ニュージーランド南島の南の端。学校や教会、スポーツクラブの募金会場に、食パンの並んだトレイとチーズのフィリングを入れたボウルが置かれ、焼き上がったばかりのロールが次々と出てきます。熱すぎて、すぐにはかじれないほどです。サウスランドの観光団体によると、チーズロールはまさにこうした場面や家族の集まり、地元のカフェで長く食べられてきた軽食で、サウスランドとオタゴの二つの地方と結びついています。
南の集まりで、何十本も巻かれる軽食
ふつうの食パンで作る、薄くてカリッときつね色の外側と、煮立てずにとろみをつけた熱くて塩気のあるチーズのフィリング。このレシピは、この二つのためにあります。
作り方は素朴です。サンドイッチ用の食パンに塩気のあるチーズのフィリングを塗り、折りたたんで平たいロールにし、外がカリッとして中が溶けるまで焼きます。巻いたような形から、親しみを込めて「サザン・スシ(南のお寿司)」と呼ばれています。
ニュージーランドのほかの料理はニュージーランドのレシピでも紹介しています。
発祥はひとつに決められない
最初のチーズロールを誰がどこで作ったのかは、はっきりしていません。サウスランドの観光団体は起源には諸説あるとしたうえで、1930年代のニュージーランドの新聞に載ったレシピを挙げ、そのうち最も早いものとして1935年を紹介しています。一方、ニュージーランド自動車協会(AA)の旅行記事は、南島の公式な料理本に最初のレシピが載ったのは1951年で、北島での言及は1970年代だったと伝えています。
新聞のレシピと料理本の記載という種類の違う記録を、別々の資料が報じているものです。どちらも単一の起源を決めるものではないので、対立する主張としてではなく、並べて読むのがよさそうです。二つの資料が一致しているのは、南の地方に根づいた料理で、たくさんの家庭のレシピによって形づくられてきたという点です。
リバートンのカフェに伝わる家庭の配合
この記事では、ひとつのレシピだけを最初から最後まで追います。サウスランドのリバートンにある「ザ・クリブ・カフェ(The Crib Cafe)」のカズナ・ギルダー(Cazna Gilder)さんの家庭のレシピで、Our Way of Life に掲載されたものです。ほかの版とは混ぜていません。オニオンスープミックス、エバミルク(無糖練乳)、パセリ、ディジョンマスタードを使い、パンを二度折るのが特徴です。
下の分量は、出典の単位のままにしています。出典にはエバミルクの缶の容量、スープミックス1袋の重さ、パン1本(loaf)の枚数が書かれていないため、書かれているとおりに残しました。
途中で見つける、味の決め手
選び方と代用
食パン。 トースト用スライスとして売られている、やわらかく薄いサンドイッチ用の食パンを選びます。厚切りは折り目で割れやすくなります。出典では白でも茶色でもかまいません。
エバミルク。 加糖していない無糖練乳です。加糖練乳(コンデンスミルク)はまったく別の商品でこのレシピには使えません。缶の見た目が似ていることがあるので、表示をよく確かめてください。
オニオンスープミックス。 出典ではMaggiの製品が指定されています。同じものが見つからないときは別のオニオンスープミックスを使えますが、味が変わるので、原典の再現ではなくアレンジとして扱ってください。
ディジョンマスタード。 英国式マスタードや和からしなどは辛みと酸味が違うため、そのままの代用にはなりません。
チーズ。 出典は「おろしたチーズ」としか書いていません。チェダー系や熟成ゴーダは無理のない選択肢ですが、塩気や伸び方が変わります。塩気の強いチーズを選ぶ場合は、スープミックスにもすでに塩気があることを頭に入れておいてください。
道具
- フードプロセッサー
- 電子レンジ対応のボウル
- 電子レンジ
- サンドイッチプレス、またはグリル
- フィリングを量るための大さじ
外はカリッと、中は熱く溶ける。うまくいかないときの直し方
| 困りごと | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| フィリングがパンから流れ落ちる | まだ温かくてゆるい | 少し冷ましてとろみが出てから塗る。水分は足さない |
| 折るときにパンが破れる | 縁までフィリングを塗った、折る向きが違う | 端を空け、長辺に沿って折り、最後の折り目を押さえる |
| 外側だけ先に焼き色がつき、中が熱くならない | 火が強い、または熱源が近すぎる | 火を弱めるか熱源から離し、中心が熱く溶けるまで少し長めに焼く |
| 電子レンジでフィリングが泡立った、分離した | とろみがついた時点を過ぎて加熱した | 次回は早めに取り出して混ぜる。お使いの電子レンジの出力が強いのかもしれません |
食べ方と残ったとき

チーズロールは、外側がまだカリッとしている焼きたてがいちばんです。焼き上がったものを、室温で長く置かないでください。残ったら早めに冷まして冷蔵し、温め直すときは中心まで熱くなるようにします。
家ごとに違う「うちの一本」
サウスランドで「どこのチーズロールがいちばんおいしいか」と尋ねると、議論が始まるかもしれません。二つの地域の資料はどちらも、レシピは家庭ごとに違うと述べており、AAの記事は、研究者が3種類のフィリングを確認していると書いています。サウスランドの観光団体によると、おろしたチーズ、オニオンスープミックス、エバミルクの組み合わせはよく見られるパターンで、これは今回のリバートンのレシピの骨組みでもあります。そこにディジョンマスタードとパセリを加えるのが、この家のレシピの持ち味です。
この多様さは、「正しい版」がないということではありません。家庭の台所や地域のボランティアが、募金会や集まりのために大量に作り、それぞれの家がレシピを持っているという、この料理の作られ方そのものを表しています。
アレンジの提案
基本のレシピに小さな変更を加えるものです。最初の三つは、リバートンのレシピ自体が認めている範囲で、四つ目は編集部の提案です。
- 白パンか茶色のパンか。 レシピはどちらも可としています。焼き色の付き方や折りやすさを比べてみてください。
- バターの有無。 裏面に塗ればレシピにあるようなカリッとした食感になり、塗らなければ軽く仕上がります。
- サンドイッチプレスかグリルか。 プレスは両面を同時に焼いてロールを平らにし、グリルは焼き色の付き方を見ながら焼けます。
- ほかのチーズ。 レシピはチーズの種類を指定していないので、チェダー系や熟成ゴーダを試せます。塩気と溶け方が変わるので、塩気のあるスープミックスのことも考えてください。
よくある質問
「サザン・スシ」とは何ですか?
チーズロールの愛称で、巻いたような形に由来します。サウスランドの観光団体もAAの記事も、この呼び方を使っています。
チーズロールはいつ生まれたのですか?
決まった答えはありません。サウスランドの観光団体は1935年の新聞のレシピを挙げ、AAは南島の公式な料理本の最初のレシピを1951年と伝えています。種類の違う記録で、どちらも単一の起源を示すものではありません。
オニオンスープミックスは省いてもよいですか?
このレシピの風味と塩気の中心です。省くと別のレシピになり、味もはっきり変わります。
グリルもサンドイッチプレスもないときは?
レシピはどちらか一方を使うとしています。どちらもない場合はオーブントースターで代用できますが、これは元の作り方にはありません。色づき方をよく見て、中心が熱く溶けているか確かめてください。
何本できますか?
レシピでは約25本です。パン1本(loaf)に入る枚数が書かれていないため、正確な本数は保証できません。1枚に塗るフィリングの量で調整してください。











