シンガニ ― 高地のブドウ畑から生まれる透明な蒸留酒に、泡を重ねる
主役はシンガニです。レモンで少し酸味を足し、冷えたジンジャーエールで泡と甘さを加えます。ジンジャーエールは最後に注ぎ、混ぜるのは最小限にして、炭酸をグラスに残しましょう。
アンデスの高地、斜面でブドウが実っています。その実はワインになり、そのワインを蒸留すると透明な酒になります。氷の上に注いでレモンを搾り、ジンジャーエールを満たすと、グラスの中を泡が昇っていきます。この酒がボリビアのブドウ蒸留酒シンガニ、そしてこの飲み物がチュフライです。生産者のCasa Realは、チュフライをボリビアを象徴する飲み物のひとつとして紹介しています。
2つの名前は分けて覚えてください。シンガニは酒の名前、チュフライはそれを使ったカクテルです。この記事ではまずシンガニの産地と保護の仕組みを紹介し、そのあと家庭で作れるチュフライを1杯ぶん案内します。レシピはCasa Realが公開している配合で、シンガニ2オンス、搾りたてのレモン汁1/4オンス、ジンジャーエール5オンスです。ほかにも違う配合のチュフライが公開されていますが、それらはよくある質問で触れるだけにして、このレシピには混ぜていません。
世界ごはん紀行では、このレシピ全体を台所で試作していません。
また、この記事ではシンガニそのものの造り方は説明しません。蒸留酒づくりには適切な設備と法規、造り手の知識が欠かせないからです。ここでは、シンガニと表示された市販の酒を楽しむことに絞ります。
シンガニはどんな酒?
ボリビアの国家知的財産庁(SENAPI)は、シンガニを保護された原産地呼称として掲載しています。その説明によると、シンガニは新鮮なブドウから造った自然のワインを蒸留して得る蒸留酒です。出発点はワインでも、グラスに届くのは蒸留した酒で、この点でワインとは別物です。かといって「ブドウのブランデーなら何でもシンガニ」というわけでもなく、名前は特定のブドウと決められた産地に結びついています。
原料のブドウと原産地呼称

ボリビア外務省によると、シンガニの原料はモスカテル・デ・アレハンドリア(マスカット・オブ・アレキサンドリア)というブドウです。保護された生産地域は、タリハ、チュキサカ、ラパス、ポトシの各県の一部にまたがり、ブドウ畑の標高は海抜1,600〜1,800mとされています。対象は各県の中の指定された地域であり、県全体ではありません。地理的な詳細な規定は、ここでは確認できていません。
SENAPIのページには、この原産地呼称が1992年5月4日の法律第1334号によって保護されていると書かれています。外務省は2020年の記事で、米国がシンガニの原産地呼称を認めたと報じました。これはその時点の出来事で、今の市場でシンガニがどんな位置にあるかを示すものではありません。
ボリビアの食文化をもっと読みたい方は、ボリビアのページもご覧ください。
チュフライ1杯の材料

| 材料 | 分量 | 代替・備考 |
|---|---|---|
| シンガニ | 2米液量オンス | ベースの酒。シンガニと表示された製品を選ぶ |
| 搾りたてのレモン汁(jugo de limón fresco) | 1/4米液量オンス | 酸味担当。レモンをその場で搾る |
| ジンジャーエール | 5米液量オンス | 泡と甘みを加える。よく冷やして使う |
| 氷 | 背の高いグラスを満たす量 | 飲み物を冷やす |
| ライムまたはレモンの輪切り | 1枚(お好みで) | 飾り |
シンガニ、柑橘、ジンジャーエールの選び方と代用
シンガニ: ボリビアの原産地として定められた地域のシンガニだと表示されている製品を探してください。見つからない場合、ほかのブドウの蒸留酒を使うと、名前も風味も別の飲み物になります。それはシンガニで作ったチュフライではなくなるので、「シンガニの代用品」とは呼ばないでください。
レモン: 搾りたてを使います。果汁と飾りは別のものです。果汁はレモンで、縁に添える輪切りはライムでもレモンでもかまいません。
ジンジャーエール: ジンジャービアやレモンライムソーダは、ジンジャーエールとは味が違います。基本のレシピには使わないでください。ジンジャーエールも銘柄によって甘さや生姜の刺激が違い、量が同じでも仕上がりの印象は変わります。
道具
- 背の高いグラス
- ジガー(お酒用の計量カップ)
- バースプーン
チュフライにはアルコールが入っています。未成年の方には出さず、妊娠中の方や運転する予定のある方は飲まないでください。健康によいという意味合いは、ここでは一切示していません。飲まないという選択は、いつでも立派な選択です。
作り方
背の高いグラスに氷をいっぱいに入れます。

