赤いパプリカのスープで煮込んだ牛肉と豚肉のチョバナツを深皿に盛り、パンを添えた食卓
🔪下準備20分
🔥調理2時間30分
🌍料理クロアチア・スラヴォニア料理

チョバナツの作り方|クロアチア・スラヴォニアの羊飼いのパプリカ煮込み

約10分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 5

玉ねぎと牛肉、豚足を水から煮る(約15分)

手順1: 玉ねぎと牛肉、豚足を水から煮る(約15分)

5L以上の深鍋にみじん切りの玉ねぎを入れ、3〜4cm角に切った牛肉、ジビエ、豚足を加えます。水約4Lを注いで強火にかけ、沸騰するまで10〜15分ほど待ちます。沸騰しはじめると灰色のアクが浮いてくるので、お玉ですくい取ってください。ここで丁寧にアクを取っておくと、仕上がりのスープが濁りにくくなります。

STEP 22 / 5

弱めの中火で30分煮る

手順2: 弱めの中火で30分煮る

アクを取ったら弱めの中火に落とし、表面がふつふつと煮立つ状態で30分煮ます。牛肉と豚足は火が通るまでに時間がかかるので、先に鍋に入れて煮はじめておくのがこの料理の段取りです。ふたは少しずらしてのせ、ぐらぐらと沸騰させないようにします。

STEP 33 / 5

豚肉とじゃがいもを加えて煮る(約30分)

手順3: 豚肉とじゃがいもを加えて煮る(約30分)

3〜4cm角の豚肩肉と、1cm角に切ったじゃがいもを鍋に加えます。水が減って肉の表面が出ているようなら、湯を足して肉がかぶるようにしてください。再び煮立ったらアクを取り、同じ火加減で約30分煮ます。じゃがいもは煮込むうちに崩れて、スープにうっすらとろみをつけます。

STEP 44 / 5

トマトジュースとパプリカ、塩を加える(約5分)

手順4: トマトジュースとパプリカ、塩を加える(約5分)

煮はじめてから1時間たったら、トマトジュース250ml、甘口パプリカ大さじ2、辛口パプリカ小さじ1、塩大さじ1を加えます。パプリカはダマにならないよう、お玉ですくったスープで溶いてから鍋に戻すと、全体にむらなく混ざります。スープ全体が鮮やかな赤に変わり、パプリカの甘い香りが立てば十分です。

STEP 55 / 5

さらに1時間〜1時間半煮込む

手順5: さらに1時間〜1時間半煮込む

弱めの中火のまま、さらに1時間〜1時間半煮込みます。途中で鍋底からときどき混ぜ、焦げつきを防ぎます。牛肉が箸で押すとほぐれるほどやわらかくなり、豚足の皮がとろりとしてきたら煮上がりです。豚肉のいちばん大きな3〜4cm角の塊を半分に切って、中まで白っぽく火が通っていることを確かめ、温度計があれば中心が75℃で1分以上になっていることを確認します。最後に味を見て、塩で調えます。

豚肉と豚足は、中心部を75℃で1分間以上加熱してください。豚肉は新鮮なものでも、中まで加熱しないと食中毒やE型肝炎ウイルスに感染するおそれがあります。このレシピのように2時間以上煮込めば十分に火が通りますが、大きな塊は切って中の色を確かめてください。

パプリカは最初から入れず、煮はじめて1時間たってから加えます。仕上げに色や香りが物足りなければ、火を止める5分前に甘口パプリカを小さじ1、スープで溶いて足してください。

チョバナツは、ひと晩おくと肉のうまみとパプリカがなじんで、さらにおいしくなります。冷めると豚足のゼラチン質でスープがぷるんと固まることがありますが、温め直せば元に戻ります。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

牛肉、豚肉、豚足、玉ねぎ、じゃがいも、トマトジュース、甘口と辛口のパプリカパウダーを並べた材料

11品目

煮込み

材料 分量 代替・備考
牛肉(すね肉またはかたまり) 500g 3〜4cm角に切る
豚肩肉(かたまり) 1kg 3〜4cm角に切る
豚足 2本 下ゆで済みのものでよい。スープにとろみが出る
ジビエ(シカ肉など) 100g 手に入れば。なければ牛肉を100g増やす
玉ねぎ 100g 小1個。みじん切り
じゃがいも 1個 1cm角に切る
水 約4L 煮詰まったら足す
トマトジュース(食塩無添加) 250ml 現地では加熱したトマトの汁
パプリカパウダー(甘口) 大さじ2 色を濃くしたいときは大さじ3まで
辛口パプリカパウダー 小さじ1 なければ一味唐辛子少々。辛さは好みで加減する
塩 大さじ1 味を見て調える

チョバナツの赤い色は、ほとんどがパプリカパウダーの色です。日本のスーパーで売っているパプリカパウダーは、たいてい辛みのない甘口なので、そのまま使えます。辛口のパプリカは輸入食品店や通販で探せますが、見つからなければ、一味唐辛子をひとつまみ加えても辛みの役目は果たします。豚足は、精肉店や沖縄料理の食材として下ゆで済みのものが売られていることが多く、ゼラチン質がスープにほどよいとろみをつけてくれます。

