スペイン風チュロス、油から上がったばかりの軽さ
小麦粉・水・塩だけの素朴な生地。星口金でつけた溝。外側が均一な黄金色で、中心まで火が通っていること。そして、熱いうちに軽く砂糖をふること。
マドリードでは、黄金色に揚げた細いチュロスを、濃いホットチョコラテに浸して食べます。スペイン政府観光局はチュロスを朝食や軽食として紹介していて、マドリード州の食文化の案内には、クリスマスの頃の夜明けにチョコラテと一緒にチュロスを食べる、という話も出てきます。これはチュロスが食べられる食卓の一場面であって、どの家庭にも共通する習慣というわけではありません。
生地の材料はごくわずかです。塩を入れた熱湯に小麦粉を混ぜ入れ、固くて厚みのある生地にまとめます。材料が少ないから、家庭でも取りかかりやすい料理です。むずかしいのは味ではなく扱いのほうで、熱湯で作った生地をチュレラで押し出し、熱い油に入れるところにあります。このレシピは、スペインの公共放送RTVEが公開しているレシピに沿っていて、生地は油の上ではなく作業台の上で成形します。
分量と手順は、RTVEの公開レシピに沿っています。RTVEのレシピには、何人分か、チュロスが何本できるかは書かれていません。世界ごはん紀行編集部では、このレシピを実際の調理で試していません。
マドリードの朝食と、細いチュロス・太いポラス
スペイン政府観光局によると、チュロスは朝食や軽食として食べられ、マドリード州ではチョコラテと一緒に出てきます。クリスマスの頃の夜明けに食べる例もあります。同じ観光局が載せているチュロスのレシピ(マドリード地方の料理と表記されています)は、仕上げに砂糖をふってすぐに出す内容で、チョコラテはレシピそのものには含まれていません。
マドリードの料理を紹介する同じ案内では、細く曲がったチュロスと、より大きなポラス(porras)が区別されています。この記事で作るのは細いチュロスです。太いポラスは、生地の揚がり方も中心に火が通るまでの時間も変わります。このレシピの寸法違いと考えず、別のレシピとして扱うのが無難です。
チュロスの起源や名前の由来については、さまざまな話が語られていますが、この記事のために確認できた信頼できる資料はありませんでした。そのため、いまの食べ方に絞って紹介します。
レシピや買い物で目にするスペイン語を、先に整理しておきます。churro(複数形 churros)はチュロス、churrería はチュロスを作る店、churrera は生地を押し出す器具(チュレラ)、porra はより太い揚げ生地です。
途中で見つける、味の決め手
選び方と代用
- 小麦粉:harina floja と呼ばれるやわらかい粉を使います。強力粉だと、生地が締まって固くなりやすいでしょう。オールパーパスの小麦粉は食感がその中間にあたるので、同じ配合の代用ではなく、別の配合として扱ってください。
- 塩:15gを使います。
- 揚げ油:ひまわり油を使います。オリーブ油は香りがチュロスに移ります。クセのない揚げ油のほうが、すっきりと素朴な味に仕上がります。
- 卵、バター、スパイスは入れない:このマドリード風の基本生地には使いません。任意のシナモンも入れません。
生地には小麦が含まれます。チョコラテを添える場合は、牛乳などのアレルゲンについて、製品の表示を確認してください。
道具
- 生地を作る厚手の片手鍋
- 木べら
- 耐熱のシリコン製の作業面またはマット
- 生地をまとめて詰めるためのへら
- 星口金つきの手動チュレラ
- 生地を切るキッチンばさみまたは包丁
- 揚げ用の深くて厚手の鍋
- 油の温度を見る温度計
- 長いトングと、油を切る網
固い生地を押し出すには、手動のチュレラを使います。星口金をつけた絞り袋でも溝はつけられますが、この固くて熱い生地に対しては、強さも扱いやすさも同等ではありません。そのため、そのままの代用としてはすすめません。
