切り分けたビーフ・ウェリントンの断面。牛フィレの淡いピンク、薄いきのこの層、生ハム、幾重もの黄金色のパイが見え、英国の家庭の食卓に控えめなロースト野菜が添えられている
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ビーフ・ウェリントンの作り方|牛フィレをきのことパイで包む英国の祝いの主菜

約16分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 8

牛肉を先にローストして冷ます

手順1: 牛肉を先にローストして冷ます

オーブンを220°C(ファン付きなら200°C)に予熱します。牛フィレにオリーブ油大さじ1を塗ってこしょうをふり、天板にのせて焼きます。出典では好みの焼き加減に応じて15〜20分とされていますが、これは好みに合わせた例で、安全のための時間ではありません。後の焼成時間は、この初回ローストとその後の冷却を含む工程を前提にしています。短いフライパンの焼き付けで済ませて、後の時間をそのまま使うことはしないでください。

牛肉は清潔な皿に移します。粗熱を取ってから冷蔵庫で冷やします。温かいままだと包みの層が緩み、パイのバターも溶けてしまいます。生肉に触れたトングや皿は、洗ってから再び使います。

STEP 22 / 8

きのこをペーストにせず、細かく刻む

手順2: きのこをペーストにせず、細かく刻む

きのこを手で細かく刻むか、フードプロセッサーを短くパルスさせて刻みます。小さな粒が見えるうちに止めてください。回しっぱなしにするとペースト状になります。

STEP 33 / 8

デュクセルを完全に乾くまで炒める

手順3: デュクセルを完全に乾くまで炒める

オリーブ油大さじ2、バター、タイムを中火で熱し、きのこを加えて、よく混ぜながら約10分炒めます。塩とこしょうを少々加え、白ワイン100mlを注ぎます。さらに炒め続けて、水分がなくなり、ヘラで鍋底に筋を引いたときすぐには閉じない跡が残り、全体がまとまるまで煮詰めます。ここに水分が残ると、そのままパイの底に移ります。炒め終わったら完全に冷まします。

STEP 44 / 8

牛肉を生ハムとデュクセルで包む

手順4: 牛肉を生ハムとデュクセルで包む

作業台にラップを2枚、重ねて広げます。その上に生ハム12枚を、少しずつ重ねながら長方形に並べます。冷ましたデュクセルを生ハムの上に広げ、中央に冷やした牛肉を置き、残りのきのこで全体を均等に覆います。どの面も厚みに偏りが出ないようにしてください。ラップを使ってきつい筒状に巻き、巻き終わりを下にして冷やします。太さが均一だと、牛肉に均等に火が通ります。

STEP 55 / 8

冷たいパイ生地で包む

手順5: 冷たいパイ生地で包む

パイ生地は冷たいうちに、軽く打ち粉をした台の上で扱います。出典のレシピでは、生地の一部を下敷きにして、残りをより大きく伸ばして上からかぶせます。ラップを外し、牛肉を完全に覆って、継ぎ目と両端を閉じます。余分な生地は切り落として、生地が二重に厚く重ならないようにします。

STEP 66 / 8

卵黄液を塗り、模様をつけて冷やす

手順6: 卵黄液を塗り、模様をつけて冷やす

卵黄に水小さじ1を加えて溶き、表面に刷毛で塗ります。ナイフの背で、生地を貫通させない浅い模様をつけます。成形したものは最低30分は冷蔵し、バターの層と包みを落ち着かせます。

STEP 77 / 8

焼き色と温度計で焼き加減を見る

手順7: 焼き色と温度計で焼き加減を見る

200°C(ファン付きなら180°C)に予熱したオーブンで焼きます。出典の20〜30分は開始の目安であって、約束の時間ではありません。牛肉の太さ、最初の温度、オーブンの違いで変わります。パイの色を見ながら、最も厚い部分の中心に温度計を差して確かめます。扉は必要以上に開けないでください。

