コクタル:本のように開いたコイを、野菜をのせたまま燻す
大きな魚を、鱗を残したまま背骨沿いに開き、鱗側を下にして格子に置きます。身ににんにくマヨネーズを塗り、玉ねぎとトマトを、それぞれマヨネーズをはさんで重ね、周りにはじゃがいもを丸ごと置きます。それを果樹の木で屋外で熱燻し、温かいうちに食べます。
格子の上に、背中から割って平らに開いた大きなコイが一尾。銀色の鱗が下になり、白い身が上を向いています。そこに玉ねぎとトマトの輪切りがマヨネーズとにんにくでつやつやと広がり、魚のまわりをじゃがいもがぐるりと囲んでいます。格子ごと屋外の密閉型の燻製器に収め、あとはりんごやサクランボの木の煙に任せます。これがカザフスタンの野菜つき熱燻魚、コクタル(Коктал)です。
この記事のレシピは、バルハシ湖周辺にあるフィッシング・ベース「ザヴィドヴォ(Zavidovo)」が公開しているロシア語のレシピ全文に沿っています。同施設の料理人たちの名で出されたもので、個人の料理人名は示されていません。施設運営者のレシピであって、この料理がどこでいつ生まれたかを裏づけるものでもありません。東カザフスタンの地域観光ポータルも、背骨沿いに開いて鱗を残し、野菜と一緒に熱燻する魚料理として、同じ姿のコクタルを紹介しています。
公開されているレシピが示す主な分量は、3kg以上の魚、じゃがいも5〜7個、トマト3〜5個、玉ねぎ2〜3個、にんにく5〜6かけです。マヨネーズ、塩、胡椒、木の量は示されておらず、燻す時間も燻製器の温度も書かれていません。この記事には、レシピではなく当記事の選択にあたる部分がいくつかあります。法的に流通している食用の養殖コイを使うこと、魚屋で内臓処理済みのものを買うこと、玉ねぎをトマトより先に重ねること、魚をラックに置いた直後に塩と胡椒を振ること、胡椒は黒胡椒にすること、市販のマヨネーズを使うこと、じゃがいもは洗って皮つきのまま丸ごと使うことです。該当する箇所でその都度断ります。なお、世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作してはいません。
3kg以上の開いた魚と野菜が入る食品用の屋外用熱燻器と、その燻製器の実際のメーカー説明書が必要です。点火、燃料、火力、時間は、この記事ではなくその説明書に従ってください。魚に合う大きさの燻製器で、メーカーの説明書にも従えるものを用意できないなら、燻す工程には進まないでください。屋内では絶対に燻さないでください。 清潔な食品用温度計も必要です。魚は身のいちばん厚い部分が63°C(145°F)以上になって初めて火が通ったと言え、じゃがいもは別に確かめます。
コクタルとは:開いた魚、果樹の煙、野菜
コクタルを特徴づけているのは、調味料よりも形です。魚は三枚におろさず、鱗も引きません。背骨に沿って切り込み、本のように開くので、皮と鱗は一枚のまま下に残り、身を格子の上で支えます。そのあとの具材は、この平らな面の上にのせるか、まわりに置きます。
ザヴィドヴォのレシピでは、魚はサザン(コイ)、ソウギョ、またはコイ科の別の魚で、3kg以上のものです。にんにくをすりおろしてマヨネーズに混ぜ、開いた魚の内側に塗ります。野菜は大きさに応じて輪切りか半月切りにし、層ごとにマヨネーズを塗りながら重ねます。じゃがいもは魚の上ではなく、魚のまわりに置きます。煙は食品用のりんごまたはサクランボの木から取り、調理はこの料理のための燻製器、コクタルニツァ(коктальница)で行います。
東カザフスタンの観光ポータルは、コクタルをバルハシのような水辺の地域と結びつけています。ただし、どちらの資料も発祥地を一か所に定めてはおらず、この記事もそれは言いません。
魚、マヨネーズ、じゃがいも、木の選び方
魚。 サザン(コイ)、ソウギョ、またはコイ科の別の魚で、3kg以上のものを選びます。この記事では、食用として合法的に流通している養殖コイを選び、魚屋で内臓処理と洗浄をしてもらい、鱗を残したまま買う前提にしています。内臓処理のやり方はここでは扱いません。野生魚を釣ることや、保護されている魚種を手に入れることについても、この記事は案内しません。
マヨネーズ。 市販のマヨネーズを使います。生卵から作る手作りマヨネーズは、このレシピに含みません。
じゃがいも。 この記事では、洗った皮つきの丸ごとのじゃがいもを使います。皮をむいたじゃがいもでも構いません。
胡椒。 この記事では黒胡椒を使います。
木。 食品燻製用として売られているりんごまたはサクランボの木を、適量使います。どれだけ入れるかは、お使いの燻製器の説明書に従ってください。
道具
- 開いた3kg以上の魚と野菜が入る、食品用の屋外用熱燻器(コクタルニツァなど)と、そのメーカー説明書
- 燻製器の格子(ラック)
- 生魚専用の清潔なまな板と包丁
- 野菜用の、別の清潔なまな板と包丁
- にんにくをおろすおろし器
- にんにくマヨネーズを作るボウルとスプーン
