鍋のふたを開けると、いちばん上の米が、下に敷いた羊肉、人参、玉ねぎの煮汁をすっかり吸っています。米をまず大皿に移し、そのあとで肉、人参、ひよこ豆をすくい上げて米の上にのせる。オシ・パラフ(ошӣ палав。osh、palov、palavとも表記されます)は、米、肉、人参、油、玉ねぎを土台にしたタジキスタンの料理です。米が下の具の味をまとう、それがこの料理の中心です。
客人を迎える大皿の料理、オシ・パラフ
先に羊肉とひよこ豆を煮汁の中で煮えきらせます。そのあと米を上にのせて煮汁を吸わせ、動かすのは米の層だけにして、肉と野菜は下に置いたままにします。
タジキスタンでは、客人をもてなす料理、伝統的な集まりの料理として大切にされています。文化遺産を紹介する記録には、家族の食事、食堂、茶屋、祝いの席のいずれにも登場する料理として書かれています。中央アジアの各地で作られるプロフ(plov)とは近い関係にあり、国境でくっきり分かれるわけではありません。そのため、この記事ではオシ・パラフだけの起源を主張しません。
ここで紹介するのは、羊肉、人参、米、ひよこ豆で作る5人分の、計量つきの家庭版レシピです。国全体の唯一の型ではありません。地域や材料、行事による型は後半で、このレシピとは分けて紹介します。
オシ・パラフとは|炒める、煮汁を作る、米を煮る
タジキスタンの文化遺産の記録では、オシ・パラフは三段階で作ると説明されています。最初に具を炒め、次にジルバク(zirbak)と呼ばれる煮汁を作り、最後にその中で米を煮る。下のレシピもこの順序です。羊肉を油で焼き、玉ねぎ、人参、クミンを加え、水と浸したひよこ豆を入れて、肉と豆が煮えるまで煮ます。米をのせるのはそのあとです。
同じ記録には、サフラン、クミン、黒こしょう、レモン、ひよこ豆などを加える場合があると書かれています。タジキスタンの料理を紹介する旅行ガイドでも、人参または黄色いカブ、油脂、たいていは丸ごとのにんにくに加え、ひよこ豆、レーズン、マルメロ、あんずなどが挙げられています。今回の版で使う香りの材料は、クミンと黒こしょう、そしてひよこ豆だけです。
途中で見つける、味の決め手
器具
- カザン、またはふたのできる厚手の鍋(全部の材料と水が入り、煮立ってもあふれない余裕があるもの)
- ざる
- 200mlの計量カップ
- はかり
- しゃもじか幅広のスプーン
選び方と、置き換えるときの考え方
もとのレシピが決めていない部分は、次のように決めています。いずれも元レシピの内容ではなく、この記事での選択です。
- 米:長粒米。品種によって炊き時間と吸水が変わります。
- クミン:ホール。もとのレシピは「クミン」とだけあり、粒か粉かは書かれていません。
- ひよこ豆の浸水:冷蔵庫で一晩。もとのレシピに浸水時間はありません。
- こしょう:塩と一緒に煮汁へ。もとのレシピには材料としてありますが、入れる時点は書かれていません。
- 油:もとのレシピどおり、ふつうの植物油。オリーブオイルのレシピではありません。
羊肉、米、人参、玉ねぎ、植物油は、スーパーなどで一般的な名前で選べます。乾燥ひよこ豆とクミンシードは、少し探す必要があるかもしれません。
羊肉を牛肉に替える、別の油を使う、レーズンやにんにくを足す、といった変更は、この料理の小さな調整ではなく、別の型になります。これらについて確かめた分量は載せていません。缶詰のひよこ豆への置き換えも自動ではありません。容量で量る乾燥豆と、水気を切った缶詰の豆は同じものではないので、同じ重さや容量をそのまま使わないでください。
市販の加工調味料などを使う場合は、アレルゲンの表示を確認してください。
豆が硬い、米が硬い、底が焦げる|そんなときの見直し
原因が一つだけということはあまりありません。鍋の中を見ながら、次の順に確かめてみてください。
| 困りごと | 確かめること | 対処 |
|---|---|---|
| ひよこ豆が硬い | 米を入れる前に中心まで柔らかかったか | 米を入れる前の煮込みを続け、1粒割って確かめる。米を炊く段階で柔らかくなるとは考えない |
