夏の食卓に、鮮やかなピンク色のスープの器と、湯気の残るじゃがいもを盛った小皿が並びます。スープは、ビーツで色づいた冷たいケフィアに、歯ざわりのよいきゅうり、くし形のゆで卵、ディルと青ねぎの緑をあしらったもの。じゃがいもはバターとディルをまとい、スープとは別の皿に盛ります。冷たいスープと温かいじゃがいもの取り合わせが、リトアニアの冷製ビーツスープ「シャルティバルシュチャイ(šaltibarščiai)」の持ち味です。
英語では「cold borscht」や「pink soup」と呼ばれます。ただし、ウクライナのボルシチのように、熱いスープを長く煮込んだものを冷やしたわけではありません。ベースはだしではなくケフィアで、鍋で煮る工程はなく、冷たいまま食べます。じゃがいもも、スープに入れて煮るのではなく別添えです。同じ国のほかの料理は、リトアニアのページでも紹介しています。
このレシピは編集部で試作していません。Taste of Lithuaniaの4人分のレシピカードをもとに、ビーツの扱いだけ編集部で変えています(理由は後述します)。
リトアニアが夏に推す、ピンク色のスープ
リトアニアの国の観光局は、この国の料理を、季節の地元食材と昔から続く料理の伝統を通して紹介しています。そのなかで、旅行者に試してほしい料理のひとつにシャルティバルシュチャイを挙げています。同じ案内には、このスープを祝うイベントとしてヴィリニュスの「Pink Soup Fest」も載っています。この鮮やかな一杯が、今のリトアニア料理のイメージと強く結びついていることがうかがえます。
首都ヴィリニュスの観光機関Go Vilniusも、この冷たいビーツスープを、別添えの温かいじゃがいもとあわせて紹介しています。ただしそこで紹介されているレシピは、材料の組み合わせが違います。そのため本記事では、アレンジの項でのみ触れ、下の分量には混ぜていません。
家庭によって細かい違いはあります。Taste of Lithuaniaの筆者はコメント欄で、きゅうりは角切りにも薄切りにもおろしにもでき、切り方は家庭ごとに違うと説明しています。このレシピでは、ビーツは粗おろし、きゅうりは角切りの一通りに決めて作ります。
道具
- じゃがいも用の鍋
- 卵用の鍋
- 目の粗いおろし器
- 包丁とまな板
- 大きめのボウル
- スープ用の器と、じゃがいも用の別皿
ケフィアとビーツの選び方
元のレシピカードの材料欄は、ゆでておろしたビーツ500gです。一方、手順の説明では瓶詰めのビーツを、瓶の中の液体ごと使います。このレシピでは、味付けのない調理済みのビーツ500gを水気を切って使い、瓶の液は加えません。家庭で作りやすくするための編集部の判断なので、漬け液を使う作り方とは塩気や酸味が変わる場合があります。
ビーツ。 味付けや酢の入っていない調理済みのものを選ぶか、自分でゆでて、冷ましてからおろします。水気はしっかり切ってください。味付けなしのビーツと、瓶詰めの漬け液つきのビーツを同時に使わないでください。別の作り方になります。
ケフィア。 無糖のプレーンタイプを使います。ヨーグルトやバターミルクとは別のものなので、このレシピでは同じ扱いにはしていません。保存方法は、パッケージの表示に従ってください。
きゅうり。 ピクルスではなく、生のきゅうりを使います。皮が硬ければ、むいてもかまいません。
じゃがいも。 このレシピでは皮をむいて一口大にします。元のレシピは、薄い皮つきの新じゃがも認めていますが、これは別の下ごしらえです。
この料理には乳(ケフィア、バター)と卵が含まれます。卵はしっかり冷ましてから切り、清潔な道具を使ってください。生の肉に触れたまな板や包丁を、冷たいスープに使わないでください。調理した食品を、長く室温に置かないでください。
食べ方|冷たいひとさじと、温かいひと口

基本の食べ方は、じゃがいもを別皿に添えることです。冷たいスープをひとさじ、続けて温かいじゃがいもをひと口。Taste of Lithuaniaの筆者は、じゃがいもをひと口ずつスープに加えて食べるのが好きだと書いています。ただしこれは筆者ひとりの好みで、どの家庭にも共通する決まりではありません。熱いじゃがいもを全部まとめてスープに混ぜる食べ方とも違います。スープは冷たいまま、じゃがいもは温かいままで出すのが、この料理の基本です。
