ボリビアのサルテーニャ。オレンジ色の艶やかな生地にスパイシーな肉汁スープが詰まった焼きエンパナーダ
🔪下準備1時間30分
🔥調理30分
🍽️分量12
🌍料理ボリビア料理
南米レシピ

サルテーニャの作り方|ボリビアのスープ入り焼きエンパナーダ

34分で読めます世界ごはん紀行編集部
Cooking flow

作り方を先に見る

調理工程スライド
手順1: 玉ねぎを炒める
STEP 11 / 13

玉ねぎを炒める

鍋に油を中火で熱し、みじん切りの玉ねぎを5分ほど炒める。透き通って甘い香りが出たら十分で、茶色く焦げる前に次へ進む。ここで焦がすとスープの色が濁り、甘みより苦味が前に出る。

手順2: スパイスを炒める
STEP 22 / 13

スパイスを炒める

アヒ・アマリージョ、クミン、パプリカ、オレガノを加え、中火で1分ほど炒める。ペーストが油になじみ、表面がふつふつ泡立って粉っぽさが消えたらOK。

手順3: 鶏肉を炒める
STEP 33 / 13

鶏肉を炒める

鶏もも肉を加え、中火で3〜4分炒める。表面が白っぽく変わり、ところどころ軽い焼き色がつけばよい。中まで完全に火を通す必要はなく、肉汁が少し残る段階でブロスへ進む。

手順4: ブロスで煮る
STEP 44 / 13

ブロスで煮る

チキンブロス400mlと砂糖を加え、弱火で15分煮込む。下茹でしたジャガイモとグリーンピースを加えてさらに5分、ふつふつ静かに煮立ち、ジャガイモの角が少し丸く残る状態にする。

手順5: ゼラチンで固める
STEP 55 / 13

ゼラチンで固める

火を止めてから粉ゼラチンを振り入れ、粒が見えなくなるまで混ぜる。塩で整え、バットに移して冷蔵庫で最低4時間、理想は一晩冷やし、プルプルのゼリー状に固める。

サルテーニャの「スープ入り」を実現するゼラチンの原理は、中国の小籠包と全く同じです。ゼラチンは40度以上で液体に戻り、15度以下で固体になる。冷たい状態でフィリングを包み、200度のオーブンで焼くと、ゼラチンが溶けてスープに変わる。この技術を知っていれば、「なぜ前日仕込みが必要なのか」「なぜフィリングを冷やすのか」が論理的に理解できます。

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手順6: ボウルに中力粉、砂糖、塩、ターメリックを入れて混ぜる
STEP 66 / 13

ボウルに中力粉、砂糖、塩、ターメリックを入れて混ぜる

冷たいバターとラードを加え、指先でつぶしながら5分ほど粉に擦り込む。バターが溶ける前に手早く作業し、全体が黄色いそぼろ状になれば水分を加える準備ができる。

手順7: 卵黄と水を加え、生地がまとまるまでこねる
STEP 77 / 13

卵黄と水を加え、生地がまとまるまでこねる

卵黄と水を加え、3分ほどこねてひとまとまりにする。強くべたつく場合は粉を小さじ1ずつ、割れるほど硬い場合は水を小さじ1ずつ足し、表面がなめらかになったら止める。

手順8: 生地を休ませる
STEP 88 / 13

生地を休ませる

生地をラップでぴったり包み、冷蔵庫で30分以上休ませる。冷やすと脂が締まり、押すと跡がゆっくり戻る柔らかさになって、楕円形に薄く伸ばしやすくなる。

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手順9: 生地を伸ばす
STEP 99 / 13

生地を伸ばす

生地を12等分し、1個ずつ麺棒で直径15cmほどの楕円形に伸ばす。中央はやや厚め、端は薄めにすると10分ほどで包みやすく、焼いた後の縁も硬くなりにくい。

手順10: フィリングをのせる
STEP 1010 / 13

フィリングをのせる

冷えたフィリングを大さじ3〜4ずつ中央にのせ、オリーブ1個とゆで卵の6等分くし切り1切れを添える。ゼリー状のまま10分以内に手早く包み、溶け始めたら冷蔵庫へ戻す。

