テ・トゥアエ ― 甘い果実を、あとの日のために残す
テ・トゥアエは、デザートというより果物を取っておくための方法です。熟したパンダナスを加熱し、繊維の大半を取り除いて果肉をペーストにし、葉の上に広げて日に当てて乾かします。その後、切り分けて、保存できる状態になるまでさらに乾かします。
熟したパンダナスの実の一片(英語で key と呼ばれる、果実を構成する節)を鍋に入れて加熱します。火が通ったら、食べられる果肉を硬い繊維から引き離し、押しつぶして厚いペーストにします。そのペーストを葉の上に広げ、日なたに置きます。乾いてきたら切り分け、もう一度乾かします。キリバスの食べ物を扱った研究論文には、できあがりが濃い茶色の、折りたたまれたペーストとして写っています。
テ・トゥアエは、キリバスのアグロフォレストリー(農林複合経営)を扱った民族植物学の報告と、キリバスのパンダナスに関する栄養学の研究で、このように説明されています。果実が熟したその日だけでなく、あとで食べるために作る食べ物です。
この名前には、日常的なもうひとつの使い方もあります。キリバス語週間(Kiribati Language Week)のインタビューで、I-Kiribati(キリバスの人)であるノエリン・レッドファーン(Noerin Redfern)さんは、好きなキリバス料理の一つとして Te Tuae を挙げ、パンダナスの果実にココナツクリームを混ぜて出すものだと説明しています。この記事では、二つの使い方を一つのレシピにまとめず、並べて紹介します。
ここに書いたのは、資料に記録された伝統的な製法の説明で、台所で試して確かめた家庭向けのレシピではありません。資料には分量も、できあがりの量も、加熱や乾燥の時間も、ペーストの厚さも、十分に乾いたと判断できる目安も書かれていません。常温で保存しても安全な状態になるとは、ここでは確認できていません。湿度の高い気候で乾かす場合は、とくにそうです。
テ・トゥアエとは
テ・トゥアエは、加工したパンダナスの果肉でつくる保存食です。 アグロフォレストリーの報告は、加熱した果実から繊維の大半を除いてペーストにし、葉の上に広げて天日で乾かすものと説明しています。キリバスの栄養学の研究も、テ・トゥアエを、たくさんの実の片を煮て取り出した果肉を天日で乾かした、パンダナスの保存ペーストと位置づけています。
インタビューでは、同じ名前が別の意味で使われています。そこでの Te Tuae は、生のパンダナスの果実にココナツクリームを混ぜて出すもので、保存の工程はありません。専門的な資料が書いているのは乾燥させたペースト、話し手が語っているのは生の簡単な料理です。どちらが「本当の」テ・トゥアエで、どちらが別の料理なのかは、これらの資料からは判断できません。同じ名前が、パンダナスを食べるいくつかの方法を指していると読むのが妥当でしょう。
栄養学の研究は、テ・トゥアエを、粉のような別の保存品であるテ・カブブ(te kabubu)とも区別しています。テ・カブブは別の工程でつくられるため、この記事では扱いません。
道具
- 果実を加熱する鍋(資料は、実の片を加熱する、煮ると書いています)
- 果肉と繊維を分けるもの。資料に道具の名前はありません
- ペーストを天日で乾かす場所
選び方と代用
パンダナスの果実。 太平洋地域の外の一般の店で生のパンダナスが買えるかどうかは、資料からはわかりません。同等と確認された果物もありません。別の果物で似たものを作る場合、それはテ・トゥアエにヒントを得た料理であって、テ・トゥアエではありません。
葉。 アグロフォレストリーの報告は「葉」と書くだけで、種類を挙げていません。バナナの葉をはじめ、どの葉も伝統的な素材と書くことはできません。現代の衛生的な乾燥用の面で置き換えるのは編集部の思いつきにすぎず、安全性や仕上がりへの影響は確認していません。
ココナツ。 ココナツクリーム、ココナツミルク、削ったココナツは別の材料で、ここでは分けて扱います。ミルクや削ったココナツは保存したペーストに、クリームはインタビューにある生の果実の食べ方に合わせます。どの資料にも分量はありません。ココナツのアレルギーで避ける必要がある場合は、どちらの食べ方でも出す前に確認してください。
どの資料にも、ペーストに塩、砂糖、水を加える記述はなく、ここでも加えません。
食べ方

アグロフォレストリーの報告によると、保存したテ・トゥアエは、柔らかくして食べたり、ココナツミルクや削ったココナツと合わせて作ったりします。割合も、柔らかくするための浸す時間も記録されていません。
インタビューは、同じ名前で、もっと簡単な別の料理を説明しています。パンダナスの果実とココナツクリームを混ぜて出すものです。使うのは乾燥ペーストではなく生の果実で、話し手は量を挙げていません。クリームをどれだけ使うか、どのくらい甘くするかは、それぞれの家庭に任されています。
