濃厚なソースをまとったノルウェー風トナカイ肉のシチューと、添えたじゃがいも・コケモモ
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トナカイ肉のシチューの作り方|ノルウェー風フィンビフ

約15分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 6

トナカイの薄切り肉を半解凍にする

手順1: トナカイの薄切り肉を半解凍にする

冷凍のトナカイ肉を取り出し、数分おいて半解凍にします。まだ冷たくて固さが残り、でも手でほぐせる状態が目安です。熱いフライパンに少しずつ入れられるよう、小さな塊に分けておきます。

STEP 22 / 6

ベーコンとマッシュルームを焼く

手順2: ベーコンとマッシュルームを焼く

マッシュルームはくし形に、ベーコンは小さな角切りにします。フライパンを熱し、バターの一部を入れて、ベーコンとマッシュルームを一緒に、どちらにも焼き色がつくまで炒めます。炒めたら鍋に移します。

STEP 33 / 6

トナカイ肉を数回に分けて手早く焼く

手順3: トナカイ肉を数回に分けて手早く焼く

フライパンを温め直し、残りのバターを入れます。強火で、肉をフライパンに詰め込まないように数回に分けて焼きます。1回分は、肉の色が変わり始めて少し焼き色がつくまで手早く焼き、鍋に移します。一度に入れすぎると、焼けずに蒸れてしまいます。うっすら焼き色がつく程度にとどめ、それ以上は焼きません。

STEP 44 / 6

鍋に具を集める

手順4: 鍋に具を集める

肉をすべてベーコンときのこの入った鍋に集め、やさしく混ぜ合わせます。水、小麦粉、根菜は加えません。

STEP 55 / 6

乳製品、チーズ、香りを加える

手順5: 乳製品、チーズ、香りを加える

サワークリーム、牛乳、ブラウンチーズ3枚、砕いたジュニパーベリー、乾燥タイムを加えます。肉、ベーコン、きのこになじませるように混ぜます。

STEP 66 / 6

穏やかな火で5分温めて味を整える

手順6: 穏やかな火で5分温めて味を整える

火は穏やかに保ち、5分ほど温めて、チーズがとろけてなめらかなクリームソースになるまで待ちます。長く煮ないでください。味を見て、塩とこしょうで調えます。ゆでたじゃがいもとコケモモを横に添え、お好みで生タイムを飾ります。

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暗い北極の夜、キャンプの食卓に出るトナカイのシチュー

この鍋で守ること

薄切りのトナカイ肉は、強火で少量ずつ手早く焼きます。そのあとサワークリーム、牛乳、ブラウンチーズと合わせ、穏やかな火で短く温めるだけにします。じゃがいもとコケモモはシチューに混ぜず、横に添えて食べます。

暗い季節のスヴァールバルのキャンプで、シチューと焚き火で淹れたコーヒーを囲む食卓の情景
北極圏のキャンプの夕食のイメージ。シチューと、別に置いたコーヒーとデザート

スヴァールバルのアドヴェント渓谷(Advent Valley)では、Camp Barentz でオーロラを楽しむ夜の催しがあると、Visit Svalbard が紹介しています。参加者はトナカイ肉のシチューを食べ、デザートを味わい、焚き火で淹れたコーヒーを飲みます。食事のあとにはガイドの解説があり、暗い谷の外に広がっているかもしれないオーロラの話を聞きます。

この記事はその情景から始めますが、キャンプのレシピそのものは公開されていません。Visit Svalbard の紹介文には、材料も分量も作り方も書かれていないのです。ですから、これから紹介するのは Camp Barentz のシチューを再現したものではありません。スヴァールバルで生まれた料理だと確認されたものでもありません。公開されているノルウェーのトナカイ肉のシチューを、自分の台所で作れるようにしたレシピです。

今回作るのはノルウェーのフィンビフ

ここで作るのは、ノルウェーの食のサイト Matprat が公開しているフィンビフ(finnbiff)です。Matprat はこの料理をサーミの伝統料理(samisk tradisjonsmat)に分類しています。Visit Norway もフィンビフを、トナカイ肉の薄切り(reinskav)で作るノルウェーのトナカイ肉のシチューとして紹介しています。あわせて、サーミの食文化でトナカイが大切であること、ノルウェー北部には独自のトナカイ料理があることも書いています。