- マヨネーズを塗り広げるヘラまたはスプーン
- 清潔な食品用温度計
- じゃがいもを確かめる清潔なフォークなどの器具
- 熱い格子を運ぶための耐熱手袋または道具
- 生魚に触れていない、清潔な取り分け用の器具と盛り付けの台
うまくいかないとき:魚、じゃがいも、燻製器が思いどおりにならない
| 困りごと | 対処 |
|---|---|
| 開いた魚が燻製器に入らない | 無理に押し込んだり、その場で工夫したりしないでください。このレシピには、開いた魚全体と野菜が入る燻製器が必要です。 |
| 燻製器のメーカー説明書が手元にない | 燻製器を動かさないでください。点火、火力、時間は、その燻製器自身の説明書に従う必要があります。 |
| 温度計が63°C(145°F)未満を示す | 説明書に従って燻製器を閉じ、加熱を続けてから、身のいちばん厚い部分をもう一度測ります。 |
| 温度計の先が骨や格子に触れている | 引き戻し、どちらにも触れない身のいちばん厚い部分に差し直してから数値を読みます。 |
| 魚は仕上がったが、じゃがいもがまだ硬い | 火が通っていないじゃがいもは出さないでください。 中まで火が通って柔らかくなるまで取り置きます。 |
| 魚は焼けて見えるが、測っていない | 必ず測ってください。色、不透明さ、ほぐれやすさは、温度計の数値の代わりになりません。 |
| 生魚に触れた器具が、火の通った食べ物に触れた | 清潔な器具に替えてください。生魚用の道具と取り分け用の道具は、最初から最後まで分けておきます。 |
レシピの中でできるアレンジ
アレンジできるのは、次の範囲だけです。
- 魚: サザン(コイ)、ソウギョ、またはコイ科の別の魚で、3kg以上のもの。食用として合法的に入手したものに限ります。
- じゃがいも: この記事のように皮つきの丸ごとか、皮をむいたもの。
- 野菜の順番: 層ごとにマヨネーズを塗って野菜を重ねます。野菜を重ねる順番は変えられますが、ここでは玉ねぎ、トマトの順に重ねます。
- 木: りんごまたはサクランボの、食品燻製用のもの。
短時間マヨネーズに漬ける方法、レモンを使った別のマリネ、燻製器のない人向けのオーブンでの代替は、どれもこの記事には含めていません。
カザフの食卓のコクタル
ザヴィドヴォのレシピは、題名でコクタルを「カザフ料理の目玉」と呼んでいます。東カザフスタンの観光ポータルも、その地域の郷土料理の紹介にコクタルを入れ、野菜と一緒に熱燻した魚として説明しています。どちらも同じ型を指しています。大きな淡水魚を背から開き、鱗を残したまま、野菜を毛布のようにかぶせて燻すのです。どちらもこの料理を、バルハシのような湖や川と結びつけています。
料理の古さや、ただ一つの生まれ故郷を裏づけられる資料は、どちらにもありません。そのため、この記事もそうした主張はしません。ほかのカザフスタンの料理や背景は、カザフスタンのページでも紹介しています。
よくある質問
なぜ鱗を残すのですか?
ザヴィドヴォのレシピは鱗を残し、魚を鱗側を下にして格子に置きます。皮と鱗が一枚のままで、身と上にのせたものを支えます。レシピはそれ以上の理由を説明していません。書かれているとおりの方法に従い、鱗は引かないでください。
コクタルはどれくらい燻しますか?
公開されているレシピには、燻す時間も燻製器の温度も書かれていません。燻製器はメーカーの説明書どおりに運転し、火の通り具合は温度計で判断してください。身のいちばん厚い部分が63°C(145°F)以上になっていること、そのうえでじゃがいもに火が通っているかを別に確かめることです。63°Cという数値は、魚についての米国の食品安全の指針によるもので、ザヴィドヴォのレシピに書かれていたものではありません。
マヨネーズ、塩、木はどれくらい使いますか?
レシピには、マヨネーズと木の量は書かれておらず、塩と胡椒も「適量」とあるだけです。マヨネーズは魚と各野菜の層を覆える程度、塩と胡椒は好みで加え、木は燻製器の説明書の指示に従って入れてください。
玉ねぎはトマトより先に重ねなければいけませんか?
いいえ。レシピは、層ごとにマヨネーズを塗って野菜を重ねるとしていますが、順番は決めていません。玉ねぎが先、トマトが後というのは、この記事で選んだ順番です。
オーブンでも作れますか?
この記事が扱うのは、屋外用の熱燻器で作る方法だけです。オーブンでの作り方や、その場合の時間・温度は載せていません。
残ったらどうしますか?
この記事では、保存や温め直しの案内はしていません。コクタルは、火を通したての熱いうちに食べてください。
このレシピは特定の料理人のものですか?
ザヴィドヴォというフィッシング・ベースが公開したもので、料理人たちの名でまとめて出されています。個人の料理人の名前は示されておらず、この料理の歴史的な起源を裏づけるものでもありません。



























