食卓の真ん中に浅い鍋を据え、薄切りの牛肉、香ばしく焼いたねぎ、焼き豆腐、しらたき、きのこ、春菊がしょうゆとみりんの甘辛い煮汁で煮えていく。煮えたものから各自が取り分けるのが、すき焼きの食卓です。この記事で作る家庭向けのレシピでは、煮えた具を溶き卵につけて食べます。ひとつの鍋を囲んで取り分けるところに、この料理らしさがあります。
すき焼きは、ねぎと牛肉の香ばしさを甘辛い割り下にくぐらせる鍋
ねぎを香ばしく焼き、牛肉は割り下を入れる前にさっと焼くだけにします。そのあと、豆腐、しらたき、きのこ、春菊に甘辛い煮汁を含ませます。食べる前に、すべての具にしっかり火を通してください。
すき焼きの味つけの要になるのが、割り下です。しょうゆ、みりん、水、砂糖をあらかじめ混ぜた合わせ調味料で、これを鍋に注いで具を煮ます。この記事では、キッコーマン ホームクッキングの3〜4人分の家庭向けレシピを一つの標準として、割り下を先に混ぜておき、牛脂でねぎと牛肉を焼いてから注ぐ順で紹介します。分量も手順も、このレシピに統一しています。
味の素パークには、すでに調合された割り下を使う関東風の例があり、同じページに、牛肉を先に焼いて砂糖としょうゆを直接加える関西風の説明もあります。こちらは後の節で別の作り方として触れるだけにして、この手順には混ぜません。
元のレシピに載っている調理時間は約20分です。これは掲載されている目安で、こちらで測った時間ではありません。しらたきの下ゆでなどの準備によって、前後することがあります。
道具
- 浅いすき焼き鍋、または浅い鍋
- 包丁とまな板
- 割り下を混ぜる小さなボウルとスプーン
- しらたきを下ゆでする鍋
- 生の牛肉用の皿と箸(またはトング)
- 溶き卵を入れる小さな取り分け用の器
牛肉、豆腐、しらたきの選び方
牛肉は、すき焼き用に売られている肩ロースの薄切りがレシピの材料です。薄切りであることが大切で、割り下を入れる前にさっと焼くだけなので、薄いほうが短時間で火が通ります。赤身寄りの薄切りでも作れますが、脂からくる甘みは控えめになります。
豆腐は、焼き豆腐なら煮汁の中でも形が保てます。水切りした木綿豆腐でも代用できますが、より崩れやすくなります。
しらたきを別のこんにゃく麺に替えると、風味も食感も変わります。
春菊の香りとほろ苦さは、この鍋の持ち味のひとつです。ほかの野菜に替えると味が変わるので、手に入らなければ省いてかまいません。
関東風と関西風の違い

すき焼きは、大きく二つのやり方で説明されることがよくあります。味の素パークは、割り下をあらかじめ用意して具を煮る関東風の例を紹介しています。同じページには、牛肉を先に焼き、砂糖としょうゆを鍋に直接加えて、煮汁を調えながら進める関西風の説明もあります。
この記事のレシピは割り下を使う側ですが、割り下を入れる前にねぎと牛肉を焼きます。家庭向けの一つのレシピであって、関東風の唯一の正解ではありません。どちらのやり方も家庭や店によって違いがあるので、東西をきっぱり分ける線ではなく、傾向として受け止めてください。関西風を試したいときは、その方式で書かれたレシピに従い、この記事の分量には混ぜないでください。
愛知県のJAあいちの地域レシピ(4人分)では、割り下に昆布水を使っています。配合が異なる例で、すき焼きの幅広さを示すためにここで挙げました。
うまくいかないときの対処
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 煮汁が濃くてしょっぱくなる | 煮ているうちに割り下が煮詰まった | 割り下は一度に入れ過ぎず、煮詰まり具合を見ながら足す。すでに濃いときは水を少し足す。どちらも元のレシピの分量外の、家庭での加減 |
| 牛肉が硬くなる | 火が通ったあとも長く煮た | 割り下を入れる前にさっと焼くだけにし、火が通ったら鍋に置いたままにせず取り出す。食感のために加熱を切り上げることはしない |
| 春菊がくたっとして色がくすむ | 薄い葉は熱い煮汁ですぐに柔らかくなる | 目の届く場所に入れ、しんなりして火が通ったら取り出す |
| 豆腐の色が片面だけ濃くなる | 返さなかった | 手順5のように、煮る途中で返す |
アレンジ
- 春菊なし:苦手な場合や手に入らない場合は省きます。香りとほのかな苦みは減りますが、作り方は同じです。
- きのこを増やす:基本はえのきとしいたけです。しめじを加えるのは元のレシピにはない、各家庭の工夫です。
- 牛脂の代わりにサラダ油:鍋には同じようになじみますが、牛脂の香りは出ません。
- 赤身寄りの牛肉:薄切りであれば作れますが、脂の甘みは穏やかになります。
- 締めの雑炊:JAあいちのレシピには、残った煮汁で雑炊を作る例があります。このレシピの配合外の食べ方として扱い、ご飯を入れる前に煮汁をしっかり沸騰させてください。
すき焼きの背景
農林水産省の輸出向け紹介資料は、牛肉を使ったすき焼きが明治初期、1870年前後に広がったと概説しています。あくまで概略で、名前の由来や正確な発祥の地、ひとりの考案者については、ここでは確認できていないので述べません。
言えるのは、今の食卓でのあり方です。具を一つの鍋に順に入れ、煮えたものから各自が取り分ける。日本の家庭では、甘さや煮汁の濃さ、具の選び方を、それぞれの好みに合わせて調えています。東アジアの牛肉料理をほかにも見たいときは、四川の水煮牛肉や韓国のチャプチェもどうぞ。どちらも別の料理で、このレシピの変形ではありません。日本の料理全般については日本のページをご覧ください。
よくある質問
すき焼き用と書かれていない牛肉でも作れますか?
薄切りであれば作れます。割り下を入れる前にさっと焼くので、薄いほうが短時間で火が通ります。赤身の多い部位は、脂からくる甘みが控えめになります。
市販の割り下を使えますか?
使えます。商品によって甘さや濃さが違うので、使う量や薄めるかどうかは、表示に従ってください。
生卵なしでも食べられますか?
食べられます。卵を使わず、しっかり火の通った具をそのまま食べてください。卵を使いたいけれど加熱したい場合は、FoodSafety.govの一般的な目安では、黄身と白身が固まるまで火を通すこととされています。熱い具を生卵につけても、卵が安全に加熱されるとは限りません。
締めには何が合いますか?
JAあいちの例では、残った煮汁で作る雑炊があります。このレシピの配合の外にある食べ方なので、おまけとして作ってください。
残ったときはどうしますか?
浅い容器に小分けして、すばやく冷まし、冷蔵庫に入れます。温め直すときは75°C以上まで加熱し、煮汁は沸騰させてください。厚生労働省の家庭向けの一般的な目安に沿っています。この料理について具体的な保存日数は確認できていないので、残りは早めに食べきってください。












