オーランド黒パン 甘くて黒く、ぎゅっと詰まった、バターと魚のためのパン
目の詰まった生地、濃色糖蜜とモルトの深い甘み、粗挽きライ麦の風味。生地は柔らかく粘ったままにし、塗りだれは最初の焼成のあとに一度だけ塗ります。
濃い色の甘いパンを薄く切り、島のバターと地元の魚を添える。島の観光局Visit Ålandは、このパンの食べ方をそう伝えています。魚のスープのそばにも、夏至祭やクリスマスの食卓にも並ぶので、ふだんの日にも祝いの日にも居場所のあるパンです。
オーランド黒パン(スウェーデン語でÅländskt svartbröd)は、ぎゅっと詰まった甘いライ麦のパンです。決まったひとつの配合があるわけではなく、Visit Ålandは家庭にも地元のベーカリーにもさまざまなバリエーションがあると説明しています。この記事で紹介するのはそのうちのひとつ、ベーキングブログMatbrödに載っている家庭版のレシピです。短めの発酵と型焼きで、仕上げにはちみつ、濃色糖蜜、濃いコーヒー、バターの塗りだれを使います。
以下の分量・温度・時間は、この家庭版ひとつに基づき、原典の単位のまま載せています。世界ごはん紀行編集部では、このレシピをまだ台所で試作していません。オーランド黒パンの一例であって、唯一の伝統的な配合ではありません。
オーランド黒パンとは、どんなパンか
まず知っておきたいのは、これが甘いパンだということです。生地には濃色糖蜜が入り、モルトが独特の風味を加え、ブラウンシュガーか粗糖が味をまるくします。粗挽きのライ麦粉が重みときめの詰まった生地を生むので、ふわっとちぎれるのではなく、薄く切って食べるパンになります。
密度と甘さは、このパンの歴史ともつながっています。Visit Ålandも食の書き手Patrik Arnekeも、この密で甘く、日持ちのするパンを、歴史的に大切な携行食として紹介しています。Visit Ålandの説明では、アザラシ猟師、漁師、船乗りが持ち歩いたパンです。ただしこれはパンの歴史の話であって、いま家庭で焼いたパンがどれだけ持つかを保証するものではありません。
途中で見つける、味の決め手
道具
- filmjölkを温めるための小鍋
- 調理用温度計(37°Cの発酵乳を測るのに便利。なくても可)
- 大きめのボウルと丈夫な木べら
- 約1.5Lの長方形の型1個、または直径約22cmの丸型2個
- 発酵中に生地にかける清潔な布
- オーブン
- 塗りだれを混ぜる小さなボウルとスプーン
- 刷毛
- 冷ますための網
- 焼き上がったパンにかけるパン布
選び方と代用
手に入りにくいのは、filmjölk、モルト、粉類です。以下は、原材料が見つからない人のための編集部の案です。原典のレシピは代用品を挙げていません。どれも同じ仕上がりにはなりません。
| 材料 | 探すもの | 見つからないとき |
|---|---|---|
| filmjölk | スウェーデンの発酵乳 | 無糖のプレーンヨーグルトを牛乳でゆるめる案があります。同じ製品ではないので、酸味ととろみに差が出ます |
| モルト | 原典に粉末かシロップかの記載なし | 買う前にどちらの形状かを確認してください。モルト粉末とモルトエキスの換算は示されていないため、ここでも提案しません。省くと香りと色が変わります |
| 粗挽きライ麦粉 | 粗く挽いたライ麦粉 | 細挽きのライ麦粉では、粗挽きとは食感が変わります |
| グラハム粉 | 全粒小麦粉 | ふつうの全粒小麦粉がいちばん近い代わりです |
| 濃色糖蜜 | スウェーデンのmörk sirap | 黒蜜など別の濃い色のシロップを使う案もありますが、味は変わります |
| 砂糖 | ブラウンシュガー(farinsocker)または粗糖(råsocker) | どちらか一方だけを使い、もう一種類を重ねないでください |
生地に入れる濃色糖蜜1 dlと、塗りだれの1 mskは最初から分けて計量しておきましょう。役割が違い、前者はパンの中に、後者は最初の焼成のあとに表面へ使います。
