小さな鍋の水が、削ったパネラ(未精製のきび砂糖)を溶かしながら少しずつ濃い色に変わり、シナモンスティックの香りが湯気にほどけていきます。カネラソは、そのパネラとシナモンの甘い土台に、火から外してからアニス風味の蒸留酒アグアルディエンテを合わせ、温かいうちに飲む、コロンビアの飲み物です。
雨の夕方に立ちのぼる、湯気とシナモンの香り
パネラを水に溶かし、シナモンスティックと一緒に温めたら、鍋を火から外してからアグアルディエンテを混ぜます。酒を入れたあとは、鍋をコンロに戻しません。
コロンビアの家庭料理サイト My Colombian Cocina は、カネラソを、ボゴタの寒くて雨の多い日を思い出させる飲み物として紹介しています。これはひとりの料理人の見方で、コロンビアのどの家庭にも当てはまる姿とは限りません。この記事のレシピのもとになった新聞 EL TIEMPO は、12月のノベナ・デ・アギナルドス、つまりクリスマス前に夕方ごとに祈りの集まりが開かれる時期に楽しまれる飲み物として紹介しています。
同じ名前の飲み物はコロンビアの外にもあり、コロンビア国内でも配合はまちまちです。この記事ではEL TIEMPOが載せている1つのコロンビア版にしぼり、ほかの版はあくまで別のものとして分けて紹介します。
カネラソにはアグアルディエンテが入っています。温めてもアルコールがなくなるわけではありません。飲酒が認められる年齢に達していない人には出さないでください。日本では20歳未満の飲酒は禁止されています。妊娠中・授乳中の人、これから運転する人も飲めません。
パネラ、シナモン、お酒を熱くして飲むカネラソ
ここで使うのはEL TIEMPOのレシピで、水、削ったパネラ、シナモンスティック、アグアルディエンテが中心です。グラスの縁用にレモンと砂糖も使います。パネラは精製していないきび砂糖で、糖蜜のようなこくのある甘みを持っています。シナモンが温かい香りを、アグアルディエンテがアニスの風味を加えます。
カネラソの由来ははっきりしていません。EL TIEMPOも起源は不明としていて、可能性にふれてはいるものの、確かな歴史としては示していません。この記事でも、カネラソにはっきりした始まりの年代や出来事を結びつけることはしません。
はっきりしているのは、この名前のレシピが一様ではないことです。コロンビア文化省が刊行した本には、この記事の版よりずっと酒の多いボヤカ(Boyacá)のレシピが記録されていますし、コロンビアのテレビ料理家は果実や香辛料を加えて作っています。どちらもレシピのあとで紹介します。
途中で見つける、味の決め手
道具
- 小鍋
- 240 mLの計量カップと15 mLの計量スプーン
- 木べら
- シナモンスティックを取り出す清潔なトングと、置いておく小皿
- 鍋をコンロから離して置ける耐熱の台
- 砂糖を入れる小皿
- メーカーが熱い飲み物に使えると表示している耐熱グラスまたはマグ
選び方と代用
パネラ。 日本ではパネラは専門的な食材です。代わりの候補に黒糖がありますが、香りも糖蜜の含み方も食感も同じではありません。粉末の黒糖は計りやすい反面、できあがる飲み物はパネラで作る本来の味の再現にはなりません。原典はこの置き換えを提案していません。
アグアルディエンテ。 普通のスーパーでは見つけにくいかもしれません。My Colombian Cocina は自分のレシピで、サンブーカなどのアニス系リキュールも使ってよいとしています。ただし、どれもアグアルディエンテと同じ味になるとは言えませんし、同じ量でも強さは異なります。ラムなどほかの蒸留酒も同等品ではなく、置き換えればレシピそのものが変わると考えてください。
グラス。 厚手だというだけでは、熱い液体に耐える保証になりません。メーカーが熱い飲み物に使えると表示しているグラスかマグを選び、薄いガラスには熱い液体を注がないでください。
うまくいかないとき
| 困りごと | 確かめること | 対処 |
|---|---|---|
| パネラが溶け残る | パネラが粗い塊だった、または酒を入れるのが早すぎた | アグアルディエンテを入れる前に、粒がなくなるまで混ぜ続ける |
| 香りが弱い | 粉末のシナモンを使った、またはスティックを入れ忘れた | スティックを使う。粉末や長い煮立てで補わない |
| 甘すぎる、強すぎる | 好みの問題 | EL TIEMPOは甘さと酒の量を好みで調整してよいとしている。変えた場合は自分流のアレンジと考える |
| グラスが心配 | 薄いガラス、または熱い飲み物に使えると表示のないグラス | メーカーが熱い飲み物に使えると表示しているグラスかマグを使う |
