陶器の鉢に盛った小麦の粒とけしの実、はちみつ、くるみのクチャと、干し果物の飲み物ウズヴァル
🔪下準備12時間
🔥調理1時間30分
🌍料理ウクライナ料理

クチャの作り方|ウクライナの聖夜に食べる小麦とけしの実の粥

約11分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 7

小麦をひと晩水に浸す(10〜12時間)

手順1: 小麦をひと晩水に浸す(10〜12時間)

小麦の粒をボウルに入れ、水を替えながら3〜4回洗います。浮いてくる殻やごみは取り除いてください。小麦の4倍量の水1Lを注ぎ、ふたをして10〜12時間置きます。粒がふっくらとひとまわり大きくなり、指でつまむとかすかに弾力を感じれば十分です。夏場は冷蔵庫に入れて浸してください。

STEP 22 / 7

小麦を中火で約1時間ゆでる

手順2: 小麦を中火で約1時間ゆでる

浸した小麦をざるにあげ、鍋に入れて新しい水1Lと塩ひとつまみを加えます。強火にかけて沸騰したら中火に落とし、ふたを少しずらして約1時間ゆでます。途中で水が減って小麦が顔を出したら、湯を足してください。粒の一部が縦に割れて白い中身がのぞき、噛むとぷちっと弾けてやわらかければゆで上がりです。かたいときは15分ずつ延ばします。

STEP 33 / 7

小麦をざるにあげてバターをからめる(約5分)

手順3: 小麦をざるにあげてバターをからめる(約5分)

ゆで上がった小麦をざるにあげて、ざるをよく振って水気を切ります。ボウルに移し、溶かしたバター50gを回しかけて、木べらで全体にまんべんなくからめます。粒同士がくっつかずにつやが出れば十分です。このまま室温で冷ましておきます。はちみつは熱いうちに混ぜないので、小麦をしっかり冷ましてください。

STEP 44 / 7

けしの実を熱湯に浸す(約20分)

手順4: けしの実を熱湯に浸す(約20分)

小麦をゆでているあいだに、けしの実を目の細かい茶こしで軽く洗い、耐熱のボウルに入れて、沸騰したての熱湯200mlを注ぎます。ふたをして20分ほど置き、けしの実をやわらかくします。粒がふやけて指でつぶれるくらいになったら、目の細かい茶こしかさらしで水気を切ります。粒が細かいので、ざるでは流れ出てしまいます。

STEP 55 / 7

けしの実をすって「ミルク」を出す(約10分)

手順5: けしの実をすって「ミルク」を出す(約10分)

水気を切ったけしの実をすり鉢に入れ、すりこぎで円を描くように10分ほどすります。粒がつぶれてくると、白っぽい汁がにじみ出てきます。ウクライナではこれをけしの実の「ミルク」と呼び、ここまでよくすると風味がぐっと増します。ミルクが出て全体がしっとりとしたペースト状になったら、はちみつ100gと砂糖100gを加え、なじむまで混ぜます。

STEP 66 / 7

ウズヴァルを煮る(約30分)

手順6: ウズヴァルを煮る(約30分)

干しりんご、干し梨、干しぶどうをさっと洗い、鍋に水1.5Lと一緒に入れて強火にかけます。沸騰したら弱火に落とし、約30分、果物がふっくらとやわらかくなり、汁が淡い琥珀色になるまで煮ます。火を止めて冷まし、人肌まで冷めてからはちみつ大さじ2を溶かし入れます。

STEP 77 / 7

小麦とけしの実を合わせる(約5分)

手順7: 小麦とけしの実を合わせる(約5分)

冷めた小麦にけしの実のソースを加え、木べらで全体に色がまんべんなく回るまで混ぜます。小麦の粒がけしの実で灰色がかった色に染まり、はちみつのつやが出ればできあがりです。器に盛り、粗く刻んだくるみを散らします。食べるときに、ウズヴァルを大さじ2〜3杯ほど回しかけると、しっとりとして甘い香りが立ちます。

はちみつは、熱い小麦や煮立ったウズヴァルには加えません。少し冷ましてからはちみつを加えると、はちみつの香りが飛ばずに残ります。

すり鉢で10分すり続けるのが大変なら、フードプロセッサーで数回に分けて回しても作れます。ただし、すり鉢のほうが油分と「ミルク」がよく出て、口当たりがなめらかになります。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

小麦の粒、けしの実、はちみつ、くるみ、干しりんごと干し梨、干しぶどうを並べた材料

5品目

小麦

材料 分量 代替・備考
小麦の粒(玄小麦) 250ml(約200g) 全粒の小麦。ひと晩水に浸す
浸水用の水 1L 小麦の4倍量
ゆで用の水 1L 浸した小麦を新しい水でゆでる
塩 ひとつまみ
バター 50g 肉や乳製品を避けるなら、香りのない植物油大さじ2
5品目

けしの実のソース

材料 分量 代替・備考
けしの実(ブルーポピーシード) 100g 黒っぽい青色のもの。白いけしの実でも作れる
熱湯 200ml けしの実を浸す
はちみつ 100g
砂糖 100g 甘さを控えたいときは半量まで減らす
くるみ(むき身) 100g 粗く刻む。好みで軽く炒る
4品目

ウズヴァル(干し果物の飲み物)

材料 分量 代替・備考
水 1.5L
干しりんごと干し梨 合わせて250g 干しりんごだけでもよい。干しあんず、プルーンを混ぜてもよい
干しぶどう 50g
はちみつ 大さじ2 砂糖でもよい。甘さは好みで

