オーブンから出てきた大きな焼き菓子は、表面が不均一なきつね色に染まっています。少し冷ましてから切り分けると、ナイフが通るにつれてカルダモンの香りが立ち、中は目が詰まってやわらかい。切った一片を皿にのせ、濃い色のプルーンクリームをひとさじ、泡立てたクリームをふんわりと添えます。これがオーランドパンケーキ、Ålandspannkakaです。オーランド諸島の観光局Visit Ålandが勧めるとおり、少し冷ましてからプルーンクリームとホイップクリームでいただきます。
オーランドパンケーキは、粥を土台にした厚焼きです
この料理で外せないのは三つです。牛乳とセモリナで本物の粥を作ること、カルダモンの香りを主役にすること、そして薄くせず約2cmの厚さで焼くこと。少し冷まして、プルーンクリームとホイップクリームを添えます。
名前はパンケーキですが、薄いクレープ風の生地でも、フライパンで重ねて焼くパンケーキでもありません。生地の出発点は、牛乳とセモリナ(別の版では米)で炊いた粥です。そこに卵、砂糖、小麦粉、塩、カルダモンを混ぜ、油脂を塗った耐熱皿に約2cmの深さで広げて焼きます。できあがりは厚く、食べごたえがあります。
Visit Ålandによると、この菓子は普段の日にも祝いの席にも食べられ、カフェでも出されます。6月9日のオーランド自治記念日には、マリエハムンの広場でもふるまわれるそうです。島を代表する郷土の味のひとつにも数えられ、腹持ちのよい軽食としても、デザートとしても供されます。
このレシピは、Visit Ålandが公開しているセモリナ版と、同じページのプルーンクリームを、書かれた分量のとおりに使っています。世界ごはん紀行編集部では、この配合での試作は行っていません。
粥を焼く島の料理 ― 由来と土地ごとの違い
Visit Ålandの説明は実際的です。朝の残り粥に甘みと香りをつけ、パンケーキのように焼いたのが始まりらしく、料理の生まれ故郷はオーランド東部の群島ではないか、とも述べています。観光局はどちらも「おそらく」という形で紹介しているので、確かな歴史としてではなく、そう語られている由来として読むのがよいでしょう。
決まった唯一のレシピはありません。地元の家庭科系団体Ålands Marthadistriktは、2002年刊のオーランド伝統料理の本を出典として、自分たちのオーランドパンケーキを定番として載せています。そこには米とセモリナの両方が挙げられ、砂糖も一つの量ではなく幅をもたせて書かれています。スウェーデンのICAが載せる現代のレシピは、セモリナの量が少なめで、焼く器も時間も別です。読者のコメントには、粥が固まらずゆるいままだったという声もありました。これらは別々のレシピなので、この記事ではVisit Ålandの配合に混ぜていません。
セモリナも米も、この土地では実際に使われる選択肢です。ここではセモリナを基本の配合とし、米は手軽な置き換えではなく同じ料理の別の版として扱います(詳しくは後半の「アレンジと地域差」で触れます)。
添える泡立てクリームには、オーランドの古い言葉でsnömosという呼び名があると、Visit Ålandは紹介しています。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 粥を煮る中くらいの片手鍋
- 卵と砂糖を混ぜるボウルと泡立て器
- 木べらまたはへら
- 油脂を塗った耐熱皿。生地が厚さ約2cmに収まるもの(原典は大きさを指定していません)
- オーブン
- プルーンを戻して煮る小鍋と、浸けておくためのボウル
- でんぷんを溶く小さなカップ
- プルーンクリームを入れる器
選び方と代用
セモリナ。 製菓材料、パスタ、輸入食材の売り場で、ふつうのセモリナを探してください。小麦から作られています。原典は細挽きか粗挽きかを指定していないので、手に入るものを使い、パッケージの表示より粥になったときの状態で判断します。
