背の低いグラスの底に、小さく切ったライムと砂糖を入れます。押しつぶすと果汁がにじみ、砂糖がしっとりしてくる。そこへ粗い氷をいっぱいに詰めて、カシャッサを注ぐ。ブラジルのバーテンダー協会(ABB)は、これをブラジルを代表するカクテルとして紹介し、IBA(国際バーテンダー協会)の公式カクテルとしても掲載しています。ライムと砂糖と氷をグラスの中で合わせる、それがカイピリーニャです。
用意するものは、カシャッサ、ライム1個、白きび砂糖、氷。シェイカーも特別なバーツールもいらず、仕上げまで飲むグラスの中で済みます。味を分けるのは手の動かし方です。ライムの切り方、皮を押す強さ、氷を入れてからの混ぜ方。それだけで1杯の表情が変わります。
カイピリーニャとは、ブラジルのグラスの中で完成する一杯
この一杯で残したいのは、カシャッサの香り、ライムの酸味と皮の香り、砂糖の甘み、そして砕き氷の冷たさです。やさしく潰し、やさしく混ぜ、作ったらすぐ飲みます。
カイピリーニャは、カシャッサ、ライム(ポルトガル語でlimão)、砂糖、氷を組み合わせた飲み物です。カシャッサはサトウキビから作るブラジルの蒸留酒で、The Kitchnは発酵させたサトウキビ汁を蒸留した酒と説明しています。この記事では、飲み物の中心になる酒なので、ほかの蒸留酒と同じ扱いにせず、ポルトガル語の綴り「cachaça」をそのまま使います。
IBAは、同じ作り方でも酒が違うものを別の名前で区別しています。ウォッカで作ればカイピロスカ(Caipiroska)、ラムで作ればカイピリッシマ(Caipirissima)です。酒がこの飲み物を決めるので、カシャッサを使わない一杯は、親戚筋の別のカクテルとして呼び分けます。
なお、カイピリーニャの起源、考案者、名前の語源は、この記事では扱いません。
苦い、薄い、甘い。仕上がりの直し方

ライムの切り方と皮を押す強さで、仕上がりの苦みは変わります。芯と端を外し、皮を強く潰さない。これが1杯目を失敗しない一番の近道です。
| 困りごと | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 苦すぎる | 端や硬い芯が入った、または皮を強く潰した | 端と芯を外し、果汁が出るところまでで押すのをやめる |
| 水っぽい | 氷を乱暴に混ぜた、グラスにぶつけた、作ってから時間が経った | 円を描くように静かに混ぜ、作ったらすぐ飲む。作り置きはしない |
| 甘すぎる・酸っぱすぎる | ライムの大きさや酸味に差がある | 味を見て判断する。最初の1杯は基本の分量で作り、次回に少し調整する |
ライムの個体差があるので、まず基本の分量で作って味見してください。調整は、その1杯を飲んでからの次回で十分です。
変えると表情が変わる、4つの要素
基本の構成要素は4つだけなので、どれを変えてもグラスの印象がはっきり変わります。
- 氷:砕き氷と角氷では、冷え方も薄まり方も違い、最初の一口から最後の一口までの感じ方が変わります。
- ライム:酸味の強いライムは甘みを引き締め、穏やかなものは砂糖の甘みを前に出します。
- 酒:カシャッサをウォッカにすればカイピロスカ、ラムにすればカイピリッシマ。比べて楽しめますが、それぞれ別の名前のカクテルです。「カイピリーニャ」の名前は、カシャッサで作ったものだけに使います。
よくある質問
カシャッサがないときは何で代用できますか?
ウォッカやラムで、同じ手順で作れます。ただし名前が変わり、ウォッカならカイピロスカ、ラムならカイピリッシマです。カシャッサの香りがこの飲み物の中心なので、風味も変わります。
ライムの皮はどこまで潰せばよいですか?
果汁が出て、砂糖がしっとりするところまでです。皮をどろどろになるまで潰すと苦くなりやすくなります。先に両端を切り落とし、硬い中央の芯を取っておくと安心です。
砕き氷がなくても作れますか?
作れます。市販の角氷でもかまいませんが、粗く砕いた氷とは冷え方と薄まり方が変わります。雪のように細かいかき氷は避けてください。
決まったガーニッシュはありますか?
ありません。IBAの規定には載っていません。ライムの輪切りやミントを添えるのは自由ですが、レシピに含まれない飾りの一つです。
シェイクしてもよいですか?
しません。カイピリーニャはグラスの中で作り、スプーンで静かに混ぜます。乱暴に扱うと氷が砕けて、水っぽくなります。