| 米が硬い | 水位、残っている水分、火の強さ | もとのレシピは水を足すことを認めている。鍋が乾いていたら少し足し、火は弱火のまま。使う米の様子を見て調整する |
| 底が焦げる | 火の強さと、水分の減り方 | 厚手の鍋と弱火を使う。底が焦げたときは、焦げた部分を全体に混ぜ込まない |
| 肉が柔らかくない | 煮汁の段階の時間が足りたか | 米を入れる前にもう少し煮る。この段階で肉に中までしっかり火を通す |
地域と場面で変わる、オシ・パラフのいろいろな型
タジキスタンの文化遺産の記録には、材料、地域、行事によって異なる型が紹介されています。その例をいくつか挙げます。
| 名前 | 特徴 |
|---|---|
| パラヴィ・バルギトキ(palavi bargitoki) | ぶどうの葉を使う |
| オシ・ザファローニ(oshi za'faroni) | サフランを使う |
| オシ・マヴィジ(oshi mavizi) | レーズンを使う |
| オシ・ナホル(oshi nahor) | 結婚式の早朝に出される |
これらは別の型や別の場面であり、上のレシピに足すものではありません。レーズンやにんにく、牛肉、別の油脂で作ってみたいときは、この記事のレシピに付け足すのではなく、別のレシピとして考えてください。
結婚式の日の早朝に出されるオシ・ナホルのように、この料理は特定の行事と深く結びついた形でも伝えられています。同じ名前でも、日常の食事と祝いの席では、顔つきの違う一皿になるようです。
客人と集まりの席で、オシ・パラフはどこにいるか
オシ・パラフは、客人に出す料理、伝統的な集まりの料理として語られています。結婚式の早朝に出るオシ・ナホルは、この料理が特定の場面と近い関係にあることを示しています。タジキスタンの料理を紹介する旅行ガイドも、パロフ(palov)が日々の食事、家族、結婚式、人々が集まる祝いの席で作られ、しばしば一つの皿を囲んで食べられることを書いています。
家で同じ気分を味わうなら、大きな皿に米を先に広げ、その上に肉、人参、ひよこ豆をのせて、真ん中から各自が取り分けるのが素直な盛り方です。料理の起源や名前の意味は、今回使った資料ではっきりしないため、ここでは触れません。
残ったときの扱い
残った分は、調理後2時間以内、周囲の気温が32℃を超えるときは1時間以内に冷蔵庫に入れます。冷蔵庫は4℃以下に保ってください。浅い容器に小分けにすると冷めやすくなります。温め直すときは、中心が75℃以上になるまで加熱します。これらは家庭向けの一般的な食品衛生の目安で、この料理について保存試験をしたものでも、日持ちを保証するものでもありません。
よくある質問
ウズベキスタンのプロフとはどう違いますか?
この作り方の米、肉、人参の料理は中央アジアに広く見られ、地域や家庭によって重なり合います。はっきり線を引くよりも、このレシピは、その大きな料理の仲間の中の、タジキスタンの家庭版のひとつと考えるほうが正確です。
もとのレシピの「グラス」は何mlですか?
もとのレシピには書かれていません。この記事では200mlの計量カップ1杯と決めたので、油は200ml、ひよこ豆はそのカップの半分(容量で100ml)です。これはここで決めた計量ルールで、この言葉の一般的な意味ではありません。
缶詰のひよこ豆を同じ量で使えますか?
そのまま置き換えることはできません。容量で量る乾燥豆と、煮て水気を切った缶詰の豆は、量も状態も違うため、ここでは自動の換算は示していません。
ひよこ豆は何分煮ればよいですか?
もとのレシピに決まった時間はありません。1粒割って、中まで柔らかいことを確かめてから米を入れてください。柔らかくなければ煮続けます。
米を炊くとき、なぜ鍋全体をかき混ぜないのですか?
もとの作り方は、下の炒めた肉や野菜と混ざらないよう、米の層だけをときどき動かします。鍋の底から混ぜると、この層が崩れてしまいます。
同じ国の別の料理は、タジキスタンのレシピも見てみてください。