カルダモン。 原典は小さじ2とだけ書き、粉か、さやから出した種を砕いたものかは書いていません。粉末のほうが手に入りやすく、さやから種を取り出して自分で砕くのもよい方法です。どちらでも、この菓子を決めるのは香りなので、分量はしっかり使います。
バターまたはマーガリン。 原典はどちらでもよいとしています。生地には混ぜず、小さく切って表面にのせます。
でんぷん。 コーンスターチかじゃがいもでんぷんのどちらかを大さじ1。両方は使いません。
プルーンクリームの代わりにジャム。 Visit Ålandによると、プルーンクリームの代わりにラズベリーやストロベリーのジャムを添える人もいます。伝統的なプルーンより明るく、果実味の強い味になります。量は示されていないので、ソースと同じように脇に添えてください。
このレシピには、牛乳、卵、小麦(セモリナと小麦粉の両方)が含まれます。米版にしても、小麦粉1 dlは入るので小麦不使用にはなりません。バターやマーガリン、でんぷん、使うジャムの表示も確認してください。
失敗したときは
| 状況 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 生地がゆるく、薄いパンケーキ生地のよう | 牛乳とセモリナがしっかりした粥になっていなかった | 次回は工程1で、はっきりとろみがつくまで加熱を続ける。この料理は粥の土台に頼っている |
| 生地に火の通った卵の小さな粒がある | 卵を、まだとても熱い粥に入れた | 工程2で粥をもう少し冷ましてから卵を加える |
| 40分たっても中央が液状 | 生地が深い、またはオーブンの温度が低め | 40〜60分の幅いっぱいを使い、取り出す前にもう一度中心を確かめる |
| 生地が薄く、縁が乾いている | 大きな皿に広げすぎた | 生地が約2cmの深さになる皿を使う |
| バターが生地に溶け込んでしまった | 混ぜ込んだ | 焼く直前に、小さくちぎって表面にのせる |
| プルーンクリームがさらさらしている | でんぷんを入れたあと、再び沸騰させなかった | 火にかけ直し、短く沸騰させる |
アレンジと地域差
米版。 Visit ÅlandとÅlands Marthadistriktはどちらも、セモリナ1.5 dlの代わりに米1 dlを使う版を載せています。これは生の米で、炊いた残りご飯ではありません。この記事の工程の途中で入れ替えられるものではなく、独立した別レシピです。米粥は炊き方が異なり、ここにある写真や時間はセモリナ版のものです。どちらか一方の穀類を使い、両方は混ぜません。
ほかの地元レシピの砂糖の量。 Marthadistriktの版は砂糖を幅で示していて、家庭ごとの違いの大きさがうかがえます。この記事では、Visit Ålandの1 dlに統一しています。
プルーンの代わりにジャム。 Visit Ålandによると、ラズベリーやストロベリーのジャムを代わりに添える人もいます。ただし、プルーンクリームのほうが伝統的な組み合わせです。
よくある質問
ふつうのパンケーキと同じですか?
違います。調理した粥を土台にした生地で、カルダモンで香りをつけ、約2cmの厚さでオーブンで焼きます。薄くもふわふわでもなく、密でやわらかい一切れになります。
米でも作れますか?
別の版としてなら作れます。資料では、セモリナ1.5 dlの代わりに生の米1 dlと書かれています。2種類の穀類を組み合わせたり、炊いたご飯を使ったりはしないでください。
何人分ですか?
Visit Ålandのレシピに人数の記載がなく、皿の大きさも示されていないため、人数の目安は書いていません。
小麦を避けたいのですが、作れますか?
このレシピでは作れません。セモリナは小麦から作られ、セモリナ版も米版も小麦粉1 dlを使います。米にするだけでは小麦不使用になりません。
残りはどう保存すればいいですか?
このレシピに使った資料には保存の方法も期間も書かれていないため、ここでは案内しません。Visit Ålandが述べているのは、冷蔵庫から出した冷たいままではなく、少し冷ました状態がよいということだけです。