手順11: レプルゲで閉じる
STEP 1111 / 13

レプルゲで閉じる

生地の縁に水を薄く塗り、半月形に閉じてから上部を厚く折り返す。10分ほどで12個を成形し、閉じ目に隙間がないか指で押さえて確認すると、仕上げ中のスープ漏れを防げる。

手順12: 溶き卵を塗る
STEP 1212 / 13

溶き卵を塗る

天板にクッキングシートを敷き、サルテーニャを間隔を空けて並べる。溶き卵を刷毛で薄く2回塗り、折り目まで艶が行き渡るよう3分ほどかけると、表面の色づきが均一になる。

手順13: 高温で焼く
STEP 1313 / 13

高温で焼く

220度に予熱したオーブンで20〜25分焼く。生地が黄金色からオレンジ色になり、底面まで乾いてしっかり焼けたら完成。25分を超えると中のスープが減りやすい。

サルテーニャ最大の難関は「スープを漏らさずに焼き上げること」です。以下の3点を守ってください。(1) レプルゲを厚く、隙間なく密封する——薄い部分があると熱で穴が開く。(2) フィリングは冷たいまま包む——溶けた状態で包むと生地が濡れて穴が開く。(3) オーブンの温度は220度——低温で長時間焼くとスープが蒸発する。高温短時間で一気に焼き上げる。

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Ingredients

材料を分けて見る

材料スライド
8品目

生地(masa)

材料 分量 代替・備考
中力粉 500g 強力粉250g + 薄力粉250gで代用可
無塩バター 80g(冷やして角切り)
ラード 30g 無ければバターで代用
砂糖 大さじ3 サルテーニャの生地は甘い
小さじ1
卵黄 2個分 生地の色と風味づけ
120ml〜150ml 生地の硬さを見ながら調整
ターメリックパウダー 小さじ1/2 オレンジ色の着色用(アナトーの代用)
15品目

フィリング(jigote)

材料 分量 代替・備考
鶏もも肉 400g(1.5cm角に切る) 牛肉版は牛すね肉を使用
玉ねぎ 1個(みじん切り)
ジャガイモ 2個(1cm角に切って下茹で) メークインが崩れにくい
グリーンピース 100g(冷凍でOK)
ゼラチン(粉) 15g フィリングをスープ状にする鍵
アヒ・アマリージョペースト 大さじ2 なければターメリック小さじ1 + カイエンペッパー小さじ1/2で代用
クミンパウダー 小さじ1
パプリカパウダー 小さじ1
オレガノ 小さじ1/2
砂糖 大さじ1 フィリングにも甘みを加える
小さじ1
サラダ油 大さじ2
チキンブロス 400ml フィリングのスープのベース
グリーンオリーブ 12個(半分に切る)
ゆで卵 2個(くし切り) 仕上げ用(各サルテーニャに1切れ)
1品目

仕上げ

材料 分量 備考
1個(溶き卵) 焼く前に塗る(ツヤ出し)
サルテーニャの材料。鶏肉、ジャガイモ、アヒ・アマリージョ、ゼラチン、スパイスが並ぶ
サルテーニャの材料一覧。ゼラチンとアヒ・アマリージョがこの料理の要
アヒ・アマリージョの入手

アヒ・アマリージョ(Aji Amarillo)はペルー・ボリビア料理に欠かせない黄色い唐辛子のペーストです。日本では輸入食材店やAmazonで購入できます。見つからない場合は、ターメリック小さじ1(色味用)+ カイエンペッパー小さじ1/2(辛味用)+ パプリカパウダー小さじ1(甘み用)で近い風味を再現できます。ロモ・サルタードにも使われるペルー料理の基本調味料なので、1瓶あると南米料理全般に重宝します。

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📊 栄養情報(1人分)
32
kcal
1.3g
タンパク質
1.5g
脂質
3.2g
炭水化物
0.2g
食物繊維
43mg
ナトリウム
※ 目安値です。材料や調理法により変動します。
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12人分

材料(12 個分)

生地(masa)