ピンク色のミディアムレアは好みの仕上がりであって、公的な安全の最低基準と同じ意味ではありません。米国のUSDA食品安全検査局(FSIS)は、牛のローストについて中心温度62.8°C以上を安全の最低基準とし、加熱源から下ろしたあと最低3分休ませるよう案内しています。昔ながらのピンクに仕上げたウェリントンは、これに届かない場合があります。低い温度の仕上がりが安全だという保証はありません。食べる人の健康状態、肉の加工方法(たとえば機械で柔らかくした牛肉)、お住まいの国の公的な指針も踏まえてください。このUSDAの指針に合わせるなら、時間だけに頼らず、温度計が示された最低温度に達するまで加熱し、決められた休ませ時間も守ります。妊娠中の人、高齢の人、免疫力が下がっている人に出すときは、とくに大切です。

STEP 88 / 8

10分休ませてから、厚めに切る

手順8: 10分休ませてから、厚めに切る

出典のレシピに従い、焼き上がったら10分休ませます。波刃でないよく切れる包丁を使い、押しつぶさずに刃の重みで厚めに切ります。休ませている間も、生肉に触れた道具を仕上がった料理に近づけないでください。

デュクセルのへら跡は、仕上がりの合図です。鍋底に筋を引いて、すぐ閉じないなら水分が抜けています。迷ったら、もうひと煮詰めしてから冷ましてください。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

牛フィレ、ブラウンマッシュルーム、タイム、生ハム、冷凍パイ生地、卵黄を調理台に分けて並べた材料
始める前に層ごとの材料をそろえる。牛肉、きのこ、生ハム、冷たいパイ生地

分量はBBC Good Foodのレシピに従っています。塩とこしょうには出典に決まった分量がないため「適量」としています。生ハムとパイ生地の塩気も見ながら加減してください。材料は層ごとにそろえておくと、後の包む作業が落ち着いて進みます。

8品目

牛肉と包みの材料

材料 分量 代替・備考
牛フィレ肉(中心部、形を整えた塊) 約1kg 料理の中心。太さが均一な部分を選ぶ
オリーブ油 大さじ3(45ml) 牛肉の初回ローストに大さじ1、きのこ炒めに大さじ2
塩 適量(原本に定量なし) 控えめに。生ハムにも塩気がある
黒こしょう 適量(原本に定量なし) 挽きたてを使う。表面に厚く付けない
生ハム(薄切り、塩気の穏やかなもの) 12枚 肉汁がパイにしみ込むのを防ぐ層
冷凍パイ生地 500g 冷蔵庫で解凍し、冷たいまま扱う
薄力粉 打ち粉として少量 生地の貼りつき防止
卵黄 2個 水小さじ1と溶く。接着と艶出し
4品目

きのこの層(デュクセル)

材料 分量 代替・備考
チェストナットマッシュルーム(茶色のマッシュルーム) 250g 香りと旨みの要。白マッシュルームでも作れるが香りは穏やか
無塩バター 50g きのこを炒める。有塩バターなら仕上げの塩を調整
生タイム 大きめ1枝 香り付け
辛口白ワイン 100ml きのこの水分と一緒に完全に煮詰める
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材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

切り分けた断面に、三つの層が重なる

このウェリントンで守ること

きのこ層は完全に乾くまで炒めること、牛肉は冷ましてから包むこと、パイは冷たいままオーブンに入れること。この3点です。層に水分や熱が残ると、パイや包みに不具合が出やすくなります。

黄金色のパイ包みが丸ごと食卓に運ばれてきて、最初の一切れに全員の目が集まります。ナイフがさくさくと崩れるパイを通り抜けると、断面には牛フィレを囲むように、細かく刻んだ濃い色のきのこと薄い生ハムの輪が現れます。砕けるパイ、ぎゅっと旨みの詰まったきのこの帯、やわらかい牛肉。層ごとに食感が違うのが、この料理の見せ場です。

ビーフ・ウェリントンは、一般に牛フィレを細かく刻んだきのこの層とパイ生地で包んだ料理と説明されます。客を迎える日やお祝いの主菜として読まれる一皿で、高価な材料に、家庭で作るときの現実的な難所が二つ重なる料理でもあります。ひとつは、パイの底をべたつかせないようにきのこの水分を抜くこと。もうひとつは、中が見えない包みの中で牛肉にどこまで火が入ったかを判断することです。