フィンビフは長く煮込む料理ではなく、フライパンと鍋でさっと作る料理です。半解凍のトナカイ肉の薄切りを、焼き色をつけたマッシュルームとベーコンと一緒に、強火で手早く焼きます。そこへサワークリーム、牛乳、ブラウンチーズ(山羊乳のチーズ)の薄切り、砕いたジュニパーベリー、タイムを加えてまとめます。仕上げは穏やかな火でたった5分温めるだけです。ゆでたじゃがいもと、かき混ぜたコケモモを横に添えて食べます。

同じレシピの二つの版

Visit Norway の英語ページは、フィンビフのレシピとして Matprat を出典に挙げています。ところが、そちらには水100mlと、乳製品を入れる前の10分の煮込みが加わっています。Matprat 自身のノルウェー語の材料表と作り方に水はなく、乳製品とチーズを入れて5分温めるだけです。この記事は Matprat の版だけに従い、二つを混ぜていません。

フィンビフは、もうひとつのサーミのトナカイ料理ビドゥス(bidus、bidos とも書きます)とも違います。ビドゥスは、大きめの肉と根菜を使うシチューまたはスープとして説明されています。二つの比較はあとの節で行います。ここでは、クリーム状のほんのり甘いソースをまとった薄切り肉を思い浮かべて、先に材料へ進みましょう。

このレシピ全体は、世界ごはん紀行で試作して確かめたものではありません。


材料(4人分)

薄切りのトナカイ肉、きのこ、ベーコン、乳製品、ブラウンチーズ、ジュニパーベリーの材料一式
シチューの材料。じゃがいもとコケモモは添え用に分けておく
| 材料 | 分量 | 代替・備考 |

| --- | --- | --- | | トナカイ肉の薄切り(冷凍。reinsdyrskav) | 400g | シチューの主役の肉。半解凍のまま、少量ずつ焼く | | バター(smør) | 大さじ2 | ベーコン、きのこ、肉を焼くときに、少しずつ使う | | 生マッシュルーム(frisk sjampinjong) | 250g | くし形に切り、ベーコンと一緒に焼き色をつける | | ベーコン | 150g | 小さな角切り。焼き色と塩気を加える | | サワークリーム(seterrømme) | 3dl(300ml) | ソースのこくのもとになる、濃厚な発酵クリーム | | 牛乳(melk) | 1dl(100ml) | ソースをのばす | | ブラウンチーズ(山羊乳。ekte geitost) | 3枚 | ソースに溶かして、甘みと深みを加える | | ジュニパーベリー(einebær) | 5粒(砕く) | 樹脂のような、森を思わせる香り | | 乾燥タイム(tørket timian) | 小さじ1/2 | ハーブの香り | | 塩 | 適量 | 味見をして、最後に加える | | 黒こしょう | 適量 | 最後に加える | | ゆでじゃがいも、またはマッシュポテト | 適量 | 添える。ソースを受けとめる | | コケモモ(かき混ぜたもの) | 適量 | 添える。酸味のアクセントになる | | 生タイム | 少々 | 飾り(なくてもよい) |

じゃがいもとコケモモはシチューの横に盛る添え物で、鍋では煮ません。ベーコンにも塩気があるので、全部を温め合わせてから味を見て、塩を加えてください。

道具

  • 厚手のフライパン、または口の広い浅い鍋
  • 焼き色をつけた具を集めて、シチューに仕上げる鍋
  • 肉を小分けにしたり返したりするトング
  • 木べら

選び方と代用

トナカイの薄切り肉(reinskav)は、北欧以外では、輸入食品店や専門の精肉店、通販で冷凍の薄切りを探します。半解凍で焼く料理なので、挽き肉や角切りのシチュー用肉には替えないでください。この作り方は薄切りであることが前提です。鹿肉や薄切りのラム肉も代わりにはなりますが、あくまで自分なりのアレンジです。風味も脂も違います。とくにラム肉では、ジビエらしい香りが出ず、ふつうの肉のシチューに近づきます。

seterrømme はノルウェーの濃厚な発酵クリームです。ふつうのサワークリームでも作れますが、酸味と脂肪分が違うので、ソースの味も少し変わります。生クリームとサワークリームを軽く混ぜたものが同じ味になる、とは考えないでください。

ブラウンチーズ(ekte geitost)は山羊乳で作るノルウェーのブラウンチーズです。フレッシュのゴートチーズや、ふつうのチーズでは同じになりません。3枚に切って使います。見つからなければ省いてもかまいません。その場合、ソースの甘みと乳のこくは弱くなります。

ジュニパーベリーは、ホールを買ったら5粒を砕き、入れる前に香りを確かめます。別のスパイスで代わりになるという確かな根拠はないので、ジュニパーそのものを探すほうがよいでしょう。