- シンガニとレモン汁を加える
シンガニ2オンスと、搾りたてのレモン汁1/4オンスを注ぎます。

- やさしく一度だけ混ぜる
バースプーンでやさしく一度混ぜます。

- 冷えたジンジャーエールを注ぐ
冷えたジンジャーエール5オンスを加えます。炭酸を逃さないよう、必要以上にかき混ぜないでください。

- 飾って、すぐに出す
お好みで柑橘の輪切りを添え、すぐに出します。

味がしっくりこないとき
| 気づいたこと | 考えられる理由 | 対処 |
|---|---|---|
| 甘すぎる | ジンジャーエールは銘柄によって甘さが違う | 次は分量を変えずに、別の銘柄のジンジャーエールを試す。レモンを加減するのはアレンジ(下記) |
| 泡が少なく、気が抜けている | ジンジャーエールを早く入れすぎた、または混ぜすぎた | 混ぜるのはジンジャーエールを入れる前の一度だけ。冷えたジンジャーエールは最後に加える |
| シンガニの味がわかりにくい | ジンジャーエールや柑橘が覆っている | 計量した分量を守る。酒の個性を知りたいときは、まず少量を単体で試す |
| 別の飲み物の味がする | 別の酒や炭酸飲料を使った | ジンジャービア、レモンライムソーダ、別のブドウ蒸留酒は、それぞれ別の飲み物になる |
アレンジ
ここで紹介するのは、上の基本のグラスからはずれる工夫です。台所でのアイデアであり、ボリビアで決まっているルールではありません。
- レモン汁を増やす・減らす: 増やすと酸味が強くなり、減らすとジンジャーエールの甘さが前に出ます。
- ライムは飾りだけに使う: 縁にライムの輪切りを添えると、柑橘の香りが変わります。レモン汁の代わりにライムを使うのは、それとは別の大きな変更です。
- ジンジャーエールの銘柄を変える: 分量は同じままにします。甘さや生姜の個性が銘柄で変わります。
- 先にシンガニを味わう: 酒の香りを知るため、混ぜる前に少量を単体で試します。あくまで比べるための方法で、シンガニの伝統的な出し方を説明するものではありません。
名前の由来の話をどう読むか
ボリビアの新聞『Opinión』は、チュフライを19世紀末から20世紀初めのボリビアの鉄道建設と結びつけています。この話はよく語られますが、記事には一次資料による裏づけが示されていません。言い伝えとして読むのがよく、名前についての確定した事実とは考えないでください。
2つの情報は、根拠の重みが違います。シンガニの由来と定義は法律で定められ、SENAPIとボリビア外務省が記録しています。一方、カクテルの名前にまつわる話は、民間語源です。
ボリビアの料理と一緒に
チュフライは、サルテーニャ、シルパンチョ、ソパ・デ・マニといったボリビアの食事に合わせられます。これはご自宅の食卓のための献立の提案で、伝統的な組み合わせとして記録されているものではありません。お酒を飲まない人がいる場合は、ノンアルコールの飲み物を用意してください。
よくある質問
シンガニはワインですか?
いいえ。SENAPIは、シンガニを新鮮なブドウの自然ワインを蒸留して造る蒸留酒だと説明しています。出発点はワインですが、蒸留した酒です。
チュフライとは何ですか?レシピはひとつだけですか?
チュフライはシンガニを使ったカクテルで、酒そのものの別名ではありません。公開されている配合は1つではありません。この記事で使っているのはCasa Realの配合で、背の高いグラスに氷を入れ、シンガニ2オンス、搾りたてのレモン汁1/4オンス、ジンジャーエール5オンスを合わせます。『Opinión』は、シンガニ1と1/2オンス、ジンジャーエール3オンス、くし形のレモンというもっと簡単な配合を紹介しています。2つの配合は別のレシピなので、ここでは混ぜていません。
シンガニが見つからないときは何を使えばいいですか?
ほかのブドウの蒸留酒を使うと、風味の違う別の飲み物になります。シンガニと呼ばないでください。同じ仕上がりも期待しないでください。
チュフライの名前の由来は確定していますか?
いいえ。ボリビアの新聞は鉄道建設と結びつけていますが、その話の一次資料は確認できていません。言い伝えとして読むのがよいでしょう。
シンガニを自宅で造れますか?
この記事では蒸留の方法を紹介していません。酒を造るには、蒸留の設備、法規、造り手の専門知識が必要です。シンガニは、原産地呼称のもとで造られた製品を選んで楽しんでください。





