ゼアマ — 澄んだ鶏のだしを、borșで明るく仕上げる
澄んだ鶏のだし、小さな角切りの野菜、自家製の麺、ラベージ(leuștean)の青い香り、そしてborșのやわらかな酸味。酸味のもとは発酵させた小麦ふすまで、ビーツでも酢でもレモンでもありません。
たっぷりの水で鶏肉を煮て、浮いてきたあくをすくいます。玉ねぎ、甘唐辛子、にんじん、セロリ根(celeriac)を小さな角切りにして入れ、パセリとラベージを加えます。最後に、淡い色のborșを50ml量って注ぎ、鍋をもう一度沸かして、自家製の麺を落とします。鶏スープであることに変わりはないのに、ふつうの鶏スープとはかなり違う味になります。
ゼアマ(Zeamă)は、モルドバ共和国でとくによく知られた伝統料理のひとつです。LOC FOODの伝統食ガイドは、鶏肉と麺のブロスに、自家製のborșで酸味をつけた料理と説明しています。MyMoldova.onlineも、家禽、手切りの麺、野菜、ラベージ、発酵させた小麦ふすまのborșを材料として挙げています。
この記事が手本にしたのは、PRO TV Moldovaの番組「Gusturile se discută」が公開している家庭のレシピです。鶏肉1kg、玉ねぎ2個、甘唐辛子2個、にんじん2本、セロリ根1/2個、パセリ、leuștean、自家製麺、borș 50ml、塩は味を見て、そして任意でじゃがいも。書かれているのはここまでで、水の量、人数、麺の量、麺生地の配合はありません。そこでこの記事では、すでに作ってある麺を鍋に合わせた量で使うことにし、水の量と仕上がり量は決めずに残しています。材料と順番と味の方向を確かめるための手引きとして読んでください。分量をすべて測り切ったレシピではありません。世界ごはん紀行では、このレシピをまだ台所で試作していません。同じ食卓の料理はモルドバの料理にまとめています。
ルーマニア語ではZeamă、発音記号を省いてZeamaと書かれることも多い料理です。このスープのborșは、酸味をつけるための液体です。英語でborschtと呼ばれる赤いビーツのスープのことではありません。
なぜborșなのか、なぜ決まったレシピがないのか
LOC FOODのガイドは、この料理の芯を「鶏肉、麺、自家製の酸っぱいborș」としています。ここでのborșは、発酵させた小麦ふすまの淡い色の液体で、酸味を足す役目をします。MyMoldova.onlineも同じように説明しているので、ゼアマの酸っぱさを、ビーツのスープの色や味と取り違えないようにしましょう。
同じガイドは、この料理にどれだけ幅があるかも記録しています。モルドバ南部の一部では、ゼアマではなく「麺入りのborș」や「tomaci」と呼ばれます。隣り合う村でも、じゃがいもを入れるかどうかは違います。MyMoldova.onlineには、玉ねぎ、にんじん、ピーマン、パセリの根、ときにじゃがいもを使う説明があり、卵やサワークリームを加える家庭にも触れています。
ほかの家庭のレシピは、また別の方向へ鍋を進めます。Bunica.mdの家庭版は丸ごとの鶏、赤と黄のピーマン、酢漬けではなく塩漬けのトマト、ローリエ、こしょうを使います。肉が煮えてからborșを入れ、スープが沸き直してから麺、麺が浮いてから香草を加えます。Moldovenii.mdには、キシナウのレストラン「Doina」のものとして紹介された米入りのZeamă de găină cu orezが載っています。
どれも別のレシピであって、この鍋に混ぜる材料ではありません。以下はPRO TV Moldovaの家庭レシピに沿います。トマトもローリエも米も入れず、じゃがいもは別の選択肢として切り分けています。
途中で見つける、味の決め手
道具
- ふた付きの深鍋
- あく取り用のスプーンまたはあく取り
- まな板と包丁
- borșを量る小さなグラスか計量カップ
- おたま
選び方と代用
borșは、borș acru(発酵小麦ふすまのborș)を探します。ルーマニア産のふすまborșとして売られていることもあります。ビーツのボルシチ(borscht)や、ふつうの酢は同じものではありません。 レモン汁でもスープは酸っぱくなりますが、酸味の質が違います。borșの代わりにレモンを使うなら、このスープではなく、自分なりのアレンジを作ることになります。
ラベージ(leuștean)は、パセリの仲間ではなく独立した香草です。種ではなく、生か乾燥の葉を探してください。見つからなければパセリだけでもスープにはなりますが、この料理らしい香りの一部は失われます。セロリ根は、ごつごつした根の部分を使います。葉柄のセロリは別の野菜で、ブロスの風味が変わります。
