陶器の鍋に牛肉、ラム肉、キャベツ、じゃがいも、トマト、いんげんを重ねて煮込んだボサンスキ・ロナツ
🔪下準備25分
🔥調理3時間
🌍料理ボスニア・ヘルツェゴビナ料理

ボサンスキ・ロナツの作り方|ボスニアの肉と野菜を重ねて煮る鍋

約11分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 5

肉と野菜を大きめに切る(約20分)

手順1: 肉と野菜を大きめに切る(約20分)

牛肩肉とラム肩肉を、それぞれ4〜5cm角に切ります。キャベツは芯をつけたまま8〜10等分のくし形、玉ねぎは4等分、にんじんは2cm厚の輪切り、じゃがいもは3cm角、いんげんは2.5cm長さ、ピーマンは大きめの乱切りにします。トマトは沸騰した湯に10秒ほどくぐらせ、皮がめくれてきたら冷水にとって皮をむき、ざく切りにします。どれも大きさをそろえると、煮え方のむらが少なくなります。

STEP 22 / 5

鍋の底に肉を敷き、野菜を重ねる(約5分)

手順2: 鍋の底に肉を敷き、野菜を重ねる(約5分)

厚手の深鍋の底に、牛肉とラム肉を交互に、すき間なく平らに敷き詰めます。その上に、キャベツ、玉ねぎ、にんにく、にんじん、いんげん、グリーンピース、じゃがいも、ピーマン、トマトの順に重ねていきます。層ごとに、塩、粒こしょう、パプリカ、顆粒コンソメを少しずつふり、パセリとローリエはまん中あたりの層に差し込みます。いちばん上にトマトをのせて、重ねるのは完了です。

STEP 33 / 5

水を注いでふたをする

手順3: 水を注いでふたをする

水200mlを鍋の縁からそっと注ぎます。ボスニアの作り方では、水はコップ1杯ほどとごく少なめです。鍋が大きくて水が具の半分の高さにも届かないときは、一番上の層に届く手前まで足してください。具がすべて沈むほど入れないのがこつで、時間がたつと野菜からも水分が出てきます。ふたをしっかり閉めます。ふたにすき間があるときは、クッキングシートを鍋の口にかぶせてからふたをすると、蒸気が逃げにくくなります。

STEP 44 / 5

ごく弱火で3時間煮る

手順4: ごく弱火で3時間煮る

鍋を中火にかけ、ふたのすき間から湯気が出てきたら、ごく弱火に落とします。そのまま約3時間、ふたを開けず、混ぜずに煮込みます。ふたの縁から湯気がゆるく上がり、鍋の中でコトコトと小さな音がしている状態が目安です。オーブンで作る場合は、180℃のオーブンで同じく約3時間。焦げつきが心配なら、2時間たったところで一度だけふたを開け、鍋底に水分が残っているか確かめ、少なければ熱湯を100ml足します。

STEP 55 / 5

肉のやわらかさを確かめて盛り付ける

手順5: 肉のやわらかさを確かめて盛り付ける

3時間たったらふたを開け、牛肉にフォークを刺して、すっと入るほどやわらかくなっていれば煮上がりです。かたいときは、ふたを戻してさらに30分煮ます。じゃがいもに竹串がすっと通り、キャベツがとろりとしていれば十分です。味を見て、塩で調えます。深皿に、肉と野菜、スープを層ごとすくって盛り付けます。

煮込んでいるあいだに混ぜないのは、層を保つためです。混ぜると、やわらかくなった野菜が崩れて、どろりとしたスープになってしまいます。肉と野菜の形を残したまま、層ごとすくって盛り付けるのがこの料理らしさです。

ボサンスキ・ロナツは、作って1〜2日後のほうがおいしいといわれる煮込みです。粗熱を取ってから冷蔵庫に入れ、翌日、弱火で15分以上かけて全体がしっかり熱くなるまで温め直してください。水分が少なければ、水を100mlほど足します。

土鍋や陶器の鍋を使う場合は、急な温度変化で割れることがあります。冷たい鍋をいきなり強火にかけたり、熱い鍋を冷たい場所に置いたりしないでください。オーブンで使う場合は、鍋を冷たいオーブンに入れてから一緒に温めると安心です。オーブンに入れられる鍋かどうかも、事前に確かめてください。

0 / 0
Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

牛肉、ラム肉、キャベツ、じゃがいも、にんじん、トマト、いんげん、ピーマン、玉ねぎ、にんにく、パセリを並べた材料

2品目

肉

材料 分量 代替・備考
牛肩肉(かたまり) 500g 4〜5cm角に切る。脂のある部位がよい
ラム肩肉(かたまり) 500g 4〜5cm角に切る。ラムが苦手なら牛すね肉など別の部位の牛肉にする
10品目

野菜

材料 分量 代替・備考
キャベツ 小1個 芯をつけたまま8〜10等分のくし形に切る
玉ねぎ 2個 4等分のくし形に切る
にんにく 4片 皮をむいて丸ごと
にんじん 3本 2cm厚の輪切り
さやいんげん 200g 2.5cm長さに切る
グリーンピース 100g 冷凍でよい
じゃがいも 大3個 皮をむいて3cm角に切る
トマト 大3個 湯むきしてざく切り。トマト水煮缶1/2缶でもよい
ピーマン 3個 大きめの乱切り。パプリカでもよい
パセリ 3〜4本 枝ごと
6品目

調味料

材料 分量 代替・備考
塩 小さじ1
粒こしょう(黒) 小さじ1 粉のこしょうなら小さじ1/2
パプリカパウダー 小さじ1 甘口
顆粒コンソメ 大さじ1 現地では野菜の顆粒だし「ヴェゲタ」をよく使う
ローリエ 2枚 好みで
水 200ml 鍋が大きく具の半分の高さに届かないときは、一番上の層に届く手前まで足す