材料 分量 代替・備考
中力粉 500 g 強力粉250 g + 薄力粉250 gで代用可
無塩バター 80 g(冷やして角切り)
ラード 30 g 無ければバターで代用
砂糖 大さじ3 サルテーニャの生地は甘い
小さじ1
卵黄 2 個分 生地の色と風味づけ
120 ml〜150 ml 生地の硬さを見ながら調整
ターメリックパウダー 小さじ1/2 オレンジ色の着色用(アナトーの代用)

フィリング(jigote)

材料 分量 代替・備考
鶏もも肉 400 g(1.5cm角に切る) 牛肉版は牛すね肉を使用
玉ねぎ 1 個(みじん切り)
ジャガイモ 2 個(1cm角に切って下茹で) メークインが崩れにくい
グリーンピース 100 g(冷凍でOK)
ゼラチン(粉) 15 g フィリングをスープ状にする鍵
アヒ・アマリージョペースト 大さじ2 なければターメリック小さじ1 + カイエンペッパー小さじ1/2で代用
クミンパウダー 小さじ1
パプリカパウダー 小さじ1
オレガノ 小さじ1/2
砂糖 大さじ1 フィリングにも甘みを加える
小さじ1
サラダ油 大さじ2
チキンブロス 400 ml フィリングのスープのベース
グリーンオリーブ 12 個(半分に切る)
ゆで卵 2 個(くし切り) 仕上げ用(各サルテーニャに1切れ)

仕上げ

材料 分量 備考
1 個(溶き卵) 焼く前に塗る(ツヤ出し)
サルテーニャの材料。鶏肉、ジャガイモ、アヒ・アマリージョ、ゼラチン、スパイスが並ぶ
サルテーニャの材料一覧。ゼラチンとアヒ・アマリージョがこの料理の要
アヒ・アマリージョの入手

アヒ・アマリージョ(Aji Amarillo)はペルー・ボリビア料理に欠かせない黄色い唐辛子のペーストです。日本では輸入食材店やAmazonで購入できます。見つからない場合は、ターメリック小さじ1(色味用)+ カイエンペッパー小さじ1/2(辛味用)+ パプリカパウダー小さじ1(甘み用)で近い風味を再現できます。ロモ・サルタードにも使われるペルー料理の基本調味料なので、1瓶あると南米料理全般に重宝します。

「食べるスープ」——ボリビア国民が朝10時に行列を作る理由

ラパスの坂道を朝10時に歩くと、不思議な光景に出くわします。オフィス街の路地裏に、スーツ姿のビジネスマンから制服姿の学生まで、長い行列ができている。彼らが並んでいるのはレストランではなく、間口1メートルほどの小さなサルテーニェリア(salteneria)——サルテーニャ専門の売店です。

サルテーニャ(Saltena / Salteña)——ボリビアを代表する焼きエンパナーダ。見た目はアルゼンチンのエンパナーダに似ていますが、決定的な違いがあります。サルテーニャの中にはスープが入っているのです。

ひと口かじると、まず生地のほんのりとした甘みが舌に触れ、次の瞬間、とろりとした肉汁スープがあふれ出します。クミンとアヒ・アマリージョ(黄色い唐辛子)で深みを加えたスパイシーなスープ。鶏肉か牛肉のうまみ、ジャガイモのほくほく感、グリーンピースとオリーブの塩味。それらが渾然一体となって口の中に広がります。上海の小籠包に匹敵する「食べるスープ」——それがサルテーニャです。

ボリビア人にとってサルテーニャは午前中の軽食(media manana)です。朝食でもなく昼食でもない、午前10時頃に食べる独特の食文化。学校や職場の休憩時間に、紙ナプキン1枚を手に持ち、路上で立ったまま食べる。スープをこぼさずに食べきることが「サルテーニャの流儀」とされ、ボリビア人はこの技術を幼い頃から体得しています。

サルテーニャとは

スペイン語で「サルタ(Salta)出身の女性」を意味する。19世紀初頭、アルゼンチンのサルタ州から追放されたフアナ・マヌエラ・ゴリティ(Juana Manuela Gorriti)という女性がボリビアのスクレに移り住み、生計のためにエンパナーダを売り始めたのが起源とされる。彼女のエンパナーダは地元で人気を博し、「サルタの女が売るパイ」から「サルテーニャ」と呼ばれるようになった。ただしこの逸話には異説もあり、サルタ地方の料理が独自に発展したとする説もある。


