玉ねぎとトマトを詰めて煮た縞模様のなすを、パセリとレモンを添えて皿に盛ったイマム・バユルドゥ
🔪下準備35分
🔥調理1時間
🌍料理トルコ料理

イマム・バユルドゥの作り方|トルコのなすのオリーブオイル煮

約14分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

STEP 11 / 8

なすの皮をしま目にむく(約5分)

手順1: なすの皮をしま目にむく(約5分)

なすのへたを残したまま、ピーラーで縦に皮をむきます。全部はむかず、1.5〜2cmほどの幅で皮を残しながら交互にむいて、しま模様にします。皮を残すことで煮崩れを防ぎ、むいたところからは味がしみ込みます。

STEP 22 / 8

縦半分に切り、切り込みを入れる(約5分)

手順2: 縦半分に切り、切り込みを入れる(約5分)

なすを縦半分に切ります。切り口を上にして置き、果肉の中央に縦長の深い切り込みを入れます。両端は約1.3cmずつ切らずに残し、皮の手前で包丁を止めて、皮まで切り抜かないようにします。この切り込みが、あとで詰め物を入れるポケットになります。

STEP 33 / 8

塩をふって水気を抜く(10〜15分)

手順3: 塩をふって水気を抜く(10〜15分)

なすの切り口と、深さ2〜3cmほどの切り込みの中に塩をまんべんなくふり、常温で10〜15分置きます。表面に細かな水滴が浮き、果肉の色が少し暗くなってきたら水分が出た合図です。塩と一緒に出てきた水分と苦みを流すように軽く水で洗い、ペーパータオルでしっかり水気を拭き取ります。水気が残っていると、仕上がりがべちゃっとしてしまいます。

STEP 44 / 8

なすを揚げ焼きにする(3〜5分)

手順4: なすを揚げ焼きにする(3〜5分)

深さのある鍋かフライパンに揚げ焼き用の油を深さ1cmほど入れて中火で熱します。なすを入れ、両面を合わせて3〜5分、果肉が柔らかくなって表面に薄い焼き色がつくまで焼きます。中まで火を通す必要はありません。焼けたらペーパータオルの上に取り出し、余分な油をきります。

STEP 55 / 8

詰め物を作る(約5分)

手順5: 詰め物を作る(約5分)

ボウルに縦に厚さ2〜3mmの薄切りにした玉ねぎ、にんにく、オリーブオイル大さじ2、乾燥ミント、塩、黒こしょうを入れ、手で1〜2分もみ込みます。玉ねぎが少ししんなりして、透明感が出てくるくらいが目安です。そこに5mm角ほどに刻んだトマトとパセリを加え、ざっくり混ぜます。なす1切れにつき、こぶし半分ほどの量が目安です。

STEP 66 / 8

詰めて鍋に並べる(約5分)

手順6: 詰めて鍋に並べる(約5分)

なすの切り込みを指で幅3cmほどに広げ、詰め物をぎゅっと押し込むように詰めます。高さ2〜3cmほどこんもりと山になってかまいません。口の広い厚手の鍋に、なすを詰め物が上になるよう並べます。詰めきれなかった詰め物は、なすのすき間に入れて一緒に煮ます。

STEP 77 / 8

ふたをして弱火で煮る(45〜50分)

手順7: ふたをして弱火で煮る(45〜50分)

オリーブオイル大さじ2、水1/2カップ、レモン汁、砂糖を砂糖が溶けてなめらかになるまで混ぜ、5cmほどの高さからなすの上へ回しかけます。ふたをして中火にかけ、煮汁が温まって湯気が立ってきたら弱火に落とします。そのまま45〜50分、なすが箸で簡単に切れるくらい柔らかくなるまで煮ます。詰め物のトマトがとろりと崩れ、鍋底に煮汁が深さ5mmほど残る状態で煮上げ、焦げつきそうなら水を大さじ1〜2ずつ足してください。

STEP 88 / 8

鍋のまま冷まして盛る(30分以上)

手順8: 鍋のまま冷まして盛る(30分以上)

火を止めたら、ふたをしたまま鍋の中でなすを冷まし、味をなじませます。常温まで冷めたら、なすをそっと皿に移し、鍋に残ったオリーブオイルと煮汁をスプーンでかけます。刻んだパセリを散らし、くし形のレモンを添えて出来上がりです。

なすを揚げ焼きにするときは、水気を拭き取ってから油に入れてください。水分が残っていると油が大きくはねます。油の温度が上がりすぎて煙が出てきたら、いったん火を止めて温度を下げましょう。

