タラトル:とろみを好みに合わせる、ブルガリアの冷たいきゅうりスープ
みずみずしいきゅうり、はっきりしたディルの香り、穏やかなにんにくの刺激、そして冷たい水でゆるめたヨーグルト。飲んでもスプーンですくってもよいスープに仕上げます。くるみは最後にのせます。
暑い午後を思い浮かべてください。食卓に、白っぽくて冷たいスープの器が運ばれてきます。小さく切ったきゅうり、刻んだディルの細かな緑、その上に散らした砕きくるみ。ヨーグルトの酸味ときゅうりの水分が合わさって、食事というより飲み物に近い、最初のひと口から涼しい一杯です。これがタラトル(таратор)です。
ブルガリア政府観光省は、タラトルを国内で人気の前菜の一つとして挙げ、ヨーグルト、きゅうり、ディル、砕いたくるみ、スパイスで説明しています。ブルガリアで食べられている料理ですが、ここでは発祥地を一か所に決めたり、唯一の「正しい配合」があると言ったりはしません。観光パンフレットも、レシピは国内で地域ごとに違うと書いています。以下のレシピは、唯一の作り方ではなく、はっきり記録されている一つの作り方です。
この記事のレシピは、ブルガリア政府観光省の公式観光サイト Visit Bulgaria に掲載されている Mate Kitchen の版に沿っています。掲載ページは4人分、所要時間20分としていますが、冷やす工程にも触れながら時間を示していないので、20分を全体の所要時間とは受け取れません。また、カップの大きさ、きゅうりの重さ、加える水の量も書かれていません。水は好みのとろみになるまで加える、という扱いです。こうした空白は推測で埋めず、そのままレシピに反映しています。
世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作してはいません。きゅうりやヨーグルトによって含まれる水分は違うので、とろみは自分の目とスプーンで確かめながら調整してください。
同じ国の料理はブルガリアのページでも紹介しています。
ヨーグルト、ディル、油、くるみの選び方
ヨーグルト。 無糖のプレーンヨーグルトを使います。ブルガリア式のヨーグルトはこの料理によく合いますが、特定の銘柄が必要なわけではありません。水切りした濃いタイプを選ぶと、スープにするために水がより多く必要になるので、水は少しずつ加えてください。
ディル。 生のディルがタラトルの輪郭をつくります。乾燥ディルは香りが違うので、同じ量で置き換えないでください。
ひまわり油。 このレシピで使うのはひまわり油です。手に入らない場合は、クセのない油でも代用できますが、香りは少し変わります。オリーブ油は風味がはっきり変わるので、同等の置き換えではなく別の選択として考えてください。
くるみ。 殻をむいた無塩のくるみを選びます。全体に混ぜ込むのではなく、仕上げにのせるトッピングです。
にんにく。 ここでは2かけが基本の量です。つぶし方の細かさによっても、感じる強さは変わります。
道具
- まな板と包丁
- ピーラー(または包丁)
- 粗めのおろし金(きゅうりを角切りではなくすりおろす場合のみ)
- にんにくつぶし(または包丁の腹)
- 計量スプーン
- 深めの混ぜ用ボウルと、別の小さなボウル
- ヨーグルトをなめらかにする泡立て器かスプーン
- 盛りつけ用の器またはグラス
濃すぎる、ゆるすぎる、にんにくが強すぎるときの直し方
| 状態 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 濃すぎる | 水が足りない、またはヨーグルトが濃い | 冷水を少しずつ足し、きゅうりの形がまだ保てているところで止める。一度に多く入れると味がぼやける |
| ゆるすぎる | 水を入れすぎた、またはきゅうりの水分が多い | ヨーグルトを少し足して混ぜる。全体のバランスが変わるので、必要な分だけにする |
| にんにくが強い | ごく細かくつぶした、またはにんにくの香りが強い | 次回はにんにくを減らすか、粗めにつぶす |
アレンジ:食感ととろみ
- 角切りでシャキッと。 ごく小さな角切りにすると、きゅうり一つひとつの存在感が残ります。
- すりおろしてなめらかに。 粗くすりおろしたきゅうりはヨーグルトになじみ、やわらかく均一な一杯になります。
- グラスなら薄めに、スプーンなら濃いめに。 変えるのは水の量だけです。グラスから飲むスープなら多めに、器からスプーンで食べるなら少なめにします。
ブルガリアの食卓のタラトル:夏、季節、地域差

Visit Bulgaria に掲載されている Mate Kitchen のレシピは、タラトルを夏の冷製スープ、前菜として紹介しています。食事の前にグラスか器で出したり、主菜に添えて食べたりする料理です。ブルガリアの観光パンフレットは、夏にとくによく食べられますが一年じゅう食べられていると説明し、国内でレシピが異なるとも書いています。同じ観光資料は、ヨーグルトと白いブライン(塩水漬け)チーズがブルガリアの食文化で目立つ位置を占めているとも述べています。
Mate Kitchen のページには、季節に合わせた変化として、春はレタス、冬はピクルスを使う版もあると書かれています。どちらも分量は示されていません。ここでは、そのページが挙げているアイデアとして触れるだけで、レシピとしても、全国で決まった習慣としても扱いません。
同じページには、ヨーグルトがタラトルに入るようになったのは比較的最近で、20世紀半ばごろであり、それ以前は酢と水をベースにしていたという記述もあります。この主張はそのレシピページにしかなく、ここで使った他の資料では裏づけられませんでした。確定した歴史ではなく、そのページの説明として読んでください。
ほかに公開されている版は、分量がかなり違います。Kamelena のレシピはヨーグルト、きゅうり、水の量が別で、観光パンフレットはヨーグルトに対するにんにくの割合が上のレシピよりずっと高くなっています。これらの版は上のレシピには混ぜていません。この料理がどれだけ幅をもって作られているかを示しています。
似た料理との違い
よくある質問
水はどれくらい加えればよいですか?
Mate Kitchen のレシピには分量がなく、好みのとろみになるまで水を加える作り方です。冷水を少しずつ加え、どれだけ使ったかをメモしておくと同じものを再現できます。
きゅうりは角切りではなくすりおろしてもよいですか?
はい。レシピは、ごく小さな角切りか粗いすりおろしのどちらも認めています。角切りだとシャキッとした歯ざわりが残り、すりおろすとよりなめらかなスープになります。
どれくらい冷やせばよいですか?
レシピは冷やして出すとしていますが、時間は示していません。掲載されている20分は全体の所要時間として確認されたものではないので、冷やす工程の時間は別に見込んでください。
ヨーグルト1カップのカップの大きさと、きゅうりの大きさは?
レシピページには、カップの容量もきゅうりの重さも書かれていません。ふつうのきゅうりを使い、最後に水でとろみを調整してください。
くるみは抜いてもよいですか?
ナッツアレルギーなどの理由で抜くことはできます。ただし、仕上がりの味と食感は標準のものとは違ってきます。
残ったタラトルはどう保存しますか?
タラトルは加熱しない乳製品を使うので、冷蔵庫に入れ、室温に長く置かないでください。保存期間はここでは示していません。












