イスケンデル・ケバプ:重ねて組み立て、最後にバターをかける皿
温かいパンにトマトソースを吸わせ、その上に薄く焼いた牛肉をかぶせます。濃厚ヨーグルトと焼き野菜は横に添え、溶かしバターは最後にかけます。
温かいピデの角切りが、濃い赤のトマトソースをぐんぐん吸い込んでいきます。その上を薄い削り状に焼いた牛肉がおおい、横にはヨーグルト。食卓へ運ぶ直前に、溶かしたバターがたっぷり注がれます。トルコ文化観光省は、このイスケンデル・ケバプ(ブルサ・ケバブ)を、薄切りのドネル肉、ピデ、ヨーグルト、トマトソース、バターで組み立てるブルサの名物として紹介しています。
ここで作るのは、ブルサの標準ではなく家庭向けの版です。Ayşenur Altan(アイシェヌル・アルタン)さんによる6人分のレシピ(Turkish Food Travel)に沿っており、垂直に回す串は要りません。牛フィレ肉と牛ひき肉を別々に下味し、交互に重ねて固まるまで冷やし、薄く切ってフライパンで焼き色をつけます。
世界ごはん紀行ではこの版を実際に調理して確かめていないため、仕上がり・所要時間・味を当サイトの台所の結果として保証できません。画像は各工程の動作を示すもので、温度や分量、安全な仕上がりを示すものではありません。
トルコの料理はほかにも紹介しています。トルコのページもあわせてご覧ください。
途中で見つける、味の決め手
選び方と代用
材料は用途ごとに分けて用意します。肉ごとに玉ねぎを1個ずつ使い、ソース用のトマトと添え用のトマトは別、バターもソース、焼き用、仕上げ用で別々に使います。
- 細長い緑唐辛子: 手に入れば、トルコ料理でよく使う細身の緑の唐辛子を使います。小さなピーマンなど他の緑の野菜は形も辛さも違うので、同じものではなく別の付け合わせとして考えてください。
- パン: 本来はtırnak pide(ピデの一種)です。似たふっくらしたフラットブレッドや、厚めの無糖のフラットブレッドでも作れますが、食感と厚みは変わります。
- 濃厚ヨーグルト: 水切りした無糖ヨーグルトなら、とろみの感じが近くなります。
- フィレ肉の下味の辛さ: 粉の赤唐辛子でもフレークでもかまいません。控えめから始め、生の牛肉に触れる前の、混ぜ合わせた下味を味見して決めます。肉を合わせたあとに味見してはいけません。
- 焼き用の油脂: バターの代わりに、同量のオリーブ油でも作れます。
- 牛フィレ肉: 薄く切りやすい部位です。ほかの部位を使う場合は、各自の判断による代用になります。
- ソース用のトマト: このソースは生のトマトをすりおろして作ります。缶詰のトマトでは味が変わり、試した分量もありません。
この料理には乳製品(ヨーグルト、バター)と小麦(ピデ)が含まれ、牛肉を使います。市販のパンやヨーグルトは、表示を確認してください。
道具
- フードプロセッサー
- おろし金
- ボウル(生肉ごとに1つずつ使う分を含む)
- しっかり閉じられる、食品用の冷凍保存袋
- 冷蔵庫と冷凍庫に入るトレイ
- 生肉専用の切れ味のよい包丁とまな板
- パン切り用の包丁と、別の清潔なまな板
- トマトソース用の片手鍋
- 仕上げのバターを溶かす小鍋
- 肉とパンを焼く厚手のフライパン
- 焼いた肉を置いておく、ふた付きの別のフライパン
- 野菜を焼くグリルパン
- 生の食材用と加熱後用で別々に使う、清潔なトングなどの道具
- 広い盛り付け皿
食卓で

バターをかけたらすぐに出します。肉とソースとパンがまだ温かいうちに、横のヨーグルトが冷たい対比として際立つ状態で食べてください。
うまくいかないとき
ここでの対処は、調理の理屈と上に書いた扱いのルールにもとづくもので、試作の結果ではありません。
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 筒が固すぎて切れない | 切れる固さを通り越して凍っている | カウンターではなく冷蔵庫で柔らかくしてから、切ってすぐ焼く |
| 切るうちに層が崩れる | 筒が柔らかくなりすぎた、または詰め方がゆるかった | 慎重に切り、切った分はすぐ焼く。再冷凍しない。次回はもっと固いうちに切る |
| 肉が蒸れて白っぽいまま | フライパンに入れた肉が多すぎる | 少量ずつ、肉の間をあけて焼く |
| ソースがゆるい | 湯を入れすぎた | もう少し煮る |
| ソースが固すぎる | 湯が足りない | 熱湯を少しずつ混ぜる |
| パンがソースをよく吸わない | パンが冷たいまま皿に置かれた | 切る前にフライパンで温め、盛りつける前にソースも温め直す |
| バターの効果が出ない | かけるのが早すぎた | ほかのすべてが皿にのってから、溶かしてかける |
アレンジ
| 変更 | 内容 |
|---|---|
| 牛肉だけの層 | このページの版。フィレ肉とひき肉を別々の層にする |
| 焼き用にオリーブ油 | 焼き用のバターと置き換えられる。風味は変わる |
| tırnak pideの代わりに厚めの無糖フラットブレッド | 手に入りやすいが、歯ごたえと厚みは変わる |
| オレガノなし | ここではオレガノを入れない |
| ラム肉を混ぜる | 別のレシピになるので、単純な置き換えではなく分量を作り直す必要がある |