甘唐辛子は、ピーマンのようなふつうの甘い唐辛子を使います。甘みや大きさに差があるので、鍋の中の釣り合いが少し変わることがあります。鶏肉は1kg。骨付きの部位だとだしがしっかり出やすい、というのは買い物の目安にすぎません。
麺は、この料理では自家製です。市販の乾燥卵麺でも代用できます。量とゆで時間は袋の表示に従い、自家製麺とは食感が違うと考えておいてください。
このスープには鶏肉が入ります。麺はふつう小麦を含み、作り方によっては卵も含むので、使う麺を確かめてください。瓶入りのborșは、原材料とアレルゲンの表示を確認しましょう。鶏肉は、中まで完全に火が通るまで加熱してから出してください。
うまくいかないときの見直し方
| 状況 | 確かめること | 対処 |
|---|---|---|
| 野菜を入れる頃合いがわからない | 鶏肉の火の通り具合 | 煮える時間は部位、鍋、火力で変わります。何分と決めず、鶏肉がほぼ煮えたところで野菜を入れます |
| スープの味がぼんやりする | borșを入れたか、塩加減 | borșの50mlを一度に入れ、塩を調整する前に味を見ます |
| ブロスが赤い、または茶色い | ビーツのボルシチなど別の製品を使っていないか | このスープのborșは、淡い色の小麦ふすま液です。赤い液体は別の製品の可能性があります |
| 麺がまだ硬い | 生麺か乾燥麺か | もう少し煮て、また味見します。乾燥麺は袋の表示時間に従います |
| 香草の香りが足りない | ラベージを使ったか | パセリだけだと、香りはおだやかで別のものになります。違いを作るのはラベージです |
モルドバの食卓と、変えられるところ
ゼアマは熱いうちに食べます。MyMoldova.onlineには、唐辛子を添えて出す説明があり、卵やサワークリームを加える家庭にも触れています。これらは食卓での選択であり、基本の鍋の材料ではありません。
| バリエーション | 変わるところ | 取り組み方 |
|---|---|---|
| 基本版(じゃがいもなし) | 鶏肉、野菜、香草、borș、麺だけ | 上の手順のとおり |
| じゃがいも版 | 野菜の5〜7分後に、角切りのじゃがいもを加える | 手順4に従い、じゃがいもが煮えてからborșを入れる |
| 米入りのゼアマ | 麺の代わりに米を使う | 分量も手順も別のレシピです。この鍋には混ぜません |
| 乾燥卵麺 | 手早く作れるが、食感が違う | 量とゆで時間は袋の表示に従う |
| サワークリームや卵 | 一部の家庭が加える | 基本の鍋の一部ではなく、添えるものとして出す |
よくある質問
borșは赤いボルシチと同じものですか?
違います。ゼアマのborșは、発酵させた小麦ふすまで作る淡い色の液体で、スープに酸味をつけるために使います。LOC FOODのガイドもMyMoldova.onlineも、そのように説明しています。赤いビーツのボルシチは別の料理です。borșは50mlを量って入れるので、ブロスは赤くならず、軽く澄んだ状態のはずです。
じゃがいもは必要ですか?
必要ではありません。PRO TV Moldovaのレシピはじゃがいもを任意の材料としており、LOC FOODのガイドは、モルドバ南部の隣り合う村でも使うかどうかが違うと記しています。この記事では、じゃがいもなしを基本版、じゃがいも入りを別の選択肢として扱います。
米を入れてもよいですか?
米入りのゼアマはあり、Moldovenii.mdにキシナウのレストランのレシピとして載っています。ただし分量も作り方も別のレシピです。この記事は麺の版なので、二つを組み合わせないでください。
ラベージ(leuștean)が見つからないときは?
香りが変わります。ラベージはパセリとは別の香草で、その香りがゼアマをゼアマらしくしている部分です。どうしても無理なら省いてもかまいませんが、仕上がりはおだやかになり、ふつうのチキンヌードルスープに近づきます。このレシピは代用品を示していません。
水、人数、麺の量が書かれていないのはなぜですか?
手本にした家庭のレシピに、水の量、人数、麺の量、麺生地の配合の記載がないからです。数字を作ってしまうと、レシピが実際より正確に見えてしまいます。水は鶏肉を煮るのに足りる量を使い、麺は鍋に合わせて調整してください。
残りは保存や温め直しができますか?
この記事では、保存の日数も温め直しの温度も案内しません。調理した鶏肉のスープについては、お住まいの地域の食品安全の案内に従ってください。















