深めの耐熱皿の中で、淡い色のタロイモと完熟パパイヤの濃いオレンジ色が交互に重なり、その間に玉ねぎの薄い輪がはさまっています。ココナッツクリームと水を混ぜた液体を上から注ぐと、スライスのすき間へすっとしみ込んでいきます。ホイルをかぶせてオーブンへ入れ、取り出すころには、タロイモは柔らかくなり、パパイヤはその間に溶け込み、全体をココナッツがひとつにまとめています。パパイヤの甘みとタロイモのでんぷん質が、一皿のなかで出会う料理です。
タキヒは、淡いタロイモと橙色のパパイヤをココナッツで焼く一皿
この料理が守っているのは、芯まで柔らかく焼けたタロイモ、甘みと色を添える完熟パパイヤ、そして層をまとめるココナッツクリームの液体です。ほかのものは加えません。
タキヒ(takihi)は、ニウエの伝統料理です。ニュージーランド心臓財団(Heart Foundation New Zealand)はニウエの伝統料理として紹介し、シーフードによく合うとしています。太平洋共同体(SPC)のタロイモ料理の冊子は、タキヒを肉や魚と一緒に出す料理として説明しています。ニウエ観光局も、島の伝統的な食べ物のひとつとして、パパイヤ、タロイモ、ココナッツクリームの料理とだけ紹介しています。
主役の一つが完熟パパイヤなので、タキヒにはほのかな甘みがあります。ただ、ニュージーランド心臓財団とSPCが示しているのは、シーフードや肉、魚に添える食べ方です。そのため、甘いデザートか、おかずの付け合わせかを一つに決めることはできません。甘みはあっても、食卓では添え物として紹介されていると受け止めておくのがよさそうです。
材料は、島の日常の食材です。ニウエ観光局は、タロイモ、パンノキの実、キャッサバ、貝類、ヤシガニといった地元の食べ物と、アロフィのマーケット(makete)で売られる季節の熱帯フルーツを挙げています。
土の窯から家庭のオーブンへ
SPCの冊子によると、タキヒは以前、バナナの葉に材料をのせ、熱した石を使う土の窯「umu(ウム)」で調理されていました。ウムは今も島の共同の料理の場に残っています。ニウエ観光局は、毎年各村で開かれるショーデー(showday)で、地元の料理や文化の技を披露する場にウムが使われると紹介しています。
このあとのレシピでは、同じ発想を引き継ぎます。タロイモと果物を重ね、ココナッツの中でじっくり火を通し、蓋をして水分を逃がさないようにするという考え方です。葉と熱した石の代わりに、ホイルをかけた耐熱皿と家庭用オーブンを使います。バナナの葉やウムは、この料理の背景としてお伝えするもので、作るために必要な手順ではありません。
途中で見つける、味の決め手
道具
- オーブン
- 耐熱皿(何層か重ねて液体も入る深さのもの)
- アルミホイル(皿に蓋をする)
- 包丁とまな板
- フォークまたは串(タロイモの柔らかさを確かめる)
選び方と代用
タロイモ。 皮をむいてスライスする生のタロイモを使います。冷凍品は手に入りやすい場合もありますが、同じように仕上がるとは限りません。できれば生のタロイモを探してみてください。
パパイヤ。 ニュージーランドや太平洋地域の英語では、papayaのことを「pawpaw」と呼びます。レシピはpawpawまたは完熟パパイヤと指定しているので、しっかり熟したオレンジ色の果肉のものを選んでください。青い(未熟な)パパイヤでは代用できません。この料理の甘みと柔らかな食感が出ないためです。
玉ねぎ。 1個使います。ふつうに売られている玉ねぎで大丈夫です。
ココナッツクリーム。 甘みのついていないココナッツクリームを探してください。ココナッツクリームと水は別々に量ってから混ぜます。
カップ。 ココナッツクリームと水は同じ計量カップで量り、割合を保ってください。
うまくいかないときは
| 気づいたこと | 考えられる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 約1時間半たってもタロイモが硬い | スライスが厚い、皿が深い、オーブンの癖など | タロイモが柔らかく刺さるまで焼き続ける。それまでは出さない |