| ラムの尾の脂 | 深い風味に至る伝統的な方法。この版では使わず、必要でもない |
ブルサ、カヤン、1867年
イスケンデル・ケバプは、トルコの公的資料ではブルサ・ケバブ(Bursa kebabı)の名で呼ばれることが多い料理です。トルコ文化観光省の文化ポータル(Kültür Portalı)によれば、イスケンデル・エフェンディ(İskender Efendi)が1867年にブルサのカヤン(Kayhan)地区で、垂直の串から切り出した薄切りの羊肉を、ピデ、ヨーグルト、トマトソース、バターとともに出す料理として考案したとされています。ブルサ県文化観光局も、1867年とカヤンを挙げ、細かく切ったピタ、ドネル肉、溶かしバター、トマトソース、ヨーグルトを説明する似た記述を英語で載せています。2つは同じ行政の系統に属するため、独立した2つの研究ではなく、1つの機関による説明として扱います。
これらの説明が描くのは、このレシピで組み立てる皿と同じ料理です。ただし肉の作り方は違います。層にした牛肉をフライパンで焼くのは、串から切り出す羊肉の家庭向けの代用であり、伝統的な方法として紹介するものではありません。家庭版どうしも違いがあります。たとえばTurkish Style CookingのKevser(ケヴセル)さんのレシピは、牛フィレ肉とラムのひき肉を層にし、ソースもオーブンを使う手順も異なります。比較のために触れるだけで、その分量や手順はここでは使っていません。
この版について
材料と主な手順は、Turkish Food TravelのAyşenur Altanさんのレシピによります。そのページがはっきりしない、または一貫しない箇所については、次のように編集上の判断をしました。
- フィレ肉の下味のこしょう: レシピの材料表とカードは、香辛料を「黒こしょう小さじ1、粉の赤唐辛子」とまとめて書いており、各小さじ1なのか合計で小さじ1なのかが分かりません。手順にはさらに赤唐辛子のフレークも出てきます。著者の配分は分からないため、合計で小さじ1を上限の目安とし、粉でもフレークでも、好みで配分する形にしました。これは編集部の読み方で、著者が示した数値ではありません。
- 焼き用の油脂: レシピの本文はバターまたはオリーブ油大さじ2〜3、カードは大さじ5〜6としています。ここでは本文の分量を採用し、バターを先に示しました。
- 所要時間: カードは2時間休ませて全体で3時間としていますが、本文の冷蔵4〜6時間と、固くなるまでの冷凍という条件には合いません。ここでは本文の条件を採用し、全体の所要時間は約束しません。
- ひき肉の味つけ: レシピはひき肉用に玉ねぎと黒こしょうを挙げたあと、混ぜ方を書かずに層にする工程へ進みます。手順3は編集部による補足です。
- 冷たいまま扱うことと加熱: レシピは、筒を約30分出しておき、使わない分は再冷凍するようにも読め、中心温度も示していません。そこで、日本の厚生労働省の家庭向けの案内に置き換えました。冷たい状態で解凍する、必要な分だけ解凍する、冷凍と解凍を繰り返さない、生の食品とそのまま食べる食品の道具を分ける、中心を75°Cで1分以上加熱する、という内容です。これらは編集部による追加であり、著者の数値でも、この料理を測った結果でもありません。
よくある質問
牛肉だけでイスケンデル・ケバプを作れますか?
作れます。この版は牛フィレ肉と牛ひき肉だけを使います。ブルサの店の作り方を主張するものではなく、家庭向けのレシピです。公的な資料が説明しているのは、垂直の串から切り出した羊肉です。
黒こしょうと赤唐辛子を各小さじ1としないのはなぜですか?
もとになったレシピが、そうとははっきり書いていないからです。まとめた書き方はどちらにも読めるので、合計で小さじ1を上限の目安とし、配分は好みに任せています。
垂直に回す串は必要ですか?
必要ありません。家庭では、肉を層にして冷やし、薄く切ることで串の代わりにします。ブルサの資料に書かれた方法の複製ではなく、別の方法です。
tırnak pideが見つからないときはどうしますか?
Turkish Food Travelは、似たふっくらしたフラットブレッドを挙げています。厚めの無糖のフラットブレッドでも作れますが、歯ごたえと厚みは変わります。
筒をカウンターに30分出しておいてはいけませんか?
私たちが参考にした日本の家庭向けの案内は、解凍を室温ではなく、冷蔵庫などの冷たい方法で行うよう勧めています。そのため、筒は冷蔵庫で柔らかくし、カウンターに置く時間は示していません。
肉に火が通ったかどうかは、どう見分けますか?
中心が75°Cで1分以上という一般的な目安を使います。もとにしたレシピは、茶色くなったら止めると書いていますが、温度は示していません。茶色さでは、この目安を満たしたとは言えません。この料理をレアで出さないでください。
冷凍した筒や残りは、どのくらい保存できますか?
保存期間を示す資料がないため、期間は示しません。ここでの冷凍は、切る前に筒を固めるための工程であり、保存方法でも、生肉を安全にする方法でもありません。
オレガノは入れますか?
もとにしたレシピは、フィレ肉の下味にオレガノ小さじ1を、任意の材料として挙げています。この版では入れません。








































