パプリカで赤く色づいた白いんげん豆と牛肉のスープ、パスリを深皿に盛り、パンと生の玉ねぎを添えた様子
🔪下準備20分
🔥調理2時間30分
🌍料理セルビア料理

パスリの作り方|セルビアの白いんげん豆と牛肉のスープ

約11分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 5

白いんげん豆を一晩水に浸ける(約12時間)

手順1: 白いんげん豆を一晩水に浸ける(約12時間)

豆をさっと洗い、豆の3倍以上のたっぷりの冷たい水に浸けて、涼しい場所で一晩置きます。豆は水を吸って2倍以上にふくらむので、大きめのボウルを使ってください。翌朝、表面のしわがなくなり、ふっくらと丸くなっていれば十分に戻っています。

STEP 22 / 5

豆を下ゆでする(約15分)

手順2: 豆を下ゆでする(約15分)

浸け水を捨て、豆を鍋に入れて新しい冷たい水をかぶるくらいまで注ぎます。強火にかけ、沸騰したら中火にして10〜15分ゆで、ざるにあげてゆで汁を捨てます。表面に出た白い泡はこのときに一緒に取り除かれます。

STEP 33 / 5

牛肉と香味野菜を炒める(約10分)

手順3: 牛肉と香味野菜を炒める(約10分)

豆をゆでている間に、フライパンにサラダ油の半量(大さじ2)を中火で熱し、玉ねぎの半量とにんじんを2〜3分、しんなりするまで炒めます。牛肉を加え、肉から出た水分がなくなり、表面の色が変わって脂がじゅうじゅうと音を立てるまで炒めます。火を止めておきます。

STEP 44 / 5

豆と肉を合わせ、混ぜずに煮る(約1時間30分〜2時間)

手順4: 豆と肉を合わせ、混ぜずに煮る(約1時間30分〜2時間)

厚手の深鍋に下ゆでした豆と炒めた肉を入れ、ぬるま湯を具がしっかり隠れるまで注ぎます。強火で沸かしたら弱めの中火にし、ふたを少しずらして、豆が指で軽くつぶれるやわらかさになるまで煮ます。目安は1時間半から2時間。この間は豆を混ぜず、水が減ったらぬるま湯を足すだけにします。混ぜると豆が割れて、鍋底に沈んで焦げつきやすくなります。豆がやわらかくなったらローリエを加えます。

STEP 55 / 5

ルーを作って加え、とろみをつける(約30分)

手順5: ルーを作って加え、とろみをつける(約30分)

小さなフライパンに残りのサラダ油大さじ2を中火で熱し、残りの玉ねぎを1分ほど炒めてから小麦粉を加え、へらで混ぜながら2〜3分、薄いきつね色になるまで炒めます。火から下ろして、パプリカパウダーとにんにくを混ぜます。鍋に溶いたトマトペースト、塩、ルーを加え、ダマにならないよう、ここからは鍋底から混ぜ続けます。弱火で20〜30分煮て、汁にとろみがつき、スプーンの背に薄く膜が残るくらいになれば完成です。黒こしょうとパセリをふり、塩で味を整えます。

白いんげん豆などのいんげん豆は、生や加熱不足のまま食べると、吐き気、嘔吐、下痢などの食中毒を起こすことがあります。原因はレクチンというたんぱく質で、厚生労働省は、水に十分浸してから、沸騰した状態でやわらかくなるまで十分に煮れば問題はないと説明しています。煎っただけ、短時間ゆでただけの豆は食べないでください。

パプリカパウダーは、熱い油に入れると一瞬で焦げて苦くなります。ルーを火から下ろしてから混ぜると、色鮮やかで香りのよい仕上がりになります。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