かき混ぜたコケモモが見つからないときは、クランベリー系のソースを添えることもできます。酸味の質が違うので、同じ味ではなくアレンジとして考えてください。

作り方

焼き色からクリームへ

作り方の前半は焼き色づけです。ベーコン、きのこ、トナカイ肉を、それぞれ強い火で焼きます。後半は短く穏やかに温める工程で、乳製品とチーズをなめらかなソースにします。

1. トナカイの薄切り肉を半解凍にする

冷凍のトナカイ肉を取り出し、数分おいて半解凍にします。まだ冷たくて固さが残り、でも手でほぐせる状態が目安です。熱いフライパンに少しずつ入れられるよう、小さな塊に分けておきます。

半解凍の薄切りのトナカイ肉を、強火で焼けるよう小分けにしている様子
フライパンを火にかける前に、半解凍の薄切り肉を小分けにほぐす
  1. ベーコンとマッシュルームを焼く

マッシュルームはくし形に、ベーコンは小さな角切りにします。フライパンを熱し、バターの一部を入れて、ベーコンとマッシュルームを一緒に、どちらにも焼き色がつくまで炒めます。炒めたら鍋に移します。

角切りベーコンとくし形マッシュルームをバターで焼き、鍋に移す直前
ベーコンとマッシュルームは、縁に焼き色がつくまで炒める
  1. トナカイ肉を数回に分けて手早く焼く

フライパンを温め直し、残りのバターを入れます。強火で、肉をフライパンに詰め込まないように数回に分けて焼きます。1回分は、肉の色が変わり始めて少し焼き色がつくまで手早く焼き、鍋に移します。一度に入れすぎると、焼けずに蒸れてしまいます。うっすら焼き色がつく程度にとどめ、それ以上は焼きません。

半解凍のトナカイ肉を強火で少量ずつ焼き、軽く焼き色をつける様子
1回分の肉を一層に広げ、手早く焼く
  1. 鍋に具を集める

肉をすべてベーコンときのこの入った鍋に集め、やさしく混ぜ合わせます。水、小麦粉、根菜は加えません。

焼いた肉、ベーコン、きのこを鍋に合わせている様子
焼き色をつけた具を、乳製品を入れる前に一つの鍋に合わせる
  1. 乳製品、チーズ、香りを加える

サワークリーム、牛乳、ブラウンチーズ3枚、砕いたジュニパーベリー、乾燥タイムを加えます。肉、ベーコン、きのこになじませるように混ぜます。

サワークリーム、牛乳、ブラウンチーズ、砕いたジュニパーとタイムを混ぜ入れて温めている様子
乳製品とチーズを混ぜ入れ、ソースがクリーム状になり始める
  1. 穏やかな火で5分温めて味を整える

火は穏やかに保ち、5分ほど温めて、チーズがとろけてなめらかなクリームソースになるまで待ちます。長く煮ないでください。味を見て、塩とこしょうで調えます。ゆでたじゃがいもとコケモモを横に添え、お好みで生タイムを飾ります。

穏やかな火で5分ほど温め、チーズが溶けてクリームソースになった状態
チーズが溶け、ソースが肉にからんでいるのを確かめる

うまくいかないときの対処

症状 考えられる原因 対処
肉が灰色になり、焼き色がつかず水分が出る 一度にフライパンへ入れた肉が多すぎる 火は強火のまま、小分けにして数回に分けて焼く
薄切り肉が固くなる 乳製品を入れてから長く火にかけすぎた 最後は穏やかな火で短く。シチューは5分温めれば足りる
しょっぱすぎる ベーコンの塩気 味見をして、最後に塩を加える
ブラウンチーズが手に入らない ノルウェー国外では見つけにくい 省いて、甘みとこくが弱いソースを受け入れる。関係のない別のチーズに替えない
ソースが濃すぎる、重すぎると感じる 好みの問題 配合を変えるなら少しずつ。上のレシピではなく、自分の版として楽しむ

ブラウンチーズの量は枚数でしか示されていないため、スライスの大きさで違いが出ます。台所によってソースの味が少しずつ違ってくる理由のひとつです。

アレンジ

以下は上のレシピから外れるので、別の版として考えてください。

  1. ブラウンチーズなし: ソースの甘みと乳のこくが弱くなります。
  2. ふつうのサワークリーム: seterrømme より手に入りやすい反面、酸味とこくが違います。
  3. 薄切りのラム肉: トナカイのジビエらしい香りがなくなり、ふつうの肉のシチューに近づきます。
  4. ゆでじゃがいもの代わりにマッシュポテト: ソースの受けとめ方が変わります。マッシュはソースを吸い、ゆでたじゃがいもはそれ自体の歯ごたえが残ります。
  5. コケモモの代わりにクランベリー系のソース: 酸味の質が違い、同じ味ではありません。