このレシピは、BBC Good Foodに載っている6人分の家庭向けの作り方に沿っています。牛肉を先にオーブンでローストして冷まし、デュクセルと生ハムで包み、さらにパイ生地で包んで2度目の焼成をします。作業を段階に分けるから家庭でも組み立てやすく、パイを焼く段階の時間も、この一連の流れの中で初めて意味を持ちます。


選び方と代用

牛フィレは、フィレの中心部で端から端まで太さがほぼ揃った塊を選びます。細い端の肉を太い塊に縛り付けると火の通りがばらつくためです。一般的なスーパーでは形が合わないこともあるので、精肉店に「ロースト用の牛フィレの中心部、約1kgの塊」と頼むのがよい方法です。

きのこは茶色のチェストナットマッシュルームが第一候補です。白いマッシュルームでも作れますが、香りは穏やかになります。

生ハムは、ほかの薄切りの生ハム類でも代用できます。塩気が強いものなら、牛肉にふる塩を減らしてください。目的は、きのことパイの間に薄く均一な層をつくることです。

パイ生地は冷蔵庫で解凍し、製品の表示に従います。バターだけで作った生地と植物油脂で作った生地では、香りも層の立ち方も違います。原材料表示も確かめておくと安心です。

バターが有塩しかないときは、仕上げの塩で調整します。タイムを乾燥品にする場合は、ごく少量から加減してください。ここには決まった換算量はありません。ワインを使わないなら、無塩のビーフストックを少しずつ加える方法がありますが、香りと酸味は変わります。

道具

  • オーブン
  • 浅い天板(ロースト用)
  • 天板(焼成用)
  • 焼いた牛肉をのせる清潔な皿
  • 幅広のフライパン
  • 木べらまたはヘラ
  • よく切れる包丁とまな板(またはパルス運転する小型フードプロセッサー)
  • ラップ
  • めん棒
  • 刷毛
  • 食品用温度計
  • 切り分け用の波刃でない包丁

食品用温度計は、焼き色だけでなく中心の温度で焼き加減を確かめるために使います。ラップは、生ハムときのこと牛肉を筒状に締めるときに働きます。

うまくいかないときは、水分と温度を分けて見る

症状 考えられる原因 対処
パイの底が湿る デュクセルの煮詰め不足。牛肉やきのこが温かい。包む前の冷却不足 この順に点検する。ヘラの跡が残るまで煮詰め、どちらも完全に冷まし、各段階の間で冷やす
パイの層が立たない 生地が温まった 成形後に冷やし、十分に予熱したオーブンに入れる。生地の製品表示にも従う
切ると崩れる 包みが緩い、継ぎ目が厚い、休ませていない 次回はラップで筒状にしっかり締め、継ぎ目を薄くし、切る前に休ませる
牛肉が狙いより火が入った 時間だけで焼き上がりを決めた 中心温度を測る。低い仕上がりが安全基準と同じではないことも忘れない
きのこがペーストになった フードプロセッサーを回しっぱなしにした 短いパルスで、粒が見えるうちに止める

水分の問題は包みの底に表れ、温度の問題はパイの層と牛肉に表れます。水分と温度を別々に考えると、次にどの段階を変えればよいかが見えやすくなります。中心にもう少し熱を入れたいときも、確認しないまま包み全体を長く戻さず、温度計を使って牛肉を焼きすぎないようにします。

知っておきたい変化形

牛肉、きのこ、パイの三つは変わりませんが、その周りの層は作り手によって違います。

  • クレープを挟む型。 きのこ層とパイの間に薄いクレープを置くと、水分の障壁がもう一枚増えます。そのぶん工程が増え、小麦、卵、乳も増えます。
  • 鶏レバーパテを足す型。 きのこにパテを合わせるレストランや料理家もいます。風味は濃くなりますが、材料が手に入りにくく、好みも分かれます。
  • ポルチーニを加える型。 戻した乾燥ポルチーニを少量加え、香りを強めるレシピがあります。戻し汁は砂を避けて漉し、それでもデュクセルは完全に乾くまで炒めます。
  • ワインを替える型。 辛口白ワインをマデイラなどに替える例が、複数のレシピにあります。甘みと香りが変わるので、煮詰め具合を調整します。
  • ビーツのウェリントン。 牛肉を使わない派生料理です。このレシピの一種ではなく、別の料理として扱ってください。