油はねと生焼けを防ぐために
揚げ作業を落ち着いて進めるための心がけは三つです。生地に水を足さないこと、星口金で溝をつけること、熱い生地は道具で扱うことです。
温度計があれば、チュロスを入れたあとに油の温度が下がったことに気づけます。一度に揚げる本数を減らせば、温度も保ちやすくなります。揚げ色を見ながら、中心を確かめつつ、火加減と一度に揚げる量を調整してください。
| 症状 | 考えられる原因 | 次に試すこと |
|---|---|---|
| 生地が押し出せない、または不ぞろいに途切れる | チュレラに空気が入っている、生地の詰め方がゆるい | へらでしっかり詰め直し、隙間を押し出す |
| 中心に火が通る前に外側が色づく | 太さに対して油が熱すぎる、生地の線が太い | 火を弱め、線を細く保つ。太いものは別のレシピ |
| 色が薄く、油を吸ってしまう | 一度にたくさん入れて、油の温度が下がった | 一度に揚げる本数を減らし、次の回の前に油の温度を戻す |
| 生地を入れると油がはねる | 油の上で成形した、または濡れた道具が鍋のそばにある | 先に作業台で成形し、油の近くの道具をすべて乾かす |
アレンジの考え方
- マドリード風の細い線状(基本のレシピ):上で紹介した、長くて細い溝つきのスティックです。
- 太めのポラス風:揚げ時間も中心の火の通り方も変わります。別のレシピとして扱い、基本のレシピの目安をそのまま使わないでください。
- 砂糖をふらない:仕上げの砂糖を省き、生地の塩気を前に出します。
- 砂糖をふってからチョコラテに浸す:マドリードの食卓の場面と同じ食べ方です。
- スパイス入り、または卵やバター入りの生地:ここで紹介する基本から離れます。スペイン風のアレンジとして扱わず、別のレシピと考えてください。
熱いチョコラテに浸して

砂糖をふったチュロスは揚げたてのまま出し、チョコレートは好みで添えます。まず何もつけずに1本食べて、カリッとした塩気のある生地を味わってみてください。次の1本は、マドリードで親しまれる組み合わせの、濃いホットチョコラテに浸します。クリスマスの頃の夜明けに食べる例もあるそうです。チョコラテは添えて食べるもので、生地の一部ではありません。
チョコラテは、マサ(とうもろこしの生地)で作るメキシコの飲み物、チャンプラードとは別のものです。シナモン、ナツメグ、バニラ入りのチュロスをチャンプラードと合わせるレシピもありますが、それはここで紹介した素朴なマドリード風の生地とは違う、スパイスの効いたスタイルです。飲み物のほうは、チャンプラードの記事を見てください。
よくある質問
絞り袋でチュレラの代わりになりますか?
ここで沿っているレシピは、手動のチュレラを使っています。星口金をつけた絞り袋でも溝はつけられますが、固くて熱い生地には強さも扱いやすさも劣るため、同等の代用としてはすすめません。
熱い油の上に直接絞り出してもよいですか?
避けてください。RTVEは、油はねを防ぐために、生地を油に入れる前に成形しています。作業台で絞って切ってから、油に入れます。
生地に卵やバターを入れますか?
このスペイン風の基本形では入れません。生地は小麦粉・水・塩だけです。卵、バター、スパイスを加えた生地は別のレシピなので、混ぜないでください。
チュロスとポラスは何が違いますか?
スペイン政府観光局は、マドリード州の料理を紹介するなかで、細く曲がったチュロスと、より大きなポラスを区別しています。ここでの違いは太さです。太い形は揚がり方が変わるので、別のレシピとして扱います。
作り置きはできますか?
揚げたてがいちばんおいしく、スペイン政府観光局も揚げたてを出しています。レシピの資料のひとつは、その日のうちに食べることを勧めています。保存できる期間は確認できていないので、食べる直前に揚げる予定を立ててください。