味と食感の整え方
| 状態 | 確認すること | 対処 |
|---|---|---|
| 味がぼやけている | 塩が足りているか | 塩と黒こしょうを少しずつ足し、味を見ながら調える |
| 酸味が思ったより強い、または弱い | 使ったケフィアと、ビーツの形態 | 酸味はケフィアとビーツによって変わります。この作り方では酢、レモン、ビーツの液は加えません。酸味を強くした作り方は、次のアレンジを参照してください |
| 食感がどろっとする | ビーツを細かくおろしすぎていないか、きゅうりを極端に小さく切っていないか | 次回は、おろし器の粗い目を使い、きゅうりは粒が分かる小さな角切りにする |
| スープが冷たくない | 冷蔵庫の外に置いたままになっていないか | 盛り付けまで冷蔵庫で冷やし、温かいじゃがいもは別皿にだけ盛る |
| 卵のくし形が崩れる | 温かいうちに切っていないか | 流水でしっかり冷ましてから、殻をむいて切る |
別の版のアレンジ
どれも別の作り方です。上の分量に重ねないでください。
- 瓶詰めのビーツを、液ごと使う。 元のレシピの手順は、瓶詰めのビーツと、その液を使います。そちらの作り方にするか、ここで使う水気を切った味付けなしのビーツにするか、どちらかにして、両方を一緒に使わないでください。
- きゅうりの切り方を変える。 Taste of Lithuaniaの筆者は、きゅうりは角切り、薄切り、おろしにでき、家庭ごとに違うと説明しています。このレシピでは、一貫して角切りです。
- バターミルクや酢を使う版。 Go Vilniusは、ケフィアまたはバターミルクを使い、酢と卵3個、独自のじゃがいもの量を加えた、別のレシピを紹介しています。試す場合は、その作り方全体に従ってください。ここでのケフィア1Lを、試していない割合でバターミルクに置き換えることはしないでください。
- 生のビーツから作る。 Go Vilniusの別のレシピは、ビーツの加熱に30〜60分かかると、大きさによって書いています。これはそのレシピの目安です。おろす前には、必ず冷ましてください。
保存について
元のレシピは、先に作る場合はスープを冷蔵するよう書いていますが、完成したスープの保存期間は示していません。盛り付けるまで、冷蔵庫に入れておいてください。ケフィアは、パッケージの表示に従って保存します。調理した卵、じゃがいも、スープを、長く室温に置かないでください。また、味やにおいだけで食べられるかどうかを判断しないでください。
よくある質問
ケフィアなしでも同じように作れますか?
作れません。ケフィアがこのレシピのベースです。Go Vilniusには、バターミルクを使える版がありますが、配合の違う別のレシピです。このレシピでは、同じ分量で置き換えられる代用品は示していません。
卵はいつ入れますか?
混ぜるボウルには入れません。固ゆでにして冷まし、殻をむいてくし形に切り、盛り付けるときに、残りの青ねぎ半量と一緒に、器ごとにのせます。
どのくらい冷やしますか?
元のレシピは、具体的な冷やす時間を示していません。盛り付けまでに時間があくときは冷蔵庫に入れるよう書かれているだけです。冷ましたビーツと、冷蔵庫から出したケフィアを使うと、冷たさを保ちやすくなります。
じゃがいもはスープに入れますか?
基本は、温かいまま別皿に盛ります。Taste of Lithuaniaの筆者のように、食べながらひと口分のじゃがいもをスープに加える人もいます。ただし、熱いじゃがいもをスープ全体に混ぜることはしないでください。
ウクライナのボルシチと同じですか?
違います。シャルティバルシュチャイは、ケフィアをベースに生のきゅうり、ゆで卵、フレッシュハーブを合わせた冷たいスープで、温かいじゃがいもを別に添えます。熱いまま煮込むビーツのスープとは別の料理です。