パスリに使う白いんげん豆、牛肉、玉ねぎ、にんじん、にんにく、トマトペースト、パプリカ、ローリエ

Kurirに載った「兵隊のパスリ」の材料を3倍にした家庭向けの配合です。

6品目

豆と具

材料 分量 代替・備考
白いんげん豆(乾燥) 360g 大福豆、手亡(てぼう)など。どの品種でもよい
牛肉(角切り) 300g 肩ロースやすねなど。骨や脂を取り除いて2cm角
玉ねぎ 75g(中1/2個) みじん切り。半量を肉と炒め、残りはルーに
にんじん 30g(小1/4本) みじん切り
サラダ油 大さじ4(約60g) ラードでもよい。半量を肉と炒め、残りはルーに
ローリエ 2〜3枚
7品目

ルー(ザプルシュカ)と仕上げ

材料 分量 代替・備考
小麦粉 大さじ3弱(約24g) 薄力粉
パプリカパウダー 小さじ1/2 辛くないもの
にんにく 3片 みじん切り
トマトペースト 大さじ3 ぬるま湯50mlで溶いておく
塩 小さじ1〜 味を見て加減
黒こしょう 少々
パセリ(乾燥または生) 少々 仕上げに

セルビアでは、豆の品種はとくに決まっておらず、Kurirの記事もどの種類の乾燥豆でもよいとしています。日本では大福豆や手亡など、白いんげん豆の名前で売られている豆が手に入りやすいでしょう。パプリカパウダーとローリエはスーパーのスパイス売り場で見つかります。パプリカはスープの色と香りを決める大事な調味料なので、ルーを作るときに加えて香りを立たせるのがこのレシピの使い方です。

コツ

燻製の香りがほしいときは、牛肉の半量をベーコンのブロックかスモークソーセージに替えてください。セルビアでよく作られる燻製肉のパスリに近い味になります。塩気が増えるので、最後の塩は少なめにします。


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Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

昼どき、ベオグラードの食堂の大鍋から、赤みがかった湯気が立っています。中身は白いんげん豆のスープ。とろりとした汁にパプリカの色が溶け、豆の間からは肉のかけらがのぞきます。皮のかたいパンをちぎって浸し、生の玉ねぎをかじりながら食べる。セルビアの人にとって、これほど身近な料理はないと言われるのがパスリ(pasulj)、つまり「豆」です。

料理名がそのまま「豆」という意味なのは、それだけ毎日の食卓に根づいているからでしょう。作り方はとても素朴で、乾燥豆を一晩水に浸け、肉と香味野菜と一緒に煮るだけ。ただし、仕上げには小麦粉を油で炒めたルー、ザプルシュカ(zaprška)を加えます。豆は煮ている間に混ぜないことと、ルーは最後に加えること。この2つを守ると、豆の形が崩れず、とろりとした汁のパスリになります。

旧ユーゴスラビアの兵舎で愛された豆

大鍋で煮た豆のスープを金属の食器によそう、昔の軍の食堂の様子

食の評価サイトTaste Atlasが2024年に発表した「世界の豆料理ベスト100」には、セルビアの料理が3つ入りました。セルビアの日刊紙Kurirによると、6位のパスリ、29位の汁気の多いパスリ(čorbast pasulj)、そして40位前後に入った焼き豆料理プレブラナツです(順位はKurirが39位、N1が40位と伝えています)。パスリは白いんげん豆を濃いスープ状に煮込み、ソーセージやベーコン、ハムに、玉ねぎとにんじんを合わせ、パプリカ、ローリエ、にんにくで味をつける料理として紹介されています。セルビアだけでなく、バルカン半島のあちこちで食べられている料理です。

Kurirは、汁気の多いパスリについて、作りやすく栄養もあることから旧ユーゴスラビア軍の定番料理だったとも書いています。大鍋でいっぺんに大量に作れ、安い豆で兵士のお腹を満たせる料理は、軍の食堂にうってつけでした。兵隊のパスリ(vojnički pasulj)という呼び名で、軍の食堂の作り方を紹介するレシピ記事が今もセルビアのメディアに載るほどです。

豆知識

セルビアのパスリは、燻製の肉やスペアリブで煮るのがよく知られた作り方です。燻製肉が煙の香りを、骨付き肉がこくを加えます。このレシピのもとにした「兵隊のパスリ」は、ふだんこの料理に入れることの少ない牛肉を使うのが特徴だと、Kurirは紹介しています。

