ココナッツの煮汁に、魚と根菜が重なる
この鍋で守りたいのは、魚と根菜を一つの鍋で火が通るまで煮ること、ココナッツクリームとカレー粉の少しで煮汁を丸くすること、そして slippery cabbage とトマトをほんの最後に入れることです。仕上げの前に、魚と根菜は別々に火通りを確かめてください。
水に塩ひとつまみと唐辛子2本を入れた鍋に、魚、タロ、青い調理用バナナが並んでいます。やがてココナッツクリーム、カレー粉、刻んだ玉ねぎが加わり、煮汁は白くふくよかに変わります。最後の5分で、slippery cabbage の葉の束と2個のトマトを上にのせ、そっと沈める。この料理の姿はそれだけで、すべてソロモン諸島のレシピ集に印刷された手順の順番どおりです。
そのレシピは、Local Vegetable Food: Kaikai Recipes in Solomon Islands に Fish and Vegetable Curry Soup という英語名で載っています。材料表は短く具体的で、魚2尾、中サイズのタロ2個、青いバナナ2本、玉ねぎ1個、ココナッツクリーム、塩、唐辛子、カレー粉、slippery cabbage 1束、トマト2個。油は使わず、玉ねぎを先に炒めることもなく、しょうがもライムも入りません。
太平洋の外から作ろうとすると、迷いやすい食材が3つあります。タロ、青い調理用バナナ、slippery cabbage です。この記事では原典の内容をそのまま守ったうえで、置き換えられるものと、置き換えたときに何が変わるかを分けて説明します。代用の提案はすべて編集部のもので、原典にはありません。
このレシピは、当サイトでは試作していません。掲載レシピに沿って紹介しています。原典には魚の大きさや重さ、できあがりの量、カップの容量、水の量、加熱時間が書かれていないため、この記事でも数字は示しません。各段階は、材料の状態を見て判断してください。
また、魚の火通りの温度を使うときは、原典の値ではなく一般的な食品安全の目安を使っています。
ソロモン諸島の魚料理のひとつとして
ここで紹介するのは魚とココナッツの料理の一つの記録であって、国中で共通の唯一のレシピではありません。 Commonwealth Portal のソロモン諸島の食文化の概説は、魚、根菜、ココナッツ、葉物野菜に触れ、魚をココナッツミルクと地元の野菜で煮る料理を紹介しています。また、太平洋の似た料理は地域や手に入る食材によって違うこと、共同の食事や宴についても、一般的な言い方で述べています。ただ、この概説は今回の鍋を特定の機会に結びつけてはいません。この記事でも、家庭料理の一品として扱います。
レシピ集は、ソロモン諸島の保健省と農業畜産省の担当者が編集し、2009年11月に発行されました。PDFは Kastom Gaden が配布しています。レシピのページ(印刷41頁)には、Eva Wagapu の1977年の著書からの抜粋だと明記されています。書誌情報には出版地として Honiara が出てきます。これは本が出版された場所を示すだけで、料理の発祥地や、どの家庭の味かを示すものではありません。
英語名の「Fish and Vegetable Curry Soup」は、原典にある唯一の名前です。現地の言葉での料理名は確認できていないので、ここでは挙げません。
別の版は、混ぜずに別にしておく
魚と slippery cabbage を使う別のレシピもあります。Spin the Globe がウェブで公開している版は、サンゴ礁の魚、kumara(さつまいも)、slippery cabbage(またはアイビカ、ほうれん草)、ココナッツクリーム、玉ねぎまたはエシャロット、しょうが、トマト、唐辛子、ライムを使い、葉を終盤に加えてライムで仕上げます。ココナッツクリーム、遅く入れる葉、トマトという共通点はあるものの、別のレシピです。今回の鍋には、さつまいもも、しょうがも、ライムも入れません。
| 比べる点 | このレシピ(レシピ集) | 別のウェブ版 |
|---|---|---|
| でんぷん質 | タロと青い調理用バナナ | kumara |
| 香りの材料 | 玉ねぎ、唐辛子、カレー粉 | 玉ねぎまたはエシャロット、しょうが、唐辛子 |
| 葉 | slippery cabbage | slippery cabbage、アイビカ、またはほうれん草 |
| 仕上げ | 最後の5分に葉とトマト | 終盤に緑の葉、最後にライム |
途中で見つける、味の決め手
道具
- 魚、タロ、バナナが水に浸って入る大きさの鍋
- 包丁
- タロとバナナを切るまな板と、生魚用に分けたまな板(または作業場所)
- デジタルの差し込み式温度計
- タロとバナナの柔らかさを確かめるフォーク
- 魚を一度取り出す場合に使う、清潔な皿またはボウルと清潔な器具(工程5を参照)
選び方と代用
ココナッツクリーム。 加工済みのココナッツクリームを使います。無糖の調理用を選ぶのは編集上の選択で、原典には単に coconut cream とあります。生のココナッツからクリームをしぼる作業は、この作り方には含みません。
魚。 原典は「2 fish」としか書いていません。淡白な白身魚は、扱いやすいという編集上の提案であって、原典の魚種ではありません。どの魚でも、厚い切り身は薄いものより火が通るのに時間がかかります。
タロ。 タロイモを使います。里芋のような小ぶりのタロは代わりに使えますが、同じ食材ではなく、加熱するとはっきりぬめりが強くなります。タロは品種によっても違いがあるので、柔らかくなるまでの時間は決まっていません。
青い調理用バナナ。 熟していない、緑色で固い調理用バナナのことです。熟した甘い生食用バナナは使いません。青バナナが見つからなければ、じゃがいもで代用できますが、香りも食感も違うので、味は別物になります。
唐辛子。 原典は種類も大きさも書いていないため、辛さは読めません。辛さを抑えたいときは、煮込まずに別添えにする方法がありますが、それは原典からの変更です。
