アメリカのニューヨークで、大きな丸いピザから幅広の三角形を一切れ切り出し、縦に二つ折りにして、歩きながら食べる。ニューヨーク市立博物館(Museum of the City of New York)は、このスライスを街の日常食として紹介しています。通りでも、公園のベンチでも、家のソファでも食べるものだそうです。それにしても、これほど薄い生地が、折ったあとも先端を水平に保てるのはなぜでしょうか。
このレシピは、King Arthur Bakingの家庭向けレシピに沿っています。同社はニューヨークのスライスを、薄くて折れること、強力粉ならではの噛みごたえがあること、先端が垂れないことと説明しています。作るのは13インチ(約33cm)のピザ2枚。生地は室温で長く発酵させ、1時間予熱した石板かスチール板で焼き、最後に短く上火であぶります。大判で薄く、折れて、底に斑点状の焼き色がつく。これが、この2枚の目指す姿です。
ここで作るのは家庭向けの一例で、ニューヨークのすべてのピザ店に共通する公式な基準ではありません。生地の厚み、焼き色、ソースとチーズの配分、トッピングは店ごとに違います。
ニューヨークスタイルピザとは

米国国立公園局のエリス島(National Park Service, Ellis Island)は、現代のピザの起源をナポリにたどり、19世紀後半にイタリア系移民が米国へ持ち込んだと説明しています。ニューヨークでの話を語るのは、ニューヨーク市立博物館です。同館によれば、南イタリアのピザ文化は19世紀末から20世紀初頭にかけて移民とともに渡ってきて、街のパン窯や燃料に合わせて姿を変えました。そうして切り分けて売れる大きな丸いピザになったといいます。
同館は、窯が石炭からガスへ移ったことも、ピザの変化と結びつけています。長めに焼くあいだ生地が乾きにくいよう油を加え、トッピングもその焼き方に合わせて変わったという見方です。ただし、これは博物館の解釈であり、歴史を一つの原因で説明するものではありません。
多くの人が思い浮かべる特徴は、薄くて幅の広い円形、スライスで売ること、そして持ち運びやすいように折ることです。ナポリのピッツァは別の地域様式で、その正式な定義はここには当てはまりません。窯、大きさ、食べ方を並べて見ると、同じピザが土地ごとに違う形になったことがよくわかります。
この料理に使える食材・調味料
選び方と代用の考え方
- 強力粉: 強力粉(bread flour)だけを使います。ほかの高たんぱくの強力粉でも代用できますが、製品によってたんぱく質量や吸水が違うため、生地の手ざわりや伸びが変わることがあります。水はまず206gで始め、べたつくときは理由なく水を減らさず、打ち粉を多めに使ってください。
- 低水分モッツァレラ: 水分の少ないブロックかシュレッドタイプを選びます。全脂乳のものがおすすめです。低脂肪タイプは溶け方もコクも違うので、別の仕上がりになると考えてください。フレッシュモッツァレラは水分がずっと多く、表面が水っぽくなりやすいので、同じ重さで置き換えないでください。
- トマト缶: ふつうの皮むきホールトマト缶で作れます。794gは水を切る前の缶の内容量です。
- セモリナ粉: なければ黄色いコーンミールが同じ役目を果たします。生地の下のざらつきは少し変わります。
- 水: ニューヨークの水道水である必要はありません。街の水がこのピザを決めるという話は、このレシピの条件ではありません。
- 加えないもの: オリーブオイル、生のバジル、ペパロニはこの配合に入りません。
道具
- 大きめのボウル
- 薄く油を塗った、密閉できる容器(生地玉を入れる)
- ざる(トマトの水切り用)
- フードプロセッサー(トマトを粗くパルスする)
- ピザストーン(石板)またはベーキングスチール
- ピザピール、または裏返した天板
- 網(焼き上がりを休ませる)
- オーブンミット
