パタタス・ブラバスは、スペインのバルで飲み物と一緒に頼む、揚げじゃがいもに辛いソースをかけた一皿です。テーブルの真ん中に皿を置き、みんなで手を伸ばして分け合います。
パタタス・ブラバス — 熱いじゃがいもと赤いソースを分け合う皿
この皿で守りたいのは、中までやわらかく、縁がきつね色のじゃがいもです。もうひとつは、辛さをピメントン(パプリカ粉)が、深みをチョリセロ唐辛子とアーモンドが受け持つなめらかなソースです。両者を別々に立たせ、ソースはじゃがいもにまとわせる程度にして、埋もれさせないようにします。
スペインでタパは、飲み物に添えて出てくる小皿料理です。バルを渡り歩きながら頼む一品にもなれば、それだけで一皿として頼む料理にもなります。スペイン政府観光局(Spain.info)はパタタス・ブラバスを人気のタパのひとつに挙げ、「辛いソースをかけた揚げじゃがいも」と簡潔に説明しています。
ただ、そのソースがどうあるべきかは簡単ではありません。マドリード料理学会(Academia Madrileña de Gastronomía)は、同学会がマドリード風とするソースを、トマトを使わず、オリーブオイル、玉ねぎ、辛口のピメントンを軸にしたものと説明しています。学会の説明では、料理はスペイン各地に広がるうちに土地ごとにソースが変わり、バルがそれぞれの配合を守っているそうです。そこでこの記事では「唯一の正解」を探さず、ひとつの再現しやすいレシピを紹介します。EL PAÍS(El Comidista)に載ったMònica Escuderoさんの4人分のレシピで、粉末アーモンドとチョリセロ唐辛子のペーストでソースにコクを足したものです。
押さえたいのは2点です。じゃがいもは同じ鍋で二段階に火を通します。まず油でゆっくりやわらかくし、続けて火を強めて外側に色と歯ざわりをつけます。ソースはゆっくり炒めて、玉ねぎは淡い色のまま、ピメントンは焦がさないようにしてから、なめらかにしていきます。
途中で見つける、味の決め手
道具
- ソースを作るフライパン
- ソースをなめらかにするブレンダー、または裏ごし器(パスアプーレ)
- じゃがいも用の深めのフライパンか鍋
- 火の通りを確かめる細い竹串
- 穴あきお玉
- 油を切るキッチンペーパー
- 揚げ物用の温度計(任意)。レシピに油の温度の指定はなく必須ではありませんが、弱火の段階と色づけの段階の違いが見やすくなると感じる人もいます
買い物と代用 — 変えてよいところ、変えないところ
ソースにはアーモンドが入っています。ナッツアレルギーのある方には、出す前に必ず伝えてください。揚げ油、ブレンダー、調理器具を介した混入にも注意が必要です。バルによってはアリオリやマヨネーズを添えますが、それらを加えるなら、卵を使ったものは別のアレルゲンになる点も確認してください。
分量は、EL PAÍSの4人分のレシピに沿っています。原文にはじゃがいもの重さも、オリーブオイルと塩の量も書かれていないため、材料表も原文のとおり「適量」としました。鍋の大きさと好みに合わせて加減してください。
じゃがいも。 原文は「若い大きめのじゃがいも3個」とだけ書き、品種は指定していません。大きさがそろっていて、揚げ物に向くと分かっている種類を選ぶと、火が均一に通りやすくなります。これは実用上の助言で、原レシピの指定ではありません。
ピメントは2種類。 甘口と辛口は別の材料なので、両方用意します。スペイン産が見つからなければ、甘口の分は一般的な甘口パプリカ粉で作れますが、香りは変わります。辛口の分を一般的な唐辛子粉で同量置き換えるのはやめてください。辛さも風味も違うため、使うなら少量から始めて味を見ます。
粉末アーモンド。 無糖の粉末アーモンド(アーモンドプードル)で同じ役割を果たせます。甘みのついたものは避けます。
チョリセロ唐辛子のペースト。 探す価値があるのはこの材料です。スペイン食材店や通販で、「チョリセロ唐辛子ペースト」や carne de pimiento choricero で探します。パプリカ粉とは別物で、辛い唐辛子ペーストとも違います。ほかの唐辛子ペーストは味が変わるので、同等の代用品ではなく別のソースとして考えてください。瓶詰めは商品によって塩分も異なるため、塩を足す前に味を見ます。
チョリセロが手に入らないときは、無理に似たものを同量で置き換えるより、入手してから本来の配合で作るのがいちばんです。代わりのペーストを使う場合は、甘みも辛さも違うソースになると割り切ってください。
うまくいかないときの見直し
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 玉ねぎが色づいた | 手順1の火が強すぎた | 火を弱め、きつね色ではなく透き通る状態を目指します。ソースはやわらかく淡い玉ねぎから始めるものです |
| ソースが苦い、焦げ臭い | ピメントが焦げた | ピメントとチョリセロを入れたらごく弱火を保ち、短い加熱時間を守ります |
| ソースが濃すぎる | 材料による個体差 | 水やだしではなく、レシピどおりオリーブオイルを少し足して伸ばします |
| じゃがいもの中心が硬い | 火を強めるのが早すぎた | 竹串が中心にすっと入るまで弱火の段階にとどめ、それから色づけます |
| 外側が白っぽくやわらかい | 二段階目の加熱が短い、または鍋が混み合っている | 余裕をもたせ、強めの火でしっかり色がつくのを待ってから油を切ります |