サルテーニャとエンパナーダの違い——5つの決定的な差

サルテーニャとアルゼンチンのエンパナーダを混同する人は多いですが、両者は別の料理です。

項目 サルテーニャ(ボリビア) エンパナーダ(アルゼンチン)
調理法 オーブンで焼く(揚げない) 揚げる or 焼く
フィリング スープ状(ゼラチンで固めてから包む) ドライ(水分少なめ)
生地 甘い生地(砂糖入り) 塩味の生地
食べる時間帯 午前中(10時頃) 昼食・夕食
形状 涙滴型(上部に厚い repulgue) 半月型

最大の違いはフィリングの水分量です。アルゼンチンのエンパナーダは「手で持って食べられる」ように水分を極力抑えますが、サルテーニャは逆です。スープが多ければ多いほど上等とされます。この「スープ入り」を実現するために、フィリングをゼラチンで固めてから生地に包み、オーブンで焼く過程でゼラチンが溶けてスープに戻るという技術が使われます。

サルテーニャの断面。オレンジ色の生地の中にスープ状のフィリングが詰まっている
サルテーニャの断面。この肉汁スープこそがアルゼンチンのエンパナーダとの最大の違い
サルテーニャの品質は「スープの量」で決まる

ボリビアでは「buenos jugos(良いスープ)」がサルテーニャの最大の賛辞。逆に「secos(乾いている)」と言われたら最悪の評価です。中のスープがたっぷりで、かじった瞬間にあふれ出すのが理想。スープの少ないサルテーニャは「エンパナーダと変わらない」と一蹴されます。


サルテーニャの正しい食べ方——スープをこぼさない技術

ボリビアでは、サルテーニャの食べ方にも暗黙のルールがあります。

まず、サルテーニャを立てて持ちます。 涙滴型の尖った端を上に、丸い端を下に。紙ナプキンで下半分を包み、上端を小さくかじって穴を開けます。

次に、その穴からスープをすすります。 熱いスープが口に流れ込んでくるこの瞬間が、サルテーニャ最大の快楽です。スープを十分に吸ってから、かじり進めていく。

最後に、生地とフィリングを一緒に食べます。 レプルゲ(飾り折り)の部分は生地が厚いため、好みで残す人もいますが、伝統的には全て食べるのがマナーです。

ボリビア人の間では「サルテーニャを食べて服を汚したら恥ずかしい」という文化があります。スープを一滴もこぼさずに食べきることが、言わば「サルテーニャリテラシー」。観光客がシャツにスープをこぼす姿は、地元民の微笑ましいネタになっています。

サルテーニャを手に持って食べる様子。紙ナプキンで包んでいる
サルテーニャの食べ方。尖った端を上にして、紙ナプキンで下半分を包む

この料理の歴史——サルタの追放者が生んだボリビアの国民食

サルテーニャの起源は19世紀のアルゼンチン独立戦争にまで遡ります。

1810年代、アルゼンチン北部のサルタ州は独立戦争の激戦地でした。戦乱の中、多くの住民がボリビア(当時のアルト・ペルー)に逃れました。その中の一人が、後にサルテーニャの「発明者」として語り継がれる女性です。

彼女の名はフアナ・マヌエラ・ゴリティ(Juana Manuela Gorriti, 1818-1896)。アルゼンチンのサルタ州の名家に生まれたゴリティは、政治的混乱からボリビアのスクレに移住します。生計を立てるため、故郷サルタのエンパナーダをボリビアの市場で売り始めました。

しかし、ゴリティのエンパナーダは故郷のものとは違いました。ボリビアの高地の乾燥した気候では、ドライなエンパナーダは喉に詰まりやすい。そこで彼女はフィリングにスープを閉じ込める工夫を施したのです。この革新が地元民に熱狂的に受け入れられ、「サルタの女が売るパイ」——サルテーニャと呼ばれるようになりました。

