レチョナ ― 祝いの料理を、家庭のオーブンに入る大きさにたたむ
豚肉とラードのコク、クミン・アチョーテ・にんにく・長ねぎの香り、えんどう豆と米だけの素朴な詰め物、そして深い金色にぱりっと焼けた皮。辛い料理ではありません。
アルミ箔を敷いた天板に、広い豚皮を平らに広げます。中央に置くのは、ラードと赤茶色のアドボでほぐした炊いた米と黄えんどう豆、そして冷蔵庫で一晩クミンとアチョーテをなじませた豚肉。皮でくるりと巻いて糸で結び、まず箔をかぶせて、次に箔を外して高温で。皮がふつふつと泡立ち、色づいたら出来上がりです。切り分けると、豚肉、豆、米の層が皮の中に収まっています。
レチョナ(よくレチョナ・トリメンセと呼ばれます)は、豚皮の中に豚肉とえんどう豆を詰めて焼く、トリマ地方を中心としたコロンビアの料理です。大きな祝いの形では長い仕込みと皮の縫い合わせが必要な一大仕事になります。コロンビア文化省のトリマ料理冊子には、皮で包んで縫い閉じる小型の形「コヒン(cojín、クッション)」も載っています。この記事のレシピは同じ発想を家庭の大きさにしたもので、米を入れる家庭向けレシピをもとに、6人分のコンパクトな包みにまとめています。
名前は似ていますが、コロンビアのレチョナとフィリピンのレチョンは別の料理です。どちらも豚を焼く文化から生まれていますが、材料も料理の形も地域の歴史も違うので、一方をもう一方の起源や変形とは考えないでください。
レチョナに、ひとつだけの決まったレシピはありません。トリマでは米なしを伝統とみる声があり、一方で米入りの型も、他の地域や家庭、国外のコロンビア人のあいだで根づいています。以下のレシピは米入りの家庭版です。米なしのトリマ型は後ろで説明するので、それぞれの位置づけを見比べてください。
途中で見つける、味の決め手
道具
- ブレンダー
- 食品用温度計
- 取り分けたアドボを入れるふた付き容器
- 豚肉を漬けたり詰め物を混ぜたりするボウル
- 天板
- アルミ箔(天板に敷く用と、包みにかぶせる用)
- 料理用のたこ糸
- まな板と切れ味のよい包丁
選び方と代用 ― 豚皮、えんどう豆、アチョーテ
いちばん探しにくいのは豚皮です。 詰め物をぐるりと巻けるだけの広い一枚が必要で、スーパーの精肉売り場より、精肉店に「皮付きの豚皮」を相談するほうが確実です。皮付きの豚バラ肉を代わりにという案もありますが、皮の厚み、形、脂の割合が変わります。このレシピの代用として確かめられていないので、同じ仕上がりは期待しないでください。
長ねぎ(cebolla larga): 日本の長ねぎで作れますが、白い部分と緑の部分の割合や香りがコロンビアのものとは違います。編集部の代用案としてお使いください。
えんどう豆: 元のレシピは調理済みの黄または緑のえんどう豆を認めています。緑のえんどう豆なら、詰め物の色と香りが変わります。伝統的なトリマの作り方では、乾燥した黄えんどう豆から煮ます。乾燥豆から始める場合は、先に煮て、煮上がりの量で3/4カップを量ってください。乾燥豆から調理済みへの換算は元のレシピにありません。
アチョーテ: 粉末のアチョーテ(アナトー粉とも)は、輸入食品店や通販で探せます。パプリカは色の代わりにはなっても香りが違うので、選択肢のひとつにとどめてください。
ラード: 分量はUSカップの1/4です。換算せず、USカップで量ってください。
食べ方 ― アレパ、ゆでじゃがいも、レモン

元の家庭向けレシピでは、アレパ、塩ゆでのじゃがいも、レモンを添えます。レモンは豚肉とラードのこってりした味を切り、アレパとじゃがいもは食事の素朴な土台になります。文化省のトリマの料理では、焼いたコヒンに「インスルソ(insulsos)」と「アレパ・オレハス・デ・ペロ(arepas orejas e'perro)」を添えています。地域の添え物として知っておくとよいですが、この家庭版には必須ではありません。
失敗したときは ― 皮、閉じ目、中心
| 困りごと | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 皮が詰め物を包みきれない | 皮が小さい、または詰め物が多い | 始める前に皮の広さを確かめる。皮を引っぱらず、詰め物を少し減らす。皮の代わりに豚バラ肉を使っても同じ形にはならない |
| 焼いている途中で包みが開く | 糸がゆるい、または間隔が広い | 全体をしっかり結ぶ。伝統的なレシピでは閉じ目を縫う |