冷ますのを急いで冷蔵庫へ入れる前に、鍋のまま常温まで冷ます時間を取ってください。この間になすが煮汁を吸い込み、トマトと玉ねぎの甘みが果肉に移ります。

煮ている途中でなすが鍋底にくっつきそうなときは、鍋を軽く揺すって煮汁を全体に行き渡らせます。なすは柔らかく崩れやすいので、裏返したり箸で動かしたりしないでください。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料表の分量4人分

表内の数値を目安として再計算します。塩、辛味、油は味を見ながら調整してください。

準備

買い出しの前に

米なす、玉ねぎ、トマト、にんにく、イタリアンパセリ、オリーブオイル、乾燥ミント、レモンを並べた材料

3品目

なす

材料 分量 代替・備考
米なす 大2個 長なすなら4本
塩 適量 下ごしらえで水分と苦みを抜く
揚げ焼き用の油 鍋に深さ1cm分 ピュアオリーブオイルやキャノーラ油
7品目

詰め物

材料 分量 代替・備考
玉ねぎ 大1個 縦半分に切ってから薄切り
トマト 3個 細かく刻む
にんにく 3〜4片 みじん切り
イタリアンパセリ 1束 みじん切り。少し飾り用に残す
エクストラバージンオリーブオイル 大さじ2
乾燥ミント 小さじ1
塩・黒こしょう 各適量 粒の黒こしょうならスパイスミルで挽きたてに
4品目

煮汁

材料 分量 代替・備考
エクストラバージンオリーブオイル 大さじ2
水 1/2カップ(約120ml)
レモン汁 1/2個分
砂糖 小さじ2 トマトの酸味をまるくする
1品目

添えるもの

材料 分量 代替・備考
レモン 1/2個 くし形に切る

なすを揚げ焼きにする油は鍋の深さ1cmほどと多めですが、なすに吸われるのはその一部です。残った油は冷ましてこし、炒め物などに使い回せます。オリーブオイルを惜しまないことがこの料理のおいしさの源ですが、気になる場合は詰め物と煮汁の分を少しずつ控えても作れます。

コツ

トマトはよく熟して赤いものを選ぶと、煮汁の味がぐっと濃くなります。水っぽいトマトしかないときは、砂糖を少し増やすか、トマト缶のダイストマトを一部に使ってください。


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材料からそろえる、味の決め手

買い出しガイド

鍋のふたを開けると、くたりと柔らかくなったなすが、オリーブオイルとトマトの煮汁の中に並んでいます。けれども、すぐには食べません。火を止めた鍋をそのまま台所に置き、なすがすっかり冷めて味が落ち着くのを待つ。トルコの食卓で長く愛されてきたイマム・バユルドゥ(İmam bayıldı)は、なすに玉ねぎとトマトを詰め、オリーブオイルでゆっくり煮てから、冷まして食べる料理です。名前の意味は「イマーム(イスラムの導師)が気絶した」。料理の名前としては、ずいぶん大げさです。

イマームはなぜ気絶したのか

トルコの家庭の台所で、縞模様に皮をむいたなすに詰め物をする手元

この奇妙な名前には、いくつもの言い伝えがあります。いちばんよく知られているのは、ある導師がこの料理の香りと味にあまりに心を奪われて気を失った、という話です。トルコ政府の観光広報機関GoTürkiyeも、料理名はこの民話に由来すると紹介しています。別の言い伝えでは、導師が気絶したのはおいしさのせいではなく、料理に使われたオリーブオイルの量、つまりその値段に驚いたからだとされています。オリーブオイル商人の娘を妻にした導師が、嫁入り道具の12壺の油を毎晩この料理で使い切られ、油が尽きた13日目に気絶した、という話まで伝わっています。

どちらが本当かは、はっきりしていません。ただ、言葉の面から見ると面白いことがわかります。トルコ語の動詞「bayılmak(バユルマク)」には、「気絶する」という意味と、「何かがとても好きだ、うっとりする」という意味の両方があります。英語圏の言語ブログLanguage Hatが引くトルコ語・英語辞典にも、この二つの意味が並んでいます。つまり「イマム・バユルドゥ」は、気を失うほどおいしいという褒め言葉として読むこともできるのです。

豆知識

トルコには、なすを切り開いてひき肉を詰める「カルヌヤルク(Karnıyarık)」という料理もあります。見た目はよく似ていて、イマム・バユルドゥにひき肉を加えたものがカルヌヤルクにあたる、と説明されることもあります。肉を使わないイマム・バユルドゥは、肉の日の料理ではなく、オリーブオイルで煮る野菜料理の側に入ります。

オリーブオイルで煮て、冷ましていただく料理

イマム・バユルドゥは、トルコ料理の中でも「ゼイティンヤール(zeytinyağlı)」と呼ばれる料理の仲間です。ゼイティンヤールはトルコ語で「オリーブオイル入りの」という意味で、野菜をオリーブオイルと少しの水でじっくり煮る料理を指します。セロリやズッキーニなど、季節の野菜がこの方法で煮られ、前菜(メゼ)として食卓に並びます。