クチャに使う小麦は、粉に挽く前の粒の小麦です。日本ではスーパーにほとんど並びませんが、通販で「玄小麦」「小麦の粒」として売られています。けしの実は、あんパンにのせる白いものより、ヨーロッパの菓子に使う黒っぽい青色のブルーポピーシードがクチャらしい色になります。製菓材料店や通販で手に入ります。

コツ

小麦の粒が手に入らないときは、押し麦や丸麦(大麦)でも似た食感に近づけられます。浸水の時間は短くてすみますが、小麦ほどぷちぷちとした歯ごたえは出ません。家庭向けの代用として考えてください。

注意

くるみはアレルギーの原因になることがあります。くるみを避ける場合は省いて作れます。はちみつは、1歳未満の乳児には食べさせないでください。


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Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

日が暮れて窓の外が暗くなると、ウクライナの家々では聖夜の夕食、スヴャタ・ヴェチェリャ(Свята вечеря)が始まります。テーブルの真ん中に置かれるのは、ゆでた小麦の粒に、黒っぽいけしの実とはちみつ、くるみを混ぜた鉢。これがクチャ(кутя、kutia)です。聖夜の食卓でいちばん大切な一皿として、どの家のテーブルにも欠かさず置かれます。

作り方は、小麦をひと晩水に浸してやわらかくゆで、熱湯に浸したけしの実をすり鉢ですって、はちみつと混ぜるだけ。日本では小麦の粒とけしの実を通販でそろえる必要がありますが、手順そのものは難しくありません。時間がかかるのは、小麦をひと晩浸すところだけです。

聖夜の12皿の中心に、クチャがある

ろうそくを灯したウクライナの聖夜の食卓の中央に置かれたクチャの鉢

ウクライナのクリスマスイブの夕食は、12の料理を並べるのが習わしです。オーストラリアのウクライナ系書店Sova Booksの紹介によれば、この12皿には肉も動物性の食品も使いません。そのなかで欠かせないのが、甘い2皿。小麦とけしの実のクチャと、干した果物を煮出した飲み物ウズヴァル(узвар)です。クチャは女主人、ウズヴァルは主人。ウクライナの通信社UNIANの記事では、2つの料理の関係がそう表現されています。

聖夜には、クチャを親しい人の家へ届ける習慣もあります。家族はクチャやパンを持って、名付け親や祖父母、親戚の家を訪ね、「こんばんは、聖なる夜です。父さんと母さんが夕食を届けに来ました」とあいさつします。迎えた家は、届けてくれた人にお菓子や果物、お金を渡してねぎらい、名付け子には贈り物を用意します。クチャは食べるだけでなく、届けるものでもあるのです。

豆知識

ウクライナのクリスマスは、長く旧暦(ユリウス暦)の1月7日に祝われ、聖夜の夕食も1月6日の夜でした。2023年7月、ゼレンスキー大統領が署名した法律で、国の祝日としてのクリスマスは12月25日に移されました。ウクライナ正教会も新しい暦への切り替えを発表しています。今は12月24日の夜にこの夕食を囲む家庭がある一方で、従来どおり1月6日に祝う人もいます。

材料は、小麦、けしの実、はちみつ、くるみ。どれも畑と森から得られるもので、肉も乳製品も使わない聖夜の食卓によく合います。干しぶどうや干した果物を加える家もあり、地域や家庭によって細かな作り方は違いますが、小麦とけしの実とはちみつという組み合わせは、どこでも変わりません。残ったクチャは、翌朝に温め直して朝食にすることもあります。


ウズヴァルと一緒に、聖夜の食卓へ

クチャの鉢とウズヴァルのグラスを並べ、ろうそくを灯した食卓
クチャにウズヴァルを少しかけ、残りは飲み物として添える

クチャは、大きな鉢に盛って食卓の中心に置くと、聖夜の雰囲気が出ます。食べるときは小皿に取り分け、ウズヴァルを少し回しかけます。残ったウズヴァルは、グラスに注いで飲み物として添えてください。干しりんごと干し梨のやさしい甘さが、けしの実の香ばしさによく合います。

クチャはお粥のようでいて、甘いデザートのようでもあります。日本の感覚に近いのは、甘い豆や雑穀のおはぎに似た、素朴な穀物の甘さでしょうか。冷やしても、常温でも食べられます。ウクライナの家庭料理なら、赤いビーツのスープボルシチも一緒に知っておくと、食卓の広がりが見えてきます。

肉を使わない料理が並ぶ聖夜の食卓を思い浮かべながら、きのこやじゃがいもを包むポーランドのギョーザピエロギと食べ比べてみるのも、東欧の冬の台所を知る手がかりになります。

よくある質問

すり鉢とすりこぎ、けしの実、小麦の粒を並べた様子

小麦を浸さずにゆでてもよいですか?

やわらかい品種や精白した小麦なら、浸さずにそのままゆでても作れます。かたい品種の小麦は、浸さないとゆで時間がかなり長くなるので、ひと晩浸すほうが確実です。

白いけしの実でも作れますか?

作れます。色は灰色にならず、白っぽい仕上がりになりますが、香ばしさとはちみつの甘さは十分に出ます。

作り置きはできますか?

ふた付きの容器に入れて冷蔵し、早めに食べきってください。冷えると小麦がかたくなるので、食べる前に室温に戻すか、ウズヴァルを少し多めにかけてしっとりさせます。

甘さを控えたいときは?

砂糖を半量に減らし、はちみつだけで甘みをつけてください。干しぶどうを加えると、砂糖を減らしても甘みと酸味が補えます。

主な参考リンク

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