コツ

スラヴォニアの家庭では、ジビエを少し混ぜてスープに野性味を加えます。日本では、通販で冷凍のシカ肉やイノシシ肉が手に入ります。牛肉と同じ大きさに切り、牛肉と一緒に最初から煮込んでください。


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Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

秋の終わり、クロアチア東部の平原スラヴォニアの村では、広場に大きな鉄の鍋がいくつも吊るされ、薪の火が焚かれます。鍋の中で煮えているのは、牛と豚の肉を玉ねぎと真っ赤なパプリカで煮込んだスープのような煮込み、チョバナツ(čobanac)。木べらで鍋をかき回す人のまわりに、パンを手にした人たちが集まってきます。羊飼いの名前を持つパプリカの鍋は、スラヴォニアを代表する料理です。

家庭の台所でも、作り方はほとんど変わりません。深い鍋に玉ねぎと肉、水を入れて火にかけ、硬い肉から順に入れて、最後にパプリカで真っ赤に染める。肉を炒めることもなく、2時間半ほど煮込むだけの、拍子抜けするほど素朴な料理です。

羊飼いの鍋が、スラヴォニアの祭りの料理になった

スラヴォニアの村の広場で、薪の火にかけた大きな鉄鍋でチョバナツを煮込む様子

チョバナツという名前は、南スラヴ語で「羊飼い」を意味するチョバン(čoban)から来ています。パスティラツ(pastirac)という別名も、同じく羊飼い(pastir)から取られたものです。家畜の番をしながら、手元にある肉と玉ねぎを鍋に入れて火にかけておく。羊飼いや農村で働く人たちが、そうして作ってきた簡素な煮込みが、この料理の始まりだといわれます。

スラヴォニアは、ドナウ川とサヴァ川、ドラヴァ川に囲まれた、クロアチアでいちばん東にある平らな地方です。アドリア海沿岸の魚とオリーブオイルの料理とはまったく違い、豚肉の加工品やパプリカを使った煮込みが食卓の中心にあります。隣のハンガリーと同じく、パプリカがなければ始まらない台所です。チョバナツの赤い色と香りも、たっぷり入れるパプリカから生まれます。

豆知識

チョバナツは、今でもスラヴォニアの地域の食の祭りや市、屋外で大鍋料理を作る催しで盛んに作られています。屋外の火にかけた大鍋で煮るのが昔ながらのやり方で、村の人たちが集まる場には欠かせない料理です。冬の料理としても親しまれています。

昔から、チョバナツには何種類もの肉を合わせて煮るのが基本です。牛肉と豚肉を軸に、羊肉や、狩りで獲れたシカやイノシシなどのジビエを入れることもあります。家庭や村ごとに配合は違い、どの肉を何割入れるかに、それぞれの家の好みが出ます。いろいろな肉を一つの鍋で煮ることで、それぞれの肉のうまみが重なったスープになります。


パンを浸して、大鍋のまわりで

深皿に盛ったチョバナツと、厚切りのパンを並べたスラヴォニアの食卓
深皿に肉とスープをたっぷり盛り、パンを添える

チョバナツは深皿にたっぷり盛り、厚く切ったパンを添えて出します。スープというには具が多く、煮込みというには汁気が多いので、パンを浸しながら食べるのがいちばんです。アメリカの料理誌Milk Streetは、マッシュポテトや皮のかたいパンを添える食べ方も紹介しています。日本の台所なら、カンパーニュのような皮のかたいパンがよく合います。

小麦粉と卵で作る小さな団子を、仕上げの10分前に鍋へ落とす作り方もあります。クロアチアの料理動画サイトFini Receptiのレシピでは、ふるった小麦粉に溶き卵と塩、水を混ぜた生地を、スプーンで少しずつ鍋に落として10分煮ています。団子を入れると、一皿でおなかが満たされるごちそうになります。

同じパプリカの煮込みでも、国境の向こうのハンガリーでは、鶏肉をサワークリームで仕上げるチルケパプリカーシュや、牛肉のグヤーシュになります。クロアチアの同じ地方の料理とは思えないほど違うのが、アドリア海沿岸の煮込みパシュティツァーダです。

よくある質問

チョバナツに使う甘口と辛口のパプリカパウダーを並べた様子

豚足がなくても作れますか?

作れます。豚足はスープにとろみとコクを加える役目なので、なければ豚肩肉を200gほど増やしてください。スープはややさらりとした仕上がりになります。

辛くない味にできますか?

辛口パプリカを入れず、甘口パプリカだけで作れば、辛みはほとんどありません。子どもと一緒に食べるときは、辛口パプリカや一味唐辛子を大人の皿にだけ加える方法もあります。

作り置きはできますか?

ひと晩おいたほうが味がなじむので、作り置きに向いています。粗熱を取ってからふた付きの容器に移して冷蔵庫に入れ、早めに食べきってください。温め直すときは、全体が十分に熱くなるまで加熱します。

牛肉だけで作ってもよいですか?

作れます。アメリカのMilk Streetのレシピは、牛の肩ロースだけで作るアレンジを紹介しています。ただし、何種類もの肉を合わせるのがスラヴォニアの家庭の作り方なので、できれば豚肉も一緒に煮てみてください。

主な参考リンク

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