生地やパンの様子がおかしいとき
| 見た目 | 確かめること | 対処 |
|---|---|---|
| 生地が柔らかくべたつく | 原典がそう説明している状態です | そのままにする。固めるために粉を足さない |
| 小麦粉が約6 dlに達してもまだ湿って見える | 原典の分量は目安です | 少しずつ足し、重く粘る状態になったらすぐ止める |
| 粉を一度に全部入れて生地が固い | 生地に合わせて粉を調整しなかった | 次回は小麦粉を少しずつ加え、早めに止める |
| どのモルトを買えばよいか分からない | 原典は粉末かシロップかを指定していない | 買う前に形状を確認する。換算量は示されていない |
| 発酵乳が熱くなりすぎた | 37°Cを大きく超えている | 37°Cまで冷ましてからイーストを加える |
| 塗りだれを二度塗りしたくなる | 原典は一度塗って5分焼く | 塗りだれは一度だけにする |
同じパンのまま変えられるところ
- 型の形: 同じ生地を、約1.5Lの長方形1個か、直径約22cmの丸型2個に入れられます。原典はどちらにも同じ時間を示しているので、自分のオーブンで焼き具合を見てください。
- 砂糖: ブラウンシュガー(farinsocker)か粗糖(råsocker)のどちらかを選びます。両方を合わせないでください。
- ライ麦粉の粒度: このレシピは粗挽きのライ麦粉を前提にしています。細挽きでは生地の食感が変わります。
- 塗りだれ: 原典どおり一度塗って5分焼き、重ね塗りはしません。
- 具やトッピング: バターや魚は皿の上に添えるもので、生地には入れません。この配合には種、ナッツ、卵、魚は入りません。
オーランド黒パンの食べ方

Visit Ålandは、バターと地元の魚を添える食べ方、魚のスープと並べる食べ方、夏至祭やクリスマスの食卓に出す食べ方を紹介しています。Patrik Arnekeは、薄く切った黒パンに燻製白身魚のスプレッドを合わせています。このスプレッドは別のレシピなので、燻製白身魚をバターと一緒に出すだけでも、パンと魚を並べるという考え方は同じです。
パンは薄く切り、添えるものは脇に置きます。少しのバター、燻製または塩漬けの魚、魚のスープなどがよく合います。
冷ますことと保存について
原典が示しているのは、焼き上がったパンを網にのせて冷まし、パン布をかける、ということだけです。保存期間、冷凍の方法、温め直し方は書かれていないので、ここでも案内しません。日持ちのする携行食だったという歴史的な評判は、家庭で焼いたパンがいまどれだけ持つかの目安にはなりません。
よくある質問
オーランド黒パンはどんなパンですか?
ライ麦を土台に、濃色糖蜜とモルトで色と風味をつけた、密で甘いパンです。日常の食卓にも祝いの席にも出てきて、家庭やベーカリーによってさまざまなバリエーションがあります。この記事は、公開されているひとつの家庭版レシピに沿っています。
モルトを省いてもよいですか?
省くことはできますが、香りと色が変わり、同じパンにはなりません。原典はモルトが粉末かシロップかを書いていないので、買う前に形状を確認してください。
filmjölkの代わりに何を使えますか?
無糖のプレーンヨーグルトを牛乳でゆるめる案は編集部の提案で、原典のレシピに書かれているものではありません。別の製品なので、酸味やとろみに差が出ます。
何と一緒に食べますか?
バターと魚です。オーランドでは地元の魚、Patrik Arnekeの食べ方では燻製白身魚、そして魚のスープも並びます。夏至祭やクリスマスの食卓にも出てきます。
どれくらい持ちますか?
資料は、密で甘い黒パンを、アザラシ猟師、漁師、船乗りが持ち歩いた歴史的な日持ちのする食べ物として説明していますが、いま家庭で焼いたパンの保存期間は示していません。レシピ自体の指示は、網で冷ましてパン布をかけることだけで、日数はここにも書きません。