| 皮の色が早く濃くなる | 高温の段階が長い、または天板が熱源に近い | 232°Cの段階はこまめに見る。焦げそうなら箔を戻すか段を変える |
| 皮が白っぽくやわらかい | 皮が濡れたまま、または高温の時間が短い | 塩をする前に皮を完全に乾かす。箔を外した段階は様子を見ながら続ける |
| 外側は焼けているが中心が不安 | 焼き時間は目安にすぎない | いちばん厚い豚肉と詰め物の中心など数か所を測る。足りなければ焼き続けて、また測る |
本編レシピと分けておく変化
- 米なしのトリマ型: 文化省のトリマのコヒンは黄えんどう豆、豚肉、豚皮、長ねぎ、塩、クミン、色づけで、米は入りません。分量は20人分で作り方も違うため、ここでは背景として紹介するにとどめ、このレシピに縮小して載せることはしません。
- 黄の代わりに緑のえんどう豆: 元のレシピはどちらも認めています。緑だと色と香りが変わります。
- アチョーテの代わりにパプリカ: 色は近くなりますが、香りは違います。
- 豚皮の代わりに皮付き豚バラ肉: 確かめていない案です。厚み、形、脂の割合が変わります。
- ほかの焼き方: 子豚を丸ごと焼く別のレシピは、時間も温度も違います。この包みにはそのまま使えません。
文化と歴史 ― トリマ、縫い合わせ、祝いの食卓
レチョナはトリマと深くつながり、コロンビアの食の文献ではトリマとウイラにまたがる「トリマ・グランデ」の料理として紹介されています。ほかのコロンビア料理はコロンビアのページでも紹介しています。
Yo Soy Colombiaの文化紹介では、レチョナは長い仕込みと皮の縫い合わせを伴うゆっくりした手仕事で、家族の食卓や宗教の祝祭、地域のお祝いのための料理だと説明されています。そこで紹介されたピラール・デ・ポサダのレシピは、米を使わず豚肉と黄えんどう豆で作り、米なしをレチョナの原型としています。これは地域の立場であって、全国の合意ではありません。同じ記事は、米入りのレチョナもコロンビア国内の地域差として存在すると書いています。エル・エスペクタドールもレチョナを祝いの席で分け合う料理と紹介し、家庭向けレシピの材料に米を挙げています。
文化省のトリマの料理冊子には、伝統的な米なしのコヒンが手順を追って載っています。乾燥した黄えんどう豆を前の晩から浸し、翌日に約3時間煮て、皮の中で豚肉と重ね、縫い閉じて焼く作り方です。この記事の家庭向けレシピは、My Colombian Recipesのエリカ・ディーニョさんのもので、米あり・なしの両方があると説明したうえで、本人は米入りの家庭版を紹介しています。二つに優劣をつけるより、トリマの個性を語る場面では米なしが重んじられ、米入りは他の地域、家庭、国外のコロンビア人のあいだで根づいている、と見るほうが実情に近いでしょう。
よくある質問
レチョナには米が入りますか?
誰に、どの地域で聞くかによります。文化省のトリマのレシピには米は入らず、トリマには米なしを伝統とみる声もあります。一方で、米入りの型も地域や家庭の作り方として記録されています。このレシピは、元の家庭向けレシピに沿って米を使います。
乾燥の黄えんどう豆は使えますか?
使えますが、先に煮てください。伝統的なトリマの作り方では、乾燥豆を一晩浸し、約3時間煮ます。このレシピは、すでに調理した豆3/4カップを使います。元のレシピに乾燥状態の重さはないので、換算せず、煮たあとに量ってください。
豚皮とアチョーテはどこで買えますか?
精肉店に、詰め物を巻ける広さの皮付きの豚皮を相談してください。粉末のアチョーテ(アナトー粉と表示されることもあります)は、輸入食品店や通販で探せます。
火が通ったかどうかは、どうやって確かめますか?
焼き時間ではなく、食品用温度計で確かめます。豚のかたまり肉についてのUSDAの目安は145°F(62.8°C)で、少なくとも3分休ませます。この基準は、豚肉、米、豆が混ざった詰め物には確認されていないので、いちばん厚い豚肉と詰め物の中心など数か所で測り、迷ったら焼き続けてください。
残りはどう保存し、温め直しますか?
ここで参考にした資料には保存期間の記載がないため、日数は示しません。温め直すときは、USDAの残り物の目安に従い、食品用温度計で165°F(73.9°C)になるまで温めてください。
辛い料理ですか?
いいえ。味は豚肉とラードのコクに、クミン、アチョーテ、にんにく、長ねぎの香りが重なったものです。辛さではなく香りの料理です。














