朝のうちに火にかけておく鍋。ダブリンの家庭では、朝に鍋を仕込んでおき、食べる頃に温め直す習慣が広く見られたと、ダブリン市立図書館(Dublin City Council Libraries)は伝えています。鍋に入るのはソーセージ、ベーコン(アイルランドでいうrashers)、じゃがいも、玉ねぎ。これらを重ね、水分は少なめのまま、時間をかけてゆっくり煮ていきます。具材を重ねて静かに煮る一鍋、それがダブリン・コドルです。
ダブリンの鍋は、具を重ねてゆっくり煮る

コドル(Dublin coddle)は、アイルランド各地で食べられているアイリッシュ・シチューとは別の料理で、ダブリンという街と結びついて語られてきた煮込みです。基本の具はソーセージ、rashers(ベーコン)、じゃがいも、玉ねぎ。ただ、どの家でも同じ配合で作るわけではなく、ひとつの正解に固定されないところにこの料理らしさがあります。後半のレシピも、4人分で作りやすいようにまとめた家庭向けの一案です。
ダブリン市立図書館によると、「coddle」という名前はフランス語のcaudleに由来し、静かに煮る、下ゆでするという意味をもつそうです。料理名そのものに、鍋の中での煮え方が表れています。
同じ図書館の説明では、コドルはダブリンの労働者階級の料理です。家にある残り物を使って作るため、決まったレシピがないとも書かれています。食べるときは、パンで煮汁を受け止めるようにぬぐうのが習わしとして紹介されています。ソーダブレッドや普段の食卓のパンを添えるのは自然な食べ方の一例で、必ずそうしなければならない作法ではありません。質素な材料をひと鍋にまとめ、最後の一滴までパンで食べきる。そんな暮らしの工夫が詰まった料理です。
由来については、もう少し慎重に読む必要があります。ダブリン市立図書館の記事は、コドルの起源を1740–41年の飢饉に結びつけ、木曜日に残った肉を使い切ったのが始まりらしい、という話を紹介しています。ただしこの部分は「apparently」「reputedly」と添えて書かれており、確かめられた起源として示されてはいません。由来には伝承として伝わる部分があると受け止めておくのがよさそうです。同じ記事は、当時の多くの労働者にとってはジャガイモより穀物、とくにオーツ麦のほうが大切な食べ物だったとも述べています。飢饉の時代をジャガイモだけの物語として語ると、こうした背景がこぼれ落ちてしまいます。
途中で見つける、味の決め手
水で煮るか、だしで煮るか

ダブリン市立図書館の記事もIrishAmericanMomのレシピも、伝統的な煮汁は水だと書いています。鶏だしは、そこに味を足すための選択肢として紹介されているものです。今回の材料表は鶏だしを基本にしていますが、同じ量の水に替えても作れます。水なら素朴、鶏だしなら旨みが前に出るので、違う味わいのどちらかを選ぶつもりで決めてください。水で煮ると、ソーセージとベーコンから出る脂と塩気、玉ねぎの甘みがそのまま煮汁の味になります。
IrishAmericanMomは、ダブリンのコドルをソーセージとrashersの煮込み、アイリッシュ・シチューを羊肉またはラムの煮込みとして区別しています。どちらも家庭によって作り方が変わるので、全国どこでも通じる厳密な定義というより、主な具材による目安として覚えておくとよいでしょう。
食べ方

深めの皿にソーセージとじゃがいもを盛り、煮汁をたっぷりかけます。ダブリン市立図書館は、皿に残った煮汁をソーダブレッドでぬぐって食べる様子を紹介しています。IrishAmericanMomは、紅茶やパンと一緒に食べる例を挙げています。どれも食べ方の一例なので、決まった飲み物やパンをそろえる必要はありません。汁気をパンに吸わせる、そのくらい気取らない盛り付けがよく似合います。具を重ねて煮込む料理をもうひとつ作ってみたいなら、羊肉とキャベツを重ねて煮るノルウェーのフォーリコールとも比べてみてください。
よくある質問

ソーセージは先に焼かないといけませんか?
焼かなくても作れます。先に焼き色を付けるのはIrishAmericanMomのレシピにある見た目のための手順で、資料では焼かずにそのまま煮る人もいると紹介されています。どちらの場合も、最後はソーセージの中心が71°C以上になるまで加熱してください。
にんじんを入れてもよいですか?
ダブリン市立図書館は、伝統的なコドルにはにんじんを使わないと書いています。入れる場合は、伝統の配合ではなく家庭でのアレンジとして楽しんでください。
鶏だしがない場合はどうしますか?
材料表の鶏だし475mlを、同じ量の水に置き換えてください。水は、この記事で紹介した両方の資料が伝統的な煮汁として挙げています。
アイリッシュ・シチューとの違いは何ですか?
主な具材が違います。このレシピのもとにした資料では、コドルはソーセージとベーコン、アイリッシュ・シチューは羊肉またはラムの煮込みとして区別されています。地域や家庭によって作り方は変わるので、はっきり線を引ける分類とまでは言えません。
作り置きの日数は決まっていますか?
IrishAmericanMomのレシピページには冷蔵で3日、冷凍で3か月という目安がありますが、独立した安全根拠は確認できていません。そのため、この記事では保存日数や具体的な保存・再加熱方法を案内しません。