ボスニアの家庭では、調味料に「ヴェゲタ(Vegeta)」という、乾燥野菜と塩を合わせた顆粒のだしがよく使われます。日本では輸入食品店や通販で見つかりますが、手に入らなければ顆粒コンソメで十分です。肉は、牛肉とラム肉のように2種類以上を合わせると、うまみが重なって味に奥行きが出ます。1種類だけで作るなら、牛肩肉と牛すね肉のように違う部位を組み合わせてください。骨付きの肉を少し混ぜると、スープにさらにこくが出ます。

コツ

野菜はどれも大きめに切るのが鉄則です。細かく刻むと3時間のあいだに溶けて形がなくなり、層になった鍋の楽しさがなくなります。キャベツは芯をつけたままくし形に切ると、煮崩れずに形が残ります。


0 / 0
Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

深い陶器の鍋の底に大きく切った肉を敷き、その上にキャベツ、じゃがいも、にんじん、トマト、ピーマンを、かき混ぜずに次々と重ねていく。最後に少しの水を注いで、ふたをしたら、あとは3時間、決してふたを開けません。ボスニア・ヘルツェゴビナのボサンスキ・ロナツ(bosanski lonac)、「ボスニアの鍋」と呼ばれるこの料理は、重ねて、ふたをして、待つだけの煮込みです。

肉は炒めず、野菜も下ゆでしません。肉から出る脂とうまみが、上に重ねた野菜にしみ込み、野菜の水分が肉をやわらかく煮ていく。手間がかからないぶん、大きく切ることと、混ぜないことの2つだけは守ってください。

鉱夫が朝に仕込み、昼に食べた鍋

陶器の鍋に肉と野菜を重ね、炉の火にかけて煮込む様子

ボサンスキ・ロナツは、ボスニア・ヘルツェゴビナの国民食として知られる料理です。ロナツ(lonac)は「鍋」のことで、もともと煮込むのに使っていた陶器や土の鍋を指します。昔は陶器の鍋に材料を重ねて、炉の火や地面に掘った穴で煮込んでいました。今は炉のある家が少なくなり、ふつうの鍋をコンロにかけて作る家庭がほとんどです。

由来としてよく語られるのは、中世のボスニアの鉱夫たちの話です。ボスニアの料理を紹介するBalkan Lunch Boxによれば、鉱夫たちはそれぞれ家にある材料を持ち寄って土の鍋に重ね、火をおこして、働いているあいだ煮込んでおいたといいます。そして1日に1度だけの休憩のときに、ちょうど煮えた鍋を囲んだ。料理の成り立ちを伝える話として、今もボスニアでよく紹介されています。

豆知識

ボサンスキ・ロナツは、貧しい農民の家でも裕福な貴族の家でも、何百年も食べられてきました。裕福な家では肉や高価な材料をたっぷり使い、貧しい家では手元にあるものを入れた、といわれます。何でも受け止める鍋であることから、さまざまな民族と文化が重なり合うボスニアという国そのものにたとえられることもあります。

決まった配合はなく、家庭や地域によって入れる野菜も肉も変わります。肉は牛肉とラム肉が今ではいちばん一般的ですが、昔はあらゆる肉が使われていました。野菜はキャベツ、じゃがいも、にんじん、トマトに、いんげん、グリーンピース、ピーマン、オクラ、なす、ズッキーニなど。季節の野菜を重ねていくのも、この鍋の楽しみ方です。


パンとピクルスを添えて

深皿に盛ったボサンスキ・ロナツと、丸いパンと漬物を並べた食卓
深皿に層ごと盛り、パンとピクルスを添える

ボサンスキ・ロナツは、温かいうちにパンを添えて食べます。ボスニアでは、ポガチャ(pogača)と呼ばれる丸いパンや、野菜を酢漬けにしたトゥルシヤ(turšija)、キャベツの漬物がよく合わせられます。酸っぱい漬物が、肉と野菜の甘い煮汁の重さをすっきりさせてくれます。日本の台所なら、カンパーニュのような丸いパンと、きゅうりやキャベツのピクルスを用意すれば、ボスニアの食卓に近づきます。

同じバルカン半島の煮込みなら、セルビアのムチカリツァは、焼いた肉をパプリカやトマトと煮込む料理です。ボスニアの軽食なら、薄い生地に肉を巻いて焼くブレクもぜひ作ってみてください。

よくある質問

鍋からすくった牛肉、キャベツ、じゃがいもが重なり、煮上がっても形を保った様子

肉を先に焼いたほうがおいしくなりませんか?

最近は肉を先に焼くレシピもありますが、昔ながらの作り方では肉を焼かずに重ね、肉から出る汁を煮汁にします。焼き色をつけると香ばしさは増しますが、すっきりとした煮汁にしたいなら、焼かずにそのまま重ねてください。

鶏肉やソーセージで作ってもよいですか?

作れないことはありませんが、Balkan Lunch Boxは、鶏肉や燻製肉、加工肉は避けるようにすすめています。長く煮込む料理なので、脂とすじのある牛肉やラム肉のほうが向いています。

圧力鍋で作れますか?

作れます。重ねる手順は同じで、加圧時間は圧力鍋の取扱説明書の煮込み料理の目安に従ってください。ふたを開けたら、肉のやわらかさを確かめます。

キャベツを入れなくてもよいですか?

入れなくても作れます。ボスニアにはキャベツを主役にした別の煮込みもあるため、ボサンスキ・ロナツにはキャベツを入れない人もいます。その場合は、いんげんやなすなど、ほかの野菜を増やしてください。

主な参考リンク

レシピ一覧に戻る