公爵の物語から少し離れて、記録を見る

厚切りにしたビーフ・ウェリントンをローストポテトと青菜に添えた英国の食卓
祝いの食卓の中心に置き、付け合わせは簡素に

いちばん知られた話は、ウェリントン公爵の好物だったので、この名が付いたというものです。ところがNational Geographic Traveller(英国版)は、これには確かな証拠がないと指摘しています。1839年に公爵のために開かれた祝宴のメニューに、この料理名は見当たらないのです。同じ記事は、この名前の記録が1899年と1903年にあることや、20世紀初めに英国でも米国でも登場していることも紹介しています。単純な一国起源の物語には収まらないわけです。

第二次世界大戦後には、英米の料理本や雑誌にレシピが増え、ビーフ・ウェリントンはもてなしの料理として、ある種の社会的な華やかさをまとうようになりました。魅力の一部は、高価な材料と、失敗の余地が小さい調理工程という、難しさそのものにありました。今の家庭では、このレシピのように作業を段階に分けて、その難しさを扱いやすくするほうが現実的です。

唯一の正しい形があるわけでもありません。Gordon Ramsay Restaurantsが公開しているSavoy風のビーフ・ウェリントンでは、卵、小麦粉、牛乳で作るハーブ入りパンケーキと、鶏胸肉と生クリームのムースを、きのこのデュクセルと合わせています。ビーフ・ウェリントンとブッフ・アン・クルート(boeuf en croûte)は、牛肉をパイで焼くという発想を共有していますが、名前も細部も必ず同じとは限りません。

保存・再加熱・アレルゲン

食品の安全とアレルゲン

調理前の牛肉、生ハム、卵黄は表示どおりに冷蔵し、室温に置いたままにしないでください。残ったものはすぐに冷蔵し、切っていない大きな塊は浅い容器に移します。保存できる期間は、お住まいの国の食品安全当局の指針に従ってください。この料理には、小麦(パイ生地と打ち粉)、卵(塗り液)、乳(バター)、豚肉(生ハム)が含まれます。市販のパイ生地や生ハムの原材料表示を確認し、材料を替える場合は交差接触を避けてください。

パイは再加熱するとサクサク感が失われます。残りを温めるならオーブンのほうがよく、電子レンジではパイの食感が大きく変わります。

よくある質問

なぜ「ウェリントン」と呼ぶのですか?

ウェリントン公爵の好物だったという説が有名ですが、それが好物だった、あるいは名前が公爵に由来するという確かな証拠はありません。上の「公爵の物語から少し離れて、記録を見る」をご覧ください。

包む前に牛肉は冷やしますか?

冷やします。初回のローストのあと、牛肉を冷まして冷蔵庫で冷やしてから包みます。これは、成形したパイ包みを焼く前に最低30分冷やす工程とは別で、二つの冷蔵は役割が違います。

デュクセルはどこまで炒めますか?

液体が残らず、鍋の中でヘラの跡が保たれ、全体がまとまるまでです。湿ったままだと、パイの底が湿る原因になります。

生ハムは省けますか?

省くと肉汁がパイに移りやすくなります。クレープなど別の層を使う型もありますが、食感と味は変わります。

ミディアムレアは安全ですか?

ピンクの仕上がりは好みであって、公的な安全基準ではありません。USDA FSISの指針に従うなら、温度計を使って中心が62.8°Cに達するまで加熱し、最低3分休ませます。レストランのレシピにあるピンク仕上げの中心温度は、焼き加減の好みを示すもので、安全のための推奨ではありません。

冷凍パイ生地でも作れますか?

作れます。製品の表示に従って解凍し、作業中は冷たく保ってください。

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主な参考リンク

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