19世紀後半には、ボリビアの主要都市すべてにサルテーニャが広まりました。20世紀に入ると、都市部では専門の売店「サルテーニェリア」が街角に立ち並び、朝の軽食文化が確立。現在ではボリビアの全29県で食べられる国民食となっています。

ボリビア食文化の多様性

ボリビアは南米大陸の中心に位置し、アンデス高地(アルティプラーノ)、亜熱帯の低地(ユンガス)、アマゾン盆地という3つの全く異なる気候帯を持つ国です。高地ではジャガイモとキヌアが主食、低地ではユカ(キャッサバ)と米が主食。サルテーニャが全土で食べられるのは、どの気候帯の食材でもフィリングにアレンジできる柔軟性があるからです。

ボリビア・ラパスのサルテーニェリア。路上で焼きたてのサルテーニャが並ぶ
ラパスのサルテーニェリア。朝10時には行列ができる

調理のコツ——サルテーニャを完璧にする5つの技術

1. フィリングは必ず前日に仕込む

サルテーニャの成否を分ける最大のポイントはフィリングの温度管理です。ゼラチンで固めたフィリングは、冷蔵庫から出したばかりの冷たい状態で包む必要があります。室温に放置すると溶け始め、生地が水分を吸ってベタベタになり、密封が困難になります。

前日の夜にフィリングを仕込み、バットに入れて冷蔵庫で一晩冷やすのが最も確実です。当日は生地を作りながらフィリングを冷蔵庫に入れたままにし、包む直前に必要量だけ取り出してください。

2. 生地の甘みを恐れるな

日本人にとって「甘い生地の肉パイ」は奇妙に感じるかもしれません。しかし、この甘みこそがサルテーニャの本質です。砂糖入りの生地がアヒ・アマリージョの辛みとスープの塩味を絶妙に中和し、甘辛しょっぱいという複雑な味のハーモニーを生み出します。モレ・ポブラーノのチョコレートと唐辛子の組み合わせに通じる、ラテンアメリカの「甘辛の美学」です。

3. レプルゲの練習をする

サルテーニャの成形で最も難しいのがレプルゲ(repulgue)——上部の飾り折りです。この折り方には地域差があり、ラパスでは太いロープ模様、スクレでは細かいひだ模様が一般的です。

初めて作る場合は、端を単純にフォークで押さえるだけでも機能的には問題ありません。見た目にこだわるなら、余った生地で何度か練習してからフィリングを包んでください。

4. アヒ・アマリージョは省略しない

アヒ・アマリージョはサルテーニャの味と色の両方を決定する調味料です。この黄色い唐辛子ペーストがなければ、サルテーニャ独特のオレンジ色のフィリングは再現できません。セビーチェに欠かせないレチェ・デ・ティグレ(タイガーズミルク)のように、アヒ・アマリージョはアンデス料理の根幹をなす食材です。

代用する場合は、ターメリック(色味)+ カイエンペッパー(辛味)+ パプリカ(甘み)の3種で近似できますが、本物の風味には及びません。

5. オーブン温度は220度厳守

サルテーニャは高温短時間で焼き上げる料理です。200度以下で焼くと、中のゼラチンが溶ける前に生地が乾いてしまい、結果として「スープのないサルテーニャ」——つまりただのエンパナーダになってしまいます。逆に250度以上では生地が焦げます。220度で20〜25分が最適解です。


サルテーニャのバリエーション

鶏肉版(Saltena de Pollo)

本記事のレシピは鶏肉版です。ボリビアでは最もポピュラーなバリエーションで、スクレやコチャバンバで特に人気があります。鶏肉のうまみがスープに溶け出し、比較的あっさりとした味わいです。

牛肉版(Saltena de Carne)

牛すね肉を1.5cm角に切って使用します。鶏肉版より濃厚なスープが特徴で、ラパスでは鶏肉版と人気を二分します。牛肉の煮込みが好きな方はフェイジョアーダもおすすめです。牛肉版の場合、煮込み時間を30分に延長し、肉が十分に柔らかくなるまで加熱してください。

スパイシー版(Saltena Picante)

