陶器の鍋で煮込んだ豚肉と牛肉のカルヤランパイスティに、マッシュポテトと漬物を添えた食卓
🔪下準備20分
🔥調理3時間55分
🌍料理フィンランド・カレリア料理

カルヤランパイスティの作り方|フィンランド・カレリア地方のオーブン煮込み

約14分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 6

玉ねぎを40分かけて炒める

手順1: 玉ねぎを40分かけて炒める

蓋付きの厚手鍋にサラダ油大さじ1を入れ、強火で薄切りの玉ねぎを炒めます。八角を使うならここで加えます。玉ねぎがきつね色になりはじめたら中火に落とし、焦げつかないよう数分おきに鍋底からかき混ぜながら、約40分炒め続けます。全体がしんなりして濃い茶色になり、甘い香りが立てば十分です。鍋底が焦げそうなときは水大さじ2を加え、こびりついたうまみをこそげ取ります。

STEP 22 / 6

肉を角切りにして焼く(約15分)

手順2: 肉を角切りにして焼く(約15分)

玉ねぎを炒めているあいだに、豚肩肉と牛すね肉をそれぞれ4cm角に切ります。フライパンにサラダ油大さじ1を強火で熱し、肉を一度に入れずに数回に分けて焼きます。1回につき肉同士が触れ合わない量にとどめ、各面に濃い焼き色がつくまで2〜3分ずつ。中まで火を通す必要はありません。一度にたくさん入れると温度が下がって肉から水が出て、焼き色がつかずに煮えてしまいます。

STEP 33 / 6

鍋に肉とスパイスを合わせる(約5分)

手順3: 鍋に肉とスパイスを合わせる(約5分)

オーブンを120℃に予熱します。玉ねぎの鍋に焼いた肉を移し、オールスパイス10粒、ローリエ2枚、塩大さじ1を加えます。フライパンに残った焼き汁も水少々でこそげて鍋へ。肉がちょうどかぶるくらいまで水を注ぎ(目安は800ml)、中火にかけます。表面がふつふつと煮立ったら、アクを軽くすくって蓋をします。

STEP 44 / 6

120℃のオーブンで2時間半煮る

手順4: 120℃のオーブンで2時間半煮る

蓋をした鍋をオーブンに入れ、120℃で2時間半煮込みます。途中で一度、1時間ほどたったところで蓋を開け、肉が水面から大きく出ていないか確かめます。煮汁が減って肉の上半分が乾いているようなら、熱湯を100mlほど足してください。煮汁の表面が小さく揺れる程度の静かな煮え方が、この料理に合った火加減です。

STEP 55 / 6

にんじんを加えてさらに30分煮る

手順5: にんじんを加えてさらに30分煮る

2時間半たったら鍋を取り出し、2cm角に切ったにんじんとローズマリーを加えて、軽く沈めます。蓋をしてオーブンに戻し、さらに30分煮ます。にんじんに竹串がすっと通り、牛すね肉がスプーンで押すとほぐれるくらいになれば煮上がりです。肉がまだかたいときは、30分ずつ延ばして様子を見ます。最後に豚肉のいちばん大きい塊に温度計を差し、中心が75℃で1分以上加熱されていることを確かめます。塩気を見て、足りなければ塩をひとつまみ加えます。

STEP 66 / 6

マッシュポテトを作って盛り付ける(約25分)

手順6: マッシュポテトを作って盛り付ける(約25分)

煮込みの最後の30分で付け合わせを作ります。じゃがいも600gの皮をむいて4等分にし、かぶるくらいの水と塩少々を入れた鍋で中火にかけ、沸騰してから約15分、竹串がすっと通るまでゆでます。湯を捨てて弱火で1分ほど鍋をゆすり、水分を飛ばしてからつぶし、バター20gと温めた牛乳を少しずつ加えて、なめらかなピュレにします。皿にマッシュポテトを盛り、肉と煮汁をたっぷりかけ、ピクルスを添えます。

豚肉は中心部を75℃で1分間以上加熱してください。豚肉は新鮮なものでも、内部までしっかり加熱しないと食中毒やE型肝炎ウイルスに感染するおそれがあります。中心部の色が白っぽく変わっていることも目安になりますが、大きな塊は温度計で確かめると確実です。

オーブンがない、または長時間使えない場合は、厚手の鍋でごく弱火にかけて同じ時間煮込めます。鍋底が焦げつきやすくなるので、30分おきに鍋底からそっと混ぜ、水分が減っていたら熱湯を足します。

カルヤランパイスティは、一晩おいたほうが味がなじむ煮込みです。冷めると表面に脂が白く固まるので、気になる場合は取り除いてから温め直します。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

