ガーリックとベーコンのクイーニーズ:小さなホタテと熱いフライパン、汁をぬぐうパン
ベーコンの縁の黄金色、小さなホタテにつける短い焼き色、そして泡立つバターとにんにくの中で貝が「ちょうど不透明」になった瞬間に止める仕上げ。そのあとはすぐに、皿に残ったバターの汁をぬぐうパンです。
広いフライパンにまずスモークしたストリーキーベーコンを入れると、脂がゆっくり溶け出して、縁が黄金色にカリッと焼けていきます。ベーコンを取り出し、火を強めて、その脂の中に淡い色の小さなクイーンホタテを一層に並べます。片面およそ1分ずつ焼いたら火を弱め、泡立つバターが薄切りのにんにくを包み、貝は見る間に不透明になっていきます。ベーコンを戻し、パセリとレモンを加えて手早く一度あえたら、汁を最後までぬぐえるように、かたいパンを添えて食卓へ。
アイリッシュ海に浮かぶマン島の料理です。島では、クイーンホタテを地元の呼び名で「クイーニーズ」と呼び、2018年にはこれが島の国民料理に選ばれました。ここで紹介するのは、その投票と結びついて知られるようになった、ガーリックとベーコンの組み合わせです。島でのクイーニーズの食べ方が一つに決まっているわけではなく、これは現代の家庭向けレシピの一つです。もとにしたManx Wireのレシピ自体が、台所での試作は行っていないと断っています。世界ごはん紀行でも、このレシピ全体を台所で試作してはいません。時間は目安として、最後は貝の見た目で判断してください。
クイーニーズとは:名前が守られた小さなホタテ
「Isle of Man Queenies」は、マン島の海域で獲れたクイーンホタテに使われる保護された食品名です。 英国環境・食料・農村地域省(Defra)が保管している製品仕様書には、クイーンホタテの身はイタヤガイ類のキングホタテよりかなり小さいと書かれています。卵巣(ロー)をつけたままでも外しても販売できるとされています。同じ仕様書には、乾燥した未浸漬の身、個別急速冷凍(IQF)の身、半殻つきなどの形態も挙げられています。
この名前は産地と一体です。ほかの場所で買った小さなホタテや、ふつうの鮮魚店の大きなホタテは「Isle of Man Queenies」ではないので、この記事ではそう呼びません。ほかのホタテで作る場合は、作り方だけを借りた家庭向けの代用であり、島の産品や味の再現ではありません。
大きさの違いはコンロの前でも効いてきます。クイーニーズは小さいので、火が通るまでの時間が短くなります。厚みのあるホタテが同じ時間で仕上がるとは限りません。だから後の手順では、待つ時間だけでなく、何を見ればよいかも書いています。
タラの餌から国民料理へ:ガーリックとベーコンがクイーニーズに出会うまで
Defraの仕様書によると、クイーンホタテ漁は19世紀半ばに始まり、当時のクイーニーズはタラの延縄の餌に使われていました。「queen scallop」という名前は、少なくとも19世紀末から広く使われているとされています。仕様書は、クイーンホタテ産業が始まった年を1969年と記しています。Manx Wireもほぼ同じ流れを伝えています。クイーニーズはもともとタラの餌で、1960年代に漁の形が変わり、1969年にピールで商業的な水揚げが始まったという話です。これらの年代は、仕様書と地域の記事がそう書いている、というところまでの話です。独立に確かめられた起源として扱ってはいません。
現代の転機は2018年でした。Locate Isle of Manは、2,500人を超える人が投票し、マン島のクイーニーズが島の新しい国民料理に選ばれたと報じています。発表のあと、シェフのTony Quirkがイベントでクイーニーズをにんにくとベーコンで調理し、その場の参加者にふるまわれました。同じ記事には、島の人が白いソースやクリームソースでクイーニーズを食べるという話もあります。つまりガーリックとベーコンは、いくつかある食べ方の一つです。
この記事のレシピはManx Wireのもので、投票のあとに紹介されたガーリックとベーコンの組み合わせに沿っています。ただしManx Wire自身が、これはTony Quirk本人のレシピではないと明記しています。現在、Visit Isle of Manは、クイーニーズを島の海産物や名物の一つとして、マン・ロフタン種の羊肉、温燻サーモン、燻製ニシン(キッパー)と並べて挙げ、訪れた人が地元のレストランで味わうべきものとして紹介しています。
Locate Isle of Manの記事は、クイーニーズを「アイリッシュ海で養殖されている」と書いています。一方、保護名称を定めているDefraの製品仕様書は、天然ものを獲る漁業として説明しています。この記事はこの点について仕様書に従っています。
同じ海域の近くで魚介とベーコンを使う料理をほかにも比べたい方は、英国のフィッシュ・アンド・チップスや、アイルランドのダブリン・コドルもどうぞ。
道具
- 大きめのフライパン
- 穴あきスプーン
- キッチンペーパー
- 焼いたベーコンをのせる皿(貝を2回に分けて焼く場合は、1回目の貝も)
選び方と代用