ビドゥスとの違い

どちらもサーミと結びつけて語られるトナカイ料理ですが、作り方は大きく違います。Visit Norway はビドゥス(bidus)を、にんじんやじゃがいもを入れることが多い伝統的なサーミのトナカイのシチューとして説明しています。ノルウェーのスーパー REMA 1000 は、ビドス(bidos)を、昔は大きめの肉の塊を使った、サーミのこくのあるトナカイのスープと説明しています。

フィンビフ(このレシピ) ビドゥス/ビドス
肉 トナカイ肉の薄切り 伝統的には大きめの肉の塊
汁 サワークリーム、牛乳、溶かしたブラウンチーズ ブロス(だし)
野菜 マッシュルーム(とベーコン) じゃがいも、にんじん、玉ねぎなど
調理 手早く焼いて、穏やかな火で5分 下の例では、焼き色をつけてから長く煮込む
食べ方 じゃがいもとコケモモを横に添える レシピによって違う

ビドゥスに、これが唯一の正統というレシピはありません。料理サイト Foodie の現代風のレシピは、大きな角切りのトナカイ肉に焼き色をつけ、ブロス、じゃがいも、にんじん、玉ねぎと長く煮込みます。一方、REMA 1000 の現代の市販向けの版は、トナカイの薄切り肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、根セロリ、ブロス、小麦粉、カラメル色素、タイムを使い、フラットブレッドと、クレームフレッシュを混ぜたコケモモを添えます。どちらもフィンビフに混ぜてはいけません。別の料理です。

サーミの文化そのものも多様です。Visit Norway は、サーミの一部の地域ではトナカイの放牧が季節ごとの移動と結びついていると述べています。これは特定の地域の説明であって、すべてのサーミの人びとに当てはまるわけではありません。

北極圏の食卓で味わう

ゆでじゃがいもとかき混ぜたコケモモを別添えにしたフィンビフの食卓
シチューは一つの器に、じゃがいもとコケモモはそれぞれ別の皿に

Visit Norway は、フィンビフによくある添え物として、じゃがいもとコケモモを挙げています。Matprat も、ゆでたじゃがいもかマッシュポテトと、混ぜたコケモモを添えて出しています。別々の器に盛れば、クリーミーでジュニパーの香るソースを、でんぷんと酸味でそれぞれ好みのバランスに整えながら食べられます。

Camp Barentz では、Visit Svalbard の紹介によれば、シチューのあとにデザートと焚き火のコーヒーが続き、食事はガイドのオーロラの話へとつながります。家庭でも、その夜の流れを借りることができます。温かいシチューの鍋、あとに甘いもの、最後にコーヒーという流れです。

よくある質問

フィンビフとビドゥスは同じ料理ですか?

いいえ。Matprat のフィンビフは、トナカイ肉の薄切りを、短時間で仕上げるブラウンチーズ入りのクリームソースで合わせます。ビドゥス(ビドス)は、Visit Norway と REMA 1000 によれば、大きめの肉の塊と、にんじんやじゃがいもなどの野菜を使うサーミのトナカイのシチューまたはスープです。公開されているビドスのレシピ同士も、作り方が違います。

トナカイ肉が手に入らないときは何を使えますか?

鹿肉や薄切りのラム肉でも作れますが、自分なりのアレンジで、このレシピには含まれません。風味も脂も違い、とくにラム肉ではふつうの肉のシチューに近づきます。作り方が成り立つよう、肉は薄切りのままにしてください。

ブラウンチーズは省けますか?

省けます。ソースの甘みとこくは弱くなります。ほかのチーズはノルウェーの山羊乳のブラウンチーズとは別物なので、似ていないチーズを入れるより、省くほうが正直です。

ノルウェー国外でもトナカイ肉は買えますか?

輸入食品店、専門の精肉店、通販などで、冷凍の薄切りのトナカイ肉を探してください。取り扱いは地域によって違うので、お住まいの地域で買えるものを確かめてください。

スヴァールバルのキャンプで出る料理と同じレシピですか?

いいえ。Visit Svalbard は Camp Barentz でトナカイ肉のシチューが出されると紹介していますが、材料も分量も作り方も公開していません。この記事は、代わりに Matprat が公開しているノルウェーのフィンビフに従っています。

主な参考リンク

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