ポルボロン — 焼いた粉と豚脂とアーモンドが、ひと口でほろりと崩れる
粉は軽く色づくまで焼くこと。生地はまとまったらすぐ混ぜるのをやめること。焼き上がった菓子は、完全に冷めるまで天板の上でそっとしておくこと。
セビリア県のシエラ・スール(Sierra Sur)にあるエステパの町が出している観光ガイドによると、この町の菓子は秋に作られ、クリスマスにはスペイン各地の家庭で食べられます。ポルボロン(polvorón、複数形はpolvorones)はそのひとつです。小さくて厚みがあり、やわらかく、焼いた粉と豚脂、粉糖、アーモンドで作ります。かじるとほろりと崩れるほどもろい菓子です。
このもろさが魅力であり、家で作るときのいちばんの難所でもあります。生地は捏ねてなめらかにまとめようとしても言うことを聞きませんし、焼き上がった菓子も熱いうちに持ち上げると割れてしまいます。このレシピの判断の多くは、生地の扱いと熱いうちの扱いという、この2点に戻ってきます。
レシピは、El invitado de invierno のMiriam Garcíaによる、エステパ風の伝統的なポルボロンの家庭向けの配合1つに沿っています。エステパの名で売られている保護された産品の規格ではなく、あくまで家庭のレシピです。同じ国のほかの料理はスペインのページもご覧ください。
このレシピは編集部の台所で試していません。実際の作業時間も、何個できるかも測っていません。オーブンによって焼け方が違うので、時間だけでなく各工程の見た目の目安も合わせて使ってください。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 天板
- オーブンシート
- ふるい
- ボウルとゴムべら
- アーモンドを挽くフードプロセッサーかミル
- ラップ
- めん棒
- 直径3.5〜4cmの丸型か楕円の型(小さなコップでも代用できます)
- 薄いヘラ
選び方と代用
小麦粉のharina de repostería は、製菓用の小麦粉という意味です。ほかの軟らかい小麦粉で代えるのは編集部の近似です。銘柄ごとの違いや、脂の吸い方の差は比べていません。
豚脂は、この菓子の風味と口どけをつくる材料です。買うときは、豚の脂からできた製品かどうかを確かめてください。バターや植物油で作ると、この菓子と同じ仕上がりではなく、別の菓子になります。同じ食感になるとは約束できませんし、置き換えの分量も示しません。
アーモンドは、無塩で皮をむいたものを自分で焼いて挽くと、このレシピにいちばん近くなります。挽いてあるアーモンドパウダーを使う近道もありますが、食感は変わると思ってください。
糖類は粉糖を使い、グラニュー糖には替えません。粒の粗い結晶を使うことは、この配合では確かめられていません。
この菓子にはアーモンド、小麦、豚脂が入っています。アレルギーや食事制限のある方に作るときは、材料の表示を確かめてください。
崩れる、割れる、壊れる — 困ったときに確かめること
ほろほろ崩れるのが目標なので、砂のように見える生地がそのまま失敗というわけではありません。以下は、つまずきやすい点についての編集部の見立てです。レシピに含まれる追加の工程ではなく、レシピ自体を試していないため、確実に直る方法とは言えません。
| 困りごと | 確かめること | 対処 |
|---|---|---|
| 生地がまとまらない | 生地の温度と豚脂の状態 | 豚脂は、やわらかいが溶けていない状態にして、手で寄せ集める。足す脂の量はレシピに無いので示さない |
| 伸ばすと生地が割れる | 力を入れて扱いすぎていないか | 割れ目は手で押さえて閉じ、強く捏ねない |
| 生地がべたつく、脂っぽい | 混ぜすぎたか、豚脂が溶けていなかったか | 次回はやわらかく溶けていない豚脂を使い、まとまり始めたところで止める |
| 挽いたアーモンドが油っぽくなる | ナッツが温かいままだったか、挽きすぎたか | 先に冷まし、ペースト状になる前に止める |
| 15分焼いても粉がまだ白っぽい | 時間だけでなく色を見る | 軽く色づくまで焼いて混ぜ続ける。15分は最低ラインの目安 |
| 動かすと菓子が壊れる | まだ温かくなかったか | 完全に冷めるまで天板の上に置いておく |
食べ方と保存

ポルボロンは焼き上がったあとに足すものがありません。食後に小皿にのせ、コーヒーを添えるのもよいでしょう。そっと扱ってください。
保存するときは、完全に冷めるのを待ってから、密閉容器に入れます。安全に保存できる期間は確認できていないため、日数は示しません。
