カリブ海に面したホンジュラス北部の町、ラ・セイバ。海沿いの食堂では、大きな鍋からココナッツの甘い湯気が立ち、皿には白く濁ったスープと、キャッサバ、青いプランテン、そして薄く切った巻き貝が盛られます。ライムをきゅっと搾り、白いごはんを添えて食べる。地元紙が「スープの女王」と呼ぶ、ソパ・デ・カラコル(sopa de caracol)です。
カラコルはスペイン語で巻き貝のこと。カリブ海でとれる大きなピンク色の巻き貝、クイーンコンクを使うのが現地の流儀です。日本では手に入らないので、むき身のつぶ貝で作ります。貝の扱い方さえ押さえれば、あとは缶のココナッツミルクと根菜で、カリブの海辺のスープが仕上がります。
ガリフナの人々が北の海岸に伝えたスープ

ホンジュラスの新聞ラ・プレンサによると、ソパ・デ・カラコルはホンジュラス北部の海岸の郷土料理で、主にガリフナの人々が作ってきたものです。ガリフナは、1797年4月にカリブ海のセントビンセント島からホンジュラスの海岸へ移り住んだ人々。巻き貝やほかの魚介をとり、プランテンとキャッサバだけと合わせてスープにしたのが始まりと伝えられています。
このスープは歌にもなっています。ホンジュラスのバンド、バンダ・ブランカのヒット曲「ソパ・デ・カラコル」のサビはガリフナ語で、ラ・プレンサの訳によると「スープを飲みたい、もっと楽しみたい、少しはきみに、少しはぼくに」という意味だそうです。
同じ記事によると、伝統的なガリフナのソパ・デ・カラコルは白いスープです。色づけの調味料は使わず、すりおろしたココナッツから搾ったミルクで煮て、野菜もキャッサバとプランテンくらいに抑えます。ホンジュラスの料理人ゼニア・パスは、「自然に作るほどおいしい」と話し、固形スープの素ではなく、貝殻などからとった魚介のだしで味をつけるといいます。
一方、いまのホンジュラスの家庭や食堂では、作り方がずっと自由です。新聞エル・エラルドに載った料理人カルロス・エスピナルのレシピは、ココナッツミルクにアチョーテ(アナトー)とクミンを加えてほんのり色をつけ、にんじんやセロリも入れます。白いスープも、うっすら黄色いスープも、どちらもホンジュラスのソパ・デ・カラコルです。
途中で見つける、味の決め手
貝をやわらかく仕上げるコツ

巻き貝は火を入れすぎると、ゴムのように硬く縮みます。エル・エラルドのカルロス・エスピナルも、まず貝をたたいて繊維を切り、それから細く切るよう勧めています。たたいてから薄く切る、そしてスープには最後に入れる。この2つを守れば、つぶ貝でもやわらかく仕上がります。
冷凍のむき身を使うときは、前の晩から冷蔵庫に移してゆっくり解凍します。電子レンジや流水で急いで解凍すると、身から水分が抜けて硬くなりやすくなります。
ココナッツミルクは、ぐらぐら沸かすと油が浮いて分離します。煮ている間は弱めの中火を保ち、スープが白くなめらかなままか、ときどき確かめてください。
白いガリフナ風と、えびで作る版

伝統的なガリフナ風にしたいなら、アナトーとクミンを省き、にんじんとセロリも入れずに、キャッサバとプランテンだけで作ります。スープは白いまま、ココナッツと貝の味がまっすぐに伝わる仕上がりです。ラ・プレンサの記事は、ガリフナの家庭では青いプランテンをつぶして丸めた「マチュカ」を別に作って添えることも紹介しています。
えびで作る場合は、殻をむいて背わたを取ったえび450gを用意し、手順6で貝の代わりに入れて3分煮ます。えびの殻を少量の水で10分煮出してだしにすれば、顆粒だしを使わなくても魚介の香りがぐっと増します。
よくある質問

つぶ貝の唾液腺はどこにありますか?
殻付きのつぶ貝をむくと、身の頭のほうに黄白色の脂肪のようなかたまりが見えます。これが唾液腺です。身を縦に半分に切ると取り出しやすくなります。自信がない場合は、唾液腺を除いたと表示のあるむき身を買うのが安全です。
青いプランテンが手に入らないときは?
キャッサバを増やすか、じゃがいもで代用してください。青いプランテンのでんぷん質のほくほく感は出ませんが、スープとしては成り立ちます。熟したプランテンを使うと甘いスープになります。
作り置きできますか?
貝は温め直すと硬くなるので、作り置きには向きません。残った場合は貝を取り出して冷蔵し、スープと野菜だけを温め直して、最後に貝を戻して温める程度にしてください。保存日数のはっきりした目安は示せないので、早めに食べきりましょう。
アレルギーで気をつける材料は?
貝(えびで作る場合はえび)、炒めるときのバター(乳)、とろみの薄力粉(小麦)を使います。バターはサラダ油に、薄力粉は省いても作れます。














