分けますか?
鍋の汁気がほぼなくなったら火を止め、少し置いて味をなじませます。レシピには調理時間も温度も書かれていないので、鍋の様子で判断します。細切りにつやが出て、流れる汁がほとんどない状態が目安です。
辛くないようにできますか?
できます。レシピは種を除いた乾燥唐辛子半分を使います。辛さを抑えるなら量を減らしてください。まったく入れないのは、各自の調整です。
きんぴらはどのくらい日持ちしますか?
資料に保存期間は書かれていないため、日数の目安は示しません。農林水産省の「味を濃くすると日持ちしやすい」という記述は、常温で保存できるという意味ではありません。調理済みの料理として、ふだんの食品衛生の習慣に従ってください。
さきイカ入りのものは「本物」のきんぴらですか?
ぐるなびの「シェフごはん」で公開されている、料理人のきんぴらで、分量も作り方も別です。農林水産省は、きんぴらは地域や家庭によって違うと述べています。この記事ではごぼうとにんじんだけの東京版を基本のレシピにして、さきイカ入りは別に紹介しています。