アヒ・アマリージョの量を倍にし、さらにロコト(Rocoto / ボリビアのランタン型唐辛子)を加えたバージョン。ボリビアの若者に人気で、サルテーニェリアでは「picante」と注文すれば出てきます。辛いもの好きの方はカイエンペッパーを小さじ1追加してお試しください。

ベジタリアン版(Saltena de Verduras)

鶏肉の代わりにカボチャ、ニンジン、ズッキーニ、トウモロコシを使用。チキンブロスの代わりに野菜ブロスを使います。近年のラパスやコチャバンバの都市部では、健康志向の若者向けにベジタリアン版を提供するサルテーニェリアが増えています。キヌアや豆を合わせると、南米らしい植物性の献立にしやすくなります。


サルテーニャが食べられるボリビアの都市

ラパス(La Paz)

標高3,640mの首都ラパスは、サルテーニャ文化の中心地です。旧市街のムリージョ広場周辺には、朝7時から営業するサルテーニェリアが軒を連ねています。ラパスのサルテーニャはスープが特に多く、「juguosas(ジューシー)」であることを売りにする店が多い。

スクレ(Sucre)

憲法上の首都スクレは、サルテーニャ発祥の地とされる都市です。スクレのサルテーニャはラパスのものよりやや小ぶりで、生地が厚めなのが特徴。中央市場(Mercado Central)では、1個5ボリビアーノ(約100円)で焼きたてが食べられます。

コチャバンバ(Cochabamba)

「ボリビアの食の都」と呼ばれるコチャバンバでは、サルテーニャにも独自のアレンジが加えられています。コチャバンバ版は具材が豊富で、鶏肉に加えてレーズン、ゆで卵、オリーブが贅沢に入っています。


よくある質問

初めて作る方へ

サルテーニャは南米料理の中でも難易度が高い部類の料理です。「スープを閉じ込めて焼く」という技術は、日本の料理にはない発想のため、最初は戸惑うかもしれません。まず4〜6個で試作し、フィリングの固さ・生地の薄さ・レプルゲの密封具合を確認してから12個分に挑戦することをおすすめします。

Q1. 冷凍保存できる?

焼く前の状態で冷凍可能です。天板に並べてラップをかけ、冷凍庫で急速冷凍した後、ジップロックに移して保存。1ヶ月以内に使い切ってください。焼くときは冷凍のままオーブンに入れ、焼き時間を5分延長します。

Q2. ゼラチンなしでも作れる?

ゼラチンを省略すると、フィリングがスープ状にならず「ドライなエンパナーダ」になります。サルテーニャの核心は「中のスープ」ですので、ゼラチンの使用を強くおすすめします。植物性のゼラチンが必要な場合は、寒天で代用できますが、溶ける温度が異なるため仕上がりが変わります。

Q3. アルゼンチンのエンパナーダ生地で代用できる?

できますが、本来のサルテーニャとは別物になります。サルテーニャの生地は砂糖入りで甘く、この甘みがスパイシーなフィリングとの対比を生みます。アルゼンチンのエンパナーダ生地(塩味のみ)を使うと、味のバランスが単調になります。

Q4. なぜ午前中に食べるの?

ボリビアの食文化では、昼食が1日のメイン食事です。朝食は軽く、昼食は13〜14時頃にたっぷり食べ、夕食は再び軽め。サルテーニャは朝食と昼食の間の「つなぎ」として、午前10時頃に食べる習慣が定着しました。カロリーが高く腹持ちが良いため、午前中の空腹を満たすのに最適です。同じ南米の包み料理としてエンパナーダと食べ比べてみるのも面白いでしょう。


参考文献

学術論文・書籍:

報告・記事:

出典・引用について

この記事は、世界ごはん紀行編集部が各国の料理資料、現地レシピ、食材事情をもとに、日本の家庭で再現しやすい形に整理したものです。

出典
世界ごはん紀行サルテーニャの作り方|ボリビアのスープ入り焼きエンパナーダ
URL
https://sekaigohan.com/recipes/south-america/bolivia/saltena
著者・編集
世界ごはん紀行編集部
更新日
2026年4月7日
主な参考リンク
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