| 皿の上でべたついた | ソースのかけすぎ、時間がたちすぎた | 食べる直前にソースをかけ、縁を少し出しておきます |
外はカリッと、中はやわらかい。この対比がこの料理の魅力で、鍋から上げたばかりのときがいちばんです。作り置きせず、食べる時間に合わせて揚げてください。
残りが出た場合は、厚生労働省の家庭向けの食中毒予防の案内が基本の目安になります。浅い容器で手早く冷まし、生の食材と加熱後の食品で調理器具を使い分けます。温め直すときは、中心が75°Cで1分以上になるよう十分に加熱します。これは一般的な指針で、このレシピ固有の保存期間を示すものではありません。室温に置いたままにしないでください。
アレンジの幅
- 辛さを控えめに。 辛さが苦手な人には、辛口ピメントを減らし、甘口ピメントとチョリセロで風味を支えます。どのくらい減らすかは好みです。
- 辛さを強めに。 辛口ピメントを、レシピの小さじ1を基準に少しずつ増やします。カイエンペッパーなど別のレシピの材料を足すと、別のソースになります。
- アーモンドの食感。 レシピは粉末アーモンドで、なめらかなソースです。長めにブレンダーにかければより絹のように、短めなら少し粒感が残ります。どちらでも、粉末アーモンドから始めます。
- チョリセロが見つからないとき。 いちばんよいのは、ペーストを探して配合どおりに作ることです。当面ほかの唐辛子ペーストを使うなら、甘さと辛さの違う別のソースとして考え、同等の置き換えとは見なさないでください。
- バルセロナ風のミクスタ(mixtas)。 EL PAÍSによると、バルセロナの一部では辛いソースにマヨネーズやアホネサ(ajonesa)を合わせた「ミクスタ」が人気です。Spain.infoはアリオリを、主にオリーブオイルとにんにくで作るものと説明しています。添えるなら別添えにして、ブラバスソースそのものには混ぜません。卵を使うものなら、アレルゲンにも注意してください。
同じ名前でも、ソースはさまざま

パタタス・ブラバスは、スペインのタパの食卓にある料理です。飲み物と一緒に、あるいは夜の街を移動しながら頼む数皿のひとつとして出てきます。Spain.infoは、この料理を人気のタパのひとつとして、辛いソースをかけた揚げじゃがいもと紹介しています。同じ国のほかの料理は、スペインのレシピからどうぞ。
ソースは、作り手によって分かれるところです。マドリード料理学会は、マドリード風としているソースを、トマトを使わず、オリーブオイル、玉ねぎ、辛口ピメントを軸にしたものと説明します。学会によると、料理はスペイン中に広がり、ソースは伝わる先々で地域色を帯び、バルはそれぞれのレシピを守ってきたそうです。これはあくまでマドリード風についての学会の見解で、唯一の本物のレシピを証明するものではありません。
マドリード料理学会のページには、にんにく、小麦粉、酢、だしを使う、同学会独自の別のレシピも載っています。これは別の配合なので、この記事のレシピには混ぜていません。
EL PAÍSは、伝統的なソースを玉ねぎ、油、ピメントを主体としたものとし、アーモンドや肉のだしでとろみをつけた濃厚なタイプも広まっていると述べています。バルセロナの一部では、前述のミクスタが人気だとも書いています。この記事のレシピはEL PAÍSによる粉末アーモンドとチョリセロ唐辛子ペーストの版で、数ある例のなかのひとつです。マドリード学会のスタイルではなく、スペイン全体を代表するものでもありません。
この料理がいつ、どこで生まれたのか、名前がどこから来たのかは、この記事で使った資料では確定できないため、未確認のままにしておきます。
よくある質問
パタタス・ブラバスとは、どんな料理ですか?
揚げたじゃがいもに辛いソースをかけた、スペインのタパです。たいてい分け合って食べ、飲み物と一緒に頼むことが多い料理です。このレシピでは、じゃがいもをオリーブオイルで弱火で火を通し、同じ鍋で火を強めて色づけてから、塩を振ってピメントとチョリセロのソースをかけます。
ブラバスソースにトマトは必要ですか?
必ずしも必要ではありません。マドリード料理学会は、同学会がマドリード風とするソースをトマトなしと説明しており、ソースは地域や店によっても変わります。このレシピもトマトは使わず、玉ねぎ、アーモンド、チョリセロ唐辛子でコクを出します。
辛さは調整できますか?
辛さは辛口ピメントで決まります。レシピの小さじ1を基準に、控えめにしたいなら減らし、強めたいなら少しずつ足してください。甘口ピメントはレシピのままにしておくと、ソースの色と香りが保たれます。
アリオリを添えてもよいですか?
別添えならかまいません。EL PAÍSは、辛いソースにマヨネーズやアホネサを合わせるミクスタが、バルセロナの一部で人気だと紹介しています。ブラバスソースに混ぜ込まず別に出し、食卓に卵が気になる人がいれば確認してください。
チョリセロ唐辛子のペーストが見つからないときは?
スペイン食材店や専門店、または通販で、「チョリセロ唐辛子ペースト」や carne de pimiento choricero で探してください。ほかの唐辛子ペーストは辛さも甘みも違うため、同等のソースにはなりません。使う場合は、瓶詰めは塩分にも差があるので、慎重に味を見ます。