このレシピは、Kurirがセルビアの地域ニュースサイト021.rsから紹介した「JNAの兵隊のパスリ」の作り方をもとにしています。元のレシピは1回分の材料を小さな単位で示しているため、分量を3倍にして、4人で食べやすい量にしました。燻製肉の代わりに牛肉で煮るので、煙の香りは控えめで、豆と牛肉の味がまっすぐに出るパスリになります。


燻製肉か、牛肉か、肉なしか

燻製の肉とスペアリブを入れたパスリと、牛肉のパスリを並べた比較

セルビアのパスリは、家ごとに中に入れる肉が違います。いちばんよく知られているのは、燻製したベーコンや豚のスペアリブ、ソーセージを入れる作り方で、Kurirが紹介する29位の汁気の多いパスリも、燻製の肉やスペアリブが煙の香りを加えるとしています。燻製肉を使う場合は、豆と一緒に最初から鍋に入れ、豆がやわらかくなるまで一緒に煮込みます。燻製の香りが汁全体に移るのが、このパスリのいちばんのごちそうです。

一方、肉を入れないパスリも、セルビアの家庭ではよく作られます。東方正教会の信者が多いセルビアでは、肉を断つ精進の時期があり、そのときは肉なしで、玉ねぎとパプリカ、ルーだけで味をつけます。このレシピの牛肉を省き、炒めた玉ねぎとにんじんを豆と煮るだけで、精進のパスリになります。肉がなくても、ルーとパプリカで十分に満足感のある味に仕上がります。

豆知識

パスリの付け合わせとしてKurirが挙げているのは、皮のかたいパンと生の玉ねぎです。スープの合間に生の玉ねぎをかじると、豆とルーの重さがすっきりします。

皮のかたいパンを添えて

深皿に盛ったパスリのスープと皮のかたいパンを並べたセルビアの食卓
完成したパスリを深皿に盛り、パンを添える

深皿にたっぷりよそい、皮のかたいパンを添えます。パンはちぎってスープに浸し、とろりとした汁を吸わせて食べます。生の玉ねぎはくし形にして皿の端に置き、スープの合間にかじります。

パスリは、セルビアでは食堂の昼の定番であると同時に、家庭で大鍋に作って何回かに分けて食べる料理でもあります。温め直すと豆がさらに汁を吸ってとろみが増すので、そのときは湯を少し足してのばしてください。同じセルビアの料理では、豚肉とパプリカを炒め煮にするムチカリツァも、パプリカの使い方の違いを比べながら楽しめます。

よくある質問

温め直したパスリに湯を少し足してのばす様子

水煮の白いんげん豆の缶詰で作れますか?

作れます。缶詰の豆はすでに加熱されているので、下ゆでを省き、炒めた肉と一緒に30〜40分煮て牛肉をやわらかくしてから、ルーを加えてください。豆が崩れやすいので、ルーを入れるまでは混ぜないようにします。

豆がなかなかやわらかくなりません。

古い豆は、長く煮てもやわらかくなりにくいことがあります。ぬるま湯を足しながら、30分ずつ煮る時間を延ばしてください。指で押して軽くつぶれるまで、ルーは入れません。

ルーを入れたらダマになりました。

ルーは鍋の汁を少量ずつ加えて小さなボウルでのばしてから鍋に戻すと、ダマになりにくくなります。できてしまったダマは、泡立て器で鍋の中を混ぜるとほぐれます。

辛くしたいときは?

ルーに加えるパプリカの一部を辛いパプリカパウダーに替えるか、仕上げに粗びき唐辛子を少し加えてください。

作り置きはできますか?

冷ましてから冷蔵庫に入れ、温め直すときは湯を少し足し、鍋底から混ぜながら全体をしっかり煮立ててください。この記事では、保存日数の目安は根拠を確認できていないため案内しません。

主な参考リンク

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