出し方、残ったとき、飲んではいけない人

カネラソは、厚手の耐熱グラスかマグで熱いうちに出します。文化省の本には、ボヤカのレシピ用として小さな土器の器も挙げられています。
作り置きは勧めません。 カネラソの保存や温め直しについて、確認できた資料に案内がないからです。どうしても前もって用意するなら、パネラ液とアグアルディエンテを出す直前まで別にしておく方法があります。温め直したときの安全性や味の変化は確かめていません。
カネラソはお酒です。飲酒が認められる年齢に達していない人、妊娠中・授乳中の人、これから運転する人には出さないでください。日本では、成年年齢が18歳になったことと関係なく、20歳未満の飲酒は禁止されています。コロンビアでも、法律で未成年者への酒類の販売は禁じられています。酒を入れずに作った飲み物は別の飲み物で、この記事ではカネラソとして紹介しません。
同じ名前でも、レシピは違う

記録されたボヤカのレシピ。 コロンビア文化省が刊行した『Gran libro de la cocina colombiana』には、ボヤカの名前でカネラソが記録されています。アグアルディエンテ3 taza、アグアパネラ(パネラを溶かした水)3 taza、シナモンスティック6本を混ぜ、湯せんで沸騰させずに温め、厚手のガラスか土器で熱く出すというものです。酒とアグアパネラが同量なので、この記事の版よりずっと強い飲み物になります。伝統的な配合にも幅があることを示す記録であり、家庭向けの分量として勧めるものではありません。
果実とスパイスの料理家版。 elGourmet で、コロンビアの料理家フェデリコ・トルヒージョ(『Cómete Colombia』)が4人分としてカネラソを作っています。材料は熱湯1 L、すりおろしたパネラ1 taza、アグアルディエンテ250 cc、クローブ3個、スターアニス4個、ルーロまたはナランヒージャ1個、シナモンスティック2本です。スパイスと果実を弱火で煮出して濾し、熱い煎液に酒を加え、固形物はグラスに戻しません。これはコロンビアの料理家自身のレシピで、果実が入っているからといってエクアドル版になるわけではありません。基本のレシピとは材料を混ぜないでください。
原典にある任意の追加。 EL TIEMPOはレシピの最後に、オレンジや黄色いレモンの果汁を少し、あるいはスターアニスなどを任意で加えてもよいとしています。この記事の基本版では使いません。材料表のレモンは、グラスの縁のためだけのものです。
エクアドル。 EL TIEMPOは、エクアドルではアグアルディエンテの代わりにチャピル(chapil)を使うと触れています。チャピルの作り方には、この記事では踏み込みません。
酒を少なくする場合。 EL TIEMPOはアルコールを好みで調整してよいとしています。アグアルディエンテを減らすのはレシピの変更で、口当たりはおだやかになりますが、お酒であることに変わりはありません。
同じ国のほかの料理や飲み物は、コロンビアのページにまとめています。
よくある質問
カネラソはどこの飲み物ですか?
この記事は、EL TIEMPOに載っているコロンビアのレシピに沿っています。同じ名前の飲み物はエクアドルにもあり、EL TIEMPO自身も由来は不明としています。ここで紹介したのはコロンビアの1つの版です。ボヤカのレシピとして示したものではなく、その名前は上で紹介した文化省の別のレシピに付くものです。
パネラがないときは何を使えますか?
黒糖が代わりの候補ですが、香りも糖蜜の含み方も食感もパネラとは違います。できあがりはパネラの本来の味ではなく、あなたなりのアレンジです。
お酒は何を使えばよいですか?
原典が使っているのは、アニス風味の蒸留酒アグアルディエンテです。My Colombian Cocina は自分のレシピでサンブーカなどのアニス系リキュールも認めていますが、どれも同じ量で同じ風味・強さになるとは限りません。
エクアドルのカネラソと同じですか?
同じ名前ですが、地域によって材料や酒が違います。EL TIEMPOは、エクアドルではチャピルを使うと伝えています。
どのくらい加熱すればよいですか?
原典に時間や温度の記載はありません。水、パネラ、シナモンを、パネラが溶けるまで温め、アグアルディエンテを入れる前に鍋を火から外してください。
加熱するとアルコールは飛びますか?
飛ぶものと考えないでください。アグアルディエンテは火から外した鍋に入れ、その後は加熱しないので、カネラソはお酒として扱います。
何杯分できますか?
原典には書かれていません。できあがりの量も測っていません。