slippery cabbage はキャベツではない

名前に反して、slippery cabbage は結球するキャベツではありません。Kastom Gaden Association、農業畜産省、PestNet による2004年の sliperi kabis のワークショップ報告は、slippery cabbage(ソロモン諸島のピジン語で sliperi kabis)を Abelmoschus manihot と示しています。同じ報告には、マライタ島のワークショップ参加者が、葉をココナッツミルクで煮ると述べたことも記録されています。
とはいえ、この植物学上の同定は、日本で似た名前で売られている葉が同じ食用の系統だという証明にはなりません。食用の栽培品として明確に売られている葉を選んでください。野生の植物を採ったり、観賞用の植物を使ったりしてはいけません。また、slippery cabbage は、普通の結球キャベツやほうれん草、タロの葉と同じものでもありません。
見つからない場合は、ほうれん草が代わりになりえます。先に紹介した別のウェブ版も、ほうれん草を選択肢に挙げています。ただし、ほうれん草は別の葉で、食感が違い、同じぬめりもないので、あくまでアレンジとして考えてください。
食卓では

原典に、この料理の付け合わせの指定はありません。タロと青バナナが入っているため、それだけで腹にたまる一皿になります。一品だけで出してかまいません。ご飯を添えたければ、現代の食べ方としてご自身で選ぶもので、レシピの一部ではありません。
盛るときは、どの器にも魚、タロ、バナナ、葉、トマトが入るようにして、煮汁はたっぷり注ぎます。唐辛子が丸ごと入っているので、辛みには注意してください。
うまくいかないとき
ここに挙げるのはすべて編集上の提案です。レシピ集に書かれているのは、材料と順番だけです。
| 困りごと | 考えられる原因 | 試すこと |
|---|---|---|
| 魚が崩れる | 切り方が小さすぎた、強く沸かした、かき混ぜすぎた | ココナッツクリームを入れたあとは静かな煮立ちを保ち、混ぜずに沈める。次回は魚を大きめに切る |
| タロやバナナがまだ固い | 魚より大きく切った、固いタロだった | 煮続けてもう一度確かめる。魚にすでに火が通っていたら、清潔な皿に取り出し、あとで戻す |
| 煮汁がゆるい | 原典に煮詰める時間の指定がない | 強く沸かさず、静かな火でもう少し煮る。次回は最初の水を、ちょうど浸る量にとどめる |
| 煮汁が濃い | 根菜のでんぷんでとろみがついた | そっと混ぜ、味を見て調整する。原典に濃度の目安はない |
| 葉がくすんで柔らかすぎる | 早く入れすぎた | 葉は最後の5分だけ入れる |
| 甘く感じる | 熟した生食用バナナを使った | 次回は固い青い調理用バナナを使う |
| 辛すぎる | 唐辛子が強かった | 次回は唐辛子を別添えにする。ただし原典とは変わる |
アレンジ
以下はすべて編集上のアレンジで、料理が変わります。
- 丸ごとの魚の代わりに切り身を使う。 近所で手に入る淡白な魚の切り身でかまいません。原典の魚種ではなく、厚みによって火の通る時間が変わります。
- 青バナナの代わりにじゃがいもを使う。 手に入りやすくなりますが、香りも食感も違います。
- タロの代わりに里芋を使う。 小ぶりで、加熱するとぬめりがはっきり強くなります。
- slippery cabbage の代わりにほうれん草を使う。 別の葉で、別のウェブ版が選択肢として挙げています。同じ最後の段階で加えます。
- 唐辛子を別添えにする。 辛さを控えられますが、原典どおりではなくなります。
残ったとき
日本の厚生労働省の一般的な家庭向け指針に従います。残りは浅い容器に小分けにして、すばやく冷まします。温め直すときは中心まで十分に加熱し、目安は75°C程度です。この料理の保存期間は資料に書かれていないため、日数は示しません。
太平洋の似た料理
ココナッツと魚、葉、タロを組み合わせる太平洋の料理はほかにもありますが、作りは別です。トンガの lu pulu やサモアの palusami は具を葉で包みますが、この料理は開いた鍋で煮ます。フィジーの kokoda は生魚を柑橘で和えますが、この料理は魚を鍋で完全に煮ます。
よくある質問
kokoda とは何が違いますか?
フィジーの kokoda は、生の魚を柑橘で和える料理です。このソロモン諸島の料理は、魚をタロや青バナナと一緒に、水とココナッツクリームで火が通るまで煮ます。
現地の言葉では何と呼びますか?
レシピ集は英語名の Fish and Vegetable Curry Soup しか載せておらず、現地語の料理名は確認できていません。葉にはピジン語の名前があり、slippery cabbage は sliperi kabis です。
「2 cups」のココナッツクリームはどのくらいですか?
原典は、どの大きさのカップを使ったか書いていません。このサイトでは家庭での計量のため、1 cup を240 mlとして読みます。これは編集上の選択で、原典についての説明ではありません。
何人分ですか?
原典に作れる量の記載がなく、魚の大きさや重さも示されていないため、人数は書きません。
どのくらい辛いですか?
唐辛子しだいです。原典は唐辛子2本としか書かず、種類も大きさも不明です。心配なときは別添えにするのが無難な変更です。
普通のキャベツで代用できますか?
できません。slippery cabbage は Abelmoschus manihot という葉物で、結球するキャベツではありません。見つからない場合は、食感が異なるものの、ほうれん草が代わりになりえます。
どのくらい日持ちしますか?
資料には保存期間がありません。残りは浅く小分けにして、すばやく冷まし、再加熱するときは中心まで十分に、目安は75°C程度にしてください。