豚肩肉、牛すね肉、玉ねぎ、にんじん、オールスパイス、ローリエ、ローズマリーを並べた材料

11品目

煮込み

材料 分量 代替・備考
豚肩肉(かたまり) 500g 豚肩ロースでもよい。4cm角に切る
牛すね肉(かたまり) 500g 現地のレシピでは牛ほほ肉。煮込み用の牛肩肉でもよい。4cm角に切る
玉ねぎ 大5個 薄切り
にんじん 2本 2cm角に切る
オールスパイス(ホール) 10粒 パウダーなら小さじ1/2
ローリエ 2枚 乾燥でよい
ローズマリー 1枝 なくても作れる
八角 1個 好みで。玉ねぎと一緒に炒める
塩 大さじ1 粗塩ならやや多めでもよい
サラダ油 大さじ2 玉ねぎ用と肉用に分けて使う
水 約800ml 肉がかぶる量。鍋の大きさで変わる
4品目

付け合わせ

材料 分量 代替・備考
じゃがいも 600g マッシュポテトにする
バター 20g マッシュポテト用
牛乳 100ml マッシュポテト用。かたさを見て加減する
きゅうりのピクルス 適量(1人2〜3切れ) 乳酸発酵の漬物があればなおよい

オールスパイスは、ひと粒にシナモン、クローブ、ナツメグを合わせたような香りがあるスパイスで、フィンランドではマウステピッパリ(maustepippuri、「スパイスのこしょう」)と呼ばれます。スーパーのスパイス売り場では粉末のほうが見つかりやすいのですが、この煮込みには粒のまま入れるホールが向いています。3時間煮るあいだに少しずつ香りが出て、粉末のように煮汁が濁りません。

コツ

牛すね肉は、スーパーでは「カレー・シチュー用」として角切りで売られていることもあります。すじが多い部位ですが、長く煮るほどすじがとろりとほどけるので、この料理にはむしろ向いています。豚肉は脂のある肩肉を選ぶと、ぱさつきません。


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Shop the pantry

材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

朝いちばんにパンを焼き終えた大きな石窯は、そのあとも長いあいだ、家じゅうを暖め続けます。フィンランド東部のカレリア地方では、ひとつの大きな窯でパンを焼き、同じ窯で家を暖めるのが昔ながらの暮らしでした。火が落ちて熱だけが残った窯に、肉と玉ねぎ、粒のスパイス、水を入れた土鍋を押し込んでおく。夕方に取り出すと、肉はスプーンで崩れるほどやわらかく煮えています。これがカルヤランパイスティ(karjalanpaisti)、窯の余熱で煮る肉の煮込みです。

味つけは塩とオールスパイス、ローリエくらいで、驚くほど簡素です。それでも何時間も煮た肉と玉ねぎから、深い味わいのスープが出てきます。日本の台所では、オーブンに入れられる蓋付きの厚手鍋があれば、パン窯の代わりが務まります。120℃で3時間、オーブンに任せておく料理です。

パン窯の余熱で煮た、カレリアのごちそう

フィンランドの古い農家の石窯に土鍋を入れて煮込む様子

カレリアはフィンランドのいちばん東にある地方で、ロシアとの国境に接しています。フィンランドの外務省が運営する紹介サイト「thisisFINLAND」は、カルヤランパイスティを、ライ麦の生地で米粥を包んだカルヤランピーラッカと並ぶ、もっとも広く知られたカレリアの料理として紹介しています。カレリア語ではペッチリハ(päččiliha)と呼ばれ、フィンランド語圏のカレリアでは単に「パイスティ(煮込み)」や「ウーニパイスティ(オーブン煮込み)」と呼ぶことも多いそうです。

煮込むための鍋にも呼び名があります。ウーニルウック(uuniruukku)、またはパタ(pata)。どちらも窯に入れる深い鍋のことです。肉が貴重だった時代には、この煮込みは祝いの日のための料理でした。収穫の季節のごちそうとしても語られます。20世紀に入って肉が手に入りやすくなると、フィンランド全土で日常的に食べられるようになりました。

豆知識

2007年、フィンランドのタブロイド紙イルタレヒティ(Iltalehti)の読者投票で、カルヤランパイスティはフィンランドの「国民食」に選ばれました。2016年秋に農林省なども関わって行われた投票では、ライ麦パンに次ぐ2位でした。

肉は1種類ではなく、豚肉と牛肉を合わせるのが基本です。ヘラジカ(エルク)や羊肉を入れることもあります。2種類以上の肉を一緒に煮ると、豚の脂のコクと牛のしっかりした繊維が、同じ鍋の中で違う食感になって残ります。にんじんや玉ねぎなどの根菜を加えるのも自由で、家ごとに中身が少しずつ違います。