| 柔らかい部分と硬い部分がある | スライスの厚さがばらばら | いちばん硬いタロイモが柔らかくなるまで焼く。次回はなるべく厚さをそろえる |
| 取り分けるときに層が崩れる | 層を押さえていなかった | 次回は液体を注ぐ前に、層を軽く押さえる |
| 味が平たい、甘みが足りない | パパイヤが未熟だった | 次回は、オレンジ色の完熟したパパイヤを選ぶ。青いパパイヤは使わない |
食べ方は、魚や肉に添えて

SPCは肉や魚と一緒に出す料理として、ニュージーランド心臓財団はシーフードによく合う料理として紹介しています。どちらも食卓の同じ位置を指しています。写真の魚は添え物の一例で、レシピの一部ではありません。シンプルに火を通した魚や肉に添えると、パパイヤの甘みとタロイモの柔らかさがよく引き立ちます。
太平洋の別の料理を作りたいときは、フィジーのココダもどうぞ。タキヒとは別の料理です。
ほかのタキヒとの違い
タキヒには、ひとつに決まった配合があるわけではありません。この記事はニュージーランド心臓財団のレシピに沿っていますが、公開されているほかの版は、分量、液体、温度、時間が違います。それぞれ別のレシピなので、数字を混ぜないでください。
| 版 | 違うところ |
|---|---|
| ニュージーランド心臓財団(この記事で使用) | タロイモ1 kg、パパイヤ1 kg、玉ねぎ1個、ココナッツクリーム1/3 cup、水1 1/2 cups。ホイルをして180°Cで約1時間半。人数の記載なし |
| SPC『Taro in Pacific cooking』 | 6人分として、白いタロイモ1個、パパイヤ2個、ココナッツクリーム300 ml。タロイモとパパイヤは皮をむいて薄切りにし、ココナッツミルクと重ね、覆って160°Cで2時間焼く |
| The Coconet.tv『Takihi Taro & Pawpaw Bake』 | 生または冷凍のタロイモ、パパイヤを使い、ココナッツクリームの量が多い。玉ねぎと砂糖は任意で、塩を少し加える。冷凍タロイモは先に加熱してから、短めに焼く |
SPCが説明する昔ながらの作り方、つまりバナナの葉にのせて熱した石でウムに入れる方法は、この料理の物語の一部です。家庭の台所で行う手順ではありません。
よくある質問
タキヒは甘い料理ですか?
完熟パパイヤの自然な甘みはありますが、このレシピには砂糖を加えていません。ここで使った資料は、食事の場面で紹介しています。SPCは肉や魚と一緒に出すと説明し、ニュージーランド心臓財団はシーフードによく合う付け合わせとして紹介しています。
pawpawとは何ですか?
ニュージーランドや太平洋地域の英語では、pawpawはパパイヤのことです。レシピはpawpawまたは完熟パパイヤを指定しているので、オレンジ色の果肉の完熟パパイヤを選んでください。青いパパイヤは代わりになりません。
冷凍のタロイモは使えますか?
このレシピは生のタロイモ向けで、冷凍タロイモで作った場合は確認していません。別の公開レシピ(The Coconet.tv)には冷凍タロイモを使うものがありますが、先に加熱してから短く焼くもので、分量も違う別のレシピです。生のタロイモが手に入るなら、そちらを使ってください。どちらの場合も、タロイモは芯まで柔らかくなるまで火を通す必要があります。
umu(ウム)とは何ですか?
熱した石を使う調理法です。SPCは、タキヒが以前はバナナの葉に材料をのせ、ウムで調理されていたと説明しています。ニウエ観光局は、村のショーデーでウムが使われると紹介しています。
何人分ですか?
ニュージーランド心臓財団のレシピには人数の記載がないので、ここでも示しません。SPCの版は6人分と書かれていますが、分量が違うため、その数字をこのレシピに当てはめることはできません。
カップをmlに換算できないのはなぜですか?
原典がどの規格のカップを使っているのか書かれておらず、換算すると推測になってしまうからです。ココナッツクリームと水は同じカップで量り、割合をそのまま保ってください。