GoTürkiyeによると、オスマン帝国の宮廷料理は長いあいだ獣脂などの動物性の脂に頼っていましたが、オリーブオイルの交易によって宮廷の台所にもオリーブオイルが入り、オリーブオイルの料理が広がっていきました。オリーブの木が多いエーゲ海沿岸の町々の食卓も、こうした料理と深く結びついています。

なぜ冷まして食べるのか。熱いうちはオリーブオイルの香りが立ちすぎ、なすの中にも煮汁が落ち着いていません。鍋のまま冷ます間に、なすが玉ねぎとトマトの汁を吸い、煮汁となすが一体になっていくのです。トルコ料理の家庭料理を英語で伝えている料理研究家オズレム・ウォレンも、煮上がったなすを鍋の中で冷まして休ませ、味をなじませてから盛ることを勧めています。

豆知識

トルコ語でなすは「パトルジャン(patlıcan)」。トルコにはなすの料理が200種類以上あるといわれ、イマム・バユルドゥはその中でも代表的な一皿です。

日本のなすで作るなら、米なすがいちばん近い

縦半分に切って詰めるこの料理には、大きめのなすが向いています。日本で作るなら、ずんぐりと大きな米なすが、縦半分に切って詰め物をする料理にいちばん合います。米なすがなければ、長なすを1人1本ずつ使ってもかまいません。小ぶりのなすは煮る時間が短くて済む一方、詰め物が入るすき間も小さくなります。

なすを選ぶときは、皮につやと張りがあり、持ったときに大きさのわりにずっしりと重いものを選びます。皮にしわが寄っていたり、柔らかくたるんでいたりするものは、収穫から時間がたっていて苦みが出やすくなります。オズレム・ウォレンは、なすがいちばんおいしいのは7月から9月の夏だと書いています。

オリーブオイルは、詰め物と煮汁に使う分はエクストラバージンオリーブオイルを、なすを揚げ焼きにする分はピュアオリーブオイルやキャノーラ油など、クセが少なく扱いやすい油を使い分けると、香りも値段もちょうどよくなります。詰め物に加える乾燥ミントは、トルコの家庭料理によく登場する香りで、スーパーのスパイス売り場やハーブティーの棚で見つかります。


前菜として、常温で

白い皿に盛ったイマム・バユルドゥにレモンとパセリを添え、パンを並べた食卓
常温で盛り、レモンを搾って食べる

イマム・バユルドゥは、常温か冷やした状態で、前菜(メゼ)として食べることが多い料理です。肉を使わない料理なので、ベジタリアンの食卓にも向いています。レモンを搾ると、オリーブオイルのこくの中にさわやかな酸味が加わり、最後まで重たく感じません。パンを添えて、皿に残った煮汁をぬぐって食べるのもおすすめです。

ほかのメゼと並べれば、トルコの食卓らしい一皿になります。トマトと唐辛子を刻んだエズメ、ブルグルのサラダクスル、白いんげん豆のサラダピヤズを少しずつ用意すると、作り置きの前菜だけで夕食の始まりが整います。焼いたなすを使う料理なら、トルコのヒュンキャール・ベーンディも比べてみてください。

よくある質問

保存容器に並べて冷蔵したイマム・バユルドゥ

温かいうちに食べてはいけませんか?

食べられます。温かいうちに出すこともありますが、常温に冷ましてから食べることの多い料理です。冷ますことで煮汁がなすになじみ、味がまとまります。温かいうちはオリーブオイルの香りが立ち、なすもまだ水分を多く含んでいるので、少し印象が違います。

作り置きはできますか?

冷ましてから保存容器に入れ、冷蔵庫で2〜3日を目安に食べきってください。冷蔵庫から出したてはオリーブオイルが固まって白くなることがあるので、食べる少し前に出して常温に戻すと、口当たりがなめらかになります。

揚げ焼きをしないで作れますか?

油を減らしたい場合は、オーブンやフライパンでなすを焼いてから詰める方法もあります。ただし、揚げ焼きのほうがなすの果肉がとろりと柔らかくなり、詰め物の味もしみやすくなります。焼く場合は、果肉が柔らかくなるまで火を通してから詰めてください。

辛くしたいときはどうしますか?

基本のイマム・バユルドゥは辛くない料理です。辛みがほしい場合は、詰め物に刻んだ青唐辛子や、トルコの唐辛子フレーク(プル・ビベル)を少し加えると、トマトの甘みと合います。

乾燥ミントがないときはどうしますか?

なくても作れます。生のミントがあれば少量刻んで加えてください。ミントがなければ、パセリを少し増やすと、さわやかさを補えます。

主な参考リンク

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