クイーニーズそのもの: 乾燥した未浸漬の身のほうが焼き色がつきやすくなります。水に浸した貝は、フライパンの中で水分が出やすく、同じように色づくという保証はありません。卵巣は、つけたままでもなしでも構いません。好みで選んでください。
冷凍のクイーニーズ: 冷蔵庫で一晩かけて解凍し、調理の前にしっかり水気を拭き取ります。
ふつうのホタテで代用する場合: マン島のクイーニーズが手に入らなければ、鮮魚店やスーパーで加熱用として売られているホタテの身を400g使います。ふつうのホタテはクイーニーズより大きく厚いことが多いので、一つひとつの大きさを見て、「片面約1分」という時間だけに頼らず、見た目で火の通りを判断してください。仕上がりは作り方を借りた家庭向けの一皿で、島の保護された産品ではありません。
ベーコン: この料理は、鍋に残る脂と燻香の両方をスモークしたストリーキーベーコンに頼っています。脂の多い別のスモークベーコンでも代わりになりますが、塩気と燻香は商品によって違うので、味を見てから調味してください。
油: 菜種油かひまわり油にとどめます。ベーコンを焼き始めるための、癖のない油です。
困ったときは:水っぽい、色がつかない、硬い、苦い
| 起きたこと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| ホタテから水分が出て、焼き色がつかない | 表面の水分、または水に浸した貝 | しっかり水気を拭き、一層で焼く。乾燥した未浸漬の貝のほうが色づきやすく、浸した貝は同じように色づかないことがある |
| ホタテが白くなり、煮えたようになった | 一度に入れすぎて温度が下がった | 次回は2回に分けて焼く。長く焼くだけでは直らない |
| ホタテが硬い | 火が入りすぎた | 中まで不透明になったらすぐに仕上げ、すぐに食卓へ出す |
| にんにくが苦い | 強火のまま入れた | バターとにんにくを加える前に中火に下げ、短時間だけ火を通す |
| 塩辛い | ベーコンの塩気 | 味を見る前に塩を足さない。食卓で追加の酸味が欲しければ、塩ではなくレモンを添える |
食品の安全と扱い
生鮮でも冷凍でも、ホタテは購入先の表示に従って冷蔵で保管し、室温に出しっぱなしにしないでください。一度解凍したホタテを再冷凍しないでください。中まで完全に不透明になるまで加熱し、この料理を生では食べないでください。妊娠中の方、幼いお子さん、高齢の方、免疫力が弱い方には、生や加熱不足の貝を出さないでください。
この料理は作りたてが一番です。フライパンから出してすぐ食べる前提で、保存して温め直す料理ではないので、食べる分だけを作ってください。
アレンジ
- 4人の前菜にする: 分量はそのままで、フライパンの中身を4つの小皿に分けます。
- 卵巣つきを選ぶ: 白い身に加えて、卵巣の色と食感も楽しみたいときは、卵巣つきのクイーニーズを選びます。
- 冷凍品から作る: 前の晩に冷蔵庫で解凍し、手順1の前によく水気を拭きます。
- 大きなホタテで作る: クイーニーズの短い時間に頼らず、厚みを見て、火の通り方を確かめながら焼きます。
- 食卓で酸味を足す: ベーコンが塩辛ければ、分量は変えずに、塩ではなく皿の上でレモンをもう一絞りします。
よくある質問
クイーニーズは卵巣つきとなし、どちらを買えばよいですか?
どちらでも構いません。Defraの仕様書では、Isle of Man Queeniesは卵巣つきでも外しても販売できるとされていて、このレシピもどちらも認めています。卵巣つきは色と食感が加わり、なしは白い身だけの一皿になります。
冷凍のクイーニーズでも作れますか?
作れます。Manx Wireは、冷凍のクイーニーズは冷蔵庫で解凍し、調理の前に水気を拭くようにすすめています。調理は同じく一層で行い、一度解凍したものは再冷凍しないでください。
ふつうのホタテでも作れますか?
鮮魚店やスーパーで売っているホタテの身で家庭向けの一皿は作れますが、Isle of Man Queeniesではありません。大きくて厚いホタテは、加熱時間が違うことがあります。一層で焼き、中までちょうど不透明になったら仕上げてください。
ガーリックとベーコンは、クイーニーズの伝統的な食べ方ですか?
よく知られた現代の食べ方の一つです。Locate Isle of Manは、ガーリックとベーコンの一皿を、2018年の投票後のシェフTony Quirkの料理と結びつけています。同じ記事には、島の人が白いソースやクリームソースでクイーニーズを食べるという話もあります。このレシピはガーリックとベーコンの組み合わせに沿ったもので、Manx Wireは、Tony Quirk本人のレシピの再現ではないと断っています。
残りは取っておけますか?
この料理はフライパンから出してすぐ食べるもので、置いておくと貝が余熱で火が入り続けます。残りを前提にせず、すぐに食べる分だけ作ってください。
このレシピは試作されていますか?
世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作していません。Manx Wireも、そのレシピは試作していないと明記しています。時間は目安として、各手順の見た目の合図、とくに貝が中までちょうど不透明になっているかを頼りにしてください。