フィンランドの家政団体マルタット(Martat)の家政の専門家は、フィンランド公共放送Yleの記事で、カルヤランパイスティを「長くオーブンに入れておける、すばらしい煮込み料理」と話しています。肉の部位は好きなものでよく、ジビエでも作れること、丸のままの玉ねぎと粒こしょう、塩、好みでローリエを入れ、材料がかぶるくらいの水を注ぐこと。最初に225℃で表面を焼き、150℃に下げて合わせて3時間煮るという、ごく素朴な作り方です。最初のうちは水分が足りているか見ておくように、とも添えられています。


マッシュポテトと、酸っぱい漬物を添えて

マッシュポテトとカルヤランパイスティ、ピクルスを並べたフィンランドの家庭の食卓
煮汁をマッシュポテトに含ませて食べる

カルヤランパイスティの相棒は、なめらかなマッシュポテトです。thisisFINLANDのレシピでも、ポテトピュレと乳酸発酵の漬物を添えて出すように書かれています。煮汁にはとろみをつけないので、皿の上でマッシュポテトがスープを受け止め、ソースの代わりになります。そこへ酸味のある漬物をかじると、脂のコクがすっと切れる。何時間も煮た肉の重さを、酸味が軽くしてくれる組み合わせです。

日本の台所で作るなら、市販のきゅうりのピクルスで十分です。乳酸発酵させたきゅうりやキャベツの漬物が手に入れば、より現地の取り合わせに近づきます。ぬか漬けのきゅうりを添えても、酸味と塩気の役目は果たしてくれます。

この煮込みは、フィンランドではもっと素朴な形でも作られます。マルタットが紹介するように、肉と丸のままの玉ねぎ、粒こしょう、塩、水だけをオーブンに入れて3時間。玉ねぎを長く炒めるこのレシピに比べると、味はあっさりしますが、手間はぐっと減ります。時間のない日には、そちらの作り方も試してみてください。同じフィンランドの汁物なら、鮭とじゃがいもをミルクで煮るロヒケイットも、北の台所らしいやさしい味です。

地域や家庭による違い

豚肉と牛肉、羊肉、根菜を合わせた煮込みの具材の違いを並べた様子

カルヤランパイスティには、決まった配合がありません。肉の種類は豚と牛を基本に、羊肉やヘラジカを加える家もあります。スパイスはオールスパイスだけの家、粒の黒こしょうを使う家、ローリエを足す家とさまざまで、どれもカレリアの味として受け入れられています。

thisisFINLANDのレシピは、玉ねぎを40分炒め、肉に焼き色をつけ、最後にローズマリーを加えるなど、伝統的な作り方よりも手をかけた配合です。一方で、マルタットの作り方のように、丸のままの玉ねぎを生で入れ、オーブンの高温で表面を焼いてから温度を下げるだけという素朴な作り方もあります。どちらが正しいということはなく、窯の余熱をどう使うかという暮らしの工夫から、それぞれの家の味が生まれてきました。

豆知識

カルヤランパイスティの主役ともいえるオールスパイスは、カリブ海や中米を原産とするフトモモ科の木の実を乾かしたスパイスです。遠い南の木の実が、北のカレリアの煮込みの香りを決めているというのも、交易の歴史を感じさせます。

よくある質問

厚手の鍋で煮込んだ豚肉の塊に温度計を差して中心温度を確かめる

豚肉だけ、または牛肉だけで作れますか?

作れますが、2種類以上の肉を合わせるのがこの料理の基本です。豚肉だけなら脂が多くやわらかめに、牛肉だけならあっさりとした仕上がりになります。どの場合も、豚肉は中心部が75℃で1分以上加熱されていることを確かめてください。

オールスパイスがないときは何で代用できますか?

粒の黒こしょう10粒で代用できます。フィンランドでも黒こしょうを使う家があります。香りは変わりますが、肉と玉ねぎの味がしっかり出るので、十分おいしく作れます。

煮込み時間を短くできますか?

圧力鍋を使えば短くできますが、オーブンで静かに煮るときのような、肉の繊維がほどける食感とは少し違います。圧力鍋で作る場合は、取扱説明書に従って加圧時間を決め、仕上げに豚肉の中心温度を確かめてください。

作り置きはできますか?

一晩おくと味がなじむので、前日に作っておくのに向いています。粗熱を取ってから冷蔵庫で保存し、早めに食べきってください。温め直すときは、中心まで十分に熱くなるまで加熱します。

アレルギーで気をつける材料はありますか?

煮込み自体には主なアレルギー物質は入りませんが、付け合わせのマッシュポテトにはバターと牛乳(乳)を使います。乳を避ける場合は、じゃがいものゆで汁とオリーブオイルでのばしてください。

主な参考リンク

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