乾燥させたペーストにはココナツミルクか削ったココナツを、ココナツクリームは生の果実の食べ方のためにとっておきます。保存したペーストにココナツクリームを合わせる食べ方は、資料に裏づけがありません。
うまくいかないとき
| 状況 | 資料から言えること |
|---|---|
| 生のパンダナスの果実が見つからない | 太平洋地域の外での入手は確認できていない。別の果物は同等品ではなく、それで作ったものはテ・トゥアエではなく、着想を得た料理になる |
| ペーストに繊維が残る | 伝統的な説明は繊維の「大半」を除くとしていて、すべてを除くとは書いていない |
| 乾かしたあとも、ペーストが柔らかい、またはべたつく | 終点の記録はない。保存できる状態になったとはみなさず、そうなったと決めて常温で置かないこと |
| 湿度が高い、または天気が崩れる | その条件での天日干しが安全かどうかは確認されていない。室内で特定の温度にして乾かす方法を裏づける資料もない |
| 食べるときのココナツをどれだけ加えるかわからない | ココナツミルクにも、削ったココナツにも、ココナツクリームにも、資料は分量を示していない |
保存
文化的な資料は、テ・トゥアエを、あとのために取っておく食べ物と説明しています。しかし、家庭での保存方法も、容器の助言も、安全に保てる期間も書いていません。そのためこの記事でも、常温での保存方法や期限は示しません。家庭で安全に保存する方法を示すには、乾燥の終点や食品の安全性について、さらに情報が必要です。
バリエーション
- 保存したペーストを柔らかくし、ココナツミルクと合わせる。 アグロフォレストリーの報告にある食べ方です。
- 保存したペーストに、削ったココナツを合わせる。 同じ報告に記録があります。
- 生のパンダナスの果実に、ココナツクリームを混ぜる。 インタビューの話し手が Te Tuae と呼ぶ簡単な料理です。乾燥ペーストをつくる工程の一部ではなく、別の食べ方です。
- テ・カブブ。 パンダナスからつくる、別の工程の保存品です。テ・トゥアエと区別するために触れているだけです。
パンダナスとココナツを使う別の調理品であるテ・ロロ(Te Roro)は別の料理で、ここでは扱いません。ほかの果物でつくったものは、伝統的なバリエーションというより、着想を得たレシピとして扱うほうが適切です。
なぜキリバスはパンダナスを乾かしたのか
アグロフォレストリーの報告は、パンダナスの果実をキリバスの大切な食べ物の一つと説明しています。生物多様性条約(CBD)の伝統的知識に関する文書は、ココナツとパンダナスを重要な食用植物に挙げ、パンダナスの果実はトゥアエ(tuae)とカブブ(kabubu)に使われると述べています。その食べ物はすぐ食べることも、将来に備えて蓄えることもでき、とくに干ばつや特別な機会のためのものだとされています。
この文書は古い文献を引いています。食べ物の背景にある価値観を教えてくれますが、今もすべての家庭がこの習慣を続けているという証拠にはなりません。栄養学の研究は、パンダナスの品種が異なることを述べていて、果実そのものが一様ではないことがわかります。実りの少ない日々や、大切な集まりのために果実を食べ物に変える方法として、テ・トゥアエを見るのがよいでしょう。
太平洋の島々の食べ物を知りたい方は、フィジーのココダ、葉で包んで調理するバヌアツのラップラップ、クック諸島の果物の甘いお菓子バナナ・ポケも見てみてください。
よくある質問
テ・トゥアエとテ・ロロは同じものですか?
ここで参照した資料は、同じものとは扱っていません。テ・トゥアエはパンダナスの保存ペーストで、テ・ロロは別の調理品です。この記事で扱うのはテ・トゥアエだけです。
テ・トゥアエはどんな味ですか?
味を直接説明した資料がないため、ほかのドライフルーツにたとえることはしません。栄養学の研究はパンダナスの品種に違いがあると述べていて、熟し具合もさまざまなので、味にも幅があると考えられます。
テ・トゥアエはどのくらい日持ちしますか?
文化的な資料は、干ばつの時期を含め、将来の必要に備えて蓄える食べ物と述べています。しかし、家庭の料理人にとって安全な保存期間は示していないので、ここでも示しません。
ココナツクリームはどのくらい合わせますか?
インタビューには量の説明がありません。ココナツクリームの料理は生の果実の食べ方であって、決まった配合ではなく、乾燥ペーストに合わせると記録された添え物でもありません。
ほかの果物でも作れますか?
着想を得たものは作れますが、代わりになると記録された果物はありません。伝統的な意味でのテ・トゥアエにはなりません。













