パッピンス ── 小豆と氷を重ねる、韓国の夏の一皿
細かくて冷たい削り氷、形が残った甘い小豆、もちもちのインジョルミ。果物は季節に合わせて変えられますが、小豆を抜くと別の種類のビンスになります。
暑い夏の日の韓国で、大きな器に盛ったかき氷がテーブルの真ん中に置かれ、何本ものスプーンが一斉に入っていきます。氷はふちからすぐに緩み始めるので、みんなで手早く崩し、小豆や牛乳、果物を氷に混ぜながら食べ進めます。韓国政府の文化記事は、まさにこの光景を伝えています。ひとつの器を分け合って食べる夏のデザートで、店主が「溶ける前に早く食べないと」と冗談めかして話す、という内容です。
名前は中身をそのまま表しています。パッピンス(팥빙수)の「パッ」は小豆、「ピンス」は削り氷のこと。ビンス(빙수)だけならもっと広い言葉で、現代の韓国には果物が主役のものも含めてさまざまな種類があり、小豆が入るとは限りません。この記事で紹介するのは、小豆を主役にした家庭版のパッピンスです。マンゴー、いちご、牛乳、餅のインジョルミ、加糖練乳を、小豆のまわりに重ねていきます。
レシピはMaangchiのパッピンス(1〜2人分)をもとにしています。分量は米国式のcupと大さじ・小さじのまま書きました。私たちの台所での試作は済んでいません。電子レンジや氷かき器は機種によって差があるので、各工程は見た目と手ざわりで判断してください。
道具
- 氷かき器(ブレンダーの氷を砕く機能を使う場合は、機種ごとに違うので説明書に従ってください)
- 2〜3 cupsが入る器
- 小鍋(自家製の小豆を煮る場合)
- 耐熱ボウル、ラップ、電子レンジ(自家製のインジョルミを作る場合)
- 木べら
- まな板と包丁
選び方と代用
小豆は市販品か自家製か。 缶やパウチの加糖小豆を使えば、長く煮る手間がまるごと省けます。ただし必ず甘く味付けされたものを選び、その上に砂糖を足す工程は重ねないでください。砂糖をほとんど使わないゆで小豆では同じ甘さにならないので、使う場合は自分なりの調整と考えて、練乳で甘さを補います。乾燥小豆から作る場合は、できあがりが2 cups強になります。この1杯には1 cupを使い、残りは別の容器に移しておきます。
インジョルミ。 市販のインジョルミを使えば、餅の工程は省けます。自分で作るならもち粉を使います。白玉粉などほかの米粉は粒の細かさと必要な水の量が違うので、同じ分量と手順でうまくいくとは言えません。
果物。 いちごとマンゴーは、季節の果物に替えられます。これは地域の違いではなく家庭でのアレンジで、甘さ、酸味、水分は変わります。
牛乳。 豆乳などの代替品は風味が変わります。もとのレシピにはない置き換えです。
うまくいかないときの見直し方
氷が溶けやすい料理なので、器の冷たさと出すまでの速さで差が出ます。小豆は甘みの強さと粒の残り具合を、餅は熱の入り方を見てください。
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 運ぶ前に氷が溶ける | 器が温かい、または氷を早く削りすぎた | 器を冷やし、組み立てる直前に氷を削って、すぐ出す |
| 小豆がぐずぐずになる | 煮すぎ、または混ぜすぎ | 「柔らかいけれどつぶれていない」を目安にし、甘みをつけるときはそっと混ぜる |
| 缶の小豆だと甘すぎる | すでに甘い小豆に砂糖を足した | 加糖の市販品なら砂糖の工程は省き、練乳は少しずつ足す |
| ゆで小豆だと甘みが足りない | 加糖の小豆の代わりに無糖の豆を使った | 甘さは別物になる。練乳で調整する |
| 餅に弾力が出ない | 電子レンジの機種による違い | 生地が中まで熱く、練ると弾力が出ることを確かめる。加熱時間だけでは判断できない |
| 層がにじんで見分けがつかない | 果物、小豆、餅を一か所に積んだ | 工程6〜8のとおり、材料ごとに層を分ける |
韓国のビンスの移り変わりと、家庭でのアレンジ
砕いた氷から、いまの器まで
韓国国立民俗博物館(National Folk Museum of Korea)によると、朝鮮時代の人々は氷を砕き、ファチェ(화채)として楽しんでいました。近代になるとビンス店(빙수점)が現れ、氷、砂糖、牛乳を使った簡素な菓子を出すようになり、氷菓は時代とともに姿を変えていきます。ただしこれは氷菓全般の歴史です。小豆と餅を使う今日のパッピンスが、朝鮮時代から同じ姿で続いてきたという意味ではありません。
いまのビンスは、韓国の夏に欠かせない存在です。韓国政府の文化記事は、店主や菓子職人の話をもとに、昔ながらの小豆のスタイルから、果物が主役のものなど多様な新しい形へ広がった様子を紹介しています。ひとつの器を数人で分け合うことも多いそうです。
芯を残すアレンジ
次に挙げるのは、上の基本の作り方とは別の調整案です。
- 季節の果物: いちごとマンゴーを、旬の果物に替えます。酸味と果汁の量が変わります。
- 小豆は粒のまま: なめらかなあんにせず、粒の残った小豆を使います。この食感も料理の一部です。
- 練乳は好みで: 少しずつ足します。大さじ3を上限の目安にしてください。
- 市販のインジョルミ: 工程4〜5を省けます。
- 1人分にする: 材料すべてを同じ割合で減らし、器の大きさに合わせます。
削り氷、甘い小豆、もちもちの餅がそろっていれば、基本のパッピンスに近い一杯になります。韓国のもう一品、こちらは辛くて香ばしい料理なら、タッカルビも合わせてどうぞ。
よくある質問
ビンスとパッピンスの違いは何ですか?
ビンスは削り氷のことで、果物が中心のものなど多くのスタイルを含みます。パッピンスは、甘い小豆(パッ)を使ったスタイルです。
市販の加糖小豆を使えますか?
使えます。加糖の小豆1 cupを用意し、工程1〜3を省いてください。砂糖は足さないでください。
インジョルミの代わりになるものは?
いちばん簡単なのは、市販のインジョルミです。白玉粉などほかの米粉は、必要な水の量が違うため、ここに書いた作り方のままでは勧められません。
マンゴーがないときは?
旬の果物で作ってください。甘酸っぱさのバランスは変わりますが、小豆、氷、餅があれば、料理としての姿は保てます。
1人分でも作れますか?
このレシピは、もともと1〜2人分です。もっと小さな器で作るなら、すべての材料を同じ割合で減らし、器の大きさに合わせてください。