このレシピは260°C(500°F)で1時間予熱し、そのあとブロイラー(上火)を使います。家庭用オーブンや石板、スチール板がこの条件に耐えられるかは機種によって違います。最高温度と上火の使用についてメーカーの説明書を読み、器具の耐熱温度を超えて設定しないでください。熱くなった石板やスチール板は、オーブンを止めたあともしばらく危険な温度のままです。
うまくいかないときは
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 伸ばす途中で生地が縮む | グルテンが張っている | 5〜10分休ませてから続ける。縁は残す |
| 生地がピールにくっつく | セモリナ粉が足りない、または確認前に具をのせた | 具をのせる前に滑るか確かめる。くっついた縁を持ち上げてセモリナ粉を足す。ピールの上に置いたままにしない |
| 生地がべたつく | 粉の銘柄による違い | 打ち粉を多めに使う。理由なく水を減らさない |
| 底に焼き色がつかない | オーブンや焼き台の違い | 最初の焼き時間を1〜2分延ばす。機器の最高温度は超えない |
| 上が焦げる | ブロイラーは進みが速い | 2〜3分でも急に焦げる。最後までオーブンの前にいる |
保存と食べ残し
- 余ったソース: King Arthur Bakingは、蓋をして冷蔵なら最大5日、長く置くなら冷凍を勧めています。
- 焼いたピザの残り: FoodSafety.govは、調理済みの食べ残しを2時間以内に冷蔵し、4日以内に使い、74°Cまで再加熱するよう案内しています。レシピ側には、残ったスライスを石板かスチール板で温め直すと底がまたパリッとする、という提案もあります。
アレンジの考え方
- 別の強力粉: 強力粉は銘柄によって伸び方が違います。まず原典の水206gで始めてください。水分量を変えるのは別の実験です。
- セモリナ粉の代わりにコーンミール: 黄色いコーンミールでも、くっつきを防ぐ役目は同じです。粒の感触が少し変わります。
- 全脂乳か低脂肪のモッツァレラ: 原典は全脂乳を勧めています。低脂肪は溶け方が違い、コクも控えめになるので、同じものとは考えないでください。
- 石板かスチール板: 原典は両方を選択肢にしています。熱の伝わり方と焼き色が違うため、時間はあくまで目安です。
- 6切れかスーパースライス: 切り方を変えると食べ方が変わりますが、配合は変わりません。
ニューヨークのスライスから、家庭のオーブンへ
ニューヨーク市立博物館は、スライスを手早く、持ち運びやすく、折りやすい実用的な食べ物として紹介しています。家でも街でも食べられる一切れです。家庭で作るときは、長い発酵をいつ始めるか、どのモッツァレラを買うか、石板とスチール板のどちらで焼くかの三つが仕上がりを左右します。台所とオーブンの限界に合わせてこの三つを決めれば、あとは折ったときのスライスの形が、どこまで近づけたかを教えてくれます。
よくある質問
ナポリのピッツァとはどう違いますか?
この家庭版は、薄く大きく伸ばした円を切って折って食べることを前提にした生地で、家庭用オーブンで長めに焼く配合になっています。ナポリのピッツァは別の地域様式です。どちらかがもう一方の基準というわけではありません。
強力粉ならどれでも使えますか?
原典は強力粉だけを使います。ほかの高たんぱくの強力粉でも代用できますが、製品によって吸水や伸び方が違うことがあります。
ピザストーンがないときはどうしますか?
原典はベーキングスチールも選択肢にしています。その温度に耐える鋳鉄のフライパンも代わりに使えますが、熱の伝わり方が違うので、同じ時間で焼けるとは限りません。底の焼き色を目安にしてください。
生地は前日に仕込めますか?
できます。生地玉を丸めて室温で8〜10時間発酵させたあと、最大3日まで冷蔵できます。焼く前に、オーブンを予熱している間に出し、最低1時間は室温に置いてください。
余ったソースやピザはどうすればいいですか?
余ったソースは冷蔵で最大5日、または冷凍します。焼いたピザは2時間以内に冷蔵し、4日以内に食べて、74°Cまで再加熱してください。




















