まだ温かい揚げなすを、耐熱皿に一層ずつ並べていきます。その上にトマトソースをかけ、モッツァレラをのせ、また揚げなす。最後にソースとすりおろしたパルミジャーノ・レッジャーノで仕上げて、熱いオーブンへ入れます。表面に焼き色がつき、中まで熱くなったら出来上がりです。焼きたてはすぐに層がずれるのに、少し置いてから切ると、なす、トマト、チーズの縞が崩れずに持ち上がります。
揚げなす、トマト、チーズを柔らかく重ねる
やわらかく揚げたなす、短時間で煮たトマトソース、層の間のモッツァレラ、仕上げにすりおろしたパルミジャーノ・レッジャーノ。焼いたあとは少し冷まして層を落ち着かせると、切ったときに形が保てます。
パルミジャーナ・ディ・メランザーネは南イタリアの各地でさまざまに作られていて、カンパニア州の中だけでも、州の公的資料にいくつもの型が記録されています。そのため、この記事では「これが本物」と一つのレシピを決めつけません。公開されている家庭のレシピを一つ選び、なすの塩置きから焼き上がりの休ませ方まで忠実にたどります。地域ごとの違いは別にまとめたので、チーズを替えるか、なすを揚げるかという、味と食感を大きく左右する選択を、自分で判断しながら進めてください。
パルミジャーナ・ディ・メランザーネとは
パルミジャーナ・ディ・メランザーネは、揚げたなすをトマトソースやチーズと重ねて焼く料理です。 米国で知られているパン粉衣をつけた鶏肉料理(チキン・パルミジャーナ)とは別の料理で、こちらはなすが主役になります。
カンパニア州の伝統食品のページには、州内の多様な作り方が記録されています。長なすを使うこと、塩をして揚げること、乳製品の種類、トマトソースやラグー風のソース、卵にくぐらせたなす、いろいろなチーズなどです。また、イタリア政府観光局の公式サイトItalia.itは、イタリアの料理を、地域や都市、家庭ごとに解釈が違い、食卓を囲んで分かち合う食文化として説明しています。これだけ形の幅がある料理なので、一つの決まった配合というより、よく似た焼き料理の一族と考えるほうが実態に近いでしょう。
発祥については、ナポリ市を管轄する文化財監督局(Soprintendenza Archeologia Belle Arti e Paesaggio)が、カンパニアを起源とする説明をしています。そのページは18世紀末のヴィンチェンツォ・コッラード(Vincenzo Corrado)と、1837年のカヴァルカンティ(Cavalcanti)の記述を挙げ、名前もシチリアの言葉「parmiciana」に由来するとしています。ただしこれは同機関の説明です。歴史も名前の由来も議論があり、この記事ではどちらも確定したこととして扱いません。同じ国のほかの料理はイタリアのページからどうぞ。
途中で見つける、味の決め手
選び方と代用の目安
パッサータ: なめらかで塩の入っていないトマトパッサータか、無塩でなめらかなトマトピューレを選んでください。塩の入った既製のトマトソースを使うと、仕上がりの塩味が変わります。
パルミジャーノ・レッジャーノ: 手に入るなら、DOP表示のあるパルミジャーノ・レッジャーノがおすすめです。見つからなければグラナ・パダーノでも代用できますが、香りと塩味は違ってきます。
モッツァレラ: 原典はモッツァレラの種類を指定していません。フレッシュタイプを使うなら、重ねる前に余分な水分を切っておくと水っぽくなりにくいでしょう。これは原典にない編集部の提案です。
なす: 原典は品種を挙げていません。長なすでも作れます。縦に薄く切りやすいものを選ぶ、というのも編集部の提案です。
道具
- まな板と包丁
- ザル(なすの塩置き用)
- キッチンペーパー(水気取りと油切り用)
- ふた付きの小鍋(ソース用)
- 揚げ油が十分な深さになる、幅広で深さのある鍋(揚げ用)
- トング
- 耐熱皿
- オーブン(ファンなしの静的オーブン)
- 目の細かいザルまたはキッチンペーパー(フレッシュモッツァレラの水切り用)
うまくいかないときの見分け方
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 皿の中が水っぽい | ソースの煮込み不足、なすの油切り不足、水分の多いフレッシュモッツァレラ | パッサータを10分しっかり煮る。揚げたなすの油をよく切る。フレッシュモッツァレラは重ねる前に水気を切る |
| 切ると層がずれる | オーブンから出してすぐ切った | 少し冷まして層を落ち着かせてから切る |
| なすが油っぽい、焦げる | なすが濡れたまま揚げた | 揚げる前に水気をしっかり取り、揚げたあとは紙の上で油を切る |
| 表面は濃い色なのに中が熱くない | オーブンが強く、上から強く焼ける | オーブンに合わせて調整し、表面の色ではなく中まで熱いかどうかで確かめる |
だいたいの失敗は水分に行き着きます。ソース、なす、モッツァレラのどれもが水分を持っているので、ソースを煮る、なすの水気を取って油を切る、層ごとのソースを控えめにするという工程が、一切れが水たまりに浸らないようにする役目をします。原典には油の温度も量も数字がないので、数値ではなく、なすの色とやわらかさを見てください。
保存と温め直し
原典のレシピには、密閉容器に入れて冷蔵で2日もち、冷凍もできると書かれています。これはレシピ作者の目安で、安全性を検証した保存期間ではなく、冷凍で品質が保たれる保証でもありません。
家庭での食品の扱いの一般的な目安として、日本の厚生労働省は、残った料理を浅い容器に小分けして早く冷ますこと、室温に長く置かないこと、再加熱は中心が75°Cで1分以上になるまで行うことを案内しています。
よくある質問
パルミジャーナ・ディ・メランザーネはチキン・パルミジャーナと同じですか?
違います。この記事で扱うのは、なすを軸にしたイタリアの料理です。チキン・パルミジャーナは別の料理で、混同しないようにしてください。
なすを揚げずに作れますか?
原典のレシピは、なすをオーブンで焼くかグリルする方法にも触れています。軽く仕上がりますが、この記事でたどる揚げた版とは食感が違います。
なすの塩置きは省けますか?
ここで従っているレシピは、最低1時間の塩置きを指定しています。塩置きを省く時短は、このレシピとは条件が違い、仕上がりについてはこの記事では扱っていません。
モッツァレラで水っぽくなりませんか?
なる場合があります。フレッシュモッツァレラの余分な水分を切り、層ごとのソースはかけすぎず適度にします。水切りの時間は、資料に指定がないのでここでは示しません。
どのくらい保存できますか?
原典のレシピでは、密閉容器で冷蔵2日、冷凍もできるとされています。残りは浅い容器に小分けしてすぐ冷蔵し、食べる前に状態を確認して、中心が75°Cで1分以上になるまで温め直してください。