ほかの配合を試すなら — 混ぜずに、別のレシピとして
ポルボロンのレシピは細部だけでなく大きく異なるので、いくつかを混ぜ合わせず、1つを最初から最後まで通して作るのがよいでしょう。
Dr. Oetker Españaの配合は、家庭のレシピがどこまで変わりうるかを示しています。豚脂200g、小麦粉380g、挽いたアーモンド125g、レモン1個、シナモン小さじ1、粉糖150gを使い、粉糖のうち100gは生地に、残りは仕上げに使います。粉とアーモンドはオーブンではなくフライパンで10分炒り、180°Cで13分焼いてから、天板の上で完全に冷まします。レモンの香りがして、仕上げに砂糖をまとわせたポルボロンにしたいなら、そのレシピを書かれたとおりに作ってください。
バターで作る版は、家庭向けの妥当なアレンジですが、別の風味をもつ別の菓子として扱ってください。試した分量はないので、示せる数字はありません。
エステパ、修道院、そしてラ・コルチョナ
エステパの話は、主に2つの地元の声を通して伝わってきます。ですから、ポルボロン全体の確定した歴史ではなく、この町自身の語りとして読むのがよいでしょう。
「エステパのマンテカド」と「エステパのポルボロン」の地理的表示(IGP)を担う評議会(Consejo Regulador)は、サンタ・クララ(Santa Clara)修道院で16世紀にマンテカドが作られていた記録があると紹介しています。そして話は19世紀後半に進み、ラ・コルチョナ(La Colchona)と呼ばれたMicaela Ruiz Téllezが登場します。Micaela Ruiz Téllezは、粉を精製して焼く工夫をした人とされています。販売が広まったのは、Ruiz Téllezの夫が運送の仕事をしていたおかげだともいわれます。評議会はさらに、菓子の外側を乾かすことで運搬に耐えるようになり、クリスマスの菓子として人気を得たとも説明しています。
町の観光ガイドにも似た話があります。菓子の起こりをサンタ・クララ修道院に結びつけ、ラ・コルチョナと夫による販売の話を伝え、20世紀前半の地元の工場と、今IGPで保護されている地域の産品についても記しています。秋に作られ、スペインの家庭でクリスマスに食べられることにも触れています。
ただし、16世紀の記録はマンテカドについてのものです。ですから現在のポルボロンの誕生時期を決めるものではありません。このレシピも、修道院が作った菓子と同じものだとは言いません。ポルボロン全般について、発明者をひとりに特定することもしません。
スペインにはほかにもアーモンドの菓子がありますが、種類の違う菓子です。たとえばカタルーニャのカタニアスはチョコレートでおおったアーモンドで、ポルボロンは焼いた粉とそのもろい食感を持ち味とします。
よくある質問
ポルボロンとマンテカドは同じものですか?
近い関係にあり、2つの名前は重なっています。違いの説明は、形、アーモンドを使うかどうか、表面の仕上げなど、資料によってまちまちです。Miriam Garcíaのレシピのページにもいくつかの説があると書かれているので、これが決定的だという1つの決まりは示しません。
なぜ粉を焼くのですか?
粉を焼くことが、ポルボロン独特の土のようにほろほろした食感を生むと、Miriam Garcíaは説明しています。この生地をまとめるだけで捏ねないのも、同じ理由によります。この食感がほしいなら、この工程は省かないでください。
豚脂以外でも作れますか?
バターや植物油でも焼くことはできますが、配合が変わり、同じ風味や食感は期待できません。このレシピでは豚脂が中心なので、ほかの脂を使ったものは別の菓子として扱います。
熱いうちに動かしてもいいですか?
いいえ。熱いポルボロンは壊れやすいので、完全に冷めるまで天板の上に置いたままにします。配合の違うDr. Oetker Españaのレシピも、天板の上で完全に冷ますよう指示しています。
何個できますか?
レシピのページには38 raciones(分量の表記)とあります。これは38個できるという実測の数ではなく、実際の個数は、示した範囲のなかで選ぶ厚みや型によって変わります。
全体でどのくらい時間がかかりますか?
合計の時間は示しません。レシピのページの上部には、準備10分、加熱15分、合計25分と出ています。しかし手順には、粉に少なくとも15分、アーモンドに8〜10分、休ませる30分、焼成約12分、さらに冷ます時間が含まれています。25分という数字では全工程をまかなえないので、工程ごとの時間を見て予